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韓国タイヤ、殺人企業の暴走を止めるには

[連続寄稿]すべての労働者に労働三権を-労組破壊禁止・交渉窓口一本化廃棄を叫ぶ(3)

ソン・ソクキュ(金属労組韓国タイヤ支会) 2017.07.18 10:45

▲金属労組韓国タイヤ支会の現場巡回を防ぐ数十人の管理者

最高の営業利益率にさえぎられた死の工場

大韓民国のタイヤのシェア1位。 2015年の売り上げは6兆4282億ウォン(2014年グローバル連結経営実績基準)、 営業利益は8850億ウォンを達成した企業。 この20年間に売上額は5.3倍、営業利益は9.6倍増加した韓国タイヤ。 同じ期間に韓国タイヤの工場で事故死を除く疾病で死亡した労働者は139人(キム・ジョンフン議員室発表。2016年)。 毎年7〜8人の労働者が働いて死亡したのだ。 死亡者数には1800人もの下請労働者は含まれていない。 統計に把握されない人々も多い。 最悪の殺人企業という言葉まで聞いた韓国タイヤ。 働く労働者たちは常に恐ろしい。 暮らすために会社に通うが、苦しい労働よりもいつ自分にくるかわからないガンの恐怖がさらに恐ろしいところだ。 会社と御用労組はこの真実を隠す主犯だった。 もうこれ以上、恐怖を感じながら会社に通えないと言って辞めていくケースも頻繁にある。

現場は各種の労災事故隠蔽と、原因がわからない組合員たちの死に包まれている。 安全に働く権利? われわれはあえて口に出すこともできなかった。 会社は不透明な未来経営を口実に、常に苦痛分担は現場組合員たちの役割だった。 毎年新記録を更新する途方もない営業利益にもかかわらず、正当な利益分配どころかむしろ55歳から賃金ピーク制を実施し、月次休暇制度は廃止された。 その上、韓国労総本部が通常賃金に対して代表者訴訟を展開しろという指針を出したが、 韓国労総所属事業場の労組はむしろ会社側の報道担当者のように、 定期賞与は通常賃金ではないと主張した。

御用労組は物価上昇率より低い賃金交渉を行い、 労働者の権利を一つずつ奪う、もうひとつの会社管理者だった。 現場労働者の暮らしは日に日に疲弊した。 われわれは死の恐怖から抜け出したかった。 労働者の権利を保障するどころかむしろ奪う御用労組から抜け出したかった。 安全な作業環境と安定した生活圏を保障してもらいたかった。 結局、2014年11月27日、われわれはいよいよ民主労組である金属労組韓国タイヤ支会を設立した。

▲金属労組の組合員が現場に入れないようにする管理者の姿

やっと作った民主労組の旗に駆けつける組合員! しかし...

韓国タイヤは全組合員数が4800人を越える大きな事業場だ。 金属労組は何人もいない少人数で始まったが、2015年8月、まだ1年にもならないのに1200人近い組合員が加入することになる。 しかし会社は複数労組交渉窓口一本化の手続きを悪用して激しい弾圧を始めた。 転換配置による金属労組脱退の懐柔はもちろん、露骨に第1労組と差別した。

一日は金属労組チョッキを着て会社に出勤すると会社文化企画チーム長とともに第1労組の御用労組役員が共に 「チョッキを着用して現場に入ることはできない」と体で防いだ。 御用労組の第1労組はチョッキを着用して群れになって現場を歩き回り、 スローガンを叫んでも何の制裁もしない。 しかし金属労組韓国タイヤ支会の幹部や数人の組合員が現場巡回を実施すれば、 40〜60人ほどの事務管理社員と現場管理社員を動員して現場に入れないように妨害する。 今も変らず出退勤のたびに各出入口に現場管理社員全員が出てきて私たちの動きを監視する。

金属労組の組合員が現場巡回を強行すると、人事委員会を開いて懲戒をし始めた。 あまりにもくやしくて、地労委に救済申請をした。 しかし労働委員会は資本の主張を認めた。 今は行政裁判をしているが、現場巡回さえ数年かけて判決を受けなければならないのが韓国タイヤ支会の現実だ

「罰金はおれが全部払うから、みんな追い出せ!」

支会が宣伝物を配るために工場に入ろうとすると、まっさきに人間の壁につきあたる。 数十人の会社管理者と御用労組幹部を動員して、文化企画チーム長の陣頭指揮の下で力なく追い出されることもあった。 会社の文化企画チーム長という者は 「不当労働行為の罰金はおれが全部払うから、みんな追い出せ!」という言葉もためらいなく吐き出す。 法の通りでも、彼らにとってはわずかな罰金。 彼らにとって、法は綿の棍棒だった。

支会の組合員たちが弾圧にも動揺しないので、会社はすべての現場の設備稼動率を調査し、むちゃくちゃな転換配置を実施した。 該当組合員と該当労働組合とは何の協議もなく一方的な通知一つで転換配置が行われるのは茶飯事だ。 転換配置が金属労組脱退を勧めるために使われていた。 われわれは第1労組のところに行った。 「強圧的な転換配置に対応すべきではないか?」と強く抗議した。 しかし第1労組は「人事権は会社の固有の権限だ。労組が関与することではない」と無視した。 初めから行く必要もない所だった。

「他の役職に移動したくなければ金属労組を脱退しろ」という会社の脅迫をわれわれは防ぐことができなかった。 少なからぬ組合員たちがくやしさを後にして金属労組韓国タイヤ支会から脱退した。

労組が設立されて3年経った。 しかしわれわれは相変らず労組の事務室を提供されていない。 専従者もいない。 壁新聞一枚貼る所もない。 現場のすべての労働組合の掲示板も、金属労組韓国タイヤ支会が使えないように、 会社と代表労組が共になくしたのだ。 私たちが抗議すれば、会社は代表労組(1労組)を理由にする。 代表労組に抗議すれば、会社を理由にする。 時間稼ぎで私たちわ疲れさせる。 労働委員会に何十回も訪ねて行った。 公正代表義務違反の判定も受けた。 しかし効果がない。 「裁判が進行中なので、最終結果を見て協議しよう」と言う。 そうして3年だ。 その間、会社は現場の組合員に金属労組からの脱退を勧め、脅迫に没頭する。 労組幹部の現場巡回をこれ見よがしに妨害し、時には暴力も辞さない。

憲法を無力化する悪法、交渉窓口の強制的一本化

少数労組の金属労組韓国タイヤ支会は、社内集会や現場巡回の夢も見ることができない。 それに対し、代表労組はすべての権利を享受する。 これは代表労組が団体協約で、組合活動をする時に人員やビラの内容、集合場所などをすべて会社との協議の下で実施できるように変えたからだ。 誰が見てもおかしな規約を作り、遠慮なく差別することを見せるのだ。

一昨年、支会長と組合員は現場巡回のために工場に入ろうとしたという理由で数百万ウォンの罰金と停職2〜3か月という懲戒を受けた。 組合員と団結して会社の横暴を防ぎたかった。 しかしわれわれは現場では戦えなかった。 交渉権もスト権もない少数労組だからだった。

「複数労組交渉窓口一本化」は、少数労組から労組三権を剥奪し、 労組をする権利を奪う悪法だ。 強圧的な資本の脅迫と懐柔により組合員の数が減っているのに、 まともに対処することもできなくなっている。 もし金属労組韓国タイヤ支会が少数労組だとしても、 争議権があれば手をこまねいてじっとしてはいなかっただろう。

少数労組でも組合員の尊厳と良心を守る労組になりたい。 会社の脅迫に屈服して脱退書を書く同僚を見て、われわれは胸が張り裂ける。 相変らず民主労組の旗を握りしめて、あらゆる弾圧に耐える組合員に 「労働尊重の大韓民国」が偽りではないということをきちんと見せてあげたい。 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は大統領選挙の公約で複数労組交渉制度を改善すると発表した。 今こそその約束をすぐ実行に移すことを願う。 一日もはやく「複数労組交渉窓口一本化」制度を廃止して、 少数労組にも交渉権と争議権など労働三権を保障して、 資本の横暴と資本にこびる御用労組による労働者の苦痛を解消する日を期待する。

韓国タイヤの労働者が団結してこの「死の工場」を「労働が楽しく、充実した工場」にする日! その日を夢見る。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2017-07-20 08:06:30 / Last modified on 2017-07-20 08:06:31 Copyright: Default

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