本文の先頭へ
韓国:進歩的電子図書館「労働者の本」に時代遅れの国家保安法適用
Home 検索

進歩的電子図書館「労働者の本」に時代遅れの国家保安法適用

保安捜査隊、社会科学書籍107冊、鉄道労組代議員大会資料などを押収

チャムセサン編集チーム 2016.08.25 15:33

進歩的な人文社会科学書籍を集め、電子図書館方式で運営する「労働者の本」の イ・ジニョン代表の家を警察が利敵表現物所持などで押収捜索したことが問題になっている。

7月28日午前6時にソウル警察庁保安捜査4台保安捜査チームの警官9人は、 ソウル市江西区のイ代表の家に押しかけた。 保安捜査隊は500余ページの押収捜索令状を提示して、 107冊の図書と鉄道労組の会議資料、コンピュータのハードディスク、 スマートフォンのSDカード資料などを押収した。 イ代表はこの日からソウル市西大門区大新洞の保安捜査隊分室で四回の調査を受けた。

「労働者の本」はホームページ(www.laborsbook.org)に3000冊ほどの絶版になった社会科学書籍と各種社会科学関連資料の紹介とPDFファイルなどを提供している。 「労働者の本」は2002年に作られた。 80年代に多様な理論的な基盤になったが、今は絶版になったり入手が難しい人文社会科学本や理論を紹介し、 現実の懸案だけに没頭せず、長期的に労働者が資本に抵抗し、 世の中を変えるための思想と理論学習、論争の重要性を強調する。

押収した物品は、書店で入手できる社会科学書籍が多かった。 特に鉄道労組の代議員大会資料や民主労総が発刊した資料などがあり、 9月27日に予定されている成果退出制阻止公共部門労働者ストライキを国家保安法でケチをつける意図だという指摘もある。 実際、2013年の鉄道労組民営化反対ストライキの前に公安当局は「鉄道ハンギル自主労働者の会」組織事件を発表している。

イ・ジニョン代表は、首都圏の京仁線と京釜線駅務自動装置の維持保守をする鉄道労働者で、労組代議員をしている。 2006年と2009年には鉄道民営化阻止ストライキなどで懲戒を受けたことがある。 イ・ジニョン代表によれば、警察はイ代表が2013年の鉄道ストライキの時に鉄道労組組合員掲示板に書いた 「全面ストを直ちに施行しよう」等の文も利敵性を立証する重要な文書だといった。 「労働者の本」が鉄道労働者を相手として主催した「資本論」の学習会も、 社会主義暴力革命と体制転覆のための宣伝扇動の一環として問題にした。

労働、社会団体の会員は、今回の押収捜索について、 再び国家保安法亡霊がよみがえっていると強く反発した。 「労働者の本国家保安法弾圧阻止共同行動(共同行動)」は8月24日午前、 ソウルの南部地方検察庁の前で記者会見を行って弾圧を中断しろと要求した。

イ・ジニョン代表は「9月27日の公共運輸労組が退出年俸制阻止のためのストライキ闘争をしようとしている時に、 なぜ、わざわざ今、押収捜索をしたのか疑問に感じる」とし 「身をうごめかせ、飛びたとうとする労働運動に、国家保安法で赤く塗りたくり、 労働運動や民衆運動を抹殺する意図」と非難した。

良心犯後援会のクォン・オホン会長は 「どんな社会でも社会発展のために、絶えず創造的思想が進歩を語り、研究する」とし 「政治思想の自由を否定すれば、社会の発展はありえない。 これは個人ではなく、社会の進歩に対する弾圧であり、労働三権への弾圧」だと強調した。

社会変革労働者党のイ・ジョンフェ代表は 「私が知る限り、電子図書館に対する弾圧は初めてで、 電子書籍が活性化すれば紙の本は波及力で相手にならない」とし 「労働者民衆の政治経済的討論と想像力を制限するために電子書籍を妨害するのは愚かなことだ。 いくら妨害しても政治思想の自由と表現の自由を防ぐことはできない」と話した。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2016-09-01 20:20:50 / Last modified on 2016-09-01 20:20:50 Copyright: Default

関連記事キーワード



世界のニュース | 韓国のニュース | 上の階層へ
このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について