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造船産業危機、下請構造から解消しろ

造船産業の危機と現代重工の構造調整

イ・ジョンホ記者 2015.04.29 17:42

▲現代重工は今年1分期の新規受注額が30億1700万ドルで、昨年1分期の59億4900万ドルより49.3%減った。受注残高も先月末に489万6000CGT(100隻)で大宇造船海洋とサムスン重工業に押され世界3位に落ちた。[出処:現代重工労働組合]

角逐する韓中日の造船産業

韓国の造船産業はこの30余年で飛躍的に成長し、2000年代以後には日本を抜いて世界最高の造船産業国家になった。 1990年代中盤、世界造船産業1位の地位を守ってきた日本は造船産業が不況に入ると予測し、 建造施設と造船人員を大幅に縮小して船舶標準化を断行した。 韓国は好況に備え、むしろ設計人員と建造施設を大きく膨らませた。 現代重工、大宇造船、サムスン重工業のいわゆる「ビッグ3」造船所を中心として規模の経済を実現し、船舶の生産品質を上げた。 生産船舶の種類も大型コンテナ船、LNG船(液化天然ガス運搬船)、海洋ボーリング設備などと多様化した。 優秀な造船産業設計人員を大挙確保し、造船機資材産業を成長させた。

2000年代に入り、日本の予想と違って造船好況が続き、全世界から船舶の注文が押し寄せた。 日本は需要に耐えられず、需要が韓国に集中して韓国は造船産業世界最高の地位についた。 日本は無理に船舶標準化を追求し、船主の設計変更要求にきちんと対処できなかったが、 優秀な設計人員を確保した韓国はオーダーメイド生産に能動的に対応できた。 設計の変更が多い海洋プラントの製作で韓国が強気を見せる理由も、 豊富な設計人員による設計の柔軟性があるからだ。

2000年代中盤以後、中国の造船産業が急浮上した。 2010年代に入ると中国は船舶受注量世界1位の地位を占めた。 昨年の韓国の船舶受注額は中国に1.1ポイント差でかろうじて優位を維持したが、 趨勢から見れば受注額も中国に世界1位の地位をあけ渡すのは時間の問題のように見られる。 中国は2010年に約3000か所に達する造船所のうち約2700の造船所の廃業を進め、 約50か所の大型造船所(『ホワイトリスト』)を中心に統廃合する構造調整を続けている。

日本は安部政権の量的緩和政策による円安で価格競争力を回復し、造船産業がまた生き返っている。 昨年から日本造船産業の船舶受注が増加する傾向を見せている。 韓中日3か国のうち、昨年市場占有率が増加したのは日本だけだ。 日本は1月の船舶受注量が世界1位だった。 2008年3月以来、6年10か月ぶりだ。

2013年、日本は造船産業構造調整を押し通した。 IHIマリンユナイテッドとユニバーサル造船が合併して、ジャパンマリンユナイテッド社を設立した。 三菱重工業と今治造船所のLNG船舶部門を分離、統合してMI LNG社が発足した。 日本造船工業協会の会員社は2011年の35社から2013年には17社と半分ほどに減った。

限界として作用した船舶標準化も日本の造船産業復興に一役買っている。 過去、日本は効率のために造船産業に技術開発と投資をせず、 バルク船とコンテナ船などの船舶標準化(標準船)戦略を推進した。 「連携型注文生産」という造船産業の特性を無視した日本の標準船戦略は、 多くの船主社の足を韓国に向けさせた。 だが2010年代以後、日本の中型造船所はむしろ船舶標準化で競争力を確保し、 中国が掌握しているコンテナ船とバルク船の市場を蚕食している。 日本はまた数十年間中断していた船型開発を最近やり直した。 大型ドックにも投資していて、韓国との全面競争も憂慮される。

2010年代に入ると韓国の造船産業は危機を迎えた。 まず輸出額が明確に減った。 産業研究院の産業統計によれば、韓国の造船産業輸出額は2011年の541億ドルから2012年には378億ドル、2013年には359億ドルと急減した。 全産業の輸出額に造船産業輸出が占める割合も、2009年の11.74%をピークとして 2010年には10.07%、2011年には9.76%と下がり、 2012年には6.93%、2013年には6.43%と大幅に下がった。 造船産業生産額も2011年の78兆3439億ウォンから2012年には66兆6249億ウォンに急落した。 中国の市場占有率はますます高まり、日本は親環境船舶(エコシップ)強勢に加え、 円安もはずみをつけているが、韓国だけが市場占有率が低下している。

低油価時代、海洋プラント萎縮

昨年の世界船舶受注量は前年より34.7%少ない3970万CGT(標準貨物船換算トン数)だった。 建造量は2010年以後、年平均10%ずつ減り、前年より6.8%少ない3474万CGTだった。 昨年は商船だけでなく、海洋プラントも受注が振るわなかった。 シェールガス生産量が増えて国際原油価格が急落し、高い費用がかかる深海石油ボーリング設備の需要が大幅に減ったためだ。 低油価が続けば海洋プラントの受注は減り、大型タンカーとガス運搬船の需要は増える。 昨年、韓国の造船3社は海洋分野で合計115億ドルを受注した。 2013年の243億ドルより52.7%減った。

昨年の韓国造船産業の船舶受注量は前年より36.4%少ない1178万CGTだ。 受注額は32.3%減少した314億ドルで、建造量は前年より3.7%少ない1203万CGTだ。 海洋は受注額が半分以上減少し、伝統的な商船がすべて振るわない中で、 LNG船とLPG船が全体受注量の半分を占めた。 今年の始めの受注残高は前年始めより5.1%少ない3328万CGTで、これから約2年分のしごとを確保した状態だ。

シェールガスの生産量が減らない限り、海洋プラントの受注沈滞は続きそうだ。 低油価が続けばエコシップ効果が減り、伝統商船のエコシップ需要も減る展望だ。

社内下請ブラックホール海洋事業部

統計庁が毎年発表する鉱業製造業調査造船産業現況によれば、 10人以上の造船業体は2000年の584社から2012年には1275社に増え、 従事者数も2000年の7万6659人から2012年には13万9363人と二倍近く増加した。 この時期には設計人員を中心に技術職労働者たちが大幅に増え、 社内下請労働者が急増した。

2013年の9大造船所機能職直営労働者数が前年対比277人減少したのに反し、 機能職社内下請労働者は前年より1万4669人増加し、 社内下請人員が初めて10万人を越えた。 機能職に対する下請の割合は1990年には21.2%だったが、 2013年には294.1%まで上がり、機能職直営労働者1人当りの社内下請はほぼ3人になっている。

日本と比べても、韓国造船産業の社内下請割合は過度に高い。 2013年の日本の社内工は1万3261人で、韓国の社内下請労働者と似た社外工は2万4218人だ。 社内工に対する社外工の割合は182.6%だ。 日本で社外工が最も多かった時も、この割合は210%を越えなかった。

社内下請労働者が一番増えた部署は海洋事業部だ。 現代重工、サムスン重工業、大宇造船海洋の海洋事業部機能職直営人員は、 2007年の3171人から2013年には3888人と717人の増加に終わった反面、 下請労働者は2007年の1万2442人から2013年には3万5576人と2万3134人増えた。 6年間でほとんど3倍近く増加した。 3大造船所海洋事業部での機能職に対する下請の割合は90.1%に達する。 「海洋は十のうち九が下請」だという言葉は間違った話でない。

海洋プラント受注の減少は海洋事業部の下請労働者らの大規模減員につながっている。 現代重工蔚山工場は昨年末に579の社内下請業者で4万1059人だった社内下請労働者が、 今年の3月には534社、3万7942人と、45社、3117人が減った。 彼らのほとんどが海洋事業部の社内下請労働者たちだ。

下請構造が造船産業の発展を阻害

韓国造船産業の成長は良質の正規職雇用を創り出したのではなく、社内下請という大規模な不安定雇用を創り出しただけだった。 大型造船所が下請構造を維持する理由は、何よりも労働費用の削減が上げられる。 正規職と下請労働者の月平均の賃金格差を100万ウォンとすれば、 1万人の下請労働者を雇用すれば月100億ウォン、年間1200億ウォンの費用を節減することができる。 2万人の下請労働者を雇用すれば月200億ウォン、年間2400億ウォンの費用が節減でき、 3大造船所の海洋事業部のように下請労働者を3万6000人雇用すれば、 月360億ウォン、年間4320億ウォンを削減できるという計算になる。 物量の変化に柔軟に対処し、労働組合の力を無力化させられるのも下請化のもうひとつの理由だ。

下請構造は費用削減といった成果をあげることはできるが、 韓国造船産業の長期成長と発展を阻害する可能性が高い。 下請労働者の急増は労災事故の頻発につながっている。 昨年、現代重工蔚山工場だけで9人の下請労働者が労働災害で命を失い、 現代重工群山工場の1人、現代サモ造船の2人、現代尾浦造船の1人を足せば、 現代重工グループだけで合計13人の下請労働者が労災で死亡した。

造船産業の特性上、付加価値が高い船種に転換するためには、 安定した熟練技術者の確保が必要だが、 下請構造は安定した雇用確保と技術熟練を事実上、不可能にする。 現代重工労働組合のキム・ヒョンギュン政策室長は 「下請構造が企業の発展を阻害している」とし、 「現代重工という世界的な造船業体が短期的な成果のために下請低賃金構造を維持し、 そのために悪循環の輪が続く」と話した。 キム・ヒョンギュン室長は「会社が危機に弱い構造を作り、 その危機を労働者に転嫁しようとしている」と批判した。

付記
イ・ジョンホ記者は蔚山ジャーナル記者です。この記事は蔚山ジャーナルにも掲載されます。チャムセサンは筆者が自分で書いた文章の同時掲載を許容します。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2015-04-30 18:36:28 / Last modified on 2015-04-30 18:36:29 Copyright: Default

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