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韓国:校門の外に追い出されたセウォル号遺族との懇談会
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校門の外に追い出されたセウォル号遺族との懇談会

成均館大学生たち、学校側イベント不許可に校門前で懇談会

ハ・グムチョル記者 2015.03.24 11:16

セウォル号惨事1周年を控えて開かれた遺族と大学生の懇談会が、 大学側の場所貸与不許可により校門の外で行われた。

成均館大「セウォル号遺族懇談会準備チーム(以下、準備チーム)」は3月23日午後6時30分に予定されていた懇談会を講義室ではなく成均館大正門の前で行った。 その上、彼らはアンプなどを使うための電気も学校から引けず、 正門から70メートルほど離れた書店の助けを受けなければならなかった。

▲セウォル号惨事を記憶するための学生たちのプラカードが塀にかけられている。[出処:ビーマイナー]

準備チームによれば、懇談会一週間前の3月16日、 準備チーム一員のシン・ミンジュ氏(儒学東洋学科、22)は、 学校行政室のサイトから講義室の貸与を申請し、翌日承認の通知を受けた。 しかし学校側はすぐ翌日の18日、「教育目的以外の講義室貸与は不可」という携帯メッセージを送り、講義室の貸与を認めなかった。 外部の人が入るイベントには講義室を貸せないということだった。

その後、準備チームは懇談会場を学内の野外円形劇場に変更してイベントを進めようとしたが、これも学校側に制止された。 そのためシン氏は学内講義室の貸与などを担当する学生支援チームと面談し 「遺族の懇談会を準備する構成員すべてが成均館大学生であり、 学内では多くの招請講演が行なわれているのに、唯一遺族懇談会だけ認めないのは理解できない」と抗弁したが、学校側の返事は変わらなかった。

成均館大広報チームの関係者は3月23日、本紙との通話でも 「以前も学生が外部の人を連れてきて招請講演をして、 (申告した目的と異なる)マーケティングなどをする事例があった」とし 「教育以外の目的で開かれるイベントは許可できない」と釘をさした。

成均館大は昨年9月にも学生とセウォル号遺族の懇談会に場所の貸与を認めず、 懇談会が正門の前で開かれたが、 こうしたことが今年も繰り返されたのだ。

そのため学校の外に追い出された準備チームは 「堂々と登録金を払った学生として、学内の空間に対する権利がある」、 「学校の中では社会に対して何も要求するなという学校の要求に順応できない」と明らかにし、 今回の措置に不満を表わした。

「遺族非難コメント、告訴状だけで千枚以上」

それにもかかわらず、懇談会は3月の花冷えが去らない天気の中でも50余人の学生が集まって進められた。 遺族からは檀園高校2年クォン・オチャン学生の兄のクォン・オヒョン氏(セウォル号遺族対策委総務)が参加した。

▲学生たちとの懇談会で発言しているセウォル号遺族クォン・オヒョン氏(右側). [出処:ビーマイナー]

クォン・オヒョン氏の弟、クォン・オチャン君は4月16日に最初に発見された死亡者だった。 クォン氏は「当時は誰が自分の家族が死亡者として発見されるのを望んでいたか。 そうした遺族にとって厳しい1年という時間が過ぎていった」とし 「それにもかかわらず、相変らず年配の方の中には言って遺族の活動について 『もっと金をもらおうとしているのか』と話す方々がいる」と打ち明けた。

続いて彼は「葬儀を7日間行った。 しかし公務員たちが葬儀場にきて、最初に言った言葉が慰めの言葉ではなく 『経帷子はいくらのものにしなければなりません…』といった言葉だった」とし、 公務員への残念さを表わした。

彼は犠牲者と遺族に注がれた非難の世論のために苦しかったとも話した。 彼は「一部の牧師が『金がなければ慶州に行けばいいのに、なぜ済州道に行くのか』、 『安山はスラムだ』といった放言をして、私が直接告訴状を書いたこともある」とし 「だが警察では証拠不充分だという。 インターネットを検索すれば関連記事が千本以上出てくるのにだ。 その後、自分の手で書いた告訴状だけでも千枚を越える」と話した。

続いて現在、遺族らがあじわっている心理的困難についても話した。 彼は「現在、トラウマセンターが建設されているが、 これを利用する遺族は半分程度しかいない」と明らかにした。 実際、自殺未遂をする遺族もいて、そんな方々は必ずトラウマセンターで相談を受けるようにしているが、 残りは「治療を受ければ子供のことをもう考えなくなるかと思い、 わざわざ治療を拒否」したりもするということだった。

それと共に彼は「忘れないでおくことが難しいのは分かるが、 それでも忘れないでほしいと言いたい。 そうできるように、遺族ももっと頑張って活動する」と述べ、言葉を終えた。

一方、成均館大の他に、京畿大学校でも学生が進めようとしているセウォル号遺族懇談会が学校側により不許可になった。 3月18日、学内の学術団体「春を想像する人々」が懇談会のために申請した場所の貸与について 『政治的イベント』だという理由で認めなかった。 しかし学生たちは昨年、安哲秀(アン・チョルス)新政治民主連合議員の講演が学内で行われた点を指摘し、 政治的イベントだから許可できないという措置は矛盾すると反発している。

▲野外で進められたこの日の懇談会には、花冷えの中、50人余りの学生たちが参加した。[出処:ビーマイナー]

付記
ハ・グムチョル記者はビーマイナーの記者です。この記事はビーマイナーにも掲載されます。チャムセサンは筆者が直接書いた文に限り同時掲載を許容します。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2015-03-26 07:48:53 / Last modified on 2015-03-26 07:48:54 Copyright: Default

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