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TPP、事実上の韓日FTA...「政府、戦略的誤判断」

日本の財界、韓国の労働運動の武装解除を要求する

チョン・ウニ記者 2013.12.08 16:51

TPPに対する韓国の選択肢が「加入」しかない条件で、事実上の韓日FTAであるTPPに加入すると、被害は農業だけでなく、製造業はもちろん、国家基幹産業まで危険にしかねないという分析が提起された。日本財界が国内労働運動の武装解除を要求するという憂慮も出た。

12月6日、国会産業通商資源委所属の民主党の夫佐(プ・ジャヒョン)議員主催 の「TPP、もうひとつの韓米FTA」討論会で、イ・ヘヨン韓神大教授は「韓国政府 は『関心表明』の意思を明らかにしてTPPに参加し、交渉する計画だったが、 米国貿易代表部(USTR)の歓迎声明でわかるように、韓国の選択肢は『加入』 しかない条件であり、政府が戦略的に誤った判断をした」と提起した。

こうなると、韓国の被害はとてつもないものになるというのがイ教授の見解だ。 特に政府は早期参加を主張して「参加」し、交渉するのではなく、「加入」 すると、経済的効果はマイナスになると明らかにしており、TPPに加入した時の 赤字問題は、異論の余地がなさそうだ。

TPPのマイナス効果は、何よりも日本がすでに参加しているためだ。

イ・ヘヨン教授は「経済的な効果の面で、TPP 12か国のうちFTAを締結済み、または 交渉中の国家を除けば、日本、メキシコだけが残り、事実上の韓日FTAといえる」 とし、「TPP加入時に一番憂慮されるシナリオは、対米サービス貿易赤字の加速と 共に、対日商品貿易赤字の拡大」と指摘した。

彼によれば、韓国の対日経常収支は2010年に317億ドル、2012年には188億ドル の赤字を記録するなど、韓国は日本に対してこの10年間で約200億ドル水準の 赤字を記録してきた。この数値はほとんど商品収支赤字によるもので、何より 韓日間の顕著な技術格差に原因がある。一例として、韓国の対日本部品交易貿易 赤字のうち、技術が低い地位にある品目の割合は77.5%に達する。

イ教授は、日本がコメの関税撤廃例外を維持するために義務輸入量(ミニマム・ アクセス)の拡大で交渉している状況で、韓国は来年MMAの物量累積による負担 軽減のために市場全面開放(コメ関税化)を選択したが、TTPに加入すれば高率の コメ関税を維持するためにまたMMA増量をしなければならなくなり、キツネから 逃げようとして虎と出会うようなことになると説明した。

さらに日本の自動車産業開放や部品でも厳然な技術格差が存在することを考え れば、果たしてどこから収益が得られるのか疑問とイ・ヘヨン教授は指摘する。 韓国が得るものはほとんどなく、一方では核心的国家利益の放棄を要求される 可能性が高いということだ。

「農業だけでなく製造業にも致命的」

蔚山大流通経営科のペク・イル教授も「韓国のTPP参加の主な影響を韓日FTA効果 に圧縮し、むしろ絶対不利な可能性が高い」と提起した。「参加国のうち米国を 除くNAFTAとの交易の割合は2.6%でも、日本は14%程度」なので「商品製造業に 致命的な結果をもたらす」という。彼は「日本がTPPに参加する方針を明らかに した直後、現代車の株価が何と5%も下がったのも自動車産業のため」と批判した。

ペク教授はさらに「TPPに加入すると、自動車産業と機械類の集中被害の可能性 が高まり、これはすでに苦しくなっている鉄鋼産業にまで危機を転嫁する」と 警告した。

農業への影響について発表した農業農民政策研究所ニョルムのチャン・ギョンホ 副所長は「最近妥結した韓豪FTAを基礎として見れば、TPPは韓米FTAより低い 水準だが、韓米FTAのような大型爆弾がいくつか同時に爆発するような効果に なりかねない」と憂慮した。

彼によれば、すでに韓米FTAによる農業生産額は年平均9912億ウォン、韓EU FTAでは1776億ウォン、韓中FTAは1兆9560億ウォンを減少させる展望だ。チャン・ ギョンホ副所長は「ここにTPPまですると、総体的な被害が露呈し、特にTPPに よるものかどうかは別として、締結済みのオーストラリアFTAと一緒にカナダ、 ニュージーランドなどとのFTAが締結されれば、韓米FTAと類似の高強度の輸入 開放措置3つが一気に施行されるようなものだ」と指摘した。

ナム・ヒソプ弁理士は最近、ウィキリークスが流出させたTPP交渉文知的財産権 チャプターを基礎として、「米国は二重性と不公正性の問題がある」とし、 「対外交渉の場と米国内での立場は違い、特定集団の利害だけを反映している という点で偏向的だ」と指摘、韓米FTAとTTPを対照して、説明した。

日本財界、国内労働界の武装解除を要求するだろう

一方、啓明大社会学科のイム・ウンテク教授は「TPPが韓日FTAだということに 全的に同意する」とし「2004年に韓日FTAが失敗した理由は、企業が反対したた めだが、相変らず競争関係は高いのに、競争力は下がっている」と想起させた。

イム・ウンテク教授は特に韓日FTA交渉時の日本側の要求を振り返り、労働環境 悪化の可能性に言及した。彼は「当時、日本の企業は労使関係安全保障、休暇 手当と使用者義務条項の廃止、無労働・無賃金原則、労働運動抑制条項を提起 していた」とし「これの防御と代案を議論せず、商品交易だけを考えるのは難 しい」と指摘した。

イム教授はまた「FTA貸借対照表の議論も重要だが、輸出主導の通商政策を今後 もと続けるのかという根本的な問いが残っている」とし「なぜなら貿易収支、 経常収支が語られても、国民の暮らしは全くそれを感じない」と話した。彼は 「社会の二極化ははるかに深刻だ」とし「これを埋めるのが低賃金政策だが、 IMF以後、通商政策が深刻になったのに資本所得率は急上昇し労働所得分配率は まっ逆さまに落ちた」と問題を表わした。

資本中心・輸出主導型の通商政策の限界

討論会ではこれ以外にもTPPの多様な問題についての指摘が長く続いた。

建国大法学専門大学院のハン・サンヒ教授は「通商協定は、経済的な価値だけ でなく、国民の人権と民主主義を保障する内容で作られなければならないが、 残っているのは誰かの独断的な決定だけ」と指摘した。彼はまた、「秘密裏に 政府が決め、議会に批准という手順を取らせるふりをして、政府が国会にあれ これの法を作れと命令する体制」だとし、これは「大統領が現在あれほど強調 する自由民主主義の基本秩序、核心を侵害する反国家的な行為だ」と批判した。

京畿大経済学科のシン・ボムチョル教授は「対外経済政策研究院が引用した 米国のピーターソン研究所は、保守的な経済学者が主導している」とし 「一般的に日本がからむと被害が大きいはずだが、それと反対の分析結果は 理解できない」と明らかにした。

シン教授はまた「今は経済学の教材にも、貿易の自由化によるグローバル化が △国家内・国家間の所得不均衡を誘発する、△環境破壊が加速する、△先進国 が独占を拡大し固着化すると書いてあるが、政府はこれについては話さない」 と知らせた。

韓国進歩連帯のパク・ソグン共同代表は「韓米/韓EUFTAが締結された後、韓中 FTAなどが推進されており、調達協定も国会の同意なしで進み、TPPも同じだ」 とし「国民的な公論化の過程は全くなく、暮らしにどんな影響を与えるかの 調査もなく、通商官僚と青瓦台だけが進めている」と批判した後、「通商手続法 の改正が必要だ」と国会に要求した。

FTA汎国民対策委のチュ・ジェジュン政策委員長は「李明博(イ・ミョンバク)前 大統領がFTAを推進するにあたり、経済高速道路、サービス先進化、制度改善、 安保改善を語ったが、こうした効果を妥当に分析することが先だ」と提起した。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2013-12-09 03:15:27 / Last modified on 2013-12-09 03:15:27 Copyright: Default

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