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韓国:人権団体「従北論理の実体を明らかにする」討論会
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「従北の論理は新自由主義の恐怖に基づく憎しみの政治」

人権団体「従北論理の実体を明らかにする」討論会進行

チョン・ウニ記者 2013.08.28 14:16

従北論理は既存の反共イデオロギーから変容し、新自由主義の社会不安政増大 による恐怖を社会批判勢力のせいにする既得権勢力の企みだという指摘が提起 されている。人権団体が用意した従北論理批判討論会の参加者は、市民社会の 積極的な対応が必要だと口をそろえた。

人権運動サランバン、民主主義法学研究会など人権団体は8月27日、ソウル環境 財団のレイチェル・カーソン・ホールで「従北論理の実体を明らかにする」と いう主題で従北論理をめぐる支配権力の統治性を調べ、社会運動の対応方案を 模索する討論会を進めた。

「従北論理は、反共主義の変容で現れたイデオロギー的な覆い」

ハン・ソンフン延世大研究教授は「政治文化の一種としての『従北』現象は、 韓国現代史の反共イデオロギーの原形から変質した形態を帯びている」と指摘 した。彼は「従北論理は反共主義の変容によって現れたイデオロギー的な覆い」 だとし、「これは、現代史における政治犯や思想犯という歴史政治的用語の 社会文化的な教本」と明らかにした。

ハン教授はこの理由について「支配的な集団が現状態を維持して、国家装置を 強制的に使う方式は、市民社会と政治社会双方に関して、政治文化の一次的な 生産ではなく、これを特定の方向で再生産し拡散させるところにある」と断じた。

ハン・ソンフン教授は特に「韓国社会では陣営を立てるので、ヘゲモニー闘争 が起きない」とし「破局的な均衡だけを維持していて、憎しみの政治がこれを あおっている」と憂慮した。こうした従北議論の歴史的な背景としては、戦争 政治と軍事クーデターなど、戦争と分断の遺産、反共規律社会に追い込んだ 独裁と権威主義、そして国家保安法を指定した。

イ・ホジュン西京大法学専門大学院教授は「『従北』という言葉は進歩政党内 の党権競争の議論の中で批判的に使われた概念だが、わずか数年で保守陣営が 借用し、国家情報院が進歩陣営へのレッテル貼りに使っている」と明らかにした。

イ教授はしかし「現在の従北論理は、公安機構や保守政治勢力だけにより生産、 流布されるのではなく、大衆的情緒が裏にあるという点で、以前とは明らかな 差異がある」とし、公安機構の権力強化、拡大したインターネット統制など、 健在な国家保安法と共に作動していると指摘した。

「市場の構造的暴力に対する統制欲求」

イ・ホジュン教授は特に「従北論理は、安全という問題に結合しているようだ」 と強調した。彼は「無限競争、雇用への慢性的な不安、不平等の深化、社会的 な対立の激化と福祉国家の崩壊現象と連結し、人々が市場の構造的暴力に露出 している状況で、不安定を統制しようとする欲求が、市民社会に敵を想定する 論理として作用」していると提起した。

彼はまた、「市民運動の活性化等により、政治の論理は調整の過程を経るが、 現在はこれが壊れてしまったような感じする。従北というレッテルが貼られた 瞬間に排除される状況で、政治的な折衝が崩れたようだ」と憂慮した。

従北議論、「イデオロギー的な矛盾と経済的問題の接点」

スユノモNのチョン・ジョンフン氏は、従北議論の社会的な背景について「今の 既得権勢力の私益追求条件が変化した」とし「政治的体制としての『87年体制』 と、経済的な体制としての『97年体制』が錯綜」していると提起した。こうし た状況で彼は、既得権勢力には「イデオロギー的な矛盾と経済的問題の接点を 解消することが重要で、その接点の論理がまさに従北論理」と主張した。

チョン・ジョンフン氏は87年体制について「反体制的な力が既存資本主義市場 を越えることを防ぐことが重要な問題で、これは87年以後に運動が市民権を得 て、民主労総の合法化などを通じ、体制改革的な力に変わった」と説明した。 しかし、97年体制には「IMFと新自由主義の問題で排除が本格化し、経済的問題 で絶望と緊張度が高まった状況で、これをいかに解消するかが重要な問題」に 登場したと見た。

こうした状況で彼は「排除される人が増えれば既存の体制にとっては好都合だ が、反発して離脱する人々が増えるので、彼らをいかに体制内に留まらせるか、 組織された社会運動という反体制勢力に行くことを防ぐことが重要な状況」 と指摘した。

チョン・ジョンフン氏は「結局、従北主義は国家危機を強調し続け、恐怖感を 生み、想像の敵に投影しようとするもの」とした。しかしまた彼は、「オボイ 連合、愛国主義連帯、イルベなどの保守政治勢力の愛国主義扇動が、不安定な 生活により触発される安全への強烈な希求に基盤する民間愛国主義と結合して いるのが現在の従北主義の特徴」と強調した。

イ・ドフム漢陽大教授は「進歩陣営が記憶闘争で失敗した」とし「6.25を通じ、 右翼の野蛮性を告発することができたが、保守の論理として活用され続けてい る」と指摘した。彼はこうした6.25戦争と4.3抗争などに対する記憶闘争をまた 行う一方、六者会談による平和協定を重要な課題として提起した。

イ教授はまた、反共イデオロギーの強要と内面化されたレッドコンプレックス から抜け出すために、対抗イデオロギーの論理闘争が必要で、冷戦保守カルテル に対抗し、東アジア平和体制の構築などに動くべきだと提案した。

「従北論理の中に隠された不平等と差別を直視しろ」

この日の討論会には多様な部門の活動家も従北論理問題についての 意見を明らかにした。

パク・チュミン民主弁護士会事務局長は提案発表文で「権力は自分を制限する 鎖から逃れようとするが、現代社会における権力に対する鎖は、法と基本権」 とし「『非常状況』を作り、理性や論理ではなく、感性と利己心を動員する」 と指摘した。このために彼は「法治と基本権をめぐる戦いが新しい形態でまた 始まっている」とし、公安機構への市民的統制装置用意などの運動が必要だと 提起した。

フンチャン差別禁止法制定連帯活動家は既存の反共イデオロギーとは違い、 「『従北ゲイ』、『従北フェミ』、『移住労働者』と呼ばれる集団は、既存の 反共イデオロギーでは説明できない集団」とし「従北論理は愛国主義、安全論理 を理由に、少数者、社会的弱者の排除と差別を主張している」と指摘した。

フンチャン活動家はこうした状況で「今、運動が従北論理と対抗するためには 従北論理の中に隠された不平等と差別を直視し、少数者を排除する運動の歴史 と反省と共に対応しなければならない」と提案した。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2013-08-28 21:54:18 / Last modified on 2014-12-24 19:05:02 Copyright: Default

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