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「輸出指向的な農業貿易ではなく、普遍的な食糧権の確保のために」

[1.26世界行動の日]新自由主義世界化と食糧主権実現の新しい戦略

ユン・グムスン(全女農) action126@jinbo.net / 2008年01月22日10時19分

世界社会運動陣営の戦略的なコミュニケーション空間に成長した世界社会フォー ラム(WSF)。2009年アマゾン大会を前に、2008年は1月26日の「世界行動の日」 を基点として各国で分散開催される予定だ。

民衆言論チャムセサンは、2008年世界社会フォーラム、1.26世界行動の日の行 事に関する国内外のニュースと寄稿文等を集中イシューにまとめる。1月8日、 韓国でも2008年世界社会フォーラム(WSF) 1.26世界行動の日を準備する(韓国) 組織委員会が公式に発足した。22日から26日まで開かれる行事の準備に拍車を 加えている。民衆言論チャムセサンは、1.26組織委員会との共同企画により世 界行動の日を共に準備する。-[編集者 注]

食糧主権に注目されている。全世界の民衆は農業と食糧に対する民衆の権利を 奪う新自由主義に対抗して食糧主権の概念を確立し、食糧主権を実現するための 社会的な連帯を確立し始めている。食糧主権は、韓米FTAとそれに続くFTA妥結 の試みで、国民的危機に瀕している韓国の現実で、最優先で考慮すべき代案だ。

新自由主義世界化は農民を死に追いやる

10年前にWTOが発足し、各国はWTO体制の下で農業の市場開放を断行した。農産 物市場の開放以後、各国に価格が安い輸入農産物が押し寄せ、農産物価格が下 落した。農産物価格が下落し、農家所得が減り、農民の生活は窮乏し、農民は 生存まで脅かされている。その上、韓国と同じようにIMFを体験した数カ国の農 民は、ばく大な借金を負い、抜け出すことができない農家負債で急速に死に追 いやられている。

しかし農民のこうした現実とは無関係に、WTOは今、関税のない完全な自由貿易 を追求し、環境、エネルギー、金融、医療、教育、文化、サービス、知的財産 権など、人間生活のあらゆる領域を自由貿易の対象にしている。

米国やヨーロッパ連合では、政府がWTOが許す補助金を農業企業や大農たちに大 幅に拡大支給する形で農産物輸出価格を低く維持し、小規模な家族農を殺して いる。

家族農は生き残りのために耕作規模を増やして新技術と機械化を導入し、農薬、 肥料の使用を増やしてありったけの力をふりしぼっている。これは結局生産費 の増加につながるため採算が合わず、兼業に出ることになるが、結局農民たち は自分の土地を奪われ、自分たちの生活の基盤からさえも追い出されている。 新自由主義世界化で、国内と海外の移住で、農民の家族は散ったり解体され、 ますます農民は死に追いやられている。

新自由主義の政策は食糧主権を破壊する

新自由主義の政策は、民衆の空腹より国際貿易を優先させる。新自由主義は、 人々の飢えを解決して根絶するためには全く助けになっていない。むしろ人々 が農業の輸入品にさらに依存させ、農業を企業化することを助けている。これ により数億人の農民が農村を離れ、都市に職を求めさせ、他の国に移住させて いる。

IMF、世界銀行、そしてWTOといった国際機構は、多国籍企業と強国の立場に従 うだけだ。WTOとFTAは『自由』貿易を追求することにより、多国籍企業が農業 生産品を支配しており、農業、そして食糧市場を抑制している。WTOは、農業と 食糧問題を扱う適当な機構ではない。そのためビア・カムペシナは、WTOがこれ 以上農業に関わるべきではないという立場を見せている。WTO、世界銀行、そし てIMFといった組織は、食糧主権を議論するための適当な場ではない。これらの 組織は新自由主義的な政策で多国籍企業の利益を代弁し、改革の余地はない。

低価格農業生産品輸入:ダンピングは食糧生産を亡ぼす

世界的に、低価格な農業生産品は農業市場を亡ぼしている。インドに輸出され るヨーロッパの牛乳、カリブに輸出される米国の豚肉、アフリカにはヨーロッ パの肉と穀物、動物飼料…、生産品はダンピングにより低価格で輸出されてい る。米国とヨーロッパ連合は新しいダンピング法を作り、WTOの認可により今で は補助金の代わりに直接国家から金を受け取っている。食糧主権を成し遂げる ためにはダンピングを阻止しなければならない!

国際市場を確保するのは農民の解決策ではない

農民が味わう最初の問題は、市場へのアクセスではない。自分たちの生産品は、 市場に出ている生産品と比べてとても価格が高く、ダンピングするためだ。国 際市場を確保して利益を上げる人々は約10%にしかならない。そのほとんどは、 もちろん多国籍企業だ。熱帯の生産品を例にあげればいい(コーヒー、バナナな ど)。多国籍企業は多額の金を儲けているが、南半球の農夫の状況は何も変わっ ていない。

農業政策は南と北にある小農家を支援しなければならない

食糧主権の成功のためには、北と南の国家すべてが、自分たちの農業を守って 民衆を十分に食べさせられる生産率をあげなければならない。だが現在、米国 とヨーロッパ連合は貿易政策を悪用し、南と北の国々にダンピングし、小農家 を破壊している。

食糧主権とは何か?

食糧主権とは、食糧に関するすべてを自ら決める権利をいう。すなわち食糧主 権は自分たちが望む農業と食糧政策を思うようにできる民衆と国の権利だ。

食糧主権は次の内容を含む。まず民衆を食わせるために農業生産を優先させ、 GMO種子と食品などに反対する。二番目、農作業をする農民の権利、地場種子、 伝統技術と知識、土地、水などの天然資源に対するアクセスと使用権、統制、 そして食品を選ぶ消費者の権利を称する。三つ目、各国が低価格農業生産品か ら国内市場を保護する権利。四つ目、食糧生産に大きな役割を果たす女性農民 の人権を認めること。

新自由主義は、農業を破壊して農民を土地から追い出している。そのため新自 由主義の下では、もはや農業は持続可能ではない。輸出入農業で利益をあげる のは超国籍企業だけで、農民たちはますます貧しくなるほかはない。

そのため農民、消費者、国家がすべて自然資源と日常的な生産と消費、生活の 全過程で食糧に関する自己決定権を確立し、行使する食糧主権は、新自由主義 の鎖を断ち切る有力な方法であり代案だと認識されている。食糧主権は農民だ けの政策ではなく、食糧と農業への公平な政策であり、国家と社会人類すべて に対する政策だ。

食糧主権は貿易に反対するのではなく、輸出指向的な貿易に反対し、民衆に食 糧を確保する機会を与えつつ、他の国家とも貿易ができるようにする。すなわ ち、食糧主権は民衆による、民衆のための、民衆の互恵貿易を含む。これは第 一に、国内消費を輸入より優先させなければならず、二番目に、国家は低価格 の輸入品から国内市場を保護する権利がなければならず、三つ目に、農民に補 助金を払うことはできるが輸出指向的な貿易のためであってはならず、四つ目 に、国際協定により国際的に安定した価格の農業生産品を保証する新しい貿易 の方法だ。

いかにして食糧主権を実現するか

まず、超国籍企業が企むまま、農民が引きずられ、没落が必然的で、結局は根 こそぎ抜かれてしまう新自由主義的な農業生産の方式から脱出しなければなら ない。そのためには農民は超国籍企業が提供する種子、農薬、農業資材から抜 け出して、さらに自然環境に親和的で生態指向的で、資源循環的な自分たち自 身のやり方の農業を追求する代案の農業生産方式を用意して履行しなければな らない。

また地域生産と地域消費を基本とする地域農業と都市農業の活性化により、代 案的な生産と消費体系を確立することで、韓国での農業の持続可能性を実現し ていかなければならない。これは国家的次元で社会的連帯と同盟に基づく農政 パラダイムを用意し、農民の農業ではなく国民の農業への転換によって可能だ ろう。

そのために、すでに多くの国々は食糧主権の概念を憲法に反映させ、法制度的 な枠組みと社会システムを作っていることに注目する必要がある。

食糧主権実現のため具体的な戦略を用意しよう

韓国は短期間に急激な開放が形成されたので、その間、農民運動は主に農産物 の輸入開放を防ぐ闘争に集中してきた。強力な政府の開放農政のためにどっと 押し寄せる輸入農産物のため、農産物価格は暴落し、増える一方の農家負債と 連鎖破産は、とにかく開放を防がなければ死ぬという危機の中で農民運動が食 糧主権という代案を考え、多様な側面を考慮する余裕がなかった。

その上、政府はWTOと新自由主義の代案ではなく、輸入農産物の競争力とスキ間 市場という概念で、親環境農業を他の市場の代案なく既存の競争的な市場に引 き込んだことで、親環境農業に対する認識の歪曲と改良化を招いた。そしてそ れに対する否定的な認識も広まっている。

また過去の軍事独裁の影響で、農民運動内でさえ民衆の権利とは無関係な食糧 安保の概念と食糧主権が混同されて使われてきており、いまだに食糧主権実現 運動がきちんと糸口をつかめずにいる。食糧主権運動は、土地と天然資源は自 然の所産ですべての人類の公共物であり、大切に管理して使う人々の権利を優 先視する運動であり、生態環境を守って伝統文化と伝統知識を保全する運動だ。

また、食糧主権は初めて種子を発見して農作業を始め、全世界の食糧生産の 70%以上を受け持ち、土地、水、種子、伝統知識、伝統文化を作って発展させて きた女性農民の人間的な尊厳性を尊重し実現する運動だ。このような食糧主権 運動がきちんと位置を占めて発展させることは、これ以上先送りできない最も 至急な仕事であり、これは一次的に農民運動の役割だ。

そのために、まず食糧主権に対するきちんとした概念を確立し、実現戦略を用 意する討論を組織しよう。二番目に、食糧主権が実現される農業生産方式と、 新しい農業関連システムの代案的なイメージを用意しよう。三つ目に、食糧主 権をFTAと新自由主義に対する代案として、全社会的な議題にしよう。四つ目に、 食糧主権は全国民の権利であり、これは社会的な連帯で実現される。多様な階 級、階層との社会的連帯と同盟を実現しよう。

さらに地域生産と地域消費を中心基盤とする地域共同体と、共同体的な教育、 文化を確立していけば、私たちが望む自然と人間が一体となる平和で美しい社 会が可能であり、持続可能な社会のために全世界の民衆が共に米国主導の覇権 的な新自由主義の弊害を知らせる行動を広げていこう。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳)に従います。


Created byStaff. Created on 2008-01-22 13:58:02 / Last modified on 2008-01-27 18:44:30 Copyright: Default

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