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韓国:[女性行進]貧困と暴力に抵抗する7.3女性行進
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みんな違っても共に女性の名で

[女性行進]貧困と暴力に抵抗する7.3女性行進

チョシネ記者 shin@jinbo.net

女性たちの声、女性たちの笑い、女性たちの歌。 3日午後5時、大学路のマロニエ公園に集まった200人あまりの女性たちは 共に要求を叫び、互いの声に耳を傾けて、連帯の同意を集めた。 警察庁雇用職労働者、清掃用役労働者、移住労働者、性労働者... 異なる名を持つ彼女たちが、『女性』という名でひとつになった。

3日、世界女性行進キルトが韓国に到着

7月3日は、3月8日にブラジルのサンパウロを出発し、全世界各国を回ってきた 『人類のための世界女性憲章』と、女性たちの要求を象徴する『連帯キルト』が 韓国に到着する日だった。 『貧困と暴力に抵抗する女性行進』(女性行進)は3日、 『女性たちの連帯と抵抗』というテーマで多様な行事を進行した。

全国学生連帯会議のジョンファ議長の司会で進められたこの日の集会には、 光州民衆行動、労働者の力・女性活動家の会、文化連帯、不安定労働撤廃連帯、 貧困社会連帯、社会進歩連帯、世界化反対女性連帯、女性文化理論研究所、 全国学生連帯会議、女性連盟、警察庁雇用職公務員労組、タハムケ、 ソウル京仁地域移住労組、2005空の弓実践団などが参加した。

「平和と連帯、自由と正義を望む」

集会は、マレア・ムニェス世界女性行進アジア担当コーディネイターの 2005年世界女性行進進行経過報告で始まった。 マレア・ムニェスは「なぜわれわれは女性として行進しているか? それは全世界的に貧困の女性化が拡大して暴力が蔓延しているためだ」と話し 「みんなが団結して、私たちの権利を勝ち取るための活動をしなければならない」 と強調した。

*マレア・ムニェス世界女性行進アジアコーディネイター*

引き続き「女性がいない世の中を想像することができるだろうか?」と問い、 「私たちの女性は、平和と連帯、自由と正義を望む」と明らかにした。 彼女は最後に「各国の政府が女性の貧困を固着させようとしても、 われわれはひとつになって戦う」と声を高めた。

キム・ジョンウン社会進歩連帯女性部長は「今日はたいへんな日」という言葉で 発言を始めた。 「キルトと権利憲章が到着するたいへんな日でもあるが、こんなに多くの 女性が集まり、共に私たちの権利を語り、連帯するということがたいへんだ」 と述べたキム・ジョンウン女性部長は、新自由主義世界化と貧困と暴力に 抵抗するために韓国の女性行進が組まれたと伝えた。

また「女性の70%が非正規職で、多くの女性労働者が最低賃金しか受け取れな い現実」を指摘し、「それでも政府は女性たちが出産をしないと言い、 利己的だと非難し、出産の義務だけを強要している」と批判した。 また、韓国女性連合側は性労働者に対する観点の問題によってキルトの 共同製作を拒否し、キルトが共有できなかったと伝えた。

みんな違っても、共に女性の名で

7月3日で闘争200日をむかえた警察庁雇用職公務員労組員も舞台に立った。 彼女たちは「女性労働者という理由で受けてきた不当な強制解雇で 私たちすべてが失業者になったが、また働く権利を得るために戦っている」 と話し「連帯に力づけられて、ここまで力のいる戦いをしてくることができた。 これからもっと頑張って闘争し、女性の権利を得るために必ず勝利する」 という意志を明らかにした。 続く歌公演で、労組員が作った歌グループのヘオルムは、参席者の熱烈な 歓呼の中でアンコール・ソングをプレゼントすることもした。

*ソウル京仁地域移住労組ラディカ組合員*

ソウル京仁地域移住労組のラディカ組合員は、「もう全世界の女性が共に 女性の問題、女性労働権の問題、貧困の女性化、移住女性、障害女性、 性売買女性たちの権利を語り、闘争で勝ち取らなければならない」と話した。 また、「国際結婚で韓国に来た移住女性たちは、夫からの暴力にあい、 大きな重荷で苦しんでいる」と伝え「私たち女性が手に手を握って 連帯しよう」と頼んだ。

女性連盟清掃用役支部のイガルラン組合員は29日に決定した最低賃金の 引き上げを強く批判し、「最低賃金しか受けられない労働者のほとんどが女性」 と指摘し、「最低賃金の現実化のための闘争を続ける」と明らかにした。 イガルラン組合員は発言後、『ホンドや、泣くな』を歌い、 一座の大きな拍手を受けることもした。

6月29日、『全国性労働者祭り』を開いた全国性労働者連帯ハン女連副代表の チョン某氏は「性労働者も労働者だ」、「性労働者も非正規職だ」とし、 性売買女性を性労働者と認識してくれることなどを要求した。

「各国内容は違っても連帯しよう」

一方、集会の間、何人かの女性が集会場の周囲を回って、 大きな青い球を転がしていて注目を引いた。 顔にそれぞれ違う色のペイントを塗った彼女たちは、力をあわせて 「地球」を転がしているのだった。

パフォーマンスを進行した社会進歩連帯の活動家たちは 「互いに皮膚の色が違い、異なる要求、異なるスローガンを顔に書いたままで 地球を転がしている」と説明した。 また「私たち三人で地球を転がすのはとても荷が重い」とし、 「各国はそれぞれ異なる内容を持っているが、女性の権利のための連帯意識を 持って、一緒にやろう」と提案した。

集会が終わり、参加者たちは以後、宗廟まで 『女性権利宣言を宣言する行進』を行い、 長かった女性行進の日程を女性権利宣言文の朗読で終えた。

*女性の要求を書いた紙を世界地図に付けている*

貧困と暴力に抵抗する女性たちの権利宣言

新自由主義と戦争の時代、女性たちはさらに貧しくなり、 さらに多くの暴力に露出している。 労働の柔軟化が広がる中で、ほとんどの女性は、劣悪な労働条件に苦しめられ、 基本的な権利さえ保証されない非正規職だ。 『家事と職場生活の両立』を基調とする政府の女性政策は、女性を家事労働の 1次的な責任者の位置に固定し、二重の苦しみを与えている。 福祉と公共サービスが縮小され、市場化されて、女性の貧民はさらに貧しくなり、 家事労働と類似の世話労働が女性の仕事で、それも労働者としての権利が 十分に保障されない形態に広がっている。 しかも、障害女性の独立した人生が保障される程の社会的な支援体系の整備は はるかに遠い。 超国籍穀物企業の市場支配を強化することを目標に推進されるWTO農業開放と、 それに対応する政府の『農業放棄政策』により農家の負債が急増し、 農家所得が急激に減少しているのにともない、女性の農民は 農作業、家事労働に加えて、所得を補充するための副業まで、 三重の役割で苦しんでいる。 女性の貧困が全般的に深刻化している中で、さまざまな形態の性売買に 流入する女性が増えている。 女性たちが性売買に流入する原因を問題にせず、法と制度で性売買を 根絶しようとする試みは、性売買女性に対する道徳的偏見と同時に 『性売買に従事する女性』を社会から排除し、暴力の中に放置した。 超国籍投機資本が国境を好きなように行き来する時代だが、 労働者たちだけは『人種』と『民族』という名で分割され、 移住労働者は労働権の死角地帯に追いやられている。 最近の米国によるイラク侵略戦争と多くの武力紛争は、女性への暴力を強化し 『性差別イデオロギー』をさらに強化している。

このように、女性を抑圧して絞り取りながら、排除する新自由主義世界化に対 抗して、全世界の女性が地球を横断するリレー行進を始めた。 ブラジルのサンパウロからアフリカのブルキナファソまで行進して、 さまざまな人種と民族の女性たち、それぞれ異なる職業、身体的特徴、 性的指向を持つ女性たちが国境を越えた連帯を実現しているのだ。 われわれはこのような流れに参加し、女性をさらに貧しくさせ、 女性に対する暴力を加重する新自由主義世界化を阻止して、 戦争を廃絶するために共に闘争する女性だ。 このように、新しい社会の建設に女性の力は欠かせず、 女性の要求はその基礎にならなければならない。 労働者、農民、貧民、障害者、移住労働者、性労働者、同性愛者…. さまざまな名前だが、われわれは共に闘争して、同じ言葉で私たちの権利を主張する。

△すべての女性は自身が願う労働をする権利を持つ。 女性という理由で特定の労働に接近できなくてもならず、 特定の労働を強要されてもならない。 障害者も非障害者も、同性愛者も異性愛者も関係なく、 国籍と人種とも関係なく、自分が望むように労働できなければならない。

△われわれは誰もが人間として、女性として生きていくのに必要となる 十分な所得を保証されることを望む。 経済的独立は女性の自律的な生活に欠かせない。 女性の雇用の大部分を占める契約職、派遣職、下請け、外注用役など、 すべての形態の非正規職は、非正規職という理由で、女性の労働だという理由で 低賃金が広がっている。 また、現在の最低賃金制の下での法定最低賃金は、ほとんどの女性に対して 賃金の最大値となる。 このような現実は変わらなければならず、女性の労働に対する正当な賃金が 与えられなければならない。

△これまで女性は家事労働の1次的責任者であり最終責任者と見なされてきた。 これは、女性の雇用を不安定にし低賃金を正当化した。 また、家事労働の延長線にある世話労働を女性の労働に固定した。 これ以上、育児、老人介護、労働力再生産に必要となるさまざまな仕事を 女性の無給労働に依存してはならない。 これは社会化されなければならず、このような仕事に従事する務める労働者は 労働者としての正当な権利を享受しなければならない。 そうでなければ、政府が言う『家事と職場生活の両立』は、 女性に二重の苦痛を与えるだけだ。

△女性農民は『女性』であり『農民』だ。 WTO FTAによる農業開放で農村が崩壊しつつある中で、女性農民は 農作業の多くの部分に責任を負っていて、家事と家計所得を補充する仕事まで 担当している。 したがって、女性農民の地位を『無給家族従事者』と規定するのは、 こうした現実を無視するものだ。 農村共同体を維持するにあたり、女性農民が寄与していることは 認められなければならず、女性農民は『女性』で『農民』としての権利を 享受しなければならない。

△女性の身体は女性自身のものだ。 出産と母性は女性に義務ではなく、権利でなければならない。 女性自身が出産を選択できなければならず、どんな選択をしても、 社会的支援の後押しがなければならない。 女性は、安全で元気に出産する権利、出産しないことを選択する権利を すべて持たなければならない。 したがって、堕胎と避妊は女性が選択し、統制するべきだ。 生命倫理という名前でこのような女性の権利が否定されてはいけない。

△女性の身体は繰り返し女性自身のものだ。 女性の身体に加えられるすべての暴力は中断されなければならない。 また女性の身体やイメージを商業的に利用することは中断されなければならない。

△女性と男性の結合は、独立的で自律的な女性と男性の自由な関係に 基礎をおかなければならない。 女性は男性の力を維持するために疎外されたまま利用されてはならない。 結婚を理由として女性の自律性が否定されてはならない。

△新自由主義世界化で女性の貧困が深刻になり、結婚は女性を経済的に 後押しする手段として奨励される。 女性は暮らしのために、あるいは誰かに頼るために結婚するのではなく、 自らの欲求によって結婚する権利がある。 また、独身を選択する権利、いつでも結婚関係に戻る権利が保障されなければ ならず、いかなる選択をしても不利益が加えられてはいけない。

△『健康家族基本法』は廃止されなければならない。 新自由主義世界化による福祉と公共サービスの縮小、商品化は、 家族内での女性の義務をさらに強化している。 このような状況で、『健康家族基本法』は出産と養育、老人の介護がある 家族だけを「正常家族」と規定して、このような形態の家族を維持することを 強要する。 同時に他のすべての形態の家族を国家の支援から排除している。 またこれに対する責任をあまねく女性に転嫁している。

△自然は女性の生活の基盤だ。 女性農民、女性漁民は、長い間、労働しながら、自然と調和を作り出して 生態系を保存する知恵を体得してきた。 土地と干潟、海に対する女性の権利が保障されなければならず、 これを生活の基盤を維持、活用する知恵もまた女性のものだ。 女性農民と女性漁民の人生を根こそぎ奪う無分別な開発事業は 中断されなければならない。

△女性はそれぞれ声をあげて自らを組織化する権利がある。 また自らを代表しなければならない。 労働組合で、学校で、地域共同体、世界所々のすべての所で、 独自の活動を組織することができる。

△新自由主義は、女性を抱き込みと排除の戦略で分割することで、 女性の階級化を深める。 このような状況で、女性の要求はさらに多様に提起されなければならない。 また新自由主義が排除した女性たちの要求が普遍的な女性の要求として 構成されなければならない。 女性の新しい連帯はここから出発する。

△われわれは健康に生きる権利がある。 労働力を再生産するのに充分な休息を取り、病気のときは金があってもなくて も関係なく、治療を受けられなければならない。 そのために医療サービスを市場化し、医薬品に特許を付け、 超国籍資本の金儲け手段として利用することは中断されなければならない。 女性たちの知識と知恵を土台に女性に適する医療体系が開発されなければ ならず、これはすべての女性が享受されなければならない。

△私たちすべてに適切な住居空間が保障されなければならず、 教育、医療、上水道、電気、ガスなどの必須サービスが供給されなければならない。 金があっても、金がなくても、誰もがこれを享受できなければならない。

△われわれはあらなる形態の戦争や武力紛争がない世の中で暮す権利がある。 戦争や武力紛争の時期には、女性と男性にはそれぞれ異なる形態の 極端な暴力が深刻化される。 強姦などの女性に対する極端な暴力が、共同体を破壊することを目標とする 戦術に採択されたり、女性を共同体の『所有物』と見なしたり、 被抑圧者としての女性の象徴と敵を同一視することによって 敵を無力化するなどの戦争は、性差別イデオロギーをさらに強化する。

△すべての移住者は市民として同等な権利を享受しなければならない。 人身売買、労働搾取、性的搾取、家庭暴力、貧困、人種差別など、 移住女性に加えられるすべての暴力は消えなければならない。 特に、移住者を犯罪人と取り扱い、取り締まり追放するのは、 移住女性がこのような暴力に抵抗することを不可能にする。

△外国人女性に対する性的幻想は、移住女性を性的対象にしやすい 存在だという偏見をうむ。 これにより女性たちは移住と同時に性的サービスを提供する仕事に 主に雇用されるばかりか、その社会の最も劣悪な条件で働く。 したがって移住女性に対するすべての種類の偏見は消えなければならず、 移住女性は女性として、労働者として、完全な権利を享受しなければならない。

△障害女性は、人間として、女性として独立した人生をつくりあげる権利がある。 教育を受け、労働し、自由に移動し、安全に出産する権利があり、 性的権利を享受することができる。 これらすべてを可能にする適切な社会的な体系が用意されなければならない。

△ 『無限の犠牲に耐える母』、『保護されなければならない妹』、 『貞淑な女性』、『道徳的に堕落した女性』等、女性に対する歪んだ 社会的な規定は、女性の権利を破壊し、女性の人生をさらに抑圧的にする。 すべての女性は他人から規定されず、自分自身が完全な人間として 共同体の中で存在できなければならない。

△何人もここに収録された権利を新自由主義世界化と戦争を持続する目的で、 女性の権利を解体し女性の連帯を破壊する目的で使ってはならない。 女性の権利はこれからも無限に追加される。

われわれは、これら全ての私たちの権利を勝ち取るためにこの席に集まった。 私たちの行動はここで終わらない。 2005年10月17日、全世界のリレー行進が終る日、 われわれは全世界的に進められる24時間連帯行動に参加するだろう。 他のすべての国と同じく、正午に集まり、私たちの権利を主張して、 世界の女性たちとの連帯を実現するだろう。 また、3月8日の女性の日は、新しい社会を建設するための女性の連帯を 実現する日になるだろう。 11月に釜山で開かれるAPEC首脳会議反対闘争、 12月香港で開かれるWTO 第6回閣僚会議阻止闘争など、 戦争と新自由主義世界化に反対する闘争がある場所で、 われわれは女性の声をさらにより高めるだろう。

2005年7月3日

世界女性行進と共に貧困と暴力に抵抗する7.3女性行進参加者一同

2005年07月04日3時32分

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンス:営利利用不可・改変許容仮訳)に従います。


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