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日韓FTA阻止日本遠征闘争は何を残したか… 「目標と代案」具体化が解決課題

「FTA、NO!」「日韓FTA反対」 11月1日〜3日、日本の東京都内随所で終始鳴り響いたシュプレヒコールだ。

日韓FTA(自由貿易協定)に反対する日韓の労働・市民社会団体闘争団は、 このシュプレヒコールを一時も休むことなく叫び続けた。 日本の外務省前でも、日比谷公園でも、日本国会前でも、経団連前でも、 渋谷公園と路上でも、ひとつになって…。

彼らはなぜ東京に行ったのか

去る1日の朝、東京の外務省前。とてもものものしい雰囲気だ。 警察兵力が前例がなく迅速に投入され、鉄桶の防御にたった。 当時、外務省の中には日韓FTA第6次交渉に来た韓国政府交渉団が、 外には韓国から遠征して来た労働・市民社会団体闘争団がいた。

日韓FTAが初めて論議されたのは6年前。 去る98年の産官学共同研究会などで予備的な議論が進められたが、 昨年10月、2005年の妥結を目標に政府間FTA交渉を始めることに合意した。 その年の12月の第1次交渉をソウルで開催した後、 2か月ごとに韓国と日本を行き来して交渉を行っている。

*(C)毎日労働ニュース*

これまで両国の政府は商品貿易、非関税措置、サービス・投資、 MRA(相互認定協定)、協力、その他の貿易議題(政府調達・知的財産権・競争)、 紛争解決など7つの分科会を設置して、農業を含む商品、サービス自由化など、 高水準のFTA目標を確認してきた。 1〜3日に東京で開かれた第6次交渉では、 FTAの核心である商品譲歩案の交換時期と方法、 工業製品と農水産物譲歩案の全般的な自由化水準などが集中的に 協議されたと伝えられている。

なぜ韓国の労働・市民社会団体闘争団がおよそ80人の大規模な人員を率いて 東京に行ったのだろうか。 韓国の労働・市民社会団体が日韓FTAに本格的に対応し始めたのは、 去る8月に慶州で開かれた第5次交渉時からだ。決して早いものではなかった。

これまで両国の政府が秘密裏に交渉を進め、その内容を公開しなかったために それだけ対応が遅れたのは事実だ。しかし今回、東京まで80人あまりが 遠征闘争にたったのは、さらに明らかに日韓FTAに対する憂慮のメッセージを 伝えて、一方的な交渉推進を阻止するという意志を見せるためだ。

遠征闘争団のイチャングン状況室長(民主労総国際部長)は、 「韓国経済全般の主力産業が崩壊する可能性が明らかに見えている状況で、 電撃的な対応が必要だと判断した」とし、 「今回の遠征闘争は、前の第五次交渉に続き 大衆闘争が本格化したという点で意味が大きい」と語った。

「日韓労働者・民衆、皆が被害者」

「深刻です。日韓FTAが締結されると金属部品会社は 即刻打撃を受けることになるでしょう(金属労組組合員)。」 「完成車も事情は違いません。部品会社より打撃を受ける時期は遅いものの、 日本の業者との競争で生き残れなければ、 私たちも構造調整の対象になるではないですか(現代車労組組合員)。」

今回の日本遠征闘争団には、日韓FTAが結ばれればすぐに打撃を受けると 予想される自動車、部品会社をはじめ、 サービス、教育、公共部門から大挙参加した。

「金属労組組合員は日韓FTAをとても深刻にみています。 自動車、機械、鉄鋼のうち、自動車部品会社の場合はさらに深刻です。 しかし、FTAの問題はどれかひとつの産業分野だけに該当するわけではありません。 国民経済が隷属する問題ですからね。」

崔ヨンギュ金属労組副委員長の診断だ。

「通信業種も違いません。 日本の通信施設や設備ははるかに競争力があるのは事実でしょう。」 IT連盟のミンジェホン組織室長も遠征闘争団に参加した。 「サービスはどうでしょうか。 今、日韓FTA交渉ではサービス自由化問題を扱っていますよね。 率直に言って、日韓FTAが締結されるとサービス分野にどんな形で 影響をするかわかりません。でも恐ろしいです。」 ソンサンヒョンサービス連盟対協部長が不安な心情を吐露する。

参加者は、おなじように自分たちの問題として受け入れているようだった。 そのため、各産別連盟や単位労組は、FTAについての教育を、 幹部はもちろん一般組合員まで拡大しているという。 ゼネストを前にして民主労総の核心要求事項のひとつでもあるが、 徐々に組合員水準まで危機意識が伝わっているということだ。

日韓FTAが韓国の経済・産業に加える打撃がはるかに大きいというのが 一般的な分析だ。この点では、日韓どちらも認める部分。 では、日本の労働・市民社会団体はなぜ闘争にたったのか。

日本の全労協中岡事務局長は「FTAによって日本の資本が韓国の 労働者、民衆を搾取することは明らかだ」とし、 「また日本の労働者にも産業空洞化で雇用不安を持たらすだろう」 と反対の立場を取った。 日本の労働者もまた、 産業空洞化、構造調整、整理解雇などから自由ではないという説明だ。

*(C)毎日労働ニュース*

日韓の労働者・民衆、連帯の旗を掲げる

日韓FTA阻止共同闘争は3日に三日間の日程を終えた。 この期間中、日韓共同闘争団は全てを共にした。

日韓の労働・市民社会団体から連日150人あまりが参加して、 外務省進出を試み、日本警察と体当たりをする渦中で、 拘束者と負傷者が発生することもした。 交渉が開かれる外務省を軸として、 経団連、国会、外信記者クラブ、渋谷公園、連合、全労連など、 行かなかった所はない。事実上、東京全域を三日終始、 一日中一緒に飛び回ったわけだ。

今回の初めての遠征闘争が残した成果は何だろうか。 まず、日韓労働者・民衆がFTA交渉に反対しているというメッセージを 遠征闘争という直接的な方式により伝えたという点があげられる。

イチャングン状況室長は 「まだ日韓FTA反対闘争が労働者の底辺にまで拡大したわけではないが、 今回の闘争でFTAに対する反対の意志を明確に伝え、 今後の闘争の意志を明らかにした」と評価した。 韓国労総金属労連のチョンイルジン副委員長は、 「韓国労総は、中小事業場が多くてFTAの影響を大きく受ける」とし 「事実、これまでFTAについて漠然と認識していたのが事実だが、 今回の遠征闘争を契機に交渉阻止に積極的に乗り出す」と話した。

「文化的な差」、からだと心で克服

両国の活動家が互いに部隊に混じりあい、今後の連帯闘争の地平を 拡張したという点も重要な成果にあげられる。 前半の闘争の程度を巡って両国の団体の間に立場の差が存在したのは事実だ。 特に、初日には日韓の闘争団のどちらも互いに不満が少なくなかった。

韓国の闘争団は、「遠慮しすぎではないか」と指摘した。 韓国闘争団のある関係者は「まともに押していくこともしないのなら、 なぜここまできたのか」とし、「私たちの意思をもっと明確に知らせるためにも 闘争程度を高めなければならない」と主張した。 しかし日本の闘争団では、韓国の活動家との連帯闘争にかなり鼓舞されたのは 事実だが、他方では「過激すぎる」、「限度を超えている」 という憂慮の声も出た。だが、指導部が乗り出して 「日本の労働文化、デモ文化を理解すべきだ」と、互いの目の高さを合せて 連帯闘争を成功させる努力をした。

結果として、国内での一般的な様相に比べればかなり穏健な(?)程度で デモと闘争を行わなければならなかったが、このような調律の過程を通して 日韓の闘争団は互いを理解し、新しい連帯闘争の可能性を開いたという 成果を残したと評価される。

チョジュノ遠征闘争団長(民主労総組織強化特委員長)は、 「今回の闘争は、日韓民衆がFTA阻止に向かって共に闘争したという意味が 最も大きい」とし、「日韓民衆の新しい闘争の出発になるだろう」と評価した。

*(C)毎日労働ニュース*

日韓を超えてアジア労働者・民衆の連帯に

しかし、このような成果にもかかわらず、限界と課題は残る。

今回の闘争期間中、さらに闘争の目的が明らかでなければならず、 事前の準備を緻密にしなければならないという指摘が多かった。 闘争団は、実際、今回の闘争の目的が交渉自体を「全面阻止する」ものなのか、 さもなくば「反対の意志を伝える」水準なのか、 あるいは「交渉の内容を透明に公開して、参加の道を保障しろというのか」 といった論議があった。

また、遠征闘争という困難な決定をおろしながらも 事前に参加者への充分な教育がなかったという指摘もあった。 闘争の目標に対する統一的な立場を持つことができなかったし、 両国の労働・民衆運動の差についても十分に共有されるべきだという指摘だ。

では今後の課題は何だろうか。 遠征闘争最終日の3日「日韓FTA対応戦略ワークショップ」で 多くの課題が溢れ出た。

民主労働党のソジュンソプ政策研究員は、 「日韓FTAは大規模な韓国労働者を長期間失業に追いやる等、 両国の労働者・民衆の生存権を疲弊させる」とし、 「民主労働党は通商政策の樹立と執行に関する民主的な手続きの樹立に 多くの努力を傾けたい」と述べた。

韓国労総は、連合などの日本労働運動の主流に連帯の枠組を ひろめるべきだという意見を出した。 韓国労総のカンチュンホ国際局長は、「今回連合に会ったが、 連合は日韓FTAそのものに反対するというよりは、 労働者・民衆に及ぼす影響を最小化することに焦点をおいていた」とし、 「(たとえわれわれと立場の違いがあっても)日本の労働界と 一緒にできる方法を講じることも重要だ」と主張した。

自由貿易協定WTO反対国民行動の李鐘會(イジョンフェ)共同代表は、 「日韓FTAは超国籍資本による日韓両国の労働者・民衆に対する 直接的な攻撃を超えて、アジア地域の労働者・民衆に対する攻勢の形で表れる」 とし、「今回の闘争を契機としてアジア次元のブロック化に対抗する 労働者・民衆の対抗ブロックを構築することが課題」だと指摘した。

日本労働・社会運動の活力回復も期待

日本側も非常に積極的だった。今回の日韓FTA阻止共同闘争を契機に 国内巡回闘争にたつ等、日本内社会運動の力の結集に積極的に乗り出す動きだ。 日本の実行委事務局責任者の土松氏は 「全国巡回で日本社会のあらゆる分野でFTAの深刻性を知らせていく計画」とし 「日本の社会運動団体がわれわれと積極的に連帯するように努力したい」と話した。

今回の両国の共同闘争が沈滞に陥っている日本の労働・市民社会運動を 蘇生する契機にして、同時に日韓労働者・民衆の連帯闘争を強化する 契機にするという意図が伺える部分だ。

韓国と日本を超え、アジアの労働者・民衆が FTAをはじめとする新自由主義的世界化に対する共同対応が要求されるという自覚、 これこそが今回の日本遠征闘争の最も貴重な成果ではないだろうか。

しかし、今回の闘争は今後続く日韓FTA交渉はもちろん、 シンガポール、アセアン(ASEAN)、ヨーロッパ(EFTA)等、 無数のFTAと新自由主義世界化に対して各国の運動主導者が さらに緻密で具体的な分析により代案を作っていくと同時に 真の連帯と柔軟な策略が共に必要であることを悟らせる契機であった。

ヨンユンジョン記者

yon@labortoday.co.kr

2004-11-11

午前8:57:35入力

(C)毎日労働ニュース

原文

遠征闘争を契機に見た日本の労組運動

日韓FTAに対する「微妙な」立場の差… 連合・全労連、FTA反対には消極的

韓国闘争団は、今回の遠征闘争過程で日本の連合、全労連、全労協の 3つの中央組織にすべて会って日韓FTA阻止闘争に対する連帯を要請した。 しかしこれら3組織は、日韓FTAに対し各々立場の違いを見せた。 微妙で複雑なその「差」は何だったか。

*▲日本の連合関係者。(C)毎日労働ニュース*

組合員700万人の日本の第1労総である連合は、 事実上、日韓FTA自体には反対しないという立場を表明した。 韓国の二大労総と連合は、1日に日韓FTAに対する「3組織共同声明」を採択した。 この時、連合は「両国政府はOECD加盟国であることを勘案し、 OECD多国籍企業ガイドラインが提示している諸般の基準を 尊重・遵守するように質の高い協力をしなければならない」 という文句を挿入して、今後「日韓FTA協定締結時には 両国政府がこれを遵守しなければならない」 という内容を共同声明に入れることを要求した。

結局、この文句は調整を経て 「OECD多国籍企業ガイドラインが提示する労働関連基準をはじめとする OECD諸般基準を尊重・遵守しなければならない」と調整された。 ここで連合は「日韓FTA締結」を条件に掲げることにより、 これに反対しないという立場を間接的に示した。 OECD多国籍企業ガイドラインの影響力と意義を否定する訳には行かないが 「貿易と投資の自由化」を前提とする先進国内の規範という点で、 連合の意図が十分に読み取れる部分だ。

これは、全労連の「曖昧な」立場からも確認される。 民主労総はこの日、連合に続いて組合員100万人の第2ナショナルセンターである 全労連を訪問し、やはり日韓FTA阻止のための共同対応を要請した。 しかし親共産党系列の全労連は「あなたがたの闘争を支持する」としながらも 「表面的に共同行動をするのは難しい」という立場を明らかにした。 全労連の場合、公式的に日韓FTAに対する立場を明らかにしたことはないが あえて反対しないという状況だ。 日韓FTAが日本の経済と労働界に及ぼす被害が相対的に少ないという 認識から始まったものと見られる。

しかし、組合員30〜40万人規模の全労協は今回の共同闘争に 組織的な次元で積極的に結合した。 全労協の藤崎議長は2日の夕方に渋谷公園で開かれた日韓共同集会に直接参席、 「日韓FTAと日本帝国主義のアジア支配に反対するために連帯してくれ」と訴えた。

それとともに、全労協は今回の三日間の共同闘争に傘下の組合員が 積極的に参加するように指示をした。 日本の3つの中央組織のうち、規模としては最も小さいが、 日本国内の社会運動との結合や、FTAによる被害の深刻性を認識する程度においては 断然引き立って見えた。 もちろん、非正規職と中小企業中心の組織対象と、 相対的に「戦闘的な」労働運動もこの背景に作用したものと見られる。

では、二大労総が日韓FTAに対する立場の差がある連合や全労連など、 他の組織との連帯にも努力した理由は何だろうか。 これに対して韓国遠征闘争団のイチャングン状況室長は簡単明瞭に説明する。 李室長は「FTAが日本国内では全く問題にならずにいて、 連合が動かなければ今後も両国の世論と政府代表団に影響を及ぼすのは 容易ではないだろう」とし、「初歩的な水準の共同声明だが、 連合が『FTAに問題がある』という立場を取ること自体が 日韓共同闘争に助けになる」と説明した。

広い範疇の連帯の枠組で、日本の第1、第2ナショナルセンターである 連合と全労連を含めることが、今後の闘争展開に重要だと見たのである。

反対に、連合もまた組織間の立場の違いにもかかわらず、 韓国の民主労総との関係改善が必要だという点をよく理解していたため、 今回の共同声明が出せたという点も勘案すべきだろう。 これまで連合は民主労総とほとんど公式的な交流がなかった。

日韓FTAをめぐる両国の労働者・民衆運動の連帯闘争の発展の程度とともに、 今後、日韓両国の労働組合中央組織のあいだの関係が どのように解決しているのかも、興味深く見守る必要があるようだ。

ヨンユンジョン記者 yon@labortoday.co.kr

2004-11-11 午前8:59:05入力 (C)毎日労働ニュース

原文

二本の記事はいずれも韓国のレイバートゥデイより。翻訳:安田(ゆ)


Created byStaff. Created on 2004-11-12 01:15:47 / Last modified on 2005-09-05 05:16:39 Copyright: Default

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