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韓国:李在明市長と崔東益議員、彼らに「少数者排除」が可能な理由
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李在明市長と崔東益議員、彼らに「少数者排除」が可能な理由

李在明市長「めっかちの精神遅滞」、崔東益議員「同性愛支持しない」
彼らにとって「障害」とは何か

カン・ヘミン記者 2016.01.27 09:30

1月22日、李在明(イ・ジェミョン)城南市長が自分のFaceBookに書き込んだ少し短い文一本が問題になった。 現在、城南市が進めている城南青年配当商品券を卑下する朝鮮・中央・東亜(朝鮮日報・中央日報・東亜日報)と総編の記者を一喝する文だった。 朝鮮・中央・東亜と総編記者は、イルベ会員のデマを事実も確認せずにそのまま引用して報道した。 青年配当とは3年以上、城南に居住している満24歳の青年に分期別に12万5000ウォンの地域貨幣を支払うもので、 城南市が現在、無償制服、産後調理と共に進めている「城南市3大無償福祉」政策の一つだ。

問題は表現だった。 李市長が「水準が低いイルベばかり読んでいるとめっかちの精神遅滞児なります」と書いたのだ。 後で一部の人々がこれは視覚障害者と発達障害者を卑下する表現だと指摘したため、 李市長は該当の文章を「水準が低いイルベばかり読んでいると変な人になります」と修正した。 そして「卑下する意図はなかったが、同じ障害者でありながらも配慮不足でした。 丁重に謝罪申し上げます」という言葉を付け加えた。 自分のツイッターにも「私も障害者なのに‥卑下する意図はありませんでしたが間違っていました。 障害者と疎外された人々の人権と福祉向上にさらに努めます^^;」というコメントを書き込んで事態を終えた。

李在明城南市長が22日自分のFaceBookにあげた文

この事件について、人々の意見は入り乱れている。 「障害者の卑下に対してきちんと謝罪しなかった」と叱責する人もいたし、 ある人は(こうした事態が発生すれば常に登場する反応の一つである)「そんなことを言うあなたが精神遅滞」だと李市長を皮肉った。 しかし今回の事件で興味深いのは三番目の反応だ。 李市長本人が言うように「同じ障害者」という彼の状況が障害者卑下発言の免責条件になったのだ。 実際、一部の人々は「彼自身が障害者なのに障害者を卑下するか」とし、 卑下する意図がなかったという李市長の言葉を受け入れ、彼の側に立った。 李市長は10代の時期に工場で働いている時、プレス機で左手首に負傷し、 障害6級の判定を受けたという。

しかし障害者なら誰もが「同じ障害者」ではない。 障害者と非障害者の差よりも障害者内部の差の方が大きい。 障害者の内部には多様な障害類型も、障害程度もある。 身体障害、視覚障害、聴覚障害、発達障害(李市長が話した『精神遅滞』がこれに該当する)、統合失調症・鬱病のような精神障害、身長障害などの内部障害に至るまで、 障害類型は多様だ。 そして同じ障害類型でも障害の程度により違う。 身体障害の場合、李市長のように左腕に軽微な障害がある人から全身マヒまで、 障害の程度による差は大きい。 だから「同じ障害者」にまとめるのは難しい。 外部的に傷も見えず、日常に大きな困難なく「非障害者のように暮らす障害者」もいるし、 他人の助けがなければ(文字通り)息もできない障害者もいる。 彼らが果たして「同じ障害者」としてのアイデンティティを共有しているのだろうか? 大部分の障害者も「障害がない」非障害者と同じように、他の障害類型について認識しない限りわからない。

そのため障害界内でも、たびたび自分と違う障害類型に対する卑下発言が無意識に口から出て、 自分もまた少数者なのに他の少数者性(女性、移民、性少数者、人種、年齢など)を認知できないことがある。 いや、時には嫌悪し、排斥したりもする。

李市長「同じ障害者}と表現したが、彼が実際に発達障害者の問題にどの程度関心を持っているのかはわからない。 これは「精神遅滞」という単語選択でわかる。 障害界は精神遅滞という単語について「精神が遅滞している」という表現からすでに障害者を卑下する意味をこめているとし、 かなり以前からこの単語を使っていない。 彼が言う精神遅滞は知的障害、自閉性障害を意味し、これをまとめて「発達障害」と通称する。 昨年11月からは「発達障害者権利保障および支援に関する法律」も施行されている。 この法を執行するべき地方自治体の市長が、それも「福祉市長」として人々の尊敬を受ける側が、このような「行政用語」さえ知らないのか。

彼は明らかに障害者福祉法により登録された「登録障害者」だ。 障害者という点で、彼は明らかにこの社会の「少数者」ではあるが、 「少数者性」に対する認識はこれとは別だ。 いや、むしろ少数者だから、まさにその理由で時としてさらに強く主流社会に編入されることを欲望したりもする。

その意味で崔東益(チェ・ドンイク)議員(共に民主党)はさらに露骨だ。 崔議員は19代総選挙で当時の民主統合党(現共に民主党)の障害者比例代表に選出され、 現在は国会保健福祉委員会に所属している。 彼は視覚障害者で、以前視覚障害者連合会会長職を歴任した。

崔議員は19日、自分のFaceBookに「個人的に信仰を持つひとりとして同性愛は支持しないことをこの席で明確に申し上げます」と明らかにした。 4月の総選挙を念頭に置いた「線引き」だった。 以前、自分が発議した「差別禁止法案」と「軍刑法一部改正案」については 「同性愛擁護」とは無関係だと明確に「釈明」した。 「障害者代表」として、この社会の少数者を代表して選出された人が、別の少数者に対してはまさにその少数性を理由とする差別を「宣言」したのだ。 つまり彼の話は事実上「差別に賛成する」と公言するものだった。

崔東益共に民主党議員が19日自分のFaceBookにあげた文

彼の宣言でわれわれはわかった。 果たして彼が誰を支持基盤としており、誰の欲望を代理しているのか。 少なくとも崔議員自身はこれをはっきり知っていた。 同性愛の問題に賛成するより、露骨に反対を示すことで、自分の支持基盤を確実視できるということを。 そうでなければ、何のためらいもなく同性愛への反対を表わす声をこれほど堂々とあげることはできないだろう。 彼の文には何の躊躇も、用心深さもない。 明快で明瞭だ。

彼らにとって自分の障害とは何か。 単に障害者卑下発言をしたことへの免責を求め、主流社会に編入される装置でしかないのか。 明らかに障害者はこの社会の少数者だ。 しかしすべての障害者が自分を抑圧する社会の主流の通念を批判する鋭い感覚を持っているわけではない。 重症障害者の場合、時には学令期の教育もきちんと受けられないなど、 社会の構造的な問題により統制された情報しか習得できない状況に置かれたりもする。 こうした時、簡単に接することができる一次的な情報は「保守的な価値観を内包する社会の主流の通念」だ (参考:発達障害者はつらく危険だ? その統制の視線向こう側、イ・ジニ)。 しかし、すでに社会の「主流階層」にいる人も、自分の中の少数者性を私有することができず、拡張できないままにそのような価値観を持つことになったケースもある。 そういう人たちにとって「少数者性」は「アイデンティティ」ではなく、自分の希少性を表わす手段に近い。

少数者性についてチョン・ヒジンは自分の本「フェミニズムの挑戦」で、 「人間は誰もが少数者であり、どの誰もすべての面で完璧な『真骨』はない」と話した。 どの誰も、たった一つのアイデンティティだけでできているのではない。 私は「若い女性」だという点で「中年男性」と比べ少数者の位置にいるが、 「非障害者・異性愛者」だという点で「障害者と性少数者」より安定した位置にある。 その他にも韓国では学閥、容貌、居住地域、職場など、多くのものが人の位置を握り、揺さぶる。 そのように、われわれはいつも「差別と他者性を経験する」が、 これらの経験をどう消化するのだろうか。 私の経験を主流的な視線に同一視させず、私が経験した排除と傷で主流社会といかに対話をすればいいのかを悩まなければならない。

李在明市長と崔東益議員は、障害者だという点で少数者だ。 しかし彼らは中年男性であり、異性愛者であり、学閥(李市長は中央大法学科、崔議員は米国のミシガン大学大学院を出た)でも、すでに社会階層でも「優位」にある。 彼らはどんなフィルターでこの世界をながめているのだろうか。 少なくとも最近の彼らの行為を通じてみれば、彼らは「少数者代表」という名で社会の支配階層に立ち、もうひとつの少数者を差別する態度を取っている。

李在明城南市長、崔東益議員。 このうち誰も、公式な、真心からの謝罪をしなかった。 一部の人々がこれについて批判したが、その程度は彼らにとって致命的ではない。 今後も謝罪はしない可能性が高い。 彼らが示す彼らは、自分と似た苦痛を経験している少数者ではなく、「完璧な他者」だからだ。

付記
カン・ヘミン記者はビーマイナー記者です。この記事はビーマイナーにも掲載されます。チャムセサンは筆者が直接書いた文に限り同時掲載を許容します。

原文(チャムセサン/ビーマイナー)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


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