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フランスでの階級闘争:イエロー・ベストから年金改悪反対に

[INTERNATIONAL]「一生働くだけで墓に行く人生を拒否する!」

チョン・ジユン(もう一つの世界に向けた連帯実行委員) 2020.03.12 11:25

フランスでマクロン政府の年金改悪に対抗した巨大なストライキと闘争が2か月以上続いている。 闘争が始まった昨年12月5日には、ほとんどすべての列車と地下鉄が止まり、 学校と郵便局、病院、発電所などが麻痺した。 その後、今までに十回近い「集中行動の日」があり、 そのたびに数十万人が主要大都市にあふれてデモ行進と全日ストをした。 全国で100万人ほどが参加したデモだけでも3回以上開かれた。

パリのオペラ劇場の舞踊家は「白鳥の湖」に合わせて踊り、闘争の参加者に活気を吹き込んだ。 公務員、教師、郵便配達人、消防署員、清掃夫、看護師などがストライキに参加した。 組織労働者だけでない「イエロー・ベスト(Gilets Jaunes)」運動、 女性、学生、環境団体などが闘争に連帯した。 闘争の中心には昨年12月5日から始まった国営鉄道公社(SNCF)と パリ交通公社(RATP)の労働者たちの史上最長の無期限ストがあった。

▲1月10日デモ場面[出処:@mojos55]

闘争は、マクロンの年金改悪の挑発に触発された。 改悪の内容は総体的だった。 現在、フランスの労働者が受け取る退職年金は、 職業によって42種類で複雑だが、 概して62歳に退職して自分の賃金が最も高かった時期を基準に 安定した年金を受けることができた。 鉱山、鉄道など、さらに劣悪な条件でつらい労働をした労働者たちは、 50代後半に早期退職しても年金を保障された。

だが、マクロンは年金制度を一つに統合してこれを全て後退させようとした。 退職年齢を64歳以上に上げ、賃金が最も高かった時期ではなく 全期間の平均で年金額を想定するということだ。 また「ポイント基盤年金制度」を導入して、さらに苦しい労働を強要し、 一部の労働者に認められた早期退職もなくそうとした。 結果としてもっと高い年齢までもっと長く働き、 もっと少ない年金を受け取るようになる。

マクロンは、労働者の期待寿命が延びたので、 このままで行けば2025年までに170億ユーロの年金赤字が発生すると言って改悪を正当化した。 複雑な年金を一つに統合して、誰かはさらにはやく退職し、 同じように年金を受ける「不公平」をなくして、 「強硬労組の特権的労働者」ではなく 貧しい農民や自営業者、青年たちにとっても「公正」な年金にしなければならないと話す。

だが現在の年金と福祉体系は第二次世界大戦を経て、 フランスで進められた共産党主導の反ファシズム・レジスタンス闘争と急進化の中で導入された歴史的成果だ。 1968年革命を経てその成果はさらに拡大した。 特に良い年金制度のおかげでフランスの老人貧困率は同じヨーロッパ諸国の中でも比較的低い水準だ。 フランスの支配階級はこれらを押し倒すためにこれまで多くの試みをしてきた。

1980年代の新自由主義反革命の中でたびたびこうした試みがあったが、 フランスの労働者・民衆はかなり成功的に防御した。 攻撃と反撃が二転三転しながら重要な峠をむかえた。 1995年にアラン・ジュペ総理は現在のマクロンと似た年金改悪を試みたが、 1か月で約200万人が参加するストライキに押されて放棄するほかはなかった。 2006年、ド・ビルパン政府は青年を低賃金非正規職に追いやろうとする 「最初労働契約(CPE)」を試みたが、青年学生と労働者の大々的な抵抗で失敗に終わった。

こうした持続的な抵抗とその成果が今日のフランス例外主義(French exception)と呼ばれる状況と条件を作り出した。 ヨーロッパのほとんどが新自由主義構造調整により、 安定した労働条件と福祉国家を解体している間にもフランスはある程度それを守った。 2017年に大統領に就任した「極端な中道派」のエマニュエル・マクロンは、 まさにこの「フランス例外主義」を破壊することを目的としていた。 これがフランス社会の保守性を高め、競争力を落としてきたという論理だった。 執権の初期にはマクロンの計画は成功するように見えた。

彼は執権するとすぐに富裕税と法人税を減らし、福祉予算を削減した。 議会を経ない緊急行政命令で主要労働改悪も断行した。 解雇をさらに容易にして、産別労組の権限を弱化させ、公共部門の構造調整を始めた。 特に重要なことは鉄道の「改革」だった。 国営鉄道公社(SNCF)の労働者たちは、フランスの組織労働者の中核で、 ここで労働者たちの意欲を失わせれば他の部門でのさらに大きな攻撃が可能になる。 マクロンは鉄道労働者の終身雇用と福祉恩恵といった「特権」を攻撃して、 競争体制の導入を押し通した。 労働者たちはストライキで抵抗したが、 マクロンは無労働無賃金の原則を固守して構造調整をある程度貫徹させた。

これは、フランスで労組の組織率とストライキ日数が減り続け、 一日ストライキや怠業のような短期的で間接的な形態の闘争が増えた状況で行われた。 労働運動の弱化は2017年の大統領選挙で中道左派の社会党の没落と、 議会における左派の周辺化にも現れた。 大統領選挙の1次投票では急進左派の「屈服しないフランス」(La France insoumise:LFI)のジャン=リュック・メランションが19%を得票したが、 決選投票は極右ファシストのルペンとマクロンの両者対決になった。 今のフランス議会における左派の議席数は、社会党を入れても10%にしかならない。

鉄道の「改革」以後、マクロンは年金改悪をいじり始めた。 これを通じて、労働組合の力をさらに弱め、私的年金を活性化させ、 年齢が高い労働者がさらに長く労働市場に残るようにする構想だっただろう。 しかし順調だと思われたマクロンの政策推進は、 執権1年半で予期しない強力な障害に直面した。 それはまさに「イエローベスト」闘争だった。 マクロンが2018年11月に油類税値上げを断行したことがその出発点だった。 マクロンは普通の人々に負担を押し付けるこうした政策を「親環境」で包んだが、 結局、郊外の地域で疎外と差別、貧困と失業に苦しむ人々の途方もない怒りを爆発させてしまった。

それこそ活火山のような闘争が野火のように広がった。 既存の伝統的左派や労働組合、社会団体が組織したり指導した闘争ではなかったが、 それだけマクロン政府にとっては深刻な政治的挑戦になった。 左右が入り乱れた大衆の参加の中で進められたこの「指導部のない運動」の前で、 マクロン政府は油類税値上げを撤回し、いくつかの福祉拡大を約束しないわけにはいかなかった。 何よりも重要なことは、この闘争が政治的な雰囲気を変え始めたことだ。 今の年金改悪反対闘争はまさにこうした変わった有利な地形で始まった。

[出処:ウィキペディア]

鉄道労働者たちは自信を持ってストライキに突入し、 世論調査でも10人中6人以上の支持を得た。 ストライキを支持するオンラインのクラウドファンディングは 200万ユーロをはるかに越えた。 結局、マクロンは一歩後退して労働者の不満をなだめ始めた。 年金受領年齢の引き上げは一時的に撤回され、 1975年生まれ以後からは新しい年金制度を適用すると話した。 最低の年金額を上げて、基本的老後を保障することを約束した。 年金改編推進委員長のジャンポール・テルルブアは辞任し、 マクロンは自ら大統領年金を受け取らないと宣言した。

しかし改悪の本質的核心には相変らず変化がない。 政府は今年1月24日に年金改悪案を閣僚会議で通過させ、 2月17日には下院に提出して審議を始めた。 3月15日の地方選挙の前までには改悪を完了することが政府の計画だ。 野党は改悪案に対する修正要求を数万本も提出し、立法遅延戦術を繰り広げている。 したがって、果たしてマクロンの思い通りになるのかは疑わしいが、 状況は労働者たちに有利とばかりは言えない。

主要労組連盟の中でフランス労働総同盟(CGT)とは別に、 フランス民主労働連盟(CFDT)は初めから闘争に消極的だった。 本当の全面ストライキというよりは、多くの労働者が公共部門のストライキを支援するに留まる、 いわゆる「代理ストライキ(strike by proxy)」の限界もあらわれている。 ストライキが長期化して賃金を受け取れず、動力が下がっているのだ。 ストライキの核心的な二本軸のうちの一本だったパリ交通公社(RATP)のストライキは 1月末に中断され、残っていた国営鉄道公社(SNCF)のストライキも参加率が下がっている。 ストライキに友好的だった世論も日常の不便が続き、マクロンの部分的な譲歩と仲違いの中で多少減ったのは事実だ。

まだこの年金改悪をめぐる戦闘の勝敗は断定は難しそうだ。 労働者たちが年金改悪を完全に防ぎ、 重要な突破口を用意する可能性は依然として残っている。 しかし結局、マクロンが部分的な後退の中でも年金改悪の核心を維持して次の改悪に続く踏み石を置くかもしれない。 どんな結果でも常にそれほどまで単純に 「下からの力と自信は充分だったのに、それを裏切った労組官僚のため」だとか、 「革命的な党があったら勝利したのに」と評価することはできないだろう。 結果がどうなるにせよ、イエロー・ベスト闘争のようにこの闘争も マクロンに対抗する民衆の抵抗の重要な変曲点と評価され、滋養分と教訓を残すだろう。

当分は、これまで分裂と弱化を続けた左派政治に影響している。 3月の地方選挙で社会党、共産党、緑色党、LFIまで含む選挙連合の動きが現れている。 ルペンの国民連合(RN)がマクロンに対する不満を人種主義と極右政治で吸収していく状況に対応しようとしているのだ。 特に次の大統領選挙でルペンの執権を防ぐのは、 フランスの民衆にとって重大な歴史的課題だ。 だが、さらに重要なことは、今回の闘争であらわれたこちら側の不足を埋め、 今後の成功的な闘争を準備することであろう。 どうすれば代理ストライキや一日ストライキを越え、 皆が参加する無期限ゼネストに進めるだろうか。 そのような闘争のためのわれわれすべての要求は何になるのだろうか。 イエロー・ベスト、組織労働者、気候正義を要求する青年学生、 ジェンダー正義を要求する少数者のすべてが参加して勝利できるところはどこにあるか。

[参考資料]

https://www.rs21.org.uk/2020/01/15/france-on-the-march-macron-vs-the-unions/

https://www.jacobinmag.com/2019/12/france-strike-pension-plan-emmanuelmacron

https://www.jacobinmag.com/2019/12/france-strike-welfare-state-pensionsemmanuel-macron

https://www.jacobinmag.com/2020/01/france-strikes-trade-unions-gilets-jaunes

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2020-03-22 05:01:19 / Last modified on 2020-03-22 05:06:05 Copyright: Default

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