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ギリシャ、シリザの勝利が語る5つのこと

新自由主義緊縮の失敗から「ヨーロッパの春」まで

チョン・ウニ記者 2015.01.26 18:25

ギリシャ急進左派連合(シリザ)が圧倒的な勝利をあげた。 世界が注目していたギリシャ左派の勝利が現在のギリシャとヨーロッパでどんな意味をいうのか調べよう。

まず、1月25日(現地時間)に行われたギリシャの総選挙で急進左派連合(シリザ)が前回の総選挙より9.5%多い36.4%の得票で149議席を確保したと最終的に集計された。 政権を持っている新民党は1.9%少ない27.8%で76議席に終わった。 3位は極右の黄金の夜明け党で、前の選挙より1議席少ない17席、 最近創党した中道のトポタミ(川)は17議席、ギリシャ共産党は3議席を追加で確保して15議席を、 ギリシャ独立党は7議席減って13議席、社民主義社会党は13議席に留まった。 投票率は1.4%増えて、63.9%を記録した。

果たしてこの選挙の結果が意味するのは何か?

[出処:ガーディアン画面キャプチャー]

ヨーロッパ連合の新自由主義緊縮政策の失敗

今回のシリザの勝利は、ヨーロッパ連合の新自由主義的緊縮に対する明確な反対を現わしたギリシャ有権者の勝利と言える。 今回の選挙で10%近く得票を増やしたシリザの他に、議席を得た政党のうち得票が増加した党は、 緊縮に反対を現わしたトポタミとギリシャ共産党だけだ。

ガーディアンは1月26日、このような選挙結果に対して 「ギリシャの有権者らがヨーロッパ連合の緊縮を拒否し、 極左政党の急進的な代案を選択した」と一喝した。 「2009年10月、ギリシャから始まって単一通貨の生存の可否に関する質問を提起した5年以上のユーロ圏危機の下で、 ギリシャの有権者らは窮乏に突き落とした予算削減と税金値上げに断固として反対した」ということだ。

ニューヨークタイムズは 「ツィプラスは数百万人を貧しくした劇的な緊縮政策の効果を決して考えようとしない人々のおかげで勝利した」とし 「そうしてやられた人たちは、この過程を変える政治家を探している」というポール・デ・グラウベ前ヨーロッパ委員会諮問委員でロンドン経済大学教授の指摘を伝えた。

これにより、ヨーロッパ連合とドイツなどのヨーロッパの指導者らは、 ヨーロッパ連合の新自由主義的緊縮政策を修正または妥協すべきだという圧力に直面することになった。 ファイナンシャルタイムズは「抵抗的な左派シリザの勝利でヨーロッパ各国の政府が挑戦に直面している」と表現した。

保守二大政党政治の終息と左派政治に向かう転換点

ニューヨークタイムズは1月25日 「シリザはユーロ圏加入国で権力を勝ち取った初の反緊縮政党になり、 この40年間、優勢だった二大政党政治をこなごなに破壊した」と指摘した。 二大政党は、40年間続いた80〜90%に近い得票をしたが、 前回の総選挙に続いて今回の総選挙で決定的に崩壊した。

具体的に見れば、ギリシャの経済危機の開始と共に2009年10月、43.9%の圧倒的な勝利で執権した社民主義の社会党は、 2012年の12.3%に続いて今回の総選挙では4.7%と、まっ逆さまに転落した。 ギリシャ経済危機を引き起こした保守新民党の得票率は、2009年の33.48%から2012年には29.7%だったが、今回また27.8%に減った。 シリザから離脱して新民党との連立政権を作った民主左派党は、2012年には6.2%だったが今回の選挙では0.49%へと墜落した。

これに対してツィプラス党首は政治的課題として 「戦後の社会民主主義の未完成の課題を単に遂行するのではなく、 社会主義と民主主義に基づいてヨーロッパ全域で急進的な変化を追求する」と明らかにした。

経済危機下でのギリシャ民衆の急進化

新民党と社会党に対する支持率の推移からもわかるように、 ギリシャの民衆は政治的に急進化したことが明らかになる。

シリザは今回の総選挙で有権者の3分の1を超える36.4%の得票を獲得した。 こうしたシリザの善戦にもかかわらず、ヨーロッパ連合とユーロ圏脱退を主張してきた共産党の得票率も増えたのは、 ギリシャ人らの左向け左の傾向がさらに拡大したことを示す意味深いポイントだ。 共産党の支持率は1%増えて3議席も追加で確保した。 ギリシャ反資本主義左派戦線(アンタルシア)も議席は得られなかったが、 得票率は約2倍になり、0.64%に達した。

一方、トポタミはギリシャの有名ジャーナリストなどの専門家たちが結成した中道左派だが、 現社会党の票を分散させただけで、2012年に社会党が獲得した支持率以内に留まっており、 意味のある変化と見るのは難しい。

新民党はまた、シリザが執権すればギリシャが北朝鮮のような独裁体制になり、 ヨーロッパ連合から離脱して国際社会から孤立する、 流入人口の増加によって社会不安が拡大すると脅迫してきたが、 これもやはり作動しなかった。 これは既成政党への信頼がもはや作動しないことを意味する。

社会的な闘争を力として成長した左派政治の試験台

ガーディアンが1月25日 「腐敗したエリートに青年が立ち上がれば、何が起きるかを見せる」と指摘したように、 シリザの勝利は経済危機以後のギリシャ民衆の歴史的な闘争を背景にしている。

ギリシャでは2006年、大学民営化に反対する大衆的な大学占拠運動、 2008年12月に警察の銃で死亡した16歳の少年アレクサンドロス・グリヨロプロスの事件を契機として沸き上がった反政府デモ、 2011年から4年間に35回以上の大衆的なゼネストと緊縮反対デモが行われた。 一方、経済危機と緊縮による社会的な悪影響が広く現れ始めた2011年からは、 多様な草の根連帯運動が組織された。

国際食品連盟(IUF)が1月23日、 「シリザは大衆的蜂起の余波で復興し、この蜂起は促進されなければならない」と指摘したように、 ギリシャの社会的闘争はシリザ政府が国際債権団と国内の右派に対してギリシャの展望を切りひらくための重要な基礎として評価されている。

特にシリザが単独で政権を取れる得票率を確保できない状況で、 ギリシャの左派と社会運動の役割はさらに重要になっているようだ。

一方、ウォールストリートジャーナルがシリザ党首のアレクシス・ツィプラスを 「バルカンのウゴ・チャベス」と呼んだが「石油はない」と話したように、 ギリシャが限られた資源を基礎に、どのようにして新しい展望を作り出すかも注目される。

ヨーロッパに吹く春風...ヨーロッパ左派政治に活力

1月25日の夜、シリザの勝利が確実視された後に行われたシリザのアレクシス・ツィプラス党首の演説で、 ヨーロッパ全域の左派政党が共に集まって勝利を祝った。 シュピーゲルによれば、ドイツ左翼党の党員は 「この結果はショイブレ(ドイツ財務長官)に対するものでもある」と話し、 イタリアから来た青年の共産主義者たちは 「ツィプラスと共にもうひとつのヨーロッパは可能だ」という文句を持って赤旗を振り、 インターナショナルを歌って連帯を示した。

ギリシャのシリザは旧ソ連の没落以後、後退してきたヨーロッパ連合左派政党のうち、初めて勝利を記録した政党だ。 シリザの勝利は一国に終わるのか、さもなくばヨーロッパに転換点を刻むのだろうか? 世界のマスコミもギリシャのシリザの勝利がヨーロッパ左派に活力を吹き込むかどうかに注目している。 ヨーロッパの左派政党が浮上し、共同の戦略を採択すれば、 資本主義政治体制の下で拡大してきた経済危機と人種主義、そして戦争に対抗し、 左派は新しい社会のための機会を持つことになる。

ヨーロッパの左派政党らはシリザの勝利を祝って左派政治の拡大のために相次いで声明を出し、論評している。 ヨーロッパ議会左翼党同盟は1月25日の論評で 「政治エリートの貧困化政策を終わらせる最初の歩み」と明らかにした。 スペインのポデモス(われわれはすることができる)のパブロ・イグレシアス代表は 「希望が近付き、恐れは消えていく」とし 「シリザ、ポデモス、われわれは勝利する」と述べた。 彼は1月23日のシリザに対する支持演説で 「選挙の勝利は権力からの勝利を意味するのではない」とし、 近付く挑戦に対して共同で連帯することを明らかにした。 ドイツ左翼党のカトヤ・キッピング代表はツイッターで 「ギリシャでヨーロッパの春が始まった」と記録した。

ヨーロッパ左派政党のうち、スペインの草の根大衆運動政党、ポデモスの他にも、 アイルランドの「シン・フェイン(我々自身)」、また、今年総選挙が行われる英国やポルトガルなどで、 左派がどれほど善戦するのか関心を引いている。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


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