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ニューヨークから反WEF抗議レポート

このページは情報が入り次第、更新されていきます。NY-IMCなどの情報を要約・翻訳しています。世界経済フォーラム(WEF)とは?


■「歴史の終わり」にさようなら

 2月4日も、2日の巨大デモを組織した「もう一つの世界は可能だ」などが、(アメリカン・ドリームの体現者とされ規制緩和やアメリカ中東政策を推進するために政界と癒着してきた)エンロン問題を焦点としたデモを行っている。
 「歴史は終わった、これからは市場競争を第一とする新自由主義的グローバリゼーションだけが進むべき道だ」という夢は終わった。米国のみならず日本でもここ10年間、与野党問わず主流派の政治家や「日経新聞」「朝日新聞」などのマスコミも、市場を自由化する構造改革こそが行き詰まった政治経済を克服する唯一の道であると叫び続けてきた。WEFは今なおその中心部隊である。しかしながら今年のWEFは、アルゼンチン経済危機やブラジルで行われている世界社会フォーラムのインパクトを無視できなくなり、先進国の労働組合や女性団体や宗教指導者の幹部、そして有名なアーチストなどを数十人招き、世界の貧困を撲滅しなければならないというメッセージを出さざるをえなくなった。しかしストリートの抗議者たちは、WEFに参加してきた多国籍企業や政府要人たちがこれまで推進してきた利潤を人権・労働権・環境保護の上に置く考え方、新自由主義改革(日本でいう小泉改革)、そして大国による「対テロ」を名目とした「戦争」やIMFなどによる干渉、をやめなければ問題は解決しないと抗議している。そして「もう一つの世界」は、21世紀と共にはじまった「世界社会フォーラム」や、それに連帯する草の根の人々・団体によって構想されはじめている。


■民衆の想像力とストリーミングの力 "FROM THE GROUND UP"

 2月2日(土)〜3日(日)、反WEFデモ参加者たちは、多国籍企業のCEOや「悪の枢軸」戦略を強硬に主張しているラムズフェルド国防長官などを皮肉ったプラカードや、今とは異なる世界への信条を表現した風船人形などを掲げ、太鼓のリズムや歌にのせてフェスティバルのような平和的デモを続けている。デモ参加者の圧倒的多数は、青年たちである。こうした演出は、「Arts in Action」という社会派芸術家グループによってつくられた。(「Voice of America」より)
 他方ニューヨーク市警は3日、「動物解放同盟」や「反資本主義者連帯」などの平和的デモに対して激しい攻撃を加え、87人を「不法集会・騒動行為・公務執行妨害」などの名目で不当逮捕した。マスコミは、流血の事態があまりないとしてストリートの抗議者たちに全く注目を払わなかった。ストリートの様子や集会での様子は、ビデオや音声のインターネット上でのリアルタイム配信(ストリーミング)を行っているいくつかの草の根メディアによって世界中に伝えられている。


■サンフランシスコで連帯デモ

 2月2日、サンフランシスコでは、ニューヨークでの反WEFデモに連帯し、「対テロ戦争」と並行した国内の労働者、とりわけアラブ系労働者に対する不当解雇に対する、労働者のプロテストが行われた。サンフランシスコのユニオンスクエアにある「Macy's」(デパート)は、2001年10月、パレスチナ系アメリカ人女性従業員アライア・アトネ(Alia Atawneh)さんを差別的に解雇した。9・11以降、米国のアラブ系・ムスリム労働者に対する差別的処遇が深刻になっている。その最もひどい例が、「Federated Department Store」(百貨店チェーン)が所有する「Macy's」だ。9月27日、ある顧客がアライアがパレスチナ人であることを理由に非難をはじめた。彼は「この人たちに米国で働く権利はない」などと叫んだ。アライアは「この人たち」を責める根拠を求めてくいさがったが、客はデパートの管理者を呼んで抗議し、その一週間後にアライアは「Macy's」に解雇された。2月2日、サンフランシスコ・ユニオンスクエアの「Macy's」で、アライアに対する謝罪と賠償金、そして再雇用を要求した連帯デモが行われた。サンフランシスコAFL-CIO地域評議会決議へ。以上、「レイバービデオ」「サンフランシスコIMC」より。


写真左:「ナイキ」の広告文句をゲバラに言わたもの
写真右:本当の「悪の枢軸」はこれでしょう


■二日間で反WEF抗議行動に15000人

 31日と1日の二日間で、ニューヨークでの反WEF・資本グローバリゼーション抗議デモに、15000人の人々が参加した。デモで使用されたプラカードには、搾取工場、原生林伐採、海外労働者の酷使、米州自由貿易協定や「対テロ」を名目に戦争を進めるブッシュ政権に対して抗議するものが含まれる。ニューヨーク市警は、『もう一つの世界は可能だ(AWIP)』の組織した合法的かつ平和的デモに対して、催涙ガスや殴る蹴るの暴力を加え、40人ほどの不当逮捕者が出ている。とりわけNY市の不明確な「マスク規制」に違反するという理由で、黒や赤のマスク・スカーフで顔を覆っているデモ参加者に対して警察の攻撃は集中しているようだ(現場報告)。なお、医学生や弁護士などが現場で攻撃にさらされるデモ参加者を支援している。


■WEFプロテスト始まる

 2月1日の抗議行動では、31日に「Working Families Economic Forum」という対抗会議を開催したAFL-CIOニューヨーク労働評議会を中心として、労働者1000人がスウェット・ショップ(不法な低賃金・無権利で労働者を搾取している工場およびそれを用いて利益を上げている多国籍企業)に抗議する労働者の抗議が行われた。警察は、「GAP」「スターバックス」「マクドナルド」など、そうした巨大チェーン店の周囲を取り囲んでいる。『世界の公正を求める学生連合』の集会(参加1000人)や『パブリック・アイ・オン・ダボス』の対抗会議(数千人)などが行われた。こうしたカウンターサミット、そして世界社会フォーラムは、マスコミによってほとんど無視されているが、WEFなどが体現する既存の経済システムに対するオルタナティヴが議論されている。ニューヨーク市警のデモに対する敵対的姿勢に対し、市民団体は米国憲法修正第一条(言論・集会など市民的権利の保障)の遵守を訴え、警察の不法行為を厳しく監視して訴える姿勢を整えている。『スターホーク』や『もうひとつの世界は可能だ』などの団体は、午後7時半から反WEFの夜間集会を遂行している。『ニューヨークIMC(独立メディアセンター)』は各地で行われている抗議行動の現場の様子や参加者の声をリアルタイムで伝えている(WEBラジオ)。ドイツ・ミュンヘンでも、世界経済フォーラムと同時に行われているNATO安全保障会議に対する抗議行動が行われている。他方、マスコミ報道によると、WEF内では多国籍資本家たちが、日本経済と日本政治が世界最大の「リスク」であるとして、小泉「構造改革」を実行に移すべきだと主張している(『International Herald Tribune』1月31日より)。


■経済フォーラム、ネットストでまずダウン

 世界経済フォーラム(WEF)への抗議行動が31日始まった。しかし最初のデモが行われる午後よりも前に、午前中に行われた非計画ネットストライキ(バーチャル・シットイン)がWEFのホームページをダウンさせた。おそらく7000人ほどがこのネットストに参加したと見積もられている。ネットスト用のソフトはIMCからダウンロードできる。他方、7人の「ACT-UP」(エイズ問題NGO)の活動家が、横断幕を垂らしたかどで逮捕された(ニューヨーク反WEFデモの初の逮捕者)。1月31日の抗議行動には、ラルフ・ネーダーとパッティ・スミスが参加する討論会、コロンビア大学での『世界の公正を求める学生連合』の集会が含まれる。

NY-IMC関連ページ


■必死に「反テロ」世論をデモ封殺に誘導するマスコミの偏向報道

 マスコミはWEF抗議デモをセキュリティ問題と関連づけて議論してきた。New York Times や New York Daily News などの新聞は、警察のデモ対策に焦点を置いて報道しているため、問われているはずのグローバリゼーションについて政治的論点の焦点がぼけている。しかも抗議者に対し「あなた達は表現の自由を持っているけど、もしもこの街を荒らしたら、反グローバリゼーションは痛い目に遭うでしょう」などと述べ、かつWEF抗議デモと世界貿易センタービルを攻撃したテロリストとを悪意を持って比較して、ニューヨーカーの悲しみと怒りを異論者へのバックラッシュに向けて意図的に誘導している。New York Post 紙上で元副警察署長が「きわめて危険な連中が集まっている。オサマビンラディンについて言ってるんじゃない、もうちょっと洗練された悪党のことだ」などと言っている。最近の反グローバリゼーションに関するマスメディアの記事は、シアトルからフィラデルフィアに至る過去の平和的抗議についても、窓を割るなどの攻撃的印象を与えようとしてきた。確かに暴力行為が一部であったことは問題だとしても、ほとんどのそれは警察によって引き起こされてきたにも関わらずである。1999年シアトルの時、平和的デモに不当・不法な催涙ガス・殴る蹴るの暴力・そして根拠なき逮捕が加えられた。このことは後に法律家などによって厳しく追及されたが、最近のマスコミは警察の厳しい取締が暴力活動に対して必要だということを主張するために事実を歪めて報道している。

NY-IMC関連ページ


Created byStaff. Created on 2002-02-01 07:59:59 / Last modified on 2005-09-05 02:58:42 Copyright: Default

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