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戦争経済と商品生産体制の転換

[フェミコノミー]フェミニズムと脱植民-脱資本主義運動

コジョン・ガビ(地球地域行動ネットワーク/フェミニズム学校) 2020.10.19 07:24

自分の足もとを見るということほど難しいこともない。 どこに足を踏んでいるのか、どんな力で自分が維持されているかを地面までのぞいて見ることは 容易ではないか、ほとんど不可能だ。 階級的-性的-種的、そして民族的アイデンティティは、 個人の身体に刻印された現在を構成する。 そしてこのアイデンティティが個人の次元を越えて構造的にどう作動するのかを考えるのも容易なことではない。 だが世の中は変わってきたし、その変化の過程には自分の足もとを見るようにさせる他人と、 進んで自分を越えようとする努力が位置する。 この努力で世の中は新しく生成されて行く。

最近、筆者が階級的-民族的アイデンティティをまた振り返るようになったあるドキュメンタリーに会った。 劇場上映が始まった「東アジア反日武装戦線」は、 自分の省察と共に体制に対する抵抗の方式と内容を考えさせる。 この悩みをさらに押して進めれば、 性的アイデンティティとフェミニズム運動の方向と現体制の代案まで悩むようになる。 このドキュメンタリーは1970年代初期、 日本の戦犯企業である三菱と大成建設などの爆破を試みた反日武装戦線(狼、大地の牙、さそり)の活動とそれ以後を追う。 ここで「反日」は帝国主義国家の「日本」に対する部隊員たちの拒否を意味する。 帝国主義の侵略と収奪を行った日本の国民として、自分の足もとを見たのだ。 三つの部隊の隊員は戦犯企業に爆弾を投げるテロ行為をすることで死刑囚になったり無期懲役刑を受けたり、 監獄で死んだり監獄から42年ぶりに解放されたりもする。

このドキュメンタリーで凝視させる点は、戦犯企業に対する問題意識と自己省察だ。 戦犯企業という問題意識は日本という国家と企業を連結し、戦争を連結する。 武装戦線の部隊員は帝国主義と資本主義を連動させて、 それを問題にしてそれに対する暴力的な行動を取った。 武装戦線は、戦争が終わった後にもその戦争を基盤とする資本蓄積と、 東アジアで経済的収奪・侵略を続ける日本の企業と国家を問題にした。 ここで筆者は帝国-資本-軍事主義の連結体として日本を見て、 それに対抗して起きた行動の顕在的意味を考えてみる (もちろんこのドキュメンタリーが提起する大きな暴力と小さな暴力の問題、 爆弾テロの加害性と労働と企業、国家と個人の関係などに対しては、 別に討論の機会が必要だ)。 そして監督が武装戦線、そして現在の日雇い労働者を連結しているという点も、 労働運動に対して示唆するところがある。 テロの対象を企業として「反日」を叫んだ彼らの問題意識を今の韓国に適用し、 そしてフェミニズム経済を語るこのコラムで反すうしながら、 いくつかのことを考えてみる。

筆者は2000年代中盤、世界の運動を見るため海外の活動団体と活動家に会いに出た。 そのうちアルゼンチンの海抜4000mで暮らすアブラパムパの村人から受けた質問が印象的だった。 「あなた方の韓国は豊かな国だ。 それなのに何の運動が必要なのか」という質問だった。 その時まで筆者の頭の中の韓国は、経済的に相変らず南半球だった。 私の頭の中の韓国と他国の韓国とは違っていたし、私が批判する韓国とも違っていた。 日本の過去の支配に対する謝罪を要求する韓国国民としての位置と、 メキシコ国境地帯の自由貿易地帯であるマキラドーラで労組を作らせないように 現地の女性労働者を弾圧する中小企業の国家である韓国の国民としての羞恥心は、 別に存在していた。 国内の移住労働者を弾圧する韓国のイメージと、 ユン・クミ氏の死とSOFAとイラク派兵反対が実は連結していたという認識は容易ではなかった。

韓国企業が他の国家と地域で労働者を弾圧しながら「帝国」のまねをしているということと、 韓国の国民としてこの恩恵を享受する位置にあるという点は、 実は別のものではなかった。 慰安婦運動が提起した問題と、韓国の男性中心民族主義と韓国の資本軍事主義は、 別のものではなかった。 韓国の企業と国家の資本蓄積と過去に独裁権力が振り回した軍事主義の力は、 別のものではなかった。 ベトナム戦に参戦して経済特殊を享受したという点、 多くの民間人を殺傷した点、 現在THAAD配置や済州、江汀のクロムビの村が海軍基地に変わっている点などと、 韓国の経済力と資本蓄積も連結している。 日本の国家としての直接的謝罪と国家次元の補償を要求してきた運動と、 長い間、女性の純潔を密かに要求してきた韓国の家父長的な民族主義に対する省察が 同時に進められなければならなかった。 それでもそれが難しかった理由は、やはり自分の足もとを見るのが難しいことだからだった。 そして日本を帝国主義と資本主義と軍事主義が連動する複合体と規定すると同時に、 現在の韓国を資本主義-軍事主義-新植民主義の複合体として直視することは容易ではない。 こうした脈絡で、サムスン半導体の白血病に関する闘争を繰り広げてきた遺族とパノルリム、 そして当時のドキュメンタリー「貪欲の帝国」は、 サムスンを「帝国」に位置付けたことを考え直させる。 そして1960年代、アイゼンハワーの軍産複合体に対する警告と、9.11以後の米国の安保産業体を思い出させる。 テロに対する戦争を宣言し、その戦争を民間企業が行う「対テロ戦争株式会社」を思い出させる。

フェミニズム運動は資本-軍事-新製国/植民主義と関連して、 どんな方向を持つのだろうか? 慰安婦問題を軍事主義と連結させてきた女性運動は、 韓国の軍事主義と連動した資本主義に対してどんな話をするのだろうか? THAAD配置と世界の戦争経済と軍事主義に対してフェミニズム運動はなにをなするべきか? 女性の生産力を土台にする資本とその蓄積に対する認識を共有すべき仕事と、女性の労働が非表面化され非価値化されることを変える事と、 資本-軍事-(新)帝国主義的経済と商品生産体制を連結させる行動をするということはどのようにすれば可能なのか? 現在、われわれは商品生産の問題を語る時、 反資本主義を脱成長や脱炭素の問題として接近する。 国家間の競争体制と軍事力に基づいた生産体系と女性の生産-労働を非価値化することによって可能な現在の商品生産体制に対する運動が 「軍産複合体」、「動物産業複合体」そして「安保産業複合体」を批判して代案的な動きを作るのなら誰と共にするのだろうか? 性権力と国家-資本権力の複合体としての現在の資本主義-家父長体制的経済の転換は、 この問題と連結しており、 現在の労働運動と労働者階級運動とも連結している。

韓国で2018年に始めた「世界女/性労働者大会」は、 女性労働の表面化と価値化を考えている。 また資本と軍事主義の連動、新植民主義との連動を問題にすることができる労働者大会になりうるだろう。 筆者はフェミニズムを経由して、赤緑紫的に現在の商品生産体制を変えなければと考えて「世界女/性労働者大会」に参加している。 この運動を通じて、一方では女性の生産と労働に焦点を当て、 女性の労働を価値化する過程を考える。 そして他方で軍産複合体と動物業複合体と安保産業複合体を考える。 戦争経済の転換のためにはフェミニズム運動が国家-資本複合体が性的な権力として作動する点について、さらに敏感になる必要がある。 (新)帝国主義的国家の企業は戦争経済の特需を通じて恐竜になることができる。 1970年代の日本の「東アジア武装戦線」部隊員の問題意識と、 21世紀のテロを考えて、現時点でテロではない方式で戦争経済と商品生産体制を転換する運動を 地球・地域的にともに模索しなければならない。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2020-10-12 02:41:21 / Last modified on 2020-10-25 17:28:01 Copyright: Default

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