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コロナ パンデミック、女性にさらに苛酷な世界と行動

[INTERNATIONAL 1]

チェ・ダイン(研究活動家) 2020.06.10 10:23

全世界でコロナ19が多様な社会構成員に及ぼす不公平な影響が毎日報道されている。 各政府は政策から非典型(non-standard)的労働をする労働者を排除し、 家にいることができない必須職種労働者の不安定な状況があらわれた。 だが何が「必須職種」なのかについては明確な定義が存在しない [1] 。 現在、コロナ19による危険にもかかわらず業務をやめられない多くの労働者が 社会の必須職種で働いているが、 ほとんどは医療領域で働く医師と看護師だけを想起させる。 その他に清掃労働者や介護人、宅配労働者など、 危機の中で働く人々の労働は社会の関心外にある。 こうした状況は社会が労働の価値を再評価しなければならないという議論にも続いている [2]

一方で女性は相変らず非正規職や低評価げされた労働力のほとんどを占めていて、 女性の健康と安全の必要性は引続き折衝されている。 家庭暴力の数は増加し、再生産健康の問題は次順位に押し出され、 女性が適切な医療サービスを受けることはさらに難しくなった。

▲去る女性デー、メキシコ女性たちが女性殺害に対する政府の責任を問い強くデモしている。[出処:DemocracyNow!]

国際労働機構(ILO)によれば、世界女性の無賃金家事労働は76.2%程度だ[3]。 歴史的に家事労働のように「私的な」空間での労働は、 女性の特質により自然な労働だと見なされた。 労働の価値も低評価され、私的な空間から抜け出した後も 非正規・非典型労働の領域に残されている。 2016年の国際労働機構の研究によれば、 南アメリカとカリブ地域で家事労働者で働く1800万人のうち93%が女性で、80%が非正規職として働いている[4]。 非正規職は政府の保護と災害救済対象に含まれないため、女性たちの財政的脆弱性をさらに増幅させる。

南アフリカ共和国の家事労働者もこうした不安定な位置に置かれている。 100万人の家事労働者のほとんどが移住労働者として滞留国の市民権を持っていない。 また、南アフリカは家事労働を公式労働に含めず、多くの人が適切な契約または明示された給与なしで働く。 彼女らのほとんどが日雇いで、日当に依存して生きていく。 コロナで現在多くの家事労働者が雇用を失う危険に直面し、 非正規職という位置は彼女らの解雇をさらに容易にさせる。 働くことができても、働いて感染する可能性が大きい。 南アメリカ政府は職場でコロナに感染した場合 「負傷と職業上疾患法(Injuries and Occupational Diseases Act)」で補償を受けられるというが、 非正規職の家事労働者はこの規定から抜けている。 しかも移住労働者は失業保険に登録されないため、政府の支援も受けられない[5]

経済的な困難は家庭内暴力の増加と大きな関連性を見せる[6]。 社会的距離措置で不安定な「家の中」で暴力的なパートナーとさらに長い時間を過ごし、 多くの女性の安全が脆弱になった。 国内外の機関の措置が遅れ、家庭内暴力またはIPV(密なパートナーによる暴力)事件は増加し続けている。 国際公共保健団体のアベニアヘルス(Avenir Health)によれば、 介入の遅滞で2020-2021年の家庭内暴力事件は世界的に200万件以上増加すると予測される[7]。 国連人口基金(United Nations Population Fund)はコロナによる制裁が長くなるほど 家庭内暴力の発生率が高まると予測した。 3か月間制裁が続くと家庭内暴力事件は20%増加、 つまり2020年にはさらに1500万件発生しそうだ[8]。 家庭内暴力の問題は、女性たちが相談電話サービスなどの必要な助けを得られず、 さらに深刻化している。

▲バングラデシュ縫製工場の女性労働者[出処:DemocracyNow!]

相談電話サービスだけでなく、コロナと直接的な関連がない医療サービスが世界的に中断されている。 女性の再生産健康も例外でない。 国連人口基金は、再生産健康関連サービスを提供する施設が6か月間中断されると、 114の私・中所得国家で700万件の計画しない妊娠が起きると予測した[9]が、 産婦死亡率を高めて女性の再生産権利を威嚇するだろう。 例えば、テキサスなど米国のいくつかの州は堕胎を不必要な医療サービスと規定し、 女性が危険な状況にも出産をしなければならなかった[10]。 英国でも他の米国の州は郵便で避妊薬の接近性を拡大している。 だがコロナで医薬品の世界的供給網が打撃を受け、 安全かつ簡単に医療施設を使用できない女性が世界的に増加している[11]

このような状況の中で、地域の活動家はキャンペーンや基金を集めて女性たちを支援している。 中国は微博というマイクロブログプラットフォームを通して家庭内暴力に対抗するための 「周辺人教育(bystander education)」を始めた[12]。 ブラジルでは家事労働者が有給で自家隔離するように陳情書運動を繰り広げた。 合わせて個別の寄付者と家事労働者を連結するプログラムなどで粘り強い支持を得ている[13]。 米国でも地域の活動団体の基金が政府の不充分な対策を埋める重要な役割を果たしている。 トランプ行政府が非常基金を分配し始めたが、社会保障番号がなければこれを受け取れないからだ。 南アフリカのように米国でも未登録移住労働者のほとんどが家事労働者として働いており、 失職した時も政府の助けは全く受けられない。 国家家事労働者連帯(National Domestic Workers』 Alliance)のような市民団体は、 後援支援金により政府政策から排除された危険な労働者を支援している[14]

このように、各国では活動家と団体が女性の再生産労働と健康問題が社会の公論の場から消えないように運動している。 コロナのような流行病はいつでも繰り返される。 今このままなら女性は引続き危険な状態に置かれるだろう。 「必須」職種の意味を再考し、非正規職の領域を正規職に拡大して移住労働者のための包括的な政策で 労働者の安全と生活の質を保障するように社会を変えなければならない。 今変えなければ遅すぎる。

▲米国看護師協会がコロナ19で死亡した看護師数と同じ88足の靴を配置してこれに対する政府の責任を要求している。[出処:DemocracyNow!]

[1] 「The Scope of Essential Services:Laws、Regulations and Practices、」 Timo Knabe and Carlos R. Carrion-Crespo、Working Paper、International Labour Organization 2019

[2] 「As Coronavirus Deepens Inequality、Inequality Worsens Its Spread、」 Max Fisher and Emma Bubola、New York Times、2020.3.15

[3] 「コロナウイルス19拡散するほど男性より女性にさらに大きな衝撃、」ハン・ヘラン、聯合ニュース、2020.3.13.東洋ではこの数字が80%に上がる。

[4] 「Brazil』s vulnerable domestic workers cannot afford to get sick、」 Jill Langlois、National Geographic、2020.4.27

[5] 「Domestic workers fear retrenchments amid Covid-29、」 Musawenkosi Cabe、New Frame、2020.3.30

[6] 「Coronavirus crisis will see 7 million unplanned pregnancies and 31 million gender-based violence cases、the UN says、」 Ruqayyah Moynihan、Business Insider、2020.4.29

[7] 上の文から引用

[8] 上の文から引用

[9] 上の文から引用

[10] 「Coronavirus:Texas banned abortions? how did that affect women?」 Aleem Maqbool、BBC News、2020.5.6

[11] 「コロナウイルス時代、世界あちこち『妊娠中止戦争』、」二世、女性新聞、2020.5.14.;「The Coronavirus is Cutting Off Africa』s Abortion Access、」 Neha Wadekar、Foreign Policy、2020.5.4.

[12] 「Coronavirus:FivewaysvirusupheavalishittingwomeninAsia、」LaraOwen、BBC News、2020.3.8

[13] 「Brazil』s vulnerable domestic workers、」 Jill Langlois;「 『For the lives of our mothers』:Covid-19 sparks fight for maids』 rights in Brazil、」 Jo Griffin、The Guardian、2020.5.5

[14] 「For immigrants without legal status、federal coronavirus relief is out of reach、」 Nicole Narea、Vox、2020.5.5.

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2020-06-19 08:41:07 / Last modified on 2020-06-23 07:32:08 Copyright: Default

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