コロナ崖っぷちホームレス…「適正住居が答」
[イシュー2]「ホームレス公営給食拡大、医療給付体系を変えろ」
キム・ハンジュ記者 2020.04.02 09:55
(1) コロナ19、ホームレスが頼っていた全てが消える
(2) コロナ崖っぷちのホームレス…「適正住居が答」
2003年のSaas、2015年のMERSの時も違わなかった。
2020年のコロナ19事態でも、給食所閉鎖、医療空白、福祉施設強制退去といった
ホームレスの人権問題が出てきた。
いつも似た問題が繰り返されたが、瞬間的にニュースの種に浮上して消えるだけだった。
ワーカーズは伝染病が広がるたびにホームレスを崖っぷちに追いやる現在の福祉体系を調べた。
統制されない民間給食所
「地域別公営給食所の拡充を」
脆弱階層にとって福祉サービスは生存に直結する問題だ。
したがって伝染病が流行っても防疫に努め、
福祉サービスを効果的に維持することが政府の責任だ。
丁世均(チョン・セギュン)国務総理も2月16日、
「一人暮しの老人、貧民村居住者などに対する無料給食、診療奉仕などが縮小されずに維持されるように福祉伝達体系を点検しろ」と指示をした。
だがホームレス現場の福祉体系は今回も崩れてしまった。
多くの無料給食所が閉鎖され、ホームレスは日常的な食事も解決できなかった。
ホームレス行動は3月、ソウル地域無料給食所33か所の実態調査をした。
これらのうち25か所は教会、非営利団体などが運営する民間支援給食所で、
8か所は公的支援給食所だ。
調査時点の3月7日基準、民間支援給食所の半分ほどの13か所が
コロナ19を理由で給食を中断したり中断した。
だが公的支援給食所は100%運営を継続した。
開いているのは公的支援給食所しかないため、
自然にホームレスがここに押し寄せた。
公的支援給食所「大切な人々」は、
訪問者数がこれまでの200〜250人から最近は400人まで増え、
「本当に良い友」も200人水準から350人まで増加した。
それこそ給食競争になり、食事を解決できないホームレスも増えた。
運営を維持している公的支援給食所もすべて「完全公営」の形態ではない。
公的支援給食所もすべて民間に委託されて運営される。
ソウル市は2010年「暖かいシェルター」を開所して、
官民協力で運営すると明らかにした。
利用者の自尊心と衛生、通りの美観を解決するという理由だ。
水原市も2014年に官民協同で無料給食所を開所した。
こうした官民協力は市が給食場所を提供し、そこに宗教・民間団体が入って給食を委託運営する方式だ。
地方政府が給食所運営を民間に任せたため、関連法令も守らないという問題が発生した。
野宿者福祉法によれば、野宿者給食施設は食品衛生法施行規則によって申告することになっている。
だが公的支援給食所の57.1%は集団給食所の申告をしなかった。
民間支援給食所の場合、何と87.5%が集団給食所の申告をしなかった。
食品衛生法律上、集団給食所は栄養士雇用の有無、食材点検手続き、施設衛生状態などの条件を満たさなければならない。
現在申告されていない公的支援給食所の半分が良質な食事を担保できないという意味だ。
給食施設の未申告を放置すれば、長期的には給食の衛生など別の問題を呼びかねない。
ホームレス行動のヒョンジン活動家は
「コロナ19による『給食大混乱』を契機として地域ごとに至急、
公営給食所を作らなければならない。
合法的に設置された地域ごとの公営給食所はホームレスに一日三食を安定して提供しなければならない」とし
「これまでソウル市は給食所を作って『美しい官民協力』と言っていたが、
こうした給食所は法的に申告されていないところが多い。
公共が路上のホームレスの苦情を解決する目的で『展示行政』をした面が大きい。
また、民間委託の形態では公共が統制することもできない。
今のように無料給食に公共が責任をもたなければ、
新種の感染病が現れるたびに給食所閉鎖の問題は繰り返される」と指摘した。
公共病院の「コロナ専門担当病院」指定、
ホームレスが行く病院はない
ソウル市は2月25日
「6つの市立病院(子供病院、恩坪病院、西北病院、ポラメ病院、東部病院、北部病院)は一般診療を縮小し、
『コロナ19非常診療体系』を用意する」とし
「公共医療機能はコロナ19の拡散防止および治療に集中するほかはない状況なので、
慢性疾患管理と一般診療が必要な市民は一般病院・医院に行くことを頼む」と明らかにした。
また保健福祉部はソウル59か所の「国民安心病院」の目録を発表し、
国民医療サービスを維持するようにした。
だが、これはホームレスではない人だけに該当する話だった。
2018年基準、全国の野宿者診療機関は267か所に達する。
しかしこれらのうち211か所は保健所か、さらに小規模の保健支所だ。
病院級以上の公共医療機関は39か所に過ぎない。
2018年、韓国の公共医療機関割合は5.8%(OECD平均は51.8%)。
ただでさえ少ない韓国の公共病院の多くがコロナ19専門担当病院に指定されたため、
ホームレスが行ける病院はさらに少なくなった。
ソウルだけでも病院級以上の野宿者診療施設9か所のうち5か所がコロナ19により初診患者の診療、入院を制限した。
ホームレスらは直ちに「医療空白」の危機に追いやられた。
野宿者の診療件数は顕著に減少した。
ソウル市立恩坪病院の「野宿者診療費請求および支援現況」の資料によれば、
2019年12月の野宿者の診療実績60件から2020年1月には71件、
2020年2月には44件と大幅に減った。
同じように市立病院のポラメ病院の野宿者診療実績も、
2019年12月に262件、2020年1月に251件、2020年2月には211件に減少した。
水原の場合、病院級以上の野宿者診療施設は1か所だけだが、
コロナ19専門担当病院指定で初診と外来診療が完全に詰まった状態だ。
もちろん、地方自治体から「野宿者医療給付」の支援を受ける一部のホームレスは、
野宿者診療施設を利用することができる。
だが、医療給付支援を受けられないホームレスは事実上放置状態だ。
医療給付受給者ではないホームレスは、野宿者診療施設を利用することもできず、
経済的条件で一般病院・医院を訪問することも難しいからだ。
そればかりか、医療給付支援体系がある地方自治体は6か所に過ぎない。
また全国の医療給付者の97%がソウルに集まっていて、
地方のホームレスは医療福祉の死角地帯に置かれている。
ソウルは「野宿者1種医療給付」制度が用意されている。
だが受給条件が難しい。
△野宿者一時保護施設、野宿者自活施設入所者のうち
野宿者該当期間が3か月以上維持されたことが確認された人、
△国民健康保険に加入していないか6か月以上滞納した人という重複要件を充足しなければならない。
この基準を通過しても、
政府が野宿者診療施設に指定した医療機関を利用する場合にのみ医療給付の適用を受けられる。
ホームレス行動のイ・ドンヒョン活動家は
「野宿者医療給付制度は深刻な問題を抱いている。
まず野宿者当事者が難しい条件により、医療給付制度に入るのが難しい。
特に新規ホームレスがそうだ。
また医療給付を受けても野宿者指定診療施設がほとんど保健所なので、
効果的な治療を受けられない。
普通の人々は一般医療給付(国民健康保険)で近くの病院に簡単に出入りする。
ホームレスも簡単に一般病院に通える環境を作らなければならない」と説明した。
「私たちは1人かかれば皆死ぬ…」
政府が放棄した『適正住居』の保障
問題は適正住居だ。
適正住居がなければ個人の衛生を維持することができず、
コロナ19のような伝染病や疾病に脆弱になる。
ソウル市の2018年の野宿者アンケート調査結果によれば、
全野宿者の54.3%が身体に疾病を抱えている。
最近1年間、入院したホームレスは29.3%に達する。
そのため人権団体は当事者がホームレスから抜け出せるように、
政府が適正住居を保障することがホームレスのための最善の政策だと話す。
適正住居を享受できない韓国のホームレスはどれほどいるのだろうか。
保健福祉部によれば2018年12月基準、韓国のホームレスは1万801人にのぼる。
路上のホームレスは895人、自活施設ホームレスは1684人、
一時保護施設ホームレスは1047人、リハビリ療養施設ホームレスは7175人だ。
ホームレスに含まれないが住居脆弱階層に分類される簡易宿舎の住民も5664人にのぼる。
地域分布としてはソウルのホームレスが3628人(33.58%)で一番多い。
次は大邱の1014人、京畿947人、釜山784人の順だ。
割合にすれば全体の約91%が施設ホームレスだ。
2008年以後、ホームレス全体の規模は減ったが、
2018年の自活施設ホームレスは前年比101人、
一時保護施設ホームレスは53人増えた。
政府が施設を中心に行政を展開したためだ。
2019年の保健福祉部の「野宿者などの福祉事業案内」を読んだだけでも
別紙を除く全体分量210ページのうち132ページが施設に関する内容だ。
それでも政府がこれらの施設の全てに責任を持つわけでもない。
保健福祉部によれば、ソウルの野宿者リハビリ施設8か所のうち1か所だけが市立だ。
療養施設は6か所のうち3か所、自活施設は23か所のうち3か所だけが市立だった。
残りは民間が運営したり、政府が民間に委託して運営する形だ。
同じように「適正住居」を保障されない簡易宿舎の住民も、コロナ19に無防備だ。
簡易宿舎の住民たちは
「われわれは1人かかれば皆が死ぬ」と言う。
[1]
簡易宿舎が密集し、トイレも共用なので彼らが感じる伝染病の恐怖は格別にならざるをえない。
その上、最近竜山区東子洞と中区南大門5街洞の簡易宿舎の住民は、
開発によって「非適正住居」さえ維持できない危機に処している。
ヒョンジン活動家は
「適正住居が答だ。事実、『家のようではない家』で暮らすホームレスには選択の余地がない。
施設サービスが必要だが他にオプションがないことが問題だ。
簡易宿舎と考試院では建物の安全、窓の有無など、最低限の基準もない。
事実上、貧困層が利用するほかない臨時の住みかに対する別途の基準が必要だ。
また施設よりも独立した住居を保障して、ホームレスが福祉サービスを維持できる環境を造成しなければならない」と強調した。
[1] 簡易宿舎新聞2号、2020.3.16
原文(チャムセサン)
翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可( 仮訳 )に従います。
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Created on 2020-04-08 20:23:57 / Last modified on 2020-04-13 16:42:17 Copyright:
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