本文の先頭へ
LNJ Logo 韓国:コロナ19、ホームレスが頼っていた全てが消える
Home 検索
 




User Guest
ログイン
情報提供
News Item 202004002
Status: published
View


コロナ19、ホームレスが頼っていた全てが消える

[イシュー2]給食中断、強制退去、歴史椅子閉鎖まで

キム・ハンジュ記者 2020.04.01 09:46

(1) コロナ19、ホームレスが頼っていた全てが消える

(2) コロナ崖っぷちのホームレス…「適正住居が答」

#1ソウル駅

「ソウル駅にこれほどホームレスがいないのは初めてです。 今、警備員はコロナを口実に普段も邪魔な人だったホームレスを全ておい出しています。 警備が領域内だけでなく、ソウル駅の外の階段まで降りてきています。 コロナ以前にもお客さんが嫌悪感を感じるから、ここに行け、あそこに行けと言っていた警備員たちが、 コロナという完全な名分を得たわけです」。(記者をソウル駅近隣ホームレス生活地域に案内したA氏)

3月20日の晩、ソウル駅2階の待合室は閑散としていた。 列車の利用客も、ホームレスも眼に触れなかった。 いったいあれほど多かったソウル駅のホームレスはどこに行ったのだろうか。 あるホームレスと同行して、領域内に入ると、待合室のベンチが「接近禁止」のテープで囲まれていた。 ホームレスが座る椅子がまるごと消えたのだ。 奥まったところに何人かのホームレスだけがぼんやりと立っていた。 記者とホームレスが領域内を行き来すると「カラス」がついてきた。 何かがあれば追い出そうとする態勢であった (ホームレスは黒いサングラスと黒い服装のソウル駅の警備員を「カラス」と呼ぶ。 外部の警備員は2011年のソウル駅夜間野宿行為禁止措置の施行により、 韓国鉄道公社が雇用した)。 コロナ19確診判定を受けたホームレスはいないのに、 彼らはコロナ19を理由として済に押し出されていた。

2階の待合室は多くのホームレスが留まる所ではない。 ホームレスはカラスを避けて、列車の利用客の目を避けて、 流動人口が少ないところに追い込まれる。 彼らが主に留まる所はソウル駅と空港鉄道につながる場所だ。 普段は鉄道警察がホームレスを誘導する所でもある。 この場所にはカフェがあり、いくつかの椅子とテーブルが置かれている。 テーブルが高く、もたれて居眠りするのにいい所だ。 しかし現在、このテーブルと椅子には 「コロナ感染予防のために椅子の使用を中止します」という案内文が付いている。 テーブルも低くなって眠りにくい。 地下3階の空港鉄道改札口前のベンチも「接近禁止」を知らせる黄色いテープで囲まれていた。 ここは5人ほどのホームレスがいる所だった。 ある鉄道警察は「(ベンチは)3日前(3月17日)に閉鎖した。 野宿者の感染者は出ていないが予防次元でした」と説明した。

ソウル駅2番出口から延世セブランスビルまで続く地下通路。 ここには20人ほどのホームレスが集まっている。 流動人口が少ないため、ほとんどのホームレスがここに集まっていた。 ときどきここには「パンの列」ができる。 奉仕団体がここで簡単な食べ物を配るのでホームレスが付けた名前だ。 だが壁に貼られた案内文には 「コロナ19のために奉仕団活動が当分中断されます」と書かれていた。

「今晩はモチで間に合わせました。 ○○○(無料給食所)がくれたものです。 コロナのおかげでご飯がモチに変わったそうだ。 コロナのためだと皆不平を言っています。 モチも中で食べず、外で食べろと言われました」 (ソウル駅2番出口地下通路で会ったホームレスB氏)。

「6時頃に行くと夕食が食べられませんでした。 牧師が(食事は)終わったんですって。 ツエをついているので(他の人より遅く)しかたがありません。 腹がへっているのにどうすればいいのか」 (ソウル駅2番出口地下通路で会ったホームレスC氏)。

毎週ホームレス人権守備隊活動をしているホームレス行動と貧困社会連帯によれば、 コロナ19の拡散以後、多くの無料給食所が閉まった。 無料給食所、大切な人々の関係者は「ワーカーズ」との通話で 「ソウル駅一帯の無料給食所がほとんど閉鎖された。 それでまだ運営しているここでは普段の2倍の野宿者(400人以上)が押し寄せる」と説明した。 また飯とおかずなど調理された食物を配給していた給食所が カップラーメン、モチ、パンのように簡単な食品に変えることが増えた。 配給時間を短縮して運営する所もあった。

#2 龍山駅

龍山駅付近でホームレスが一番多く居住する所は、 龍山駅とアイパーク免税店の間に隠れた野外テント村だ。 3月13日の夜、龍山駅裏の茂みの間にある裏門を通ると 10数棟のテントが現れた。 龍山駅で会ったホームレスのD氏はこのテント村には15人ほど暮らしていると話した。 過去は30人近くいたという。

2月末、テント村に一枚の公示文が貼られた。 水曜ごとにここを訪問する奉仕団体が、 コロナ19のために無料給食を暫定的に中断するという内容だった。 ここのテント村には曜日ごとに異なる宗教や奉仕団体が無料給食をしにくる。 まだ給食を維持している団体があるが、 前のように毎日食事を取ることはできない。 D氏はコロナ19がはやく終わることだけを待っている。

別のホームレスのE氏は昼は竜山、夜には高速バスターミナルで生活している。 彼はコロナのために一日に二食も食べられないといった。 E氏は朝はカップラーメン、昼は弁当程度で間に合わせていた。 龍山駅はソウル駅と違い、無料給食所、診療所が特に少ない。 だから龍山駅のホームレスは街頭の給食か、直接給食所を探して行かなければならない。 今ここのホームレスは城南まで行って食事を解決していた。

「今は一日一食食べられればいいほうです。 清涼里側にある○○は閉まりました。 祭基洞の○○○○○聖堂は、前はご飯をくれたが今は弁当をくれます。 ご飯で給食するなという政府の指針があったそうだ (保健福祉部は2月25日、ホームレスが利用する無料給食所に 『できるだけ弁当で代替』しろという勧告事項を発表した)。 給食所の運営時間も短縮しました。 前は午前11時50分から午後2時ごろまででしたが、 今は午後12時から午後1時までです。 それでも閉まったところが多いので、450人程度がここに押し寄せます。 旧正月以後、ずっとこうした状況です。 SARSやMERSの時もこんなことはありませんでした」 (龍山駅待合室で会ったホームレスE氏)。

ホームレス行動のヒョンジン活動家は 「韓国の無料給食所はほとんどが民間委託の構造になっている」とし 「公営の給食所が少ないため、給食、医療の空白事態が繰り返して起きる。 これまで地方政府は給食所の場所だけを貸して、 宗教や奉仕団体がその場所を運営した。 こうした構造では質が良い給食、安定した給食を提供できない。 一日三食を安定して提供する公営の給食所が必要だ」と説明した。

#3 野宿者自活施設

F氏は水原のある野宿者自活施設で暮らす宅配労働者だ。 野宿者自活施設は野宿者福祉法により、ホームレスの自立のために 職業相談、訓練などの福祉サービスを提供し、入所者の衣食住を保障する所だ。 3月24日、F氏は施設から事実上強制退去させられた。 施設がコロナ19の拡散防止のために入所者の外出を禁止して、 外に出勤する入所者は施設に入ることができないと通知したためだ。 彼はホームレス行動と共に施設に対して3月9日、国家人権委員会に陳情を出した。 現在施設から追い出された彼は考試院で過ごしている。

彼は出所も退社も選べなかった。 施設出所として処理されれば医療支援が切れる。 彼は医療支援で血圧薬を服用していた。 1か月に約3万ウォン分だ。 施設ホームレスなので薬の価格には耐えられない費用だ。 もし退社すれば生計が詰まる。 これまで彼は働いて生活すると決心して昼も抜いて朝7時から宅配労働をした。

「コロナ19が危険なことは分かります。 それでもどうにかまた暮らそうと施設に入所して一生懸命働いている人なんです。 職場をやめて施設の中だけで過ごすのか、でなければ働いて外で暮らすのか、 対策なく二つに一つを選択しろというのはやり過ぎです。 コロナ19が心配なら、施設が入所者に住居支援をして、 一定期間外に出られるようにできないですか? 自活施設がまた立ち上がろうとする人を押さえつけてはいけません。 とても怒りを覚えました」(H野宿者自活施設から退去させられたF氏)。

F氏だけではなかった。 F氏を除く15人の入所者のうち2人が同じように追い出された。 F氏によれば、他の二人は自活施設がつながるリースタルト事業団に属する労働者で、 施設から追い出された後、旅館の部屋で過ごした。 F氏はこの問題を水原市庁に提起したが、 せいぜい一か月分の考試院の住居費用の支援を受けるだけだった。 市庁主務官は1か月後には自立するとだけ言った。 また住居費用を支援した事実も他人には知らせるなと付け加えた。 彼は3月24日には考試院からも追い出される境遇だ。 他の自活施設は新規入所者を受け付けないといううわさもあって、不安だ。

チャン・ソヨン弁護士は事件の陳情を出しながら 「野宿者福祉法第21条は、野宿者を強圧的に出所する行為を禁じている」とし 「特に強制出所の場合は事由と手続きを厳格に規定している。 出所審査を当事者に要請しなければならず、審査委員会を経なければならない。 施設生活人は不当な事由で出所させられない権利があり、 これを保障するために施設生活人に出所の事由を説明して、 意思決定の過程に生活人を参加させなければならない。 この事件の場合、施設が生活人の衣食住などの基本的な保護を怠る放任行為に該当する」と指摘した。

F氏が人権委陳情を提起した後の3月10日、該当施設は彼にまた戻れと言葉を変えた。 それと共に「施設が強制的に送りだしたのではない」と抗弁した。 彼は嘘をつく施設には戻らないと通知した。 彼を除く他の2人は施設に戻った。 振り返ると彼はMERSの時も他のホームレス施設で同じ事を体験した。 その時は問題を提起する人がいなかった。 ただ施設から追い出され、伝染病が静まった後にまた戻った。 彼は二度とこんな差別を味わいたくないと思って人権委の陳情手続きをする計画だ。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2020-04-08 20:23:57 / Last modified on 2020-04-13 16:41:42 Copyright: Default

関連記事キーワード



世界のニュース | 韓国のニュース | 上の階層へ
このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について