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News Item 201907010
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性暴力と性搾取に連結する韓国と日本

[ワーカーズX韓サ性]

リア(韓国サイバー性暴力対応センター) 2019.07.03 12:55

京都に行ってきた。 PAPSと会うためだった。 PAPSは"People Against Pornography and Sexual violence"の略語で、 ポルノ被害を重点的に扱う日本の市民団体だ。 韓サ性は昨年からサイバー性暴力被害を支援する海外の団体とMOUを結んで国際連帯体を構築しているが、 PAPSもメンバーの一つだ。 ただしPAPSは被害相談のほとんどが商業ポルノになっている。 入ってくる相談の7〜80%がポルノ被害、残りの30%程度が性売買関連の被害だ。

PAPSはポルノの製作、流通、販売、消費、社会的存在などで発生する性的被害を 「ポルノ被害」と規定する。 商業ポルノの製作および流通が活発な日本で、 不法撮影と非同意流布の問題はポルノ被害に配分される。 ポルノ製作過程での不当な契約と暴力的で危険な行為を強要されること、 そして不法撮影が共に「製作被害」にまとめられ、 この製作被害物を流通、流布することを「流通被害」という。 流通している製作被害物を所持し視聴すること、 脅迫に使うことなどによる被害は「存在被害」だ。

こうした被害の分類によれば、 ポルノグラフィーと不法撮影物はこの世界では同じ意味と読める。 つまり「ひそかに撮影された女性と同意の下で撮影された女性は同じ扱いを受け、 同じ方式で取り引きされ、互いを代替することができる、 同じ機能を持った商品として存在している」という言葉の別の表現のようで興味深い。

その他の家庭および職場などでポルノ視聴を強制されたり、 ポルノに出てくる行為を強要されるなどの「消費被害」、 あまりにも蔓延したポルノのために女性全般の尊厳性の毀損を経験する 「社会的被害」のように直間接的な影響を受ける被害の種類もある。

実際に私は今回の訪問でPAPSが言う社会的被害がどのようなものかが推察できるようになった。 おやつの材料を買うためにコンビニに立ち寄るたびに、 そこに置かれた雑誌の状態が非常に良くないことを目撃した。 中高生たちが読むような雑誌にも露骨に幼児を性的対象化する写真が載っているなどの問題があったが、 成人雑誌の深刻さに比較すれば僅かな水準だった。

ポルノセクション(と見られる)陳列台のまん前には薬か酒に酔ったように 目をとじて道端に倒れている女性の写真を表紙に使った雑誌が、 そしてその後ろには肌を露出した女性を表示にした雑誌が隠されていたが、 服は着ているソフトなイメージでハードなイメージを隠そうとする それなりの原則が伺えるようだった。 だから、ここではいわゆる「サザエ(訳注:酔った女性)」を暗示する写真が 「誰に見られてもいい」と通用すると解釈してもいいのだろうか?

確かにこうした環境は女性と児童・青少年にとって悪い影響を及ぼす恐れがあるものと見られる。 セックスを厳粛に扱わなければならないという立場を支持するのではないが、 本当に「性的に自由だから」こうした雑誌が公共に展示される社会だとすれば、 ただ女性だけがこうして一方的な性的対象として再現されていないだろうからだ。

大阪の性売買集結地

京都に滞在している間、一番心に残ったのは 最終日の夜、PAPSと一緒に大阪の有名な性売買集結地を訪問する日程だった。

出発する前に、そこの地図と価格表を受け取った。 抱主が直接広報のために作って配布しているという。 ぎっしりと描かれた四角の横に20分に16000円という文字が小さく記されていた。 驚いたことに、日本も韓国のように性器を挿入する性売買が不法な国だ。 そのため業者はみんなレストランとして申告されており、 そこでおきることは「飲食店の従業員とお客さんが偶然に愛しあって発生する」、 「ロマンチックな」ことと包装される。 しかし活動家たちは 「16000円という価格を見れば、誰でもここで何が取り引きされているのか分かる」とした。

私たちはきれいに掃除された通りから抜け出して、 古い市場のような路地の中に歩いて入った。 道の両側には小さな酒場がぎっしりと並び、 中にいる人々の上半身ぐらいを隠す扉のすきまから歌を歌う女性たちと男性たちが見えた。 「日本の集結地はこんな感じか」と思っていた時、 先を歩いていたPAPS活動家が後ろを振り返りながら立ち止まった。 「ここでちょっと注意事項を伝えます。この先から始まります」。 彼の肩の向こう側に月のような電灯がたくさんかけられた どことなく奥ゆかしい木造の建物が目に映った。

そこからは本当に全く違う風景が繰り広げられた

明るい照明を受けながら、おとなしく座っている若い女性1人、 その面倒を見ているように見える年配の女性1人が考試院のように分れた部屋ごとにいた。 私が通り過ぎるたびに年配の女性が若い女性の顔をうちわで隠した。 同行人がPAPSの男性活動家に顔を隠す理由を質問すると、 彼は質問を理解できなかった。 男性が通り過ぎる時は顔を隠しているのではなく、客引き行為をするためだった。 顔を隠さなくてもいい他人として出会わなければならなかったという気がした。 このままでは彼らについて何を書いてもとても失礼になってしまう。

できる話をするとすれば、そこが私にとって、 「わあ、夢のようだ!」、「もう一度するか?」という韓国語を聞ける空間だったという点だ。 20代の韓国の男たちが浮き立った状態で歩き回り、私たちに会ってハッとした表情になった。 彼らは目をそらしながら、私の横を通り過ぎた。 私は抱主が建てた「レストラン組合」のビルに「非常時はここに待避してください」というハングルの看板がついているのを見ながら、 韓国人購買者の投稿を検索した。 「ちょっとしたAV女優に劣らないお姉さんが多い」、 「AVのようにしたくて行った」、 「夢を実現した」という掲示物があふれた。 実際にポルノ業界で失敗した女性がこの集結地にきて、 ここでお金を稼げない女性はポルノ業界に行くというのだから、 「ポルノを実現した」という韓国男性の歓声はかなり事実に近い感覚であろう。

ポルノを擁護する人々は、 性暴力犯罪者のハードディスクからばく大な量のポルノグラフィーが発見されたというようなニュースに憤慨しながら 「ポルノを見て本当にそうすると思うか、 成人男性は現実と仮想を区分できる」と主張したりする。 しかし問題は常にひとりであってもも「本当にそうなりたくて」するということ、 そしてポルノを実践しようと思う男性がひとりではないということだ。

いや、初めからポルノが「仮想」だったことがあったのだろうか。 現実の女性に直接加えられる行為を撮影した映像を見て、 その行為をまた他の女性にしてみたくなって 「AVの中の彼女」の物理的実体を求めて韓国から日本まで来た人が、 これほどたくさん存在するのだろうか?

頭の中がごちゃごちゃになった状態で韓国に戻った。 その時、私の目を避けた男を殺せなかったこと、 殺してはいけないという事実がとても残念だった。[ワーカーズ56号]

原文(ワーカーズ/チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2019-07-04 06:00:19 / Last modified on 2019-07-07 02:50:15 Copyright: Default

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