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「21世紀の社会主義」を飲み込んだ資本主義、新しい階級矛盾と特権層[ワーカーズ]ベネズエラ危機、社会主義ではなく資本主義が問題
チョン・ウニ記者 2019.04.11 11:48
▲マドゥロ大統領が医薬品分野への投資を宣伝している。/ venezuelanalysis.com 二つの市場ベネズエラ輸入業者Aは米国から100トンの小麦を輸入しようとしている。 彼は政府に輸入申請書を書いた後、 約30万ボリバールを払って2万4000ドルを受けた。 生活必需品の輸入を支援する政策により、1ドルあたり12ボリバールという低金利で買ったドルだ。 だがAは小麦100トンを輸入する代わりに30トンだけを輸入し、 残ったドルは海外の銀行に逃避させたり闇市に出す。 闇市では1ドルが22万8千ボリバールで売れるので大きな収益をあげられる。 そして持ってきた小麦30トンのうち10トンは政府に、 残りの10トンは闇市に、そしてそれ以外の10トンは国境を超えてコロンビアに行って売る。 政府には申告価格で販売するが、闇市に出した小麦は大儲だ。 政府の外国為替の恩恵のおかげでコロンビアでもマージンが大きい。 食糧商売が麻薬よりいいという言葉が何の理由もなく出てくるのではない。 政府が買った10トンのうち8トンは、 いわゆる「21世紀の社会主義」のシュプレヒコールをあげていた 政府の官僚や与党、公共事業の関係者に行く。 彼らはエンチュファドス(enchufados)、つまり「連結する者」と呼ばれる。 残りの2トンは公共マーケットで低価格で販売される。 結局、小麦の輸入量が100トンから2トンに大幅に減ったため、 人々は公共マーケットの前で何時間も待つが、徒労になることが多い。 最近では公共マーケットで買える物も殆どない。 中産層地域を除けば、民間マーケットで買える物ははるか前にすっかりなくなった。 たびたびマスコミで報道された空っぽの民間マーケットの陳列台のようにだ。 政府が25種の基本食糧に対しては固定価格政策を行っているから 輸入業者は民間マーケットを越えて闇市に持ち出して売る。 もちろん価格が固定していない高価な商品は民間マーケットに並んでいる。 ベネズエラ政府は誰でも基本的な生活を送れるように物価を統制した。 「21世紀の社会主義」を代表する政策で庶民の憂いを大きく減らした。 だが官僚主義と結託した資本家階級はこれを無力化し、闇市、つまり資本主義の原理でそれも暴利が可能な彼らの市場を作った。 そのために政府が価格を統制する市場はもう死んだも同様だ。 その代わりに闇市が事実上の取引所に代替された。 ベネズエラ財閥の輸入業者が価格を上げて卸小売業者が物を出せば、 一般庶民は泣き寝入りして生きるしかない。 それもむちゃくちゃ高い価格で、とうもろこし粉や豆のようなものが買えるだけだ。 税関員や公共サービス運営者などの公務員や地域政治家、 軍隊すべてが絡んでいるから可能なことだ。 超インフレで、状況はさらに切迫する。 ベネズエラ政府は2016年からインフレ率を発表していないが、 IMFによれば今年のインフレ上昇率は1千万%に達するという。 インフレが劇的な理由は、輸出収入と輸入物資ともに急減したためだ。 ベネズエラの輸出収入、つまり外貨収入の96%は石油から出る。 しかし石油輸出収入が2012年から2016年の間に 978億ドルから274億ドルに下がった。 理由は同じ時期に石油価格が1バレル110ドルから30ドルに暴落したためでもあるが、 石油生産量自体が急減したためでもある。 2000年代以後、石油生産は一日約350万バレルから120万バレル以下に下がったが、 インフラ投資不足が主な原因と指定されている。 石油輸出収入が減少すると他の産業部門も下がり始めた。 農業と製造業などさまざまな部門の生産量が下がり、 昨年ベネズエラのGDPは18%まで下がった。 国家予備費も2012年の水準から40%減った。 ベネズエラ危機は数年前から報道されていたが、 現在その程度ははるかに深刻だ。 人口の90%が十分な食べ物を摂取できず、 昨年ベネズエラの平均体重は11Kg減少した。 牛乳消費は半分に減り、医薬品不足については有用な資料がないほどだ。 チャビスモ(Chavismo、チャベス主義)の成果これが21世紀の社会主義を語ったベネズエラの現実だ。 この危機について現在、ドナルド・トランプ米国大統領を筆頭として 西欧と右派言論は社会主義が問題だとし、左派たたきに余念がない。 しかしこの危機の原因は社会主義ではなく、 ベネズエラを飲み込んだ資本主義にある。 チャベスもまたこれに積極的に同調したという点でその責任は重い。 国際左派陣営ではそもそもチャビスモが社会主義勢力ではなかったという批判もあるが、 新自由主義に対抗する一連の闘争を低評価することはできないだろう。 1999年に執権したウゴ・チャベスは新自由主義が全面化した当時、 これに対する政治的代案に動き、世界的な注目をあびた。 新自由主義構造調整に対抗して3千人以上が犠牲になった1989年のカラカソ蜂起とその後続いた10年の闘争に力づけられた下からの変革だった。 その後2005年、チャベスは自分の政治プロジェクトを反帝国主義のラテンアメリカ主義の ボリバリアン革命で21世紀の社会主義と呼び、 右派には敵で、左派には現実社会主義の代案を作る実験として注目された。 実際にチャベスは当時、新自由主義世界化の流れに逆行して任期を始めた。 まず1999年のボリバリアン制憲の過程で、一般民衆の参加と自治を強化した。 この過程は特に特定の専門家ではなく疎外された広範囲な人々の討論で採択されたという点で意味が大きい。 さらに重要な変化は、民営化を前にして国営石油会社PDVSAをはじめ、 主な産業を再国有化したことだ。 右翼はクーデターを試みて資本全面ストライキや弾劾を試みたが、 貧民層が大衆デモなどでチャベスの政治を復権させた程、 それへの支持は大きかった。 そしてチャベスは石油の収入で「ミッション」と呼ばれる 多くの社会福祉プログラムを支援した。 2011年、絶頂期には、社会プログラムはPDVSAで396億ドルが使われ、 さらに危機に突入した2013年から2017年までも100万軒以上の社会建設住宅が 低所得層に委譲された。 「21世紀の社会主義」を主張して明言した「コミューン国家」プロジェクトも 注目すべきだ。 21世紀の社会主義の概念は具体的ではなかったが、 その目標は共同体評議会をはじめ、さまざまな形態の草の根民主主義に基づく 社会主義体制を建設することだった。 チャベスはこれを通じて国家の強化、経済多角化、地域と企業での労働者共同管理と 協同組合および共同体評議会の拡大を追求する計画だった。 反帝国主義路線を採択したことも重要な動きであった。 ベネズエラはキューバに石油を供給し、 キューバはベネズエラの貧民街を中心として14万人の医師と技術者を送るなど、 両国関係を強化した。 また、南米諸国連合(UNASUR)などの領域内同盟を強化することに寄与し、 この地域の各国でのクーデター試みを予防するために重要な役割を果たした。 その反面、イランやトルコなどの反動的な政権とも近い関係を結んだ。 ベネズエラは世界的には非同盟運動の伝統をついで アフリカやアジア諸国との関係を固めた。 構造的な問題しかし、全てがますます歪み始めた。 まずチャベス政府は石油に依存した経済を多角化するといったが、 むしろ石油への依存度を強めた。 結局、世界経済危機と主要産油国間の対立の中で、 2013年に始まった石油価格の下落で直撃弾を受けた。 2002年と2011年の間にベネズエラの石油依存度は86.2%から95.5%に増加した。 世界資本主義市場経済に従属する抽出経済を多角化し、 自立経済を実現しなければならないという声や、 自然搾取と環境汚染、地域住民の生存権問題が続いたが、政府は抽出産業に偏った。 これにより肥沃な土壌や気候、 少なからぬ労働力にもかかわらず、 生活必需品の約70%を輸入しなければならない状況だ。 対外政策では反帝国主義を叫んだが、 超国籍資本はベネズエラでむしろ高い収益をあげた。 最近、ベネズエラの「社会主義」に対し、 ドイツのローザルクセンブルグ財団で研究発表したラウル・セリックの報告書によれば、 GMは2004年から2012年までに合計59億ドル、トヨタは30億ドル、フォードは26億ドル、 そしてアメリカン航空は19億ドルを持っていった。 政府は生活必需品と医薬品収入に適用される外国為替の恩恵を、 海外旅行や自動車購買など中産層の消費にも適用した。 資本家やブルジョア階級が所有する富への社会的統制もやり抜けなかった。 むしろ彼らは新しいチャビスモ特権層と共に闇市を拡大して通貨市場を撹乱し、 海外に彼らの利益を投資した。 コミューン国家プロジェクトは国家機能強化を除けば、 キャンペーン水準を越えられなかった。 協同組合は創立されたがすぐにつぶれ、 共同体評議会はいくらも経たずに政府の業務を命令される構造に編入された。 企業国有化はほとんどの所で生産の減少につながり、 労働者共同管理は幹部の抵抗と労働者の関心不足で失敗した。 政府の統計によれば、2005年の労働者共同管理キャンペーンの一環として 18万個の新規事業体が設立されたが、このうち3年後まで続いたものは殆どなかった。 政府は2004年から食糧生産を刺激するために大規模な土地改革を試みたが、 これも失敗した。 国営の耕作地と未使用の土地が農民に委譲されて、 融資と機械、インフラ施設が提供された。 しかし1年後、ほとんどの地域で農業協同組合はつぶれた。 2009年に農民200人以上が死ぬ程、大地主が激烈に抵抗したためでもあるが、 右翼野党圏だけでなく、地域政府や司法府もこれに反対したのは同じだった。 ベネズエラミッションも過大評価されていたという指摘がある。 国連の中米・カリブ経済委員会(CEPAL)によれば、 ベネズエラは2005年から2012年の間に37.1%から25.4%へと貧困率が下がったが、 新自由主義政権のコロンビアとペルー、社民主義のブラジルも 貧困退治運動で似たような成功を収めた。 ペルーは貧困率が同期間に52.5%から25.8%、 コロンビアでは45.2%から32.9%、 ブラジルでは36.4%から18.6%に落ちた。 結局、この地域で貧困退治が同じように成功した理由は、 原資材輸出費が上昇したという類似の経済的背景のためという。 危機を悪化させたマドゥロ政府2013年3月5日のチャベスの死後、4月14日に実施された大統領選挙で ニコラス・マドゥロ大統領は1.6%という僅差で執権に成功した。 そうしたマドゥロは緊急な経済問題を解決し、 貧困と不満を解消するのではなく、 政権維持の方に関心を傾けた。 経済問題には米国と野党圏を批判してイベント式の短期事業に留まった。 チャベス時代から軍隊と民衆多数の支持を得ていたが、 資本家階級に対する挑戦や腐敗退治、または無意味な補助金の廃止に取り組まなかった。 軍隊も政府機関も信頼できなかったマドゥロは、 結局民衆よりも自分の政権を守るための決定に偏った。 特にマドゥロの政治的危機は、2015年の総選挙で野党に敗北した後、 さらに深刻になった。 右翼が率いる国会も、経済危機や電気および物資不足、犯罪増加などに対する解決策を提示できなかった。 その代わりに右翼の人々の釈放と暴力を扇動することに没頭した。 マドゥロは制憲議会選挙を高い投票率で成功させたが、 1999年のチャベス政府の当時、民衆的な討論に基づいて実施した制憲過程とは違い、 これという討論も代案も出せなかった。 またマドゥロ政府は不足した予算を埋めるために丹念に負債を返し、 超国籍金融資本と企業にも頼った。 統合社会主義党(PSUV)が政治的統制の手段になったという批判も大きい。 チャベス大統領が2006年にPSUVを設立した時、 この政党は21世紀の社会主義計画を追求する基盤だった。 しかしPSUVは初めから反対意見と論争を厳格に統制した下降式モデルとして設計された。 PSUVが配給部門を買収した後には政治的忠誠と食糧を交換したという批判も出てきた。 2017年には共同体評議会の選挙に与党PSUVの党員だけが参加できると公表し、 信頼はさらに下がった。 マドゥロは2018年、また大統領選挙で勝利したが、 政府の支持者が野党との浮沈の中で選挙機関CNEを占拠したままで行われ、 この結果にも疑問が提起されている。 政治と経済に対する軍部の影響力も増加した。 2017年の危機以前にも、内閣の半分以上だけでなく、 軍部出身の要人が州知事の半分になった。 2019年1月、初めてチャビスモの歴史的基盤であるカラカス貧民村まで広がったデモで 警察が暴力を振るった事件は、 マドゥロ政府の正当性の損失がいかに大きいのかを傍証する事件だった。 社会主義でなく資本主義が問題結局、チャビスモ政府は新自由主義に対抗した代案として社会主義を選択したが、 資本主義を社会化する意志や戦略ではなく、 政権維持のほうに関心が高かったのだ。 それと共にチャベス執権の初期から反撃した資本家階級同盟が結局、 社会主義経済制度をすべて無力化させ、これを資本主義的に再編することに成功した。 そしてチャビスモ政府の官僚主義は彼らと結託して新しい特権層になった。 結局、ベネズエラの資本家階級はチャビスモ政府でさらに大きな利益をあげ、 その苦い代価はチャビスモを支持した庶民に跳ね返った。 現在のベネズエラは米国が後援するグアイド勢力により、 さらに大きな危機に陥っている。 そして彼らからはベネズエラの民衆の苦痛を減らすような展望は見られない。 米国や多国籍企業はまた新自由主義政府になり、 ベネズエラの巨大な天然資源に自由に接近できる時を待っている。 極右と右翼が勢力を伸ばしたラテンアメリカ地域の情勢も不安だ。 21世紀の社会主義の将来は、相変らずカラカソ蜂起を起こしたベネズエラの民衆にかかっている。 [参考資料]https://www.rosalux.de/publikation/id/40136/sozialismus-1/https://www.jacobinmag.com/2017/07/venezuela-maduro-helicopter-attackpsuv-extractivism-oil https://www.greenleft.org.au/content/venezuela-why-capitalism-notsocialism-blame-corruption https://www.leftvoice.org/No-Venezuela-Was-Never-Socialist 翻訳/文責:安田(ゆ)
Created byStaff. Created on 2019-04-16 19:11:55 / Last modified on 2019-04-27 01:07:42 Copyright: Default 世界のニュース | 韓国のニュース | 上の階層へ | |