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難民女性、戦争と暴力に追われて韓国にきたが

[ワーカーズ・イシュー(2)]国際女性デー特集(1)

チョン・ウニ記者 2019.03.06 13:15

[編集者の言葉]韓国にいる難民の数は約4万人だ。 このうち約20%女性だが、彼女らの話はなかなか注目されない。 昨年、難民対国民、または難民対女性の構図で論争になった当時もそうだった。 国際女性デーを契機として韓国の難民女性の条件を調べる。

[イシュー順序]

(1) サッドエンドで終わった難民女性の韓国結婚生活

(2) 女性難民、戦争と暴力に追われて、大韓民国にきたが

(3) 朝鮮半島の平和? 戦争支援国の武器隊長、文在寅

[出処:https://en.wikipedia.org/wiki/Fl%C3%BCchtlingspolitik]

「お母さん、私たちが何か悪いことをしましたか? 監獄にいるかのようです。」

仁川空港に抑留された時、小さな子供が話した。 サラ(仮名)氏は昨年3月、二人の子どもと共に韓国行の飛行機に乗った。 反政府活動を問題にした本国の警察の逮捕を避けて選んだやむをえない選択だった。 そんなサラ氏をむかえた韓国の最初の一言は「君たちの国に戻れ」だった。 空港の入管職員の言葉だった。 彼は8日間、仁川空港に抑留された。 窓がない蛍光灯の下で昼を過ごし、夜には冷たい床に横になって眠らなければならなかった。 数日後、生理が始まったが毛布一枚得ることもできなかった。 拘禁が終わって外に出ると、子供が「お母さん、太陽だ」と感激した。 子供たちはすでに故国と亡命の途中で多くのことを体験した。 サラ氏は「今は自分だけではないが、また苦しい人生に子供たちを連れてきたんだな」と考えた。

迫害を避けて、韓国に脱出してきた女性難民は、空港でもうひとつの苦痛と向き合う。 例えば仁川空港や済州空港はどちらも女性難民に生理用ナプキンのような女性用品を支給しない。 済州空港は難民を性別で分けて抑留するが、男性がいつでも女性の部屋に行くことができる。 女性難民が子供と一緒にトランジット区間の授乳室や保育所にも入ると追い出される事例もある。 空港で繰り返される女性難民の受難を、当事者と難民人権活動家の意見を中心に調べた。

女性難民、見えない人々

韓国にいる難民は約4万人だ。 このうち約20%の女性のほとんどはサラ氏が体験した話を共有する。 しかしどこでも女性難民の話はなかなか目につかない。 昨年、イエメン難民のニュースが伝えられた時もそうだった。 突然「難民対国民」、「難民対女性」という構図で火がついて、 女性難民は見ないふりをした。 難民嫌悪の論理の中に「女性」は「内国人」として正体化され、 「男性難民」が「内国人女性」の安全を威嚇するといやがらせをした。 難民は加害者になり、内国人は被害者になる論理。 しかしこの論理は、一般的には無視される内国人女性の被害を唯一強調しつつ、 難民は男性化して、女性難民の存在は消すという二重の矛盾を持っている。

女性難民の割合が少ないのは事実だ。 しかし女性難民数は毎年増加している。 難民全体の中でも増加幅は増加している。 政府の難民統計現況によれば、女性難民の数は2010年に全体423人のうち64人で15.1%だったが、 2017年には全体9942人のうち2117人で21.3%を占めた。

家父長制の反復記号

それでは女性難民たちは韓国でどんな状況に置かれているのだろうか? 女性であれ男性であれ、すべての難民の状況は容易ではないが、 女性難民の運動場はより一層険しい。 彼女らはすでに故国で政治と宗教、戦争による迫害を受け、 ジェンダー暴力の犠牲者に追われ、 さらに険しい道を歩まなければならない場合が多い。 しかも、逃げて身を守りつつ、暴力と搾取、性暴力危険にさらされ、 韓国に到着した後もジェンダー暴力から自由ではない。

「女性難民が家庭暴力を訴えたケースがありました。 その後、夫は故国に帰ってしまったが、 妻の難民申請事由が夫に従属していて、 狭い難民コミュニティで知らないまま生きていくことも、生計も難しく、 妻も本国に帰りました。 家庭暴力はどこでも起きる問題なのに、 女性難民の場合にはさらに脆弱です」。 ――チョンヒョン韓国移住人権センター活動家

「割礼を受けたある女性が娘と共に難民申請をしましたが、 二人とも認められませんでした。 韓国政府は母がすでに割礼を受けたので、もう危険はないと見ました。 娘だけは危険が認められ、人道的滞留の地位を受けました」。 ――キム・ヨンア アジア平和に向けた移住MAP代表

女性は家父長制の迫害から逃げて難民になっても、 韓国でもうひとつの家父長制と出会う。 難民申請事由にその事例を確認できる。 女性難民はたいてい配偶者や両親が保護する家族構成員と見なされ、 「保護者」に難民申請事由も帰属する。 そうなると、女性難民が「保護者」とは違う別の難民事由があっても、 難民審査で扱われない。 一例として、配偶者が政治的な迫害を受けて韓国に逃げてきたある女性難民は、 本国で報復性強姦にあったが、これは難民審査の過程では扱われなかった。

難民認定事由としてジェンダー問題が扱われる場合もめずらしい。 代表的な事例が女性割礼だ。 女性割礼を理由として難民地位を申請した事例があるが、 立証が難しいという理由ですべて拒否された。 女性割礼はお母さんや叔母、所属集団の女性指導者がすることが多いが、 そのような場合は迫害ではないと解釈される。 物質的な証拠を重視する審査手続きのため、立証が難しいのだ。 割礼を理由として難民を申請する場合には、普通、人道的滞留地位しか与えない。

同じように性暴力被害を主張するのも難しい。 内戦や独裁の状況で性暴力を受けても証拠を提示するのが難しいからだ。 性暴力や性拷問を体験した難民申請者が心理的に安定してインタビューを受けられるような配慮もない。 最近でも女性難民審査を男性がすることが多かった。 これ以外にも命を威嚇する家庭暴力も難民事例と認められない。 MAPのキム・ヨンア代表は 「国内難民政策はジェンダー認知的観点に基づいた統計さえないほど女性難民に脆弱なのが事実」とし 「国会でも難民法改正を議論しているが、性認知的な観点で改正が語られることはない」と指摘する。

[出処:チャムセサン資料写真]

口先だけの求職許可、出産と育児は無対策

「4人家族が使う最小生計費は200万ウォン程度です。 家賃と電気代などをすべて合計すれば120万ウォン、 これに食費として50万ウォン程度使います。 仕事を見つけるのが難しいのはビザのためです。 故国の知り合いの助けで何とか粘っています」。 ――仁川に居住する50代の女性難民

女性の難民申請者は求職にも多くの困難を経験する。 難民申請をしてから6か月経つと単純労務職種に限り就職できるが、 これは多くの女性にとってはただの形式的な言葉でしかない。 最大の原因は育児だ。 普通、女性が育児をするが、子供を預ける所を見つけるのが難しいためだ。 しかもシングルマザーの場合は求職の可能性がさらに少ない。 女性は、本国の迫害で配偶者が失踪したり死亡して、 残された家族に加えられる迫害から逃れてくる事例が多く、シングルマザーが多い。 だが彼女らの自立を助ける努力は全くない。 韓国移住女性センターのチョンヒョン活動家は 「仁川地域の幼稚園費は普通4〜50万ウォンで、費用も問題だが職場を見つけても そのうちに辞めることが多い」とし 「長時間労働が原則だからだが、 フルタイム業種で働ける程に子供を預かってくれる機関がない」と説明する。

労働することができても低賃金の職種の他には仕事を探すのが難しい。 事業主が女性難民の服装や文化的慣習を侵害する事例も頻繁だ。 ハラールの食事が保障される場合は殆どなく、 ヒジャブを禁止したりもする。 セクハラや性暴力、性暴力にも露出している。

経済的な自立の機会が劣悪なので、生計や住居問題によって女性難民が韓国の男性や他の難民、 または他の出身地の外国人と会って一緒に暮らすことが多い。 生計を依存するので性搾取にあったりもする。 難民人権センターのキム・ヨンジュ弁護士は 「女性難民が経済的に活動できる条件がきちんと保障されていない」とし 「外国の場合は片親や、女性一人の場合は義務的に優先して支援するが、 韓国はそうではない」と指摘する。

「ある日、ある女性難民が一緒に子供の学校に行ってくれと頼まれました。 入学できるのか知りたかったのでしょう。 学校に行って、韓国が中学校まで義務教育なので、 未登録の子供でも入学をさせなければと説明しました。 その時、始めてこのお母さんの子供は入学できました。 一緒に学校にきた後、難民お母さんがとても泣かれたのを思い出します」。 ――公益法センターアピール キム・セジン弁護士

しかも難民家庭の出産と育児に対しては何の政府対策もない。 そしてこれはそのまま女性難民の負担になる。 まず、ここで生まれた子供は、両親が難民の地位を受けられず、 身辺の安全ために自国の大使館に行って出生申告もできなければ無国籍者になる。 難民認定や人道的滞留の地位を得ても、 難民の子供たちには進学通知書がこない。 政府が多文化センターを運営しているが、 これも結婚移住女性に集中しており、 女性難民は利用できない場合がある。 たまに民間の支援を受ける難民があるが例外的なケースだ。 今年から人道的滞留者も健康保険に加入できるようになったのは、 それでも幸運だ。

政府が一時的に支援する補助金でも、育児問題はきちんと考慮されていない。 政府の生計支援金審査で脆弱性が認められれば、 難民申請者は最長6か月に40万ウォン程度の支援が得られる。 もちろん支援を受け取る難民の割合は申請者の3%しかいないが、妊婦も例外ではない。 一例として妊娠したある女性難民は、何の生計能力もないのに 生計費の支援が受けられなかったので、訴訟をして一部だけ支援を受けることができた。 勝訴した理由も妊娠のためではなかった。 裁判所は政府が生計費支援を携帯メッセージで通知したことが問題だとした。

誰もが安全な社会

男性化された難民の議論の中で隠された女性難民。 しかし彼女らが韓国で暮らすために越えるべき敷居はあまりにも高い。 その敷居はジェンダー階層や暴力、雇用と育児問題という、 韓国の先住民女性が取り組んできた男性中心の家父長制が作った障害で、 それを最も底辺で経験しているのだ。 結局これに注目せず、難民対国民や、女性だという論理だけを突きつけるのなら、 女性難民の立場さらに狭くならざるを得ない。

そのため難民を支援してきた活動家たちは、 最も脆弱な女性難民との連帯がさらに重要だと話す。 韓国移住人権センターのチョンヒョン活動家は 「アラブの女性が本国で差別されたり、アラブ男性が性暴力を行うとして男性難民に反対すれば、 女性難民について何を考えているのか気になる。 この論理は正当ではない」と指摘する。 またMAPのキム・ヨンア代表は 「われわれは公正性を考えて、 女性は韓国の男に、男性は女性と外国の男性に邪魔されると考えるが、 競争の中で一つ二つにやっと排除するのではなく、 誰もが安全な社会を共に考えるべきではないだろうか。 最も脆弱な女性難民とともに暮らす方法を探しながら、 これを促進することができる」と話した。[ワーカーズ52号]

原文(ワーカーズ/チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2019-03-11 22:07:19 / Last modified on 2019-03-11 22:14:07 Copyright: Default

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