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朝鮮半島の危機と不安定性は、すべて米国の責任

[ワーカーズ 朝鮮半島]朝鮮半島の平和のための全面的な対話を始めよ

ペ・ソンイン 2017.11.06 10:31

米朝間の「言葉爆弾」が消え、朝鮮半島を覆った最悪の危機状況はひとまず停止した。 韓国銀行が10月27日に発表した消費者動向調査の結果を見れば、 消費者心理指数(CCSI)が3か月ぶりに反騰したというので、 これまで心理的には非常に不安な日常だったのだろう。 朝鮮半島危機に対する大衆の不安定性は、常識的・理性的な側面での戦争の可能性というよりも、偶発的な衝突の可能性のためだった。 国内外を問わず、政治が理性的ではないというのは常識だ。

[出処:サゲ]

根本的な原因は米国

これまで朝鮮半島情勢は、躍動的で偶発的な傾向が強かった。 これは「北朝鮮問題」をめぐる米朝間の交渉力を強めるための相互の強硬対応に始まっている。 だが根本的な原因は、自国の利益だけを追い、一方的・暴力的に対北朝鮮敵対視政策を貫いてきた米国にある。

北朝鮮問題の解決の最初で最後の機会だった1994年のジュネーブ協定は、 北朝鮮の核開発の放棄とそれに相応する対北朝鮮制裁解除、 および朝鮮半島平和体制構築のための米朝間での新交渉の開始などが核心だった。 ところが米国はこの協定のほとんどを誠実に履行しなかった。 もちろんジュネーブ協定の締結以後、北朝鮮が少量の濃縮ウランを保有している事実がわかったりもしたが、核実験はしてはいない。 金倉里の核施設についての疑惑が提起されたが、北朝鮮が進んで査察を受け入れ、提起された疑惑を解消した。 2000年10月には軍の実力者で権力序列第2位のチョ・ミョンロク国防委第1部委員長を米国に送り、 米国との関係改善が本気であることを見せようと努力した。 そればかりか、寧辺核施設の冷却塔を進んで爆破したりもした。 この程度なら北朝鮮はするべきことはしたといえる。

だが米国は、核開発放棄の代価として年間50万トンを供給することにした重油供給をはじめとし、 初めからジュネーブ協定を誠実に履行しなかった。 米国は10年以内に北朝鮮が崩壊するというシナリオの下で協定を締結したためだ。 北朝鮮と米国は、最初から協定の背景と前提が違っていたのだ。 その結果は2006年の北朝鮮の第一次核実験として現れた。 結局、1994年にジュネーブ協定が締結された後、12年間、韓国と北朝鮮の双方は米国により虚しく歳月を送ったのだ。 北核問題の解決を不可能にして今のような危機をもたらした主犯は、米国と韓国の守旧-保守勢力だ。 もちろん、現在の危機を悪化させたもうひとつの原因が米国の独自の対北朝鮮先制攻撃を防ぐという名分で、 むしろ北朝鮮制裁を先頭に立って要求した文在寅(ムン・ジェイン)政府だということも見過ごしてはならない。

責任も米国が

北朝鮮のICBM実験発射と6次核実験で、朝鮮半島情勢は新局面に転換された。 それは北朝鮮が実質的な核兵器能力を保有することになり、 これによって朝鮮半島の平和体制の構築と非核化は全く異なる問題になったのだ。 最近、ロシアのモスクワで開かれた「国際非拡散会議」に参加したチェ・ソンヒ北朝鮮外務省北米局長は、 「私たちの非核化を前提とする協議には応じないという立場を(非拡散)会議場で明らかにした」と記者に話した。 それと共に米朝間対話が進行していると明らかにした。 ティラーソン米国務長官が9月末に中国を訪問した当時の北朝鮮と2〜3の対話チャンネルがあるとを確認したのだ。

現在、米朝間の直接対話チャンネルは、米国のジョセフ・ユン対北朝鮮政策特別代表と 北朝鮮のパク・ソンイル国連駐在北朝鮮代表部次席大使が懸案問題を議論するいわゆる 「ニューヨークチャンネル」が代表的だ。 オバマ政権末期に米朝対立が激化してニューヨーク・チャンネルも切れたが、 トランプ政権が発足した後に復元されたと言われる。 北朝鮮は去る6月、ニューヨーク・チャンネルを通じて北朝鮮に抑留された米国大学生オットー・ウォームビアが昏睡状態であることを知らせ、 ジョセフ・ユン代表が急いで北朝鮮を訪問してウォームビアを送還させた。 これは11月初めのトランプ大統領の韓中日などアジア歴訪を前にして、 北核の緊張を管理する意図だという分析も提起されている。(朝鮮日報、2017.10.2.)

その上、北朝鮮制裁の実効性は中国とロシアの参加を前提として可能になるため、 現実的に不可能だということは国際社会ですでに判明している。 最近、北朝鮮が強力な北朝鮮制裁の圧迫に耐え抜くために自力更正を強調するなど、 内部の結束に気を遣っていることはすでによく知らされている。 これだけで北朝鮮の内部的な不安定が高まるとか、体制が強固化するかどうかといった展望をするにはまだ早い。

すぐには朝鮮半島の情勢は変化しないだろう。 それでも朝鮮半島の地政学的な危険は、以前とは質的に異なる段階に入った。 米朝間、韓中間の対立がさらに強化されており、 産業・金融・財政などの経済的な側面でも新しい威嚇要因が発生するようになった (ペ・ソンイン、「揺れ動く朝鮮半島とブルジョア政治の限界」、『進歩評論』、73号、2017秋号)。 米国のおかげで、朝鮮半島を含む東北アジア情勢は深刻に絡まってしまった。 ツイッター政治を駆使するトランプは迷走し、まともに予想もできない。 対中政策は気まぐれで、対北朝鮮政策も不明だ。

したがって問題解決は米国にかかっていている。 米国が根本的な原因を提供したのだから、責任も米国の役割だ。 結局、トランプの意志がカギだ。 北朝鮮の状況が変わったので、これを認める姿勢を先行させなければならない。 そして北朝鮮の非核化にだけしがみついて、交渉しようとする姿勢を捨てるべきだ。 北朝鮮との非核化交渉が成果を上げるには、朝鮮半島の冷戦構造に加担したすべての当事国の間で敵対関係を解消する努力が並行しなければならない。 帝国主義国家であり、覇権国家であり、軍産複合体の米国に、まさにこうした努力は期待するのは難かしい。 中国をテコとして北朝鮮を圧迫しようとする方法は、成功の可能性が弱い。 米国の説得と要求に対し、中国は表では圧迫し、裏では助けるという二重戦略を駆使してきたためだ。 たとえ中国が制裁に積極的に動いたとしても、金正恩(キム・ジョンウン)は北朝鮮の住民を犠牲にしても核兵器を守る可能性の方が大きい。

北朝鮮は非核化ではなく、ICBM攻撃の可否をめぐり、 韓米合同軍事演習中断、平和協定締結、駐韓米軍撤収などを議題として米国との直接交渉を試みるだろう。 トランプ政権も交渉力を高める「最高の圧迫と介入」を続けるだろう。

では韓国は?

米朝間の対立が再度激しくなれば「コリア・パッシング」は現実になるだろう。 支持率に依存する文在寅(ムン・ジェイン)政府の無能さは、就任初期のトランプ政権との強力な同盟を強調したためだ。 韓米首脳会談を急ぎすぎてトランプの罠にかかったのに、成功的な会談だったと自らを慰労した。 自画自賛して自縄自縛になった。 米国内の強硬派の圧迫と国内の保守勢力の表情ばかり見るという限界を如実に見せている。 しかし韓国の一部勢力が「コリア・パッシング」に怒るのは全く説得力がない。 文在寅政府自身がそのようにしたのだから、 何もできることはないという自嘲的な声は名分がない。

文在寅政府の外交安保ラインに戦略家がないという忠告はすでに昔話になった。 THAAD配置を処理する過程も一貫性と説得力が足りない。 李明博(イ・ミョンバク)・朴槿恵(パク・クネ)政権との差別性が見つからない。 国連総会での文在寅大統領の発言と、韓米日会議での態度は何も解決できない不明瞭な姿勢でしかない。 支持率と票の管理には役に立っても、朝鮮半島の問題解決には全く役に立たない。

THAAD早期配置、予防攻撃、韓国の独自制裁工夫など、トランプ政権の強硬路線と圧迫にこれ以上押されることなく、大胆な構想で米国を説得しなければならない。 文在寅政府は単純な新政府ではなくキャンドルが誕生させた政府だ。 文在寅政府が依存する支持率政治は、労働者民衆のことだけを考えて、大胆な打開策を提案する時に上昇する。 文在寅政府の選択がわれわれの未来と運命を左右しかねないからだ。

明らかなことは、東北アジアの平和を根本的に揺るがす米帝国主義政策が露骨になるという条件で、 朝鮮半島情勢をさらに激化させるすべての軍事的行為と制裁措置をやめなければならない。 いかなる理由であれ、朝鮮半島での核対決は南と北、どちらの労働者民衆にも災難でしかない。 今は核をめぐる軍事的対決ではなく、平和協定の締結と平和体制構築のための全面的対話を始める時だ。[ワーカーズ36号]

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2017-11-07 07:56:09 / Last modified on 2017-11-07 07:56:11 Copyright: Default

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