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News Item 20170711
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性少数者と労働、さらに濃い私たちの「プライド」を大切に

[ワーカーズ]レインボー

ナヨン(地球地域行動ネットワーク) 2017.07.10 10:58

1984年の英国鉱夫労組の長期ストライキ闘争と、 この闘争に連帯した性少数者団体LGSM(鉱夫を支持するゲイとレズビアン)の映画「ロンドン・プライド(邦題:パレードへようこそ)」が最近、 多くの人々の共感と感動を呼び、良い反応を得た。 映画が含む連帯の意味を再演するかのように、 民主労総と行動する性少数者人権連帯は共同団体観覧のイベントを行った。

あまり知られていないが、韓国でも性少数者らが自分たちのアイデンティティを表わして、 労働運動の現場に連帯してきた歴史はかなり古い。 1997年に大学1学年だった私は、先輩たちが労働法改悪阻止集会で発見したハンサムな男が、実はゲイだったというような話をしながら残念がっていた場面を覚えている。 おそらくこの時が人々が初めて集会行列でレインボー・フラッグを発見した時だっただろう。 その後もレインボー・フラッグは労働関連の集会だけでなく、多くの集会現場で闘争する彼らと連帯した。 だが残念なことに、その反対の場面に接することは難しかった。 労働組合が性少数者関連の問題や闘争現場に連帯する場面だ。

▲行動する性少数者人権連帯が昨年11月アルバ労組『アルバイトパワーアップ』集会に連帯している[出処]行動する性少数者人権連帯

しかし2011年の「希望バス」を契機として眼につく変化が始まった。 誰かがわざわざ組織したのではないが、最初の希望バスの現場には当時、 釜山韓進重工業工場クレーンの上で孤独に高空籠城を続けていたキム・ジンスク指導委員と会うためにやってきた多くの性少数者がいた。 その事実を確認した後、2次希望バスからは性少数者と人権活動家が共にする「レインボーバス」が組織され、 当時の2日間は結局歴史的な場面を残した。 暴雨の中で釜山駅から影島造船所までデモ行進をしている時、 ゲイ人権運動団体「チングサイ」の合唱団、「Gボイス」が参加者に混ざって歌を歌い、 熱い太陽の熱の下で雨水と催涙液が入りまじる道路で 「行動する性少数者人権連帯(当時『同性愛者人権連帯』)」の活動家や数人の性少数者参加者は、 障害者の仲間たちと共に警察車壁の直前でレインボー・フラッグを掲げて立っていた。 夜中に青い色素と催涙液が混じった放水銃を撃っていた警察は、 翌日まで車壁の後から絶えず催涙液を撃ち、 レインボーバスの参加者は顔と全身に催涙液を受けて共に戦った。

結局、クレーンの前までは行くことができずに整理集会をしなければならなかった最後の時間、 恐らくクレーンの上でその場面をツイッターと記事を通じて、生き生きと確認したキム・ジンスク氏は電話で発言をしながら、 集会現場史上初の「性少数者の仲間の皆さん」と言った。 その一言に催涙液でぐちゃぐちゃになったレインボーバス参加者の顔には、熱い涙がとめどなく流れた。 その後の希望バスには常にレインボーバスが参加し、 数人の性少数者参加者は希望バス以後、別に残ってクレーンを訪ねて行ったり、 希望バスではない時にも個別に影島造船所に行った。 影島造船所の前には六色の虹の横断幕がかけられた。

2日間、身動きもせずに道上で戦い、食べて、飲んで、眠り、性少数者参加者と労働者はとても自然に出会った。 キム・ジンスク氏の発言が、韓進重工業の他の男性労働者に与えた影響も大きかった。 初めはぎごちなく互いに緊張した雰囲気は、だんだんSNSやメッセージで互いの安否まで尋ねる間に進展した。 その後、大漢門では双竜自動車解雇労働者と会い、反対側の圜丘壇の前では才能教育労働者と会った。 コルトコルテック労働者とも会い、世宗ホテル労組、コオロン労組とも会った。 そしてこの出会いはソウル市学生人権条例制定当時のソウル市議員会館座り込み闘争、 ソウル市民人権憲章制定当時のソウル市庁座り込み闘争連帯とクィアー文化フェスティバル、 IDAHOT(国際性少数者嫌悪反対の日)イベントまで多様に続いた。 今では労組チョッキを着た労働者と性少数者の集会現場で出会うことももうおなじみになった。 この過程はそれこそ私たちの感動的な「プライド」の歴史だ。

性少数者と労働者、さらに一歩

私は今、さらに一段階進んだ「プライド」を作ろうと提案したい。 「性少数者」グループと「労働者」グループが互いの現場を訪問する連帯ではなく、 労働運動の現場で性的差別の構造を見つけて議題につなげ、 性少数者運動の現場で労働の議題を見つけてつなげる方向だ。 この提案は単に「性少数者労働者」の存在を認識して差別を禁止しろという話ではない。 アイデンティティ間の連帯でも「差別禁止」を越え、「労働」の構造と条件そのものを見直して議題を再構成しようということだ。

「労働者」を賃金労働、商品生産労働をする異性愛者家族の-成人-非障害者-男性家長と前提にして、 他の家族構成員は基本的に彼の賃金と経済力に依存する存在だと設定してきた構造、 婚姻と血縁で構成された家族だけが制度的に承認を得て、それによる社会保障が得られる構造を考えれば、 この構造がどんな性的差別により作動しているのかがさらに明確に見える。 しかし現在の労働議題は雇用、賃金、手当て、福祉、年金、労働時間などの要求すべてが、この構造が内包する前提に基づいて構成されてきた。 そのため一例として女性性少数者労働者の場合、こうした構造の中で住居と生計維持について常時的な不安感を抱えて暮らしていくほかはない。 また担当する仕事の性格や雇用、賃金での差別だけでなく、 制服、トイレ、更衣室などがすべて性別二分法によって区切られる環境は、 ある人にとっては最初から障壁として存在する条件でもある。

2015年、民主労総は内部規約を改正して同性配偶者と非婚の実質的パートナー関係をすべて含み、家族手当を支払うように決定した。 今やこのような試みがさらに具体的な労働議題の転換につながることを望む。 さらに、労働の効率性と身体の正常性、「労働」の概念と範疇そのものにも疑問を提起する運動が始まることを望む。 こうした変化が形成されれば、われわれは本当にさらにきらびやかな「プライド」の歴史を作ることになる。 これは結局「性少数者」と「労働者」だけの問題ではなく、この構造に連結する私たちすべての話になるからだ。[ワーカーズ32号]

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2017-07-15 10:20:54 / Last modified on 2017-07-15 10:20:57 Copyright: Default

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