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韓国:[ワーカーズ6月号イシュー(2)]奇妙なロッテの耳打ち(1)
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THAAD敷地を渡したロッテ家の内心

[ワーカーズ6月号イシュー(2)]奇妙なロッテの耳打ち(1)

チョン・ウニ記者 2017.05.28 21:38

サイダー一杯。 パッと弾ける気泡に喉の中までひりひりする。 「ヒャア」飲み込んだ時、これほどさわやかなものはあるだろうか? 胸がすっきりするように叫ぶ政治家に「サイダー」というニックネームがつくほどでもある。 ところで毎年サイダー数億本を売る企業はどうか? ロッテグループは昨年サイダーだけで3800億ウォンを売り上げた。3%成長した数値だ。

[出処:資料写真]

だがロッテグループはTHAADの敷地を渡した後にはうめき声をあげている。 中国政府の報復による被害が雪だるまのように膨らんでいるという報道も続々と出ている。 朝鮮日報だけでもこの1か月間で五回の関連ニュースが載った。 「辛東彬(シン・ドンビン)THAAD愛国献身、5000万国民ロッテに大きな借金」という記事も見られる。 THAAD敷地を提供した責任はなくなって、被害企業というイメージだけが残った。 ロッテグループの辛東彬会長もTHAAD敷地の提供は仕方なかったと泣いて訴える。 彼は去る3月、ウォールストリートジャーナルとのインタビューで 「もし政府が私たちのような民間企業に土地(THAAD敷地)を放棄しろと要請したとすれば、 私たちとしては政府の要請を断る余地はないと考える」と明らかにした。

しかし辛東彬会長の最近動きを見ると、中国市場は念頭においていないような表情だ。 彼は裏金捜査で出国禁止が解けた後、すぐに日本とアメリカを訪問したが、中国には行かなかった。 中国で数千億ウォンの損失が発生して尻に火がついているというのに「対岸の火事」というような形。 ロッテが被害者コスプレをしている間、保守言論はTHAAD問題が韓米間ではなく韓中間の外交問題であるかのように扇動する。 では果たしてロッテはこのような被害を甘受しながらも、なぜTHAAD敷地を提供して黙っているのだろうか?

ロッテのTHAAD敷地提供は辛東彬会長の拘束を避けるための代価性供与だというのが支配的な見方だ。 昨年9月26日、ソウル中央地検は辛東彬に対する拘束令状(1750億ウォン規模の横領、背任容疑)を請求したが、 9月29日に棄却された。 国防部がロッテ側に星州CCゴルフ場敷地をTHAAD配置敷地に決めた事実を通知したのがまさにその翌日だった。 ロッテ家「兄弟の乱」の渦中で、辛東彬はTHAAD敷地を提供し、 自分に対敵していた兄の辛東主(シン・ドンジュ)ロッテホールディングス前会長を締め出した。

辛格浩が愛した人はシャルロッテよりも日本右派

だがロッテがTHAAD敷地を提供した理由はこれがすべてだろうか? ロッテがTHAAD敷地を渡したのには、日本の右派の意志が介入していたのではないかも疑われる。 THAAD問題は米国だけでなく、日本の右派も緊密に関係しているからだ。

まずロッテグループが日本企業だという点は、裏金捜査で知られた事実だ。 現在、韓国ロッテグループの持株会社格であるホテルロッテの持株会社は、日本のロッテホールディングスで、これは韓日ロッテの支配構造の頂点にある。 日本のロッテホールディングスの株式は、光潤社(28.1%)、従業員持株会(27.8%)、共栄会(13.9%)、役員持株会(6.0%)など、 日本の株主の持株比率は76%に達する。 辛東彬会長の持株比率は1.4%に過ぎない。

ロッテ家は日本の右派とさらに緊密な関係を結んでいる。 ロッテグループの創業者、辛格浩(シン・キョクホ)が重婚した日本人の夫人の母方のおじは、 朝鮮に派遣されたA級戦犯の重光葵であるというのはよく知らされた事実だ (訳注:韓国ではしばしば重光初子(夫人)と重光葵の姻戚関係が語られているが、 実際には重光夫人と重光葵とは何の関係もないとされている)。 彼は尹奉吉独立闘士の弁当爆弾を受けて片足を失ったことで有名だ。

辛東彬会長も日本の右翼を代表する安部晋三日本総理と格別な間柄だ。 2015年11月28日、ロッテ家の「兄弟の乱」の真っ最中だった時も、 東京で行われた辛東彬会長長男の結婚披露宴に安部晋三日本総理が参加した。 1985年に辛東彬が結婚した時は、中曽根当時総理が参加した。 すべて日本右派の自民党出身だ。 辛東彬長男の結婚披露宴に辛東彬と兄弟の乱を繰り広げた伯父の辛東主や、 おじいさんの辛格浩は参加しなかったが、 この敏感な時期に安倍はこの席に参加して露骨に辛東彬を褒めあげた。 辛格浩は安倍総理の父、安部晋太郎元外相や母方の祖父岸信介元総理とも懇意にしていた。

2014年、ロッテホテルは自衛隊創立60周年の記念行事を引き受けたことが問題になって取り消したこともある。 当時、この事件は日本の集団的自衛権復活のための憲法解釈変更案の閣議決定と安倍総理の河野談話検証などの問題で韓日間で敏感な時期だったため、 議論がさらに大きかった。

THAAD配置は当初、韓米日三角同盟を構成する必須の基盤だ。 すでに韓日両国の政府は軍事情報保護協定を締結した。 特にTHAADが配置されると、日本としては米軍資産であるTHAADのレーダー情報をリアルタイムで提供され、 対北朝鮮、大衆監視体制を確保できるようになる。 国防部もTHAADレーダーを使って探知した情報を日本と共有すると明らかにした。 国内の平和運動界は、韓米日3国間のミサイル警報訓練も実施しているので、 THAADの運用演習には何らかの形で日本の自衛隊が参加する可能性が高いと見ている。 こうなると、朝鮮半島の近海には米軍だけでなく、自衛隊もさらにしばしば出没するようになる。 日本の政界も韓国政府が既存の韓米同盟から、さらに韓米日3角同盟を重視する側に大胆な政策転換に出たと評した。

こうした状況で、平和憲法を廃止して自衛隊の復活を夢見る日本の右派としては、 ロッテのTHAAD敷地提供は大きな利益を得たことになる。 ロッテは日本の右翼の利益に徹底した選択をしたのだ。 結局、日本の右派がいらいらしていたTHAAD配置問題をサイダーのように解き、 中国での事業だけはうまくいくようにしてくれと言う形だ。

文在寅政府が私たちのサイダーになれ

辛東彬はウォールストリートジャーナルに 「大統領選挙で中国との関係を改善し、ロッテが事業を再開できるように助ける新しい大統領が登場することを期待する」と注文した。 しかし、新しい大統領が優先しているのはロッテの商売根性にもてあそばれるのではなく、 星州郡民と朝鮮半島を危機に追い込むTHAAD配置を原点に戻すことだ。

ではロッテに必要なことは何だろうか? 代々、韓国政府の特典によって5大財閥に成長したロッテ。 これに必要なことは、崔順実(チェ・スンシル)-朴槿恵(パク・クネ)ゲート捜査、裏金捜査をきちんとしめくくることだ。 文在寅新大統領は、財閥の不法な経営継承、皇帝経営の根絶を主要公約にしたが、ここで改革の意志を判断できる。

ロッテは裏金捜査の一方でした側で辛東彬体制を強化するために構造調整をしてきた。 2016年の集団別循環出資の変動内訳を見ると、 ロッテ建設がロッテ製菓の株式(1.34%)を辛東彬会長に売却(140株)、 ロッテショッピングがロッテアルミニュームの株式(12.05%)を辛東彬が会長をしているホテルロッテに売却(139株)、 韓国富士フィルムがテホン企画の株式(3.50%)をホテルロッテに売却(67株)、 ロッテ製菓が韓国富士フィルムの株式(0.89%)をホテルロッテに売却(3株)した。 来る8月の末には持株会社の設立を核心として会社の分割合併に対する承認の有無を株主総会に提出し、 辛東彬体制を完成させる予定だ。

THAADで泣き声をあげても、ロッテグループの辛東彬会長は昨年は配当111億ウォンと報酬63億ウォンを得た。 ロッテ・チルソンは5月初めにサイダー価格を7.5%上げた。 昨年と同じだけ売ったとしても、さらに285億ウォン多く稼ぐ。[ワーカーズ31号]

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2017-06-01 23:46:44 / Last modified on 2017-06-01 23:48:04 Copyright: Default

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