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セウォル号、真実引揚げはこれからが始まりだ

[ワーカーズ インタビュー]パク・チョンウン1期セウォル号特調委常任委員

チョン・ウニ記者 2017.05.21 10:39

セウォル号沈没事故3周年になる五日前、船体が陸に上がった。 巨大な船体を見るために集まったセウォル号家族と市民の姿は限りなく小さかった。 韓国社会の積弊の前に立つ姿だった。 そうしてわれわれはセウォル号を押し上げ、もうもうひとつの真実に向かって進まなければならない。

セウォル号家族をはじめとする多くの関係者が船体引揚げ作業を心配しながら見守った。 「ワーカーズ」は彼らのうち、パク・チョンウン弁護士と4月12日に会った。 パク弁護士は大韓弁護士協会(大韓弁協)が推薦したセウォル号特別調査委員会常任委員だった。 委員長直属の3つの小委員会のうち、安全社会小委の委員長として働いた。 以前には大韓弁協セウォル号特別委報道担当者と現場対応支援団長をしていた彼だ。 セウォル号特別法草案を作ることにも参加した。 政府がセウォル号特別法を無力化する施行令を強行した時は、光化門広場での野宿座り込みにも参加した。 いわゆる「パクスドン映像」で与党と保守団体の攻撃を一身に受けた人物でもある。 「ワーカーズ」はパク・チョンウン弁護士から船体引揚げ過程についての評価とセウォル号真相究明と新しい社会のための課題を聞いた。

▲パク・チョンウン弁護士

特調委の時から船体引揚げを強力に主張していた。結局上がってきたがどうだったか

惨めだった。 あちこち切れて穴まであいていた。 永い間海に浸って、ひどい状態だった。 鎖で上げたので二か所も裂けた。 その裂けた姿が遺族の心で、国民の心ではないのか。 3年間このように裂けた気持ちで生きてきたのではないのか。 そう考えた。

セウォル号引揚げについて言葉が多かった。なぜ必要だと思ったのか

大きく3種類だ。 最初は被害者人権の観点で必要だ。 未収拾者九人だけでなく、犠牲者の中でもすべての生体組織が上がってこれなかったケースがある。 遺留品は事故当時の状況を把握する証拠でもあるが、家族にとっては記憶の象徴だ。 一種の証拠法的な観点からも必要だ。 セウォル号は沈没と急速な沈没の原因を明らかにするために、最も直接的かつ具体的な物的証拠だ。 最後に、記憶の象徴物として活用しなければならないということだ。 二度とセウォル号のような惨事が発生してはいけないということを、この船体を見て記憶しようということだ。

船体引揚げが突然だったような感じもする

本来、昨年にセウォル号を支えるすべての「リフティングビーム」を敷いた。 それで今年の3月か4月の間に引き揚げられると予想はしていた。 しかし3月10日、大統領罷免が決定する過程で、海水部がかなり速度を速めたという感じを受けた。 大統領罷免決定の後、わずか8日で引揚げ作業が始まった。 船体調査委員会法も3月2日に国会を通過して21日に制定、公布されたが、 海水部はその間(18日)にすでに予備引揚げ作業に入ってしまった。 順序通り見れば、船体調査委ができた後に船体調査委の指導点検を受けて船体を引揚げなければならなかった。 あるいは海水部が船体調査委の指導点検を避けようしているのではないかという疑問がある。 それほど早くできるのなら、これ以前にもできたのに何故しなかったのかという疑惑も提起される。

引揚げが遅れたが

少なくとも6か月前に引き揚げられるべきだった。 政府は2014年11月11日に船体捜索終了を宣言したが、これは未収拾者家族も同意した。 その時、家族は当然すぐ引き揚げられると思った。 しかしそれから数か月、引揚げの決定そのものができなかった。 それだけ時間がかかったのだ。 本来の順序通りなら、11月にああして捜索が中断されたのだから、 冬に仕事ができない時に船体の引揚げを決め、まず交渉対象者を選定するべきであった。 そして春がきたら、まず交渉対象者を活用し、遺失物防止対策を作って引揚げを始めることになり、 昨年には引き揚げられるはずだった。 もちろん引揚げの過程にも色々な問題が多い。 引揚げ決定後にも色々な失敗をした。 この過程で遅れたことまで合わせれば、さらに早くできるはずだった。 セウォル号が引き揚げられること自体は歓迎して、当然その苦労を賞賛すべきだが、あまりにも遅れた。

セウォル号の船体とともに真実も引き揚げられるだろうか

主に引揚げ自体に意味があるのであって、 本当の意味で未収拾者を全て収拾したり証拠物を保存するということは、 あまり考えなかったようだ。 事実、批判をしなければならないが、引揚げが失敗してはいけないので言葉を慎んだ。 後からでも船体調査委や監査を通じて指摘されなければならない。

船体がかなり壊れていて、腐食も多い。遺失物対策も問題だ。果たして現在の船体で沈没原因をきちんと究明できるか断言するのは難しい。

まず引揚げ過程が慎重でなかった。 船体が原形のまま上がってきら相当部分、沈没原因の究明は可能だっただろう。 例えば、左側船尾(船の後ろの部分)ランプ(大型貨物室出入り口)の問題だ。 本来、これがしっかり閉じられていなければならないが、 特調委2次聴聞会の時に船員の証言によれば、陽光が映っていたという。 その言葉は、水が入ってきたかもしれないということだ。 これが沈没の直接的な原因、または少なくとも急速な沈没の原因ではないかという疑問をもたらした。 だから船体を上げたらこれを確認し、原因を糾明できると考えた。 だが引揚げの過程でそれを切り捨てた。

船体内の装置もぐずぐずに崩れていた。 電気の線や機械装置はほとんど壊れただろう。 例えば操舵機(船の舵を操縦する装置)に故障が起きたのか、 あるいは人が間違って回したのかを究明するには、 操舵装置がすべてそのままでなければならない。 もちろん操舵機だけが必要なのではない。 あの後にある方向舵も調査しなければならない。 だが中間で切れていれば、原因を究明するのが難しくなる。

遺失物防止対策も問題だった。 2014年11月から遺失物防止対策が必要だとずっと話していた。 しかし上海サルベージが優先交渉対象者になった後、 遺失物を防止するまで事実上、放置された。 その間にどれだけ多くのものが流失したのだろうか。 だからその時はできなかったとしても、少なくとも引揚げる時は遺骨や遺留品が流失しないようにきちんと処理するべきだった。 だが船体に穴をあけた時、遺失物防止対策をしたという話は聞かなかった。 引揚げの過程でも、遺失物防止対策がきちんと作動するのかを確認するべきだったが、 ちゃんと点検しなかった。 だから引き上げるときに漏れた。 動物の骨の議論もひどい。 なぜ中途半端に家族に知らせたのかという批判があるが、 批判すべき点は、発掘専門家や国科捜専門家を同席させなかったことだ。 彼らがその場にいるべきであった。 だから骨が出てきた時、すぐに鑑識するべきだった。

第2特調委の必要性が出てきている

船体引揚げで真相究明作業が終わったと考える人がいる。 しかし引揚げは沈没原因を究明することに限定される。 相変らず救助の失敗、惨事以後の政府や言論の対応の問題、 特に安全社会総合対策や被害者支援対策問題が残っている。 セウォル号沈没が惨事になった核心は、救助に失敗したことだ。 沈没したことではない。 沈没したからといって、すべてがあのように多くの人が犠牲になるわけではない。 客観的に見れば、救うことができた。 ところが救えなかった。 セウォル号真実の核心は、沈没の原因よりも救助の失敗にある。 これを明らかにしなければならない。

国家情報院の議論はどう見るのか

国家情報院は現在のところ証拠がない。 法的には国家情報院がセウォル号の主人ではない。 支配力を実際に行使したことかが核心なのだが、私たちも多くの努力をしたが青瓦台と国家情報院が強く妨害をしたので難しかった。 ただし、国家情報院が清海鎮海運に様々な便宜を与えた痕跡はある。 だがそれだけではだめだ。 青瓦台からは権力者が退いたが、国家情報院は相変らず政府機関として存在するので、 今後も容易ではないだろう。

セウォル号を救えなかった朴槿恵大統領も没落した

セウォル号がキャンドルの全体ではなかった。 しかしキャンドルは常にセウォル号真相究明を叫んだし、 セウォル号遺族が常に先鋒にあった。 セウォル号惨事以後、朴槿恵政権の誤った対応が自らを危険な状態に追い込んだ。 代表的には惨事直後の5月には、セウォル号家族を青瓦台にむかえて泣きながら談話をした人が、 なぜ6月、7月から完全に違った人になったのかだ。 権力層は、セウォル号特別法を作る時に妨害を続けたし、 大統領とその周辺の人々は障壁を打った。 政府ではなく一部が制度を運営しているということを現わしたのだ。 セウォル号は一番簡単に朴槿恵政権の弱点を見ることができるバロメーターであった。

特調委の時には個人的な攻撃も受けた

2015年11月6日に安山で開かれたセウォル号イベントの時、 ある遺族の方が朴槿恵(パク・クネ)、朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領に批判的発言をした。 国定教科書問題が浮上した時だ。 その遺族は「こうした形なら、セウォル号真相究明も埋もれる」とし、 真相究明のために最善を尽くすといった。 雰囲気は粛然とし、それと共に私も共に拍手した。 ところでMBCはこれを編集して議論を作り出した。 いわゆる拍手動画。 与党は国家政務職公務員がなぜ大統領侮辱発言に拍手するのかと大騒ぎをした。 保守団体は私を告発してデモをした。 その記者はMBCの社内スクープ賞を受けた。 MBCは当時、セヌリ党の河泰慶(ハ・テギョン)議員から該当映像を渡されて報道した。 ところがこの動画が流れた過程も公式的な経路ではなかった。 河議員はこの動画を持っていて、11月23日にセウォル号特調委が大統領7時間についての行跡調査を決めた直後に公開したが、一種のカードとして持っていたようだ。

次期政府での真相究明は、どのようになると展望するのか

雰囲気が変わると見る。 もちろん金大中(キム・デジュン)、盧武鉉政権が進歩的な政府ではない。 中道進歩的な政府というべきか。 だがその程度でも多少は良いだろう。 客観的な限界は認めなければならない。 政権が変わっても世の中がすべて変わるのではない。 誰が政権をとっても同じだ。 それは個人の限界でもあるが、この国全体の限界だ。 いわゆる目覚めた国民が流れを率いて行くと思う。[ワーカーズ30号]

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2017-05-25 15:38:47 / Last modified on 2017-05-25 15:38:49 Copyright: Default

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