| 韓国: #28:風より先に起きあがる草を考えながら | |
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風より先に起きあがる草を考えながら[ワーカーズ28号]時評
カン・ネヒ(チャムセサン理事長、知識循環協同組合代案大学学長) 2016.12.22 16:15
[出処:ホン・ジノン] 12月9日に国会が弾劾訴追案を通過させ、朴槿恵(パク・クネ)は韓国の政治史で初めて弾劾される大統領になるものと見られる。 もちろん訴追案が国会で通過しても、弾劾手続きが終わったわけではない。 まだ憲法裁判所の最終決定が残っている。 即刻退陣の圧迫にも朴槿恵が粘り続けるのは、憲法裁判所の裁判官のほとんどが保守指向だという点に一抹の期待をかけているためだという分析もある。 しかし大勢は決まった。 国会採決翌日の12月10日に開かれた7次週末集会にも、大規模なキャンドル群衆が集まったのが明白な証拠だ。 全国で232万が集まった前週の集会規模には至らないが、それでもはるかに寒くなった天候にもかかわらず、 全国で100万、ソウル市光化門広場だけで80万が集まったのは、朴槿恵ゲートで火がついた大衆の怒りが燃え続けているということではないだろうか。 だから保守指向の憲法裁判所の裁判官も、こうした民意を無視することはできないという展望がさらに大きな説得力を持っている。 したがって、朴槿恵が権力の座から退くかどうかは問題ではない。 問題は朴槿恵以後、換言すれば朴槿恵が弾劾された後、韓国社会がどうなるかだ。 これは韓国の未来を展望する問題であるだけに、立場によって主張と提案が分かれるほかはない。 保守陣営は予想通り元の状態への復帰を主張している。 弾劾訴追案が通過した後、法秩序守護の声をぐんぐん高めている保守言論が代表的だ。 ソウルに集まった集会の群衆の一部が憲法裁判所に集まったことについて 「キャンドは、憲法裁判所に行くな」という題名の社説で 「大きな声を出すのをやめて法治国家の国民として、冷静かつ淡々と憲法裁判所の審判を待て」と書いた毎日経済が良い例だ。 法秩序守護を守ろうという主張は 「憲法裁判所の裁判官はどんな圧力からも自由に、純粋に法律と良心によって審理して判断しなければならない」と話した朝鮮日報の社説でも繰り返された。 保守言論が法秩序守護を叫ぶ間、制度政界は改憲の必要性を強調する声を高めている。 朴槿恵の「狐仮虎威」により崔順実が国政壟断をしたのは87年体制が帝王的大統領を認めたためとし、 今は憲法を直して内閣責任制を採択すべきだという。 だがこうした改憲の主張は大統領のリーダーシップだけを問題にしており、これまでのキャンドル集会で市民大衆が提出した韓国社会の根本的な改造の要求には耳を塞ぐものと見なければならない。 朴槿恵が帝王的リーダーシップを発揮する間、既得権を享受してきた勢力は、また過去秩序への回帰を望むか、 あるいは自身に有利な新しい法・政治の秩序を作ろうとしているだけだ。 したがって朴槿恵以後の問題は、朴槿恵を追い出すことでなくなるものではない。 朴槿恵の弾劾は今の支配勢力も望むところだ。 したがって朴槿恵以後はこの社会の支配勢力と支配される多数の民衆の間での政治的闘争になるほかはない。 こう見れば、市民大衆がいかに自分の権力を主体化するかがカギだと見られる。 事実、これまで大衆は予想よりはるかにはやく行動し、よく動いていた。 まるで1960年代末にキム・スヨンが書いた詩「草が横になる」で形状化した大衆の姿そのままだ。 そこで詩人は、草は「風よりもさらにはやく横になる/風よりもさらにはやく泣いて/風よりも先に起きる」と語る。 そうだ。今回も大衆はどんな時流や流れよりもさらにはやく、自分が望むところを表わした。 事実、国会で弾劾訴追案が通過されるまでには曲折も多かった。 サボタージュと言うべき検察ののろま捜査、 政府与党の主流親朴勢力の反対、 非主流非朴系の立場翻意、 第一野党の誤爆と右往左往、 第一野党と第2野党間の不和、 野党圏有力大統領候補間の立場の違いなどで、 果たして国会で弾劾訴追が通るか疑われた。 しかし政界が弾劾手続きを進めざるを得なかったのは、 10月29日から12月3日まで六回の大規模週末集会で大衆が圧迫した結果だ。 市民大衆がどんな政治勢力より先に朴槿恵下野と退陣を叫び、弾劾を要求した。 今や大衆は朴槿恵弾劾を越え、 即刻退陣と拘束、逮捕までを要求し、 さらに進んで一部の声ではあるが韓国社会を新しい社会に、 例えば新しい民主共和国に変えることを要求している。 大衆が新しい民主共和国を望むのは、これまでの新自由主義体制で権利と権益を蹂躙されてきたことに対する反発であろう。 大衆は今、朴槿恵の退出だけではなく、 朴槿恵と同じ部類の政治指導者を作り出した韓国社会の構造と形態そのものを変えようとする。 果たして韓国社会は市民大衆のこうした希望を具現できるだろうか? 風よりさらにはやく自分の苦痛に泣き、 風より先に声をあげる大衆が望む社会、 そんな良い社会を作り出せるだろうか? こうした質問をする理由は、今何よりも憂慮されるのが「受動革命」だからだ。 受動革命は本当の革命の進展を防ぐために保守勢力が行う革命予防策をいう。 今また政界から出ている改憲議論はそのような策略になる可能性が高い。 その場合、韓国社会には新しい協約民主主義(Pacted Democracy)が誕生する公算が大きい。 米国スタンフォード大政治学科のテリー・カール教授によれば、 「協約民主主義は政治的、社会的、経済的民主主義へのさらなる進展を遮断する新しい現状態を作り出し、 政治体制に保守的偏向を制度化して組み込む」市民大衆の下からの要求を遮断したまま、政界だけの議論で改憲が行われれば、 それによって誕生する新しい政治体制は市民大衆の要求とはほど遠い形態になるだろう。 われわれはすでに1980年代の民主化運動の成果を自由主義勢力が独占した87年体制を誕生させた経験がある。 87年体制において新自由主義的支配が強化されたのは、実質的民主主義に背反する協約民主主義が許されたためだ。 こうした憂慮に関し、数日前に晋州のある集会に参加した19歳の青年の発言が胸を鋭く突く。 朴槿恵を退陣させ、崔順実を拘束することは歓迎すべきことだが、 朴槿恵と崔順実が消えたからといっても周辺に散在する別のもうひとつの朴槿恵、崔順実はどうするのか、 それが彼の質問要旨であった。 事実、私たちの周辺には朴槿恵、崔順実の分身があまりにも多い。 会社なら会社、学校なら学校、病院なら病院で、 朴槿恵やことと崔順実のように振る舞う者が如何に多いか。 そのような分身は、女性、障害者、労働者、未成年者などの韓国社会の少数者を押さえ付け、搾取し、差別する存在だ。 新しい社会を建設するのなら、しようとするなら朴槿恵と崔順実の分身をすべて追い出さなければならない。 だがそうした分身は、社会構造的な面も持っているという点を見過ごしてもならない。 私たちの周辺に朴槿恵の多くの分身があるとしても、 やはり最初に打撃する対象は李在鎔(イ・ジェヨン)のような財閥であろう。 財閥こそ代を継いで最も強大な権力を振り回す韓国社会最高のカプチル(優越的地位の乱用)集団ではないのか。 朴槿恵分身清算は、したがって財閥と彼らの資本権力を真っ先に対象にしなければならない。 もちろん、それでもこうした資本権力の守護者役を果たす検察権力、言論権力、知識権力が免罪符を受けるわけではない。 朴槿恵以後の問題は、 市民大衆がこれからどんな役割をするのかの問題ともいえる。 大衆は韓国社会の構造的矛盾、日常的差別克服のためにどんな姿を見せるのだろうか。 もちろん大衆はこれまでも誰より早く動かしてきた。 だが風より先に起き上がり、風よりさらにはやく横になるのが大衆でもある。 現局面でその大衆が風より先に起き上がり続けることを願うのが私の率直な心情だ。(ワーカーズ28号) 翻訳/文責:安田(ゆ)
Created byStaff. Created on 2016-12-27 20:49:58 / Last modified on 2016-12-27 20:52:07 Copyright: Default 世界のニュース | 韓国のニュース | 上の階層へ | |