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800日のセウォル号惨事、800日の真実隠蔽

特調委は独立機構、海水部介入の根拠なし

キム・ヘジン 2016.06.28 10:57

▲写真ホン・ジノン

朴槿恵政権は日常茶飯事のように嘘をつくので、韓国政府が国連で「ペク・ナムギ氏の場合は検察が徹底して捜査した」と嘘をついても市民は「この政府がいつもそうだ」とやり過ごす状況に達した。 この政府の嘘とずうずうしさはとても深刻だ。 政府は正当な要求に対しても、オボイ連合などの保守団体を動員して対立させ、 見苦しい姿を見たくない人々が目をとじれば、 その間にあらゆる不正と不法で利益を分け合う。 こうした問題が一番克明にあらわれたのがセウォル号惨事であった。 セウォル号惨事以後、遺族が真相究明と責任者処罰を要求すると「もっと金を受けようとしている」というデマを流し、 惨事1周年に際して特別法に対する政府施行令廃棄を要求した時は、賠償額に保険金と国民からの寄付まで入れて膨らませて発表した。 セウォル号惨事真相究明の過程で青瓦台報告体系の問題点を調査しようとすると「大統領の私生活を暴く政治攻勢」と騒ぎ立て、正当性を疑わせる。 政府と与党の真相究明妨害行為は本当に露骨だ。

海洋水産部(海水部)は6月20日、セウォル号特別調査委員会(特調委)に「セウォル号引揚推進団」名義の文書を送った。 この文書は特調委調査活動の終了日を6月30日とし、7月1日からは総合報告書と白書作成発行期間だと規定した。 そしてこの期間の特調委の定員は72人だと通知した。 特調委の「調査」活動を強制的に終了させるという意味だ。 海水部はセウォル号惨事の責任当事者であり、特調委の調査の対象だ。 そして特調委は特別法により設立された独立機構なので、 特調委の活動期間と定員の算定に海水部が介入する根拠は何もない。 それでもこれまでまるで自分が上級機関であるかのように振る舞い、 今や一方的に特調委調査活動の終了を宣言したのだ。

これまでセウォル号の真相究明に対する政府の妨害は到底言葉にできない。 セヌリ党推薦議員5人は海水部からの指針の通り、特調委が青瓦台のコントロールタワーとしての役割に対する調査を決めると、集団で辞任した。 政府は2015年にも特調委構成が完了しなかったとして予算を削り、 2016年には調査予算のたった9%しか支払わず、引き揚げ後の船体調査に関する予算は全額削減した。 特調委に派遣された公務員は保守団体をけしかけて、特調委の委員を告発させた。 セウォル号惨事1周年の時に市民の強い要求に押されて「セウォル号引揚げ」を発表した政府は、 これまで引揚げの過程についての情報をすべて隠し、「信じろ」と言うだけで、 まさに6月13日「船首持ち上げ」に失敗した後では、引揚げ目標日を延期するなど、とうてい信じられない動きを見せている。

ところでここで終わりではない。 6月22日、共に民主党はセウォル号対策TFを構成した。 この日、禹相虎(ウ・サンホ)院内代表は 「セヌリ党から青瓦台を調査の対象から除外して調査期間を延長しようという提案を受けたが拒否した」と明らかにした。 独立した調査機関であるセウォル号特調委の調査対象を縮小しようと言って、政府与党が交渉を試みたということは本当に驚くべきだ。 政府の権限を利用して特調委を解体すると脅迫し、調査の対象から青瓦台を除く交渉を試みることは、決して政府与党がするべきではない。 この事態は、政府が本当に真相究明する意志がなく、特調委を無力化することだけに血眼になっていることを見せる。

セウォル号惨事の真相究明をこのように防ぐのは、政府がセウォル号惨事の実質的な責任があることを告白するようなものだ。 すでに責任が明らかになった海上警察の責任者を起訴さえしない検察が、真実をしっかり明らかにするはずはない。 検察は、過剰積載が問題だと断言したが、セウォル号過剰積載の原因が「済州海軍基地に行く鉄筋」だったという点は徹底して隠した。 セウォル号の実際の所有主だとして、あれほど兪炳彦(ユ・ビョンオン)一家を探しまわった検察が、セウォル号と国家情報院の関連については口を閉じる。 検察の捜査は本当の責任者に免罪符を与えるためだった。 だから独立調査機関であるセウォル号特調委を作るために600万人が署名に参加したのだが、 そうして作られた特調委を無力化させ、セウォル号引揚げの情報を隠すことこそ、政府がセウォル号惨事に介入していることを示すものではないのか。

この政府はセウォル号惨事後も破廉恥な態度を取り続けた。 無能な海上警察の代わりに、救助と収拾活動をした民間潜水士に対し、彼らはどんな態度を見せたのか。 潜水病とトラウマで苦しむ潜水士の治療をしっかり保障せずに放置した。 セウォル号惨事の収拾当時、1人の潜水士が死亡した時にその死の責任を別の民間潜水士にかけた。 それで、最近死亡したキム・クァノン潜水士は、セウォル号特調委の聴聞会で 「国家は災難が起きても国民を呼ぶな」と一喝した。 政府は「安全」も金儲けの手段にした。 セウォル号惨事以後に進めた2015年「国家安全大診断」で1兆6千億ウォンの報酬と精密診断の需要を発掘したと誇っているのがこの政府だ。 人の生命と安全より金儲けを重要に感じるこの政府が、セウォル号惨事を現在進行形にする。

このままではいけない。 この恐ろしい政府のカルテルを壊せなければ、私たちの人生は決して安全であることができず、 私たちの尊厳はもはや守られない。 セウォル号惨事を明白な国家暴力であり、国家犯罪だと認識しなければならない。 セウォル号沈没の構造的な原因に政府が介入しており、直接の原因はずっと隠され、 その後には真実を隠して遺族を侮辱しながら、支援する市民を弾圧するこの政府の態度を「国家暴力」と名付けなければ何と呼ぶべきか。 国家暴力に対する抵抗は市民の当然の権利だ。 今は国連人権理事会が深刻な憂慮を表明するほどに、話し、集まり、行動する権利が弾圧されているが、その弾圧を乗り越えてまた抵抗の流れを作らなければならない。 6月23日、セウォル号惨事は800日をむかえた。 長い時間が流れたが、緊張を解かずに力を集めなければならないだろう。 セウォル号惨事の真相究明をきちんとせず、韓国社会の民主主義と人の生命を守るのは不可能だ。(ワーカーズ16号)

付記
キム・ヘジン:全国不安定労働撤廃連帯常任執行委員、セウォル号416連帯常任委員で活動している。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)


Created byStaff. Created on 2016-07-08 09:01:16 / Last modified on 2016-07-08 09:01:17 Copyright: Default

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