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「健康保険相談員です」健保相談員が直営化争奪スト宣言

労組設立から1年間、公団は面談拒否…低費用・監視モデル民間委託、「労働条件と相談の質低下」

ウン・ヘジン記者 2021.01.27 12:39

1日8時間労働にトイレ4回(15分)、休息時間0分。 民間委託で運営されている健康保険公団カスタマーセンター相談員の労働実態だ。 公団は用役業者を、業者は相談員を相談件数などの実績を中心に評価する構造で、 労働者たちは劣悪な労働環境に置かれている。

健康保険公団カスタマーセンター(健保カスタマーセンター)の労働者は こうした労働環境の改善と公団の公共性強化のためには、 公団直営化しなければならないとし、2月1日のストライキを予告した。 彼らが公団に直営化を要求する理由は、昨年9月から進められた賃金交渉で 下請企業が1条項の修正案も提示しないなど、元請に責任を転嫁しているためだ。 下請の責任回避にもかかわらず、 国民健康保険公団の金容益(キム・ヨンイク)理事長は 賃金条件改善や直営化に関する労組の面談要請を1年間拒否している状態だ。

公共運輸労組国民健康保険カスタマーセンター支部は1月27日午前、 民主労総の大会議室で記者会見を行って 「2006年に健康保険カスタマーセンターが設立された後、 初めて16年間の沈黙を破って行動に立ち上がる」とストライキを宣言した。

13年働いている間に業者が4回変更されたという光州センターのイ・ヨナ組合員は 「13年間で変わったことがあるとすれば、 日ごとに強まる業務強度と増える業務量、そして私の所属履歴」だったと涙ぐんだ。 続いて「最近では疾病管理本部の業務まで抱え込み、業務量は増えている。 入社した時は1日に5〜60コール受けただけでも多いと言っていたが、 13年経った今は180〜200コールまで受ける」と話した。

またイ・ヨナ氏は「(業者管理者から) 『体調が悪くても少し我慢できるか。 チームの実績や君の個人実績に影響するが、今帰るのか』と叱責された。 退勤後にエレベーターに乗って降りてくるとチーム長が電話で 『納付締め切り日なのにもう退勤するのか。 すぐ上がってきて、もっと電話を取れ』といった。 時間外勤務手当ても払わないのに。 2018年には最低賃金に合わせるために食費を用役業者が勝手になくした」と説明した。 続いて「(相談した時)私たちの最初の挨拶は『共にする健康保険相談員』だ。 しかし、『13年間劣悪な環境で健康保険公団業務を遂行して本当にご苦労さま』 という一言はできなくても、 公団は1年間の面談要請にも今日明日と延ばしている」と批判した。

全国11のカスタマーセンター労働者が所属する支部は10社(本部、大田センター業者は同一)と昨年9月から賃金交渉を進めたが、最終決裂した。 続いて1月15日に労働委員会に調整申請を提出し、2日前までに940人組合員の争議権を確保した状態だ。 1月19日から3日間行われた争議行為賛否投票では、 在籍組合員940人中899人(95.6%)が投票に参加して、 855人(90.9%)という圧倒的な賛成率が出てきた。 ストライキを前にして、労働者たちは今からでも公団理事長が対話に出てくるべきだと要求している。

キム・スギョン支部長は記者会見で 「相談員は請負業者の間で捨てられ、敬遠され、15年を耐えに耐えた。 しかし剥奪感と疎外感にもうこれ以上耐えられない。 そのため2月1日の全面ストライキを決議した」とし 「会って対話で解こうと数回文書を送り、デモもした。 しかし公団は拒否している。 これ以上、相談員をストライキで追いやらず、 理事長は責任ある姿で対話に出るべきだ」と声を高めた。

▲27日の記者会見で国民健康保険公団カスタマーセンター労働者が自分の公団の社番が書かれたプラカードを持ってパフォーマンスをした。

業者が変わっても同じ「公団社番」

11の民間委託業者は健保の12のセンターを運営している。 相談員は合計1623人だ。 これらの労働者は公団社番を与えられ、公団のすべての相談業務を遂行しているが、 協力業者の所属だ。 この社番は業者が変わっても退社するまでそのままだ。 具体的には彼らの業務は健康保険資格、保険料、保険給与、健康診断、医療給付、 老人長期療養保険などの税務業務と4大社会保険徴収統合業務など、 何とおよそ1060項目に達する。

また健康保険公団は電算システムでリアルタイムですべての相談員のコールを監査している。 その上、この社番を使ってカスタマーセンター労働者たちの 毎日のログイン・ログアウトから人事管理、休暇などの勤務記録を管理したりもする。 それでも公団は直営化を要求する労働者の声を労組設立から1年間、 無責任な態度を取り続けた。

一方では健康保険の公共性強化のためにカスタマーセンターは公団による直営化をするべきだという専門家たちの声が上がり、 闘争に力が付けられている。 1月26日午後、「健康保険公共性強化のための運営構造改善方案」の 国会討論会が保健福祉委コ・ヨンイン、チェ・ジョンユン議員、 環境労働委梁李媛瑛(ヤンイ・ウォニョン)議員の共同主催で エクゼクティブセンターコリアで開かれた。 支部は公団関係者に討論会出席を要請したが応じなかった。

まず発表者で参加したキリスト教人文社会研究室のチョン・ジュヒ研究員は、 公団がカスタマーセンターを委託したのに社番を付与して労務管理をする理由について カスタマーセンター業務が公団の業務と一定程度区分され独立して遂行される業務ではないからだと説明した。

それと共に健保カスタマーセンターの場合 「健康保険公団業務の特性上、 顧客情報照会を基礎とする国民個別の保険サービス業務処理が核心なので、 案内と関連業務の処理を総合的に進めているという点」があると伝えた。 また「公団の支社業務が遂行する業務と大部分の領域が重なっているほど、 コールセンターだけの独自の業務領域の案内サービスだけに区別されることも、 限定されることもないという点」等を指摘した。

そのため「業務の特性上、コールセンターの業務が単純案内以上だという点と、 元請・下請間の曖昧な業務区分が交差して、 コールセンター業務は年がたつほどに増加するようになる」とし、 むしろ「実質的な権限が与えられず不必要な書類作業が過剰で、 業務量が増加しているが、それによる責任も転嫁されている」と指摘した。

民間委託、低費用・監視モデル…
「労働条件と相談の質の低下につながる」

民間委託による労働条件と相談の質の低下の問題も指摘された。 社会公共研究院のイ・ジェフン研究委員は 「民間受託業者は健康保険に対する専門性がなく、労務と実績管理の役割しかない」とし、 「相談に必要な専門的な装備と施設、維持・報酬なども公団が提供し、 相談員に対する教育と教材提供も公団が担当している」と説明した。 そのため「体系的な教育相談、職務訓練システムの限界で、 労働者自から勉強して熟練を積むほかはない構造」と指摘した。

また労働環境に関しても 「委託受託構造では実績と数量的評価中心に個人とチーム、 そして業者間競争と統制方式の労務管理がなされるほかはない」と話した。 その上、「実績のためのリアルタイム電子監視と労働統制方式の労務管理で、 基本的な労働権、健康権侵害だけでなく、 人格冒涜や性差別事例までが頻繁に発生している」と伝えた。

2019年の健保カスタマーセンター労働者の1人当り1日の相談応対件数は120.1件だ。 年平均相談応対件数は3314万件程度に達する。 彼が公開した健保カスタマーセンター相談員業務日誌の事例を見ると、 1日8時間労働の中でトイレの15分(4回)を除けば休息時間なく相談した時、 113件を処理したことが確認できる。

したがって彼は 「『低費用・高監視モデル』方式の人的管理戦略は、 公共サービスに適さず、持続可能でなく、 むしろ多くの問題と限界が発生する」とし 「(健康保険)加入者のためのサービスの質的向上のためには、 直営化によりカスタマーセンター相談労働者の所属感と責任感、労働権を保障して、 熟練した専門相談力量を強化していかなければならない」と提案した。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


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