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4年ぶりにまた高空籠城…タクシー労働者が照明塔に上がった理由

社納金廃止、全額管理制を要求、二回目の高空籠城を始めたタクシー労働者、キム・ジェジュ氏

ムン・ジュヒョン チャムソリ記者 2017.09.11 10:05

4年ぶりにまた彼は高空を選んだ。 「民主労組が本当に認められ、不当解雇が撤回されていれば、こんな闘争はしなくてもいいと思いました」。 彼の考えが足りなかったせいだろうか? 4年ぶりにまた空での闘争を始めたタクシー労働者、キム・ジェジュ氏。 今回は悪夢のような寒さと戦わなくても良い。 しかし、しとしとと降る秋雨は、寒さとは違う悪条件だ。

自然とも戦わなければならず、1坪もない空間で、体も自由ではない高空照明塔の暮らしをなぜキム氏はまた選択しなければならなかったのか? チャムソリは9月6日、タクシー労働者キム・ジェジュ(55)氏と会った。3年ぶりだ。

「われわれはこれ以上退く所がない。これ以上できることはない。」

2013年1月3日、タクシー労働者のキム・ジェジュ氏は、 午前5時に一人で全州市野球場照明塔に上がった。 チョニル交通の所属で、民主労総を組織したために解雇されたキム氏は、 「解雇撤回と民主労組認定」を要求して高さ40メートルの照明塔を自分の隠れ場所にした。 零下15度の寒波にも、ぼうぼうに伸びた髭も、すぐに凍りつく寒さの中で、 彼は69日間粘った。

▲2013年の冬、69日の高空籠城当時のキム・ジェジュ氏[出処:チャムソリ]

そして4年5か月経った去る9月4日、今度は全州市庁前の高さ20メートルの照明塔に上がった。 労組さえ認められれば全てが順調に行くという考えは錯覚だった。 鎖のような社納金制度がある限り、タクシー労働者たちの正当な労働代価は考えることもできない。 今回は「社納金撤廃、全額管理制争奪」という要求をかかげて照明塔に上がった。

一日約13万ウォン。 現在、全州市タクシー業界の一般的な社納金の額だ。 一日10時間以上労働しても、使用者側に認められる勤労時間は約4時間30分。 1か月に約90万ウォンの基本給が使用者側から支払われる労働の代価だ。 残りは社納金13万ウォンを払って残った金だ。

「2〜3万ウォンでもさらに稼ぎたければ、13時間、15時間を路上でで過ごさなければなりません。勤労時間も4時間ほどしか認めず、社納金は10時間は労働しなければ稼げない金額を策定しました。」

現在は公共運輸労組全北タクシー支部長をしているキム氏の哀訴だ。 公共性を持つタクシーは、何よりも安全が重要だ。 しかしわれわれはタクシーを思い出せば「弾丸タクシー」を思い出す。 信号違反に不法なUターン... 「あらゆる法を無視して生命の威嚇を感じる時もあります。 そうして走らなければなりませんでした」。 これら全ては社納金制度に始まったとキム氏は言う。

▲全額管理制争奪、社納金撤廃を要求して9月4日に全州市庁前照明塔で高空籠城を始めたキム・ジェジュ氏が記者に「闘争」と叫ぶ。[出処:チャムソリ]

1997年、タクシー業界は旅客自動車運輸事業法は全額管理制(月給制)を守れと釘を打ち込んだ。 しかし20年経った現在も、全額管理制は議論の連続だ。 法には全額管理制と書かれているが、業界ほとんどは社納金制度を固守している。 その過程で労働者たちは社納金制度の廃止を要求する闘争を数えきれない程行った。 法がいつ労働者の味方だっただろうか? タクシー労働者たちは、法のきちんとした定着を要求して闘争を始めた。

全北では公共運輸労組全北タクシー支部がその闘争を行った。 2014年春、全州市庁の前にテントを張ることから始めた。 時には面談、声明書などで整理して、要求をしても答がないので、 路上に陣地を構築することから始めた。 そしてテント闘争403日目に答が出た。

労使がそれぞれ推薦する機関に全額管理制施行のための研究を依頼し、 そこで導き出された内容を基礎に全額管理制を施行しようということ。 全州市はタクシー業界の現場に2017年1月1日から法令に準じた全額管理制の施行を約束した。

▲全州市庁前の照明塔高空籠城の現場には、毎日毎日闘争日数を記録する現況板がある。果たして今回は何日目に降りてこれるのか? [出処:チャムソリ]

公共運輸労組全国タクシー支部のコ・ヨンギ総務局長は 「2016年2月に市庁とタクシー事業主と労組がすべて集まって、合意書を作成しました」とし 「そしてこの前の春に最終標準案が出ましたが、施行もできません」と現在の状況を説明した。

労・使・政、すべてが合意したことを使用者側が拒否しており、 全州市は意志を見せずにいると労組は主張する。 全州市の関係者は「1日の所定勤労時間(約6時間50分)、 1日の基準運送収入金を満たせなければペナルティ賦課などの条件で、互いに意見に差がある」とし 「現在は調整の過程だ」と説明した。

使用者側は、全額管理制が実施されて1日の所定勤労時間が 4時間30分から6時間50分に延びたことで発生する追加人件費が負担になるという点と、 運送収入金のペナルティを賃金から控除することを要求しているという。

コ・ヨンギ総務局長は 「使用者側の主張そのものが全額管理制ではなく、社納金制度を固守するということではないのか」と反問し 「これについて全州市が調整事項だというのは、使用者側の味方をしているようなもの」と強調した。

労組は全額管理制施行が延びていることについて、 全州市が「労使の意見の差のため」だと言っていることに苦しい心を表わした。 上のような理由のためだ。 それで高空籠城を選択したキム・ジェジュ氏も、 今回だけは簡単に降りてこないという意を強く明らかにした。

「全州市が用役の結果、全額管理制を施行することを確定し、それを基礎に労使が合意して全額管理制が施行されるのを見たら降りて行きます。」

2013年の高空籠城は69日がかかった。 あるいは今回の座り込みは、それよりさらに長くなるかもしれない。 その鍵は全州市が握っているとキム・ジェジュ氏は考える。 そして全州市がこれ以上使用者側の顔色を見ず、 タクシー労働者の現実をきちんと調べてほしいという期待を記者とのインタビューの末に伝えた。

「御用労組の顔色をうかがい、声を上げればすぐ解雇されるのがタクシー労働者です。そして暮らしが苦しい人々がハンドルを握っています。それで社納金制度のような搾取にも一度も反対の声をきちんとあげられませんでした。そんなことについて一部ではタクシー労働者が社納金制度を望んでいるとウソの主張をしています。もう全州市がきちんと調べるべき時です。」

タクシー労働者が新しい車を受ければ社納金をこれまでより2〜3000ウォン多く払わなければならない。 すべての運送経費を労働者に転嫁することはできないという法が来る10月1日に施行されるが、 相変らず車の事故等で発生する経費を負担している。 これら全てが密かに行われている。

「こんな生活にもう我慢できず、2013年に高空籠城しました。今は労働者がきちんとした待遇を受けて人間らしく暮らせる世の中を作りたいです。」

▲幸福と人権の都市を追求する全州市。タクシー労働者は人間らしく暮らす権利、幸せな権利を全州市に要求している。[出処:チャムソリ]

キム・ジェジュ氏の空での座り込みはいつ頃終わるのだろうか? 労働者たちが待遇を受けるということはどんなことなのか? さまざまな疑問を感じる中で、少なくとも一つ、タクシー労働者にとって、 全額管理制は労働者たちが待遇を受けるその第一歩だという点は否定できなかった。 それがキム・ジェジュ氏が全額管理制施行のために高空籠城を始めた理由だ。[記事提携=チャムソリ]

付記
この記事は全北代案言論チャムソリの記事です。チャムセサンは提携社記事の同時掲載を許容します。

原文(チャムソリ/チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2017-09-20 07:57:18 / Last modified on 2017-09-20 07:57:21 Copyright: Default

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