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K2コリア「整理解雇の代わりに開城、インドネシアに行け」

国内アウトドアブランドK2コリアのとんでもない整理解雇方法

ユン・ジヨン記者 2012.04.20 13:25

地場アウトドア ブランドK2で靴を作る生産職労働者、チョ・ギョンスン(52)氏 は、会社の解雇通知がまだ信じられない。

敗血症にかかった子供の手も取れず、14年間献身的に働いてきた会社が 『解雇』という刀を抜く方法はとても想像もできなかったためだ。

▲19日、集会に参加したK2コリア支会組合員が涙を流している

いつものように会社で作業をしていた昨年のある日、急性敗血症で息子が入院 していた病院から電話がかかってきた。深刻な知らせだと知りつつも、涙をの んで業務を終えた。退勤後に寄った病院は、チョ氏に『気持ちの準備をしてく ださい』と言われた。青天の霹靂のような言葉だった。

「青天の霹靂でした。本当におかしくなりそうでした。息子は集中治療室にい て、面会は一日に二回しかできません。息子の横にいてやらなければならない のに、会社は会社ですから遅刻や欠勤はできません。それで集中治療室の前に ダンボールを敷いて夜はそこで眠り、朝には出勤して... 1か月半、一日も休 まずそんな生活をしました」

K2コリアの生産職労働者たちにとって遅刻や欠勤、早退は考えることもできな い。チョ氏だけでなく、ほとんどの労働者は一度も子供の卒業式に参加したこ とがない。病気でも業務時間には病院に行けない。キム・ソンジャ(64)氏は 「会社は毎日朝礼で、死んでも働けと話す」とし「特に遅刻や欠勤、早退など は賃上げに影響すると脅す」と説明した。

そのためチョ・ギョンスン氏は、面会時間に合わせて息子の手をにぎってやる ことさえできなかった。そのためか、先月、解雇通知を受けた時、一番先に胸 を痛めたのは、息子に対する申し訳ない思いだった。

「こうして会社に捨てられるのなら、あの時子供の手でもにぎってやれば良かっ た... 母としてとても申し訳なくて、恨めしい...それで、なおさら解雇を受け 入れることはできません。99年、30代でこの会社に入って、あれほど誠実に働 いてきました。病気の子供も助けてやれず、今でも基本給86万ウォンです。 それなのに一日で解雇ですか。そんなことができるのですか」

2010年、チョ氏は甲状腺ガンの手術を受けた。その時も1か月半の休息の後、直 ちに業務に復帰した。手術の後遺症で声を出すのもつらいチョ氏は、インタ ビューの間中、話すことをやめなかった。

飛躍的な成長K2、『利益極大化』のために靴生産職労働者の全員を解雇

国内地場アウトドア用品3位の生産企業、K2コリア。2010年の売上は2600億ウォン、 昨年一年間で4000億ウォンの売上を記録し、毎年飛躍的な成長を記録する企業。 1月にはアウトドアメーカーのうち、唯一雇用労働部の『雇用創出100ケ企業』 に選ばれ、李明博大統領から表彰されて税金調査免除の恩恵を受けたりもした。

そんなK2コリアが3月8日、靴事業部生産職労働者93人全員を解雇した。 『雇用創出100大企業』で表彰された2か月後だった。解雇通知は携帯メールと 文書で行われた。ほとんどが勤続年数10年以上の40〜50代の労働者は3月15日、 労組を結成して対応をはじめた。

会社側の解雇理由は、生産費用の削減のため、今年の6月から靴生産部をインド ネシアに移転するということだった。コルト・コルテックなどで行われた 『工場海外移転』の悪夢がK2にも襲いかかった。会社は5月31日付でソウル市 城東区聖水洞の生産工場を閉鎖し、希望退職を受け付けると発表した。

だが、K2コリアの整理解雇は会社の財務状態を見ても、現在整理解雇要件に 当たる『緊迫した経営上の理由』はない。この10年間、会社は売上伸張と利益 を飛躍的に成長させたが、人件費の割合と労働所得分配率はむしろ低下傾向 だからだ。

2007年、K2の当期純益は198億で、利益余剰金は783億、株主配当金は20億と 集計されている。その後2010年に入り、当期純益は438億、利益余剰金は 1762億で、株主配当を100億に増加した。

だが総人件費は2007年の9.0%から2011年には5.4%へと減少した。生産製造人件費 は2007年の3.5%から2011年には1.9%と大幅に減った。労働所得分配率も2007年の 79.0%から2011年には66.3%へと下落した。

そのため労組側は、会社の生産工場移転と生産職労働者の整理解雇は、利益の 極大化のためのものだとし、靴事業部の維持などの雇用保障案の提示を要求し ている。チ・ヨンシクK2コリア支会長は「会社がやむをえず整理解雇をするよ うな状況でもなく、単に100の利益を150にするために労働者を集団解雇した」 とし「K2側は会社の方針なので、無条件あきらめろと言う」と批判した。

K2のとんでもない雇用保障方案、「開城、インドネシア工場に行け」

K2コリア生産職労働者の解雇のニュースが伝えられると、会社側は世論を意識 して、3月22日、『生産部署を廃止して生産職全員と個別に面談した後、人員を 再配置する』と発表した。

その後、3月26日に開かれた労使交渉で、会社は『とんでもない』雇用維持方案 を持ち出した。インドネシアや開城の工場などに人員を配置するというのだ。 4月4日には、インドネシア、開城工場、ヘンナン、靴A/S、衣類A/S、衣類検査、 靴開発、直営店舗販売などの追加人員配置方案を提示した。

また使用者側は、開城工場に配置される場合、僻地手当て20万ウォンと、基本給 の1.2倍を、インドネシアに配置される場合、月給の1.2倍値上げを提示した。 現在60人ほどの女性労働者の基本給は77万ウォン〜80万ウォンだ。

チ・ヨンシク支会長は「10年以上働いた50代の労働者への会社の雇用保障案が せいぜい開城工場やインドネシア工場への配置とはひどい」とし、「また10年 以上、靴だけを作ってきた労働者に、服を作る所で裁縫をして販売をしろとい うのは、ただ止めろと言うのと同じだ」と声を高めた。

こうして今までに5回の労使交渉を行ったが、問題の解決には進展がなく、全国 化学繊維産業労組と民主労総ソウル本部などは19日午後、聖水洞K2コリア本社 正門前で集会を開き、使用者側に整理解雇撤回と現実的な雇用保障を要求した。

労組は「K2コリアが靴生産部署を現在の通りに維持しても、会社の経営に損失 は出ない」とし「靴生産部署の労働者にとって、今の生産部署を維持するのが 最適の雇用条件であり環境だ」と要求した。

また集会参加者たちは、闘争決議文で「会社の整理解雇撤回と人員再配置方案 は、労働者をだまそうとする煙幕だ」とし「K2コリアの整理解雇が完全に撤回 され、雇用が保障されるまで闘い抜く」と明らかにした。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2012-04-21 21:24:50 / Last modified on 2012-04-21 21:25:14 Copyright: Default

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