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非正規職、訴訟は遠く解雇は近い?

[最高裁判決1年](2)現代車の前で最高裁判決も紙切れ

パク・ジョンギュ(金属労組) 2011.07.26 15:06

「集団訴訟いつ結論が出るかわからないのに、その前に解雇されれば生計はど うするのか」
「結婚もしなければならず、妻子も家族も養なわなければ ならないのに、懲戒解雇されたらどうすればいい」

現代自動車会社が作成した非正規職労組に対する〈段階別対応方案〉の文書の 一部だ。現代自動車は『業者長が主管して堂々と全従業員教育』をしろと指示し、 「訴訟は遠く、解雇は近い」と表現した。

法は遠く、拳よりも恐ろしい解雇が目の前で行われる状況で、現代車非正規職 組合員は身をすくめるしかなかった。妻と小さな子供がいる30代の多くの下請 労働者、結婚間近の非正規職労働者にとって解雇は正規職化を放棄するほど、 脅迫的だった。

▲非正規職巡回闘争団が現代車蔚山工場の前でプラカードを持って宣伝戦をしている。[出処:金属労組]

訴訟は遠くて解雇は近い?

「現代車が遠からず直営補充をするかもしれない。賢明な判断が必要だ」。
「現代車や直営組合員が、闘争する組合員と、黙々と仕事をする非組合員の うち、どちらのほうを好むだろうか?」

2月、96社の下請業者社長に伝えられ、8千人の社内下請労働者に教育をしたこ の文書は、『正規職抜擢採用』というエサを投げ、非正規職を懐柔しろという 内容も含まれている。2月に作成されたと見られるこの文書が予想したように、 会社は労使の合意で70人を新規採用した。

現代車蔚山第1工場で9年間小型車を作ってきたキム某組合員は、昨年11月15日 から大法院の判決により、社内下請労働者を正規職に転換せよとして、第1工場 占拠ストライキをしたという理由で解雇された。

戦いを続けたかったが、家長である彼は、社内下請労働者の中で採用人員の 40%を正規職として採用するという話にぐらついて闘争を放棄し、組合員に隠れ て入社願書を出した。しかし7千人が押しかけて100対1の競争率になり、彼に 回ってくる正規職の席はあるはずがなかった。

非正規職の内部分裂を狙え

10年間、蔚山工場でシートを作ったある代議員は、両親の心配と家族のために 闘争を中断することを深刻に考えた。家長であり、新しく生まれる子供を入れ て三人の子供と妻を扶養しなければならないが、失業給付と金属労組の基金で 粘るのは大変だった。

現代車会社が狙ったように、訴訟は遠く解雇は近かった。しかし、さらに彼を 疲れさせたのは、組合費流用問題で非正規職労組の指導部が辞任した後、非正 規職労働者たちが力を合わせて執行部を選べず、互いの非難と怒り、無気力と 敗北感で崩れているという事実だった。

「組合費流用関連の特別監査を控えて2派ストライキは合わない」
「新しく構成される争対委もまたそうではないという保障はあるか? 相変らず関係者が残っている」
「暴露された事実は組合費流用だけだが、1億5千相当の闘争基金使用内訳も不透明」
「道徳的に卑屈な者に扇動され、2派ストライキ→懲戒解雇の愚を冒さないこと」

会社はこのように非正規職内部を押し倒した。

現代車にトイレットペーパーより価値のない法律

「訴訟は遠く解雇は近い」という一言は、万人の前に平等のはずの『法』が、 現代車にとってはトイレットペーパーより価値のない紙くずでしかないことを よく示す。

2010年7月22日の蔚山工場大法院判決、11月12日の牙山工場勤労者地位確認訴訟 ソウル高等法院判決、今年2月10日の蔚山工場破棄差戻審理高裁判決まで、連続 して現代車社内下請労働者は正規職だと判決したが、ひとりも正規職に転換さ せなかった。

現代車は、立て続けに裁判に負けると、企業活動の自由を制約するという理由 で派遣法は違憲だという訴訟をソウル高等法院に出した。しかし高裁では違憲 ではないとして違憲訴訟を棄却されたため、憲法訴訟を提起して憲法研究院長 内定者まで動員し、憲法裁判所でひっくり返すといっている。

現代車不法派遣、初の判決から4年

大法院の判決は昨年7月22日だったが、現代車不法派遣への法院の初の判決は 2007年6月1日だった。現代車牙山工場社内下請労働者のキム・ジュンギュなど 7人による『勤労者地位確認訴訟』で、ソウル中央地法は2年以上働いた4人に 『現代車勤労者』と判決した。

その後、7月10日にソウル行政法院と2008年2月12日、ソウル高等法院が現代車 蔚山工場のチェ・ビョンスン組合員の不当解雇訴訟で原告敗訴と決定したが、 2010年7月22日大法院でこれを正したのだ。

4年前の不法派遣正規職化で最初の法院判決後に現代車が行ったのは、不法派遣 の正規職化ではなく、不法派遣の隠蔽だった。下請業者が変わった時に継承さ れていた有給休暇、勤続研修、退職金をなくし、新規採用に変え、元請の作業 指示書をなくすなど、不法の証拠を隠滅した。

不法派遣は正規職だという法院の判決は、非正規職労働者の涙を拭うどころか 現代車に証拠隠滅の方法を知らせただけだった。偽装請負を認めず、2年以下の 不法派遣に免罪符を与えた中途半端な判決も、現代車には『馬に念仏』で、 労働者には『絵に書いた餅』だった。

▲現代車蔚山工場非正規職解雇者チェ・ビョンスン組合員が2010年9月現代車蔚山工場で1人デモをしている。[出処:資料写真]

財閥不法派遣の手先が検察と警察

法院の初の判決は4年前だが、現代車社内下請は不法派遣だという労働部の判定 は、少しどころか7年も前のことだ。2004年9月22日、労働部は現代車牙山工場 の8つの下請業者を不法派遣と判定し、10月21日には全州工場の12業者、12月 16日は蔚山工場101の業者に同じように決めた。

社内下請121社1万人の社内下請労働者が正規職化の夢を見た瞬間だった。だが 現代車は作業指示書を隠し、仕切りを作り、下請業者の事務室に表札を付けた。 それが全てだった。

労働部は不法派遣業者を閉鎖する行政的措置を取らず、7年間不法を放置した。 検察は大検察庁まで、鄭夢九会長をはじめ、不法派遣法律違反者に対して『無 嫌疑』で捜査を終えた。現代車と検察・警察は不法派遣の正規職化を要求する 数百人の非正規職労働者に拘束、手配、告訴、告発、損害賠償、仮差押さえ、 立入禁止など想像を超えた弾圧を加えた。

検察と警察は労働者の前では『法の通りに』と叫んで弾圧し、不法の温床であ る現代車の前に立つと小さくなるだけだった。

現代車労組の高位関係者が伝えてくれた話

昨年11月15日から25日間行われた第1工場占拠ストで18人に逮捕令状が発行され、 手配犯人は労働組合前のテントで座り込みをしていた。支会長をはじめ、中心 的な指導部以外は出頭して調査を受け、自由に活動できるようにしようと提案 された。

拘束令状請求の核心は誰かという質問に、現代車正規職労組の高位関係者は 「現代車会社役員、検察、警察が会って対象を決める」と話した。A工場代議員 に聞くと、彼は今週の3者会見で対象者が決定するだろうと再度確認した。

昨年の非正規職労働者による25日間の時、管理者と用役チンピラにより200人を 越える労働者が頭を割られ、肋骨を折られ、顔を切り、病院に運ばれた。だが 現代車使用者側の関係者はたった一人も拘束されなかった。

逆に用役チンピラに暴行された労働者は蔚山東部警察署に渡され、留置場の世話 にならなければならなかった。チンピラが労働者を暴行して拉致し、警察に渡せば 警察は労働者を拘束するということが平然と行われた。

財閥改革なく人間らしい社会はない

2010年1月、30大グループの会長団は、李明博大統領との懇談会で、政府の雇用 促進政策に応じるという意味で「積極的に雇用創出に努める」とし、全国経済 人連合会は『300万雇用創出』のための委員会を発足させたし、30大グループの 新規採用を前年より31.2%増やすと言い放った。

李明博は廃車支援金、法人税引き下げ、高為替レート政策で国民の税金で財閥 の金庫をぎっしり満たした。その結果、現代車は売上15%、純利益は何と78%も 増えた。しかし従業員は153人、0.27%の増加に終わり、起亜車も売上は26%、 純益は55%も増えたが従業員は逆に25人が減った。

現代自動車が行っている行為は大韓民国の財閥の『生魂』だ。当然正規職とし て採用すべき職を非正規職社内下請労働者で埋め、不法搾取を続け、現代モー ビス、現代ウィア、起亜車モーニング工場など野蛮な正規職0人工場を量産して いる。法院の判決文を紙切れにし、部品単価の切下と系列会社の仕事の材料集 めで不当に富を蓄積している。

大法院の判決まで紙切れにする現代自動車の鄭夢九会長、国会の聴聞会を町内 会ほどにも感じていない韓進重工業のチョ・ナモ会長、チンピラを率いて息子 の怨みを晴らして『法より拳が先』と赤裸々に見せたハンファ・グループのキム・ スンヨン会長... 財閥を改革せずには決して人間らしい社会を作れない。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2011-07-27 12:54:07 / Last modified on 2011-07-27 12:54:11 Copyright: Default

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