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あなたにはキム・ジンスクへの責任がある

[塩の花を訪ねる千里の道](1)チェ・ギリョン支会長とイ・ジェヨン社長の『万歳』

イ・チャングン(金属労組双竜車支部) 2011.07.02 01:00

2011年6月27日、朝からツイッターは大騷ぎだった。希望列車85号に乗って釜山 に行ってきた旅の疲れが解けないまま事務室へ向かうところだった。韓進重工業 のチェ・ギリョン支会長が韓進社長のイ・ジェヨンと合意書に署名した直後、 手をあげて万歳を叫ぶ写真一枚がツイッターを熱くしていた。

韓進重工業整理解雇の戦いが173日目をむかえる日、金属労組韓進重工業支会は 労使合意書に署名をした。闘う仲間たちの説得と引き止めをふり払って解雇者 の家族の悲鳴を努めて無視しながらだ。キム・ジンスクの絶叫に耳をぎゅっと 塞ぎながらだ。その日以後、チェ支会長は公共の敵になってしまった。いわゆる 『身上』もすぐ奪われた。

写真をよく見た。彼の姿は凍っていたし、表情は憔悴していた。私は彼の顔から 突然、戦争捕虜を思い浮かべた。私の目にはチェ支会長の頭の後に銃口が見えた。

2011年、韓国社会で整理解雇という奴の実体は何か! 個人がうまく頑張り、堅 く決断すれば無力化できるような楽な相手か。そうではない。暴力的な解雇に よる苦痛の津波がすでに朝鮮半島を覆っているではないか。韓進の経営陣が特 にあくらつで、または労組執行部がとても利己的でこんなことが起きたのだろうか。

今、この国で整理解雇はすでに構造化されている。そんな状況で個人に非難の 矢を撃つような解雇を防げるのか。いや、韓進事態だけでも少しは解決できる のか。公共の敵への怒りの他に、確実に今すべきなことはないのか。この部分 が私たちが握りしめて解くべき課題ではないのか。

この事件の後、多くの電話を受けた。多くの人々が「支会長が組合員とキム・ ジンスクを裏切った」と声を高めた。しばらく同じように糾弾して彼らに聞いた。 「先輩、それでも希望バス2次は一緒に行くよね?」受話器の向こう側の声が突然 消えていく。「うむ…。それは…」。

人々は韓進はもう終わったと言う。これはみんなチェ支会長のためだと、その 姿を見たくなくて、希望バス2次は乗りたくもないと、もう韓進には希望も見え ず、うんざりするような怒りだけだと話す。私もその言葉がすべて違うと反論 するのは難しい。韓進を見て感じる無力感と怒りがなぜわからないのか。冷た い欄干に自らを縛り付けた仲間たちと、電気も遮断されたままクレーンに残っ たキム・ジンスクを見て、私も前が見えない時がある。

しかしもう私たちは正直になろう。チェ支会長にすべての非難の矢を降り注ぐ ことと、キム・ジンスクだけに整理解雇の十字架を負わせるのはコインの両面 だ。本当にそれほど怒りがこみ上げるのなら、じっとしていられるだろうか。 なおさら、また韓進に集まるべきではないのか。すべての怒りをチェ支会長に 向けるのはとても容易なことだ。それだけで終われば、結局キム・ジンスクに 整理解雇の十字架を負わせることだ。崖っぷちに追いやられたその心を理解し ないことだ。私はあえて、生意気にも、そう考える。

▲塩の花を訪ねる千里の道、希望徒歩行進が7月1日に始まった。参加者は平沢双竜車支部を出発し、1日40キロ程度行進する。[出処:非正規職ない世の中作り(cafe.daum.net/happylaborworld)]

〈他人の苦痛〉という本を読んだ。「憐憫は変わりやすい感情だ。行動につな がらなければ、この感情はすぐ弱まるだろう」、「苦しむ人々に憐憫を感じる 限り、われわれは自分自身がそんな苦痛を持たらした原因にかかわっていない と感じるだろう」という文句が眼について。キム・ジンスクの苦痛を見て、私 は『憐憫』を『苦痛を与える者への怒り』と変えて考えた。

しかしまだ整理解雇されていない私たちの日常は、キム・ジンスクの苦痛と深 くかかわっている。私たちが怒ってばかりいる間、整理解雇はその次に労働者 に押しよせるだろう。イエスは人類の罪の代わりに十字架を背負った。ローマ 軍帥の刑罰のためではなかった。

本はこう続く。「私たちの特権が(私たちが想像したくないように、たとえば私 たちの富が他人の窮乏を伴うというように)彼らの苦痛とつながっているかもし れないという事実をよく考えてみること、それで戦争とあくらつな政治に囲ま れたまま、他人に憐憫だけを施することを止めるということ、まさにこれこそ が私たちの課題だ」。

さあ、もう私たちは本当の整理解雇を終わらせる方法を作り出さなければなら ない。キム・ジンスクが私たちにインスピレーションを与え、希望バスが希望 の根拠を作っているではないか。キム・ジンスクの85号クレーンは、私たちに 問いかける。いつまで私達は声を上げるだけなのか。ローマ軍帥をののしって だけいるのか。十字架を分けあえるのだろうか。暴雨の中でも安楽な家にいる われわれは今、正直に答える義務がある。(第1回、塩の花の君、イ・チャングン、 7月1日)

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2011-07-02 23:19:40 / Last modified on 2011-07-02 23:19:40 Copyright: Default

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