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「大韓民国は財閥が支配する国」

[インタビュー]韓進重工業労働者、「労使合意無効、整理解雇粉砕闘争!」

パク・ウォンジョン記者 2011.07.01 11:48

6月27日、金属労組韓進重工業支会がストライキを撤回して労使が合意したとい うニュースが伝えられた。使用者側との交渉が始まり、支会が整理解雇の代わ りに希望退職と無給休職を受け入れることにしたという噂が飛んで何日も経た ない状況だった。すぐ民主労総のキム・ジンスク指導委員が事実ではないとし、 支会の立場を正面から反論して急激に状況が変わった。

「労使合意? われわれは知らない」

組合員たち、85号クレーン反対側でまた野宿座り込み継続

その後、法院の強制執行と用役チンピラに押されて工場から追い出されてから 3日目、韓進重工業の労働者たちは85号クレーンに面した道路の反対側の路上に 落ち着いた。きちんと食べることも、風呂にも入れず一日中、往復8車線の道路 を走る自動車の騒音と蚊に苦しみながら、まだ7人の組合員と民主労総のキム・ ジンスク指導委員がクレーンで頑張っているのになぜ私たちが苦しいなどと言 えるかと、85号クレーンをぼうぜんとながめる50代の労働者がそこにいた。

▲彼らは85号クレーンで道端で一緒に眠る。

「言論を見て知りました。交渉の内容について組合員の賛否を問うことにした のに、現執行部が組合員をだましたのです。支会がストライキ撤回記者会見を するという噂を聞いて、代議員が労組事務室に集まって『絶対にだめだ』と止 めました。後で解雇者、非解雇者にかかわらず、全員が反対しました。労組の 階段に座り込んで眠りがらも防ごうと思ったのですが、ファックスで記者会見 文を送ったのか、マスコミでストライキ撤回の知らせが出ました。そのうち、 いくらも経たずに労使合意文が出てきました。すでに交渉で合意文が作られた 状態だったのでしょう。もちろん、内容について、組合員たちには何の話もあ りませんでした。組合員たちは無効だと主張しています。認める人はいません」。

ムン・ヨンボク氏(51)は85年、25歳の年齢で韓進重工業(当時大韓造船公社)に 入社し、社会への第一歩を踏み出した。彼は初めは労働組合が何をする所かも 知らなかったという。

労働組合が何をする所かも知らなかった青年、

「私たちがなぜネズミの糞が混じった麦飯を食わなければならないのか」

「蟾津江が流れる慶尚南道の河東で生まれ、韓進重工業に入社して釜山にきま した。6か月、会社の職業訓練所で修練して正式出勤をしたのですが、その時の 作業環境は劣悪でした。それでも韓進重工業といえば大都市の釜山でも大きな 企業でしたが、賃金と福祉どころか、その大きな会社に食堂一つありませんで した。会社が出すネズミの糞が混じった麦飯弁当を食べながら働くので文句を 言いました。しかし初めはみんなそうして暮らしていると思ってました。後で 『私たちが獣か、豚か。私たちがなぜネズミの糞混じりの弁当を食べなければ ならないのか』と弁当を投げました」。

そんな彼が今まで激しく労働運動をしてきたのは、入社して1年経ってからだ。 会社が勝手に月次休暇を決めることに反発して、管理者と争っているのを見て いた先輩が、こっそり耳打ちして薦めたのが代議員への立候補だった。予想も せず、突然代議員に当選した後、工場の正門で出勤闘争する解雇者と会って、 彼の人生は新しく展開し始めた。

「その時は3人の解雇者が正門で御用労組幹部と使用者側管理者と毎日戦ってい たのですが、その1人がまさにキム・ジンスク指導委員なんです。代議員にはなっ ても、なぜそんなに戦うのかわからなかった。後で知り合いを通じて連絡して ひそかに会うようになりました。その後から労働組合も勉強して哲学も勉強し ましたね」。

「使用者側の管理者に知られないように、こわごわラーメンの箱で解雇労働者 の寄付募金をして、その金で解雇者が作った宣伝ビラを服の下に隠して出勤し、 屋上から撒いたり、人がいない時間をみて現場のあちこちに投げて置きました。 尻尾が長ければ踏まれるもので、使用者側の管理者に活動が露出し、尾行がつ いて脅迫もずいぶん受けました。初めは各種の資材を必要な現場に運ぶ仕事を して、その時から数年に一回、部署を移動する境遇になりました」。

先輩、友人、弟の顔を思い出す

「恥ずかしくても行けない」

6か月ストライキをしても、会社は瞬きもせず、結局労働者はクレーンだけ残し て工場の外に追い出された。そこに労組指導部が職権で使用者側と整理解雇を 認める内容で合意までし、労組の体系が崩れている。難しい状況だ。ところが ムン氏の声は自信があふれている。後輩の組合員が笑いながら『先輩、とにかく 頑張れば良いんでしょう?』と冗談を言うと『俺を信じろ』と力強く笑う。

「私は整理解雇リストにはないが、こうして闘争する最初の理由は、私自身の ためです。労組がなければ会社と戦うこともできません。私たちがもし、あっ てもなくてもいいような労組の組合員なら、働く現場では荷が重いでしょう。 労働者としての権利はもちろん、人間の権利もきちんと享受できず、会社の管 理者たちの奴隷のように暮らすようになりませんか。私はそんな暮らしはした くありません。二つ目は労組の旗のためです。韓進重工業労組を元気良く守っ て後輩に残さなければならないのではないでしょうか。最後に私の先輩、友人、 弟たちの顔を思い出すからです。良心のため、彼らを残して後ろを向くことは できません。使用者側では『業務復帰しろ』とメッセージを送り続けますが、 恥ずかしくて行けません」。

インタビューの途中、作業服を着た労働者たちとは違い、スマートな私服姿の 50代のおじさんがキム氏の前にきて挨拶をした。『よくきて、顔も見て下さい』 というムン氏の言葉に、どこか知らずもじもじとぎこちない笑いで『子供たちが 嫌っているようで...』と言葉を流すその男。整理解雇リストに上がっていない 彼は現場に復帰して、使用者側から教育を受けているという。それでも路上で 野宿をしながら同僚が頑張っているというので心配半分、申し訳ない思い半分で ここに来たのだろう。

「6か月のストライキで、初めは復帰者が出るたびに許せませんでした。でも、 今は彼らの心情が理解できそうです。あまり希望はありませんが家族の生計を 知らないとは言えない境遇でしょう。今でもその同僚からよく連絡がきます。 心配だ、本当に申し訳ないと。会いたいと。彼らは彼らなりに苦しい気持ちで はないでしょうか」。

「私も6か月間、月給をもらえませんでした。月給明細書に『0ウォン』と書か れていました。それで一番下のご苦労さま、という文句は何なのか... 結局、 保険を解約してローンを貸りて生計をつなぐ状況で、昨日、妻が電話で『信用 不良者になるのではないか』と心配をしていましたよ。あまりゆっくり話がで きないが、とても申し訳ない。闘争すると家にもほとんど帰れないけれど... 一月前には息子が休学して軍隊に行くというので顔を見なければならなくて、 家に帰りました。父として何もできないのに、何の不平も言わず入隊する息子 の後ろ姿を見て、心の中でとても泣きました」。

「大韓民国は、財閥総師が支配する国」

MB政権4年、資本家の力は何倍にも大きく

国内造船業界は黒字行進を続け、受注実績が日ごとに増えるのとは反対に業界 4位という韓進重工業が3年間、受注は0件だという。だが新しく作ったフィリピ ン工場は、3年分の物量を受注した。そして株主には174億ウォンの配当金を出 し、役員の年俸を1億上げたという。こんな企業が苦しいと言って、ぜひ労働者 を解雇すると粘っている。

「計画的で故意的です。今年の上半期の造船業種黒字規模は途方もありません。 ところが唯一、韓進重工業だけは3年間受注できなかったなど、誰が信じますか。 韓進重工業は他の造船会社と較べ、賃金水準が60%程にしかなりません。その上、 韓進重工業労働者の70%ほどが下請労働者です。それでは価格面で他の造船会社 よりはるかに競争力があるではないですか。しかし昨年から生産を始めたフィ リピン工場は船60隻、約3年の作業物量を受注したといいます。技術力がなく、 処理が難しい物量なのにそうしたのは、その受注物量の一部がこの影島造船所 の物量だった可能性が高いです」。

財閥総師の前に立つと小さくなる国家機関の態度は、昨日今日のことではない。 今の韓進重工業のストライキもそれをまた確認したに過ぎない。絶えず相続さ れる彼らの富と、それによる権力がいつまで続くかわからないが、今度は一部 の国会議員がチョ・ナモ会長のためにちょっと自尊心が傷ついたようだ。それ でも堂々と粘る財閥の問題をムン氏は韓進重工業の誕生から詳しく問い詰めた。

「韓進重工業は、チョ・ナモ会長のものではありません。大韓造船公社は本来、 国民の金で作られた国営企業でした。その上、国家は金融と政策の面で各種の 特典を与え、韓進重工業がこれほど大きくなったのです。ではその金はみんな どこから出たのでしょうか。みんな国民が頑張って働いて稼いだ金ではないで すか。チョ・ナモ会長が初めから韓進重工業を自分たちのものであるかのよう な、そして自分たちが頑張って働いて企業をここまで育てたという考えを変え なければなりません」。

「今の韓国は政経癒着を越え、財閥総師が支配する国になってしまいました。 あまりひどいのでハンナラ党のキム・ヒョンオ国会議員までが自分との面談も 拒否するチョ・ナモ会長を批判しました。4大河川、狂教育、失業、言論掌握な ど、MB政権の4年間、多くのものが破壊されましたが、一番恐ろしいのは資本家 の力を何倍にも大きくしたこと、まさにそれでしょう」。

まだ85号クレーンへの使用者側と警察の強制鎮圧の兆しは確認されていないが、 いつ韓進重工業ストライキの状況を極端に追いやるかわからない危険は相変わ らずだ。用役と警察で完全に囲まれた韓進重工業影島造船所は一寸前も予想で きない。支会指導部が闘争の意志がないことを自ら確認すると同時に、指導部 への信頼が崩れた状況で、支会がクレーン座り込み撤回の責任を取ると使用者 側と合意したのは特別な変数にならないという展望が支配的だ。

「彼らにとって労働者の命が何でしょうか。鎮圧するといえば事実、竜山惨事 の時よりさらに簡単でしょう。しかし強制鎮圧をすればどんな事態が起きるか、 誰も断言できません。この闘争に必ず勝ち、クレーン上の労働者が安全に堂々 と降りられるようにすることが私たちの役割でしょう」。

インタビューの最後にその50代の労働者が話した。なぜ苦しく、つらい時がな かったのかと。不安でいらいらした時もあるが、今はそんな余裕はないと。

「もうやるしかありません。長いとも思わず、誰が死のうが最後まで行きます。 他のことは考える余裕もありません」。 (記事提携=メディア忠清)

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2011-07-02 23:14:20 / Last modified on 2011-07-02 23:14:26 Copyright: Default

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