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「死の現場を変えるために闘争を始めた」

南原電気員労働者の闘争の話(1)

ムン・ジュヒョン記者 2011.05.17 15:15

韓国社会には、自分を隠して暮さなければならない人がとても多い。特に貧し い労働者はさらにそうだ。労働者、農民は私たちが暮すためにぜひ必要なもの を生産するが、自分を隠して生きていかなければならない。

我が国で最も多く売れる現代自動車を作っても、現代車労働者と呼ばれること がない現代自動車社内下請労働者。家で何かがあっても、体調が悪くてもただ 笑って客さんに対しなければならない多くの感情労働者。このように、韓国で 自分を隠して生きていく労働者を探すのは難しいことではない。

全北道南原市。智異山と春香の故郷として有名なここで、自分を隠して暮す 労働者たちが150日ほどの間闘っている。電気員労働者が彼らだ。韓国電力の 労働者と思われているが、彼らは韓国電力ではなく下請業者の労働者たちだ。 下請と非正規職、請負。資本家が労働者をこれほど複雑な構造で雇用するのは すべて自分の実利を得ようとするからだ。

南原電気員労働者たちは、そうした複雑な構造の中でも韓国電力から下請を受 けた業者が再下請負した業者に雇用されている。誰もが知る電気員労働者のこ の雇用構造を、韓国電力と下請業者は否定する。こうした構造でIMFの時途方も ない賃金カットを経験し、配電現場は安全より早い工事が優先だった。そして 95年から守ってきた労働組合を破壊しようとする下請業者と闘争している。

150余日。本当に短くない時間だが、彼らの闘争は多くの人々に知られていない。 その知られていない話。そして死よりも安全のために自ら闘争を選択するほか はない切迫した心情を聞いてみよう。

▲南原電気員労組アン・ソンス支会長(右)、金ヒグン事務長(左) [出処:チャムソリ]

配電工事と書いて、死の配電現場と読む

「人々が通りすがりに、電信柱の上で作業する労働者をよく見るだろう。彼ら がまさに私たちだ。電信柱に流れる2万2千ボルトの電気が家庭で使える220ボル トになるように変圧器を設置して管理する仕事をしている」。

先日、EBSドキュメンタリー、「極限職業」で数十メートルの送電塔を管理する 労働者の話が放映された。高さも恐怖だが、彼らがさらに気を使うのは、数万 ボルトの電気だった。電気がいつ空気に乗って彼らを襲うかわからない。 それで空高く、彼らの作業場は死と戦う戦場であった。

「08年から10年まで、50人の電気員労働者が死亡した。負傷者は数百人になる。 ソウルの韓国電力付属病院に行けば、そこは野戦病院そのものだ。手が切れた 人だらけだ。それで韓国電力で産業安全に関する規定を作ったのに、現場では 効果がない。結局私たちが私費で請願を提起する。写真を撮り、文書を作っても、 韓国電力は現場を管理監督する人が足りないと弁解する。そして問題がある 業者に罰点を与えても、形式的でしかない」。

あるポータルサイトでは『韓国電力』を『大韓民国を代表する超大型公企業で 世界最高水準の電力品質を認められている』と紹介し、『韓電職員が電気工事』 をしている写真をあげた。しかしその写真は実は路上で闘争している下請業者 の電気員労働者が毎日作業している姿だ。そして世界最高水準の電力の品質と 配電システムは、彼らが死と引き替えに作りあげた。韓国電力は、安全が無視 される現場についての請願があっても、無視するのが常だった。

「韓国電力が配電業者をかばうので、配電現場は人が死んでも安全より早い作 業が優先された。そして配電業者の社長が死ねといえば死ぬふりをしなければ ならなかった。日曜日もないドカタ式の作業が続いた。われわれは、2万ボルト 以上の電気に触るのに、雨が降る日も作業をさせた」。

▲普段作業する電気員労働者[出処:チャムソリ資料写真]

民主労組の歴史と共にする

「2年前、光州全南の電気員労働者が全面ストライキをした。60日ほどで終わっ たが、使用者側と調印式で、次は全北になると言っていた。配電業者には全国 社長団の会があるが、ここで徐々に準備した。そして今年全北を標的として、 こうした圧迫が入ってきた」。

南原の電気員労働者の闘争は、配電企業などと結んだ2010年の団体協約を基礎 とする2011年の団体協約交渉が決裂してから始まった。

「既存団体協約から19項目の削除を要請した。約50%だが、これは団体協約締結 をしないということだ。それでもわれわれは賃金団体協議を結び現場で変えよ うと思い、タイムオフ(勤労時間免除制度)も900時間の要求を160時間まで譲歩 した。だが1次交渉からうまくいかなかった。配電企業は前と違う態度を見せ、 9回も決裂して地労委に行った。そこで調整が決裂し、ストライキが始まった」。

全北地域は配電現場で初めて労働組合ができた。その歴史も民主労組の歴史と 共にする。91年から『電信柱に上がる人々』という会を作って活動し、95年に 民主労総が建設されると、労働組合を作った。それにより、10時間以上の労働 や雨天の作業などが少しずつなくなった。労働組合ができて作業環境が改善す ると、自然に組合員も増えた。最近では南原/淳昌地域電気員労働者98%が加入 する成果をあげている。

配電業者、3億で労組破壊

「配電業者の社長が3億ウォンをかけて労働組合を破ろうとしている」。

配電業者社長は決心したらしい。配電企業は3億ウォンの約束手形を共同保管し 電気員労組と個別に団体協約を結べば3億ウォンの賠償をすると約束した。一度 やってみようという行動を配電業者がしている。20年近く、南原市の火を灯す 仕事をしてきた労働者を尊重せず、彼らを追い詰めているので果たしてこんな 配電業者が提供する電気を安心して使えるのか疑問を感じる。

労働者の生命と安全に責任がある配電業者。さらに良質の電気供給と労働者の 安全が同時に保障される作業環境について悩むことが配電業者の仕事だが、彼 らは労働者をただ搾取の対象とだけ考える。

「初め64人の労働者が一緒だった。だが労働弾圧が激しくなり、今は24人に減っ た。生計の心配をして、やむを得ず現場で息を殺している人が多い。家長とし て家族に責任があると思っており、こんな状況があるたびに胸が痛い」。

[出処:チャムソリ]

『死の配電現場』

雨が降っても作業を強行しろという配電業者、一日に10時間以上の労働、産業 安全規則がきちんと守られない作業現場、これらすべてを黙認する韓国電力。

この四角形の枠の中で、電気員労働者の一日は苦しくならざるをえない。そし て死の恐れはもう生活の一部分だ。いくら毎日上がる空で、毎日触る電気線と いってもストレスはないのだろうか?

一緒に変えてみようと言って始めた。それで両手を取って始めた。

使用者側の懐柔と脅迫で、現場に戻った組合員を見るときは、だからさらに胸 が痛い。変えようという『死の配電現場』は変わらなくても、生計のためにそ の現場に戻らなければならない同僚をながめるのは決して容易なことでない。

「20年働いて、友愛を固めた。そして電気はチームワークが重要だ。作業区間 が300M程あるので無線機に頼って働くが、チームワークがなければ安全事故も 増える。自然に親兄弟のように過ごして互いを考えるようになる。組合員は、 自分の利益より仲間たちをまず考える。同志愛だ。今、とにかく頑張る。もう 退く所もなく、失うものもない。必ず勝ち、南原地域配電現場を改善する」。

[出処:チャムソリ]

使用者側のひどい弾圧が強い同志愛で団結した電気員労働者を脅しても、闘争 の旗を自分から下ろさないという。みんながしっかり団結しなければ生き残れ ない配電の現場で20年以上暮してきた彼らなので、雑草のように踏まれてもま た立ち上がることができる。

彼らがまた現場に戻れるように、応援が必要だ。雑草は風で倒れ、また起き上 がるが、決して一人で生きていくのではない。いつまでも彼らだけの闘争と見 てはならない。

われわれは労働者を、農民を民衆と呼ぶ。民衆の粘り強い生に今、私たちも関心 を向ける時だ。(記事提携=チャムソリ)

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2011-05-19 09:06:19 / Last modified on 2011-05-19 09:06:21 Copyright: Default

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