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韓進重フィリピン造船所は労働者の『墓地』

フィリピン-韓国韓進重工業労働者、連帯闘争を宣言

ユン・ジヨン記者 2011.04.19 15:57

韓国とフィリピンの韓進重工業造船所労働者が連帯闘争を始めた。韓国の韓進 重工業造船所での172人大量解雇とフィリピンの現場労働者への人権蹂躙、労組 弾圧に、両国の労働者が共同で対応するという動きだ。

これにより民主労総と金属労組韓進重工業支会、フィリピン韓進重工業労組、 フィリピン建設木工労働組合連盟、国際建設木工労連は4月19日午前、民主労総 で共同記者会見を行い、現在フィリピンのスービック現場の実態と、両国の労 働者の要求条件、以後の計画などを発表した。

フィリピンのスービック造船所が『墓』になった

韓進重工業は2006年からフィリピンのスービック湾米軍基地跡に造船所の建設 を始めた。建設初期、この地域の数百万の世帯は適切な保障や移住対策なく追 い出され、そこに韓進重工業とフィリピン政府が世界で四番目に大きな造船所 の建設事業に着手した。

いざこざも事故も多かった造船所の建設事業は、その過程でも多くの犠牲者を 出した。2007年から2010年の間に韓進重工業フィリピン・スービック湾地域で 発生した労災、死亡事故は少しどころか5000件。これで28人の労働者が命を失っ た。一週間もたたず労働者が傷を負ったり死ぬ割合だ。

最近では4月11日に、31歳の溶接工アルビン・ダルナグ氏が6フィートの高さか ら墜落し、金属ブロックに頭をぶつけて死亡した。4月9日にはアルビン・フラ シオ氏が作業中に鉄製ブラケットに頭をぶつけ、ヘルメットがこわれて右腕が 折れた。

[出処:金属労組釜山梁山支部]

記者会見に参加したアフリナル・ドン・トレンティノ国際建設木工労連アジア 地域代表は、「フィリピンのスービック造船所は労働者の墓になった」と説明 した。また彼は「今、フィリピン、スービック造船所はリビアより深刻な戦場 になりつつある」と声を高めた。

実際にフィリピン地域の労組によれば、公式に集計された労災死亡事故以外に も、報告されていない多くの事故があるという。死亡事故が失踪や疑問死とし て処理され、これは労災死亡事故として報告されずにいるという。彼らは、 「このような事故は、数トンの金属物質にあたったり鉄板で突かれたり、地面 に落ちたり、窒息したりして、発生した」と説明した。

建設現場周辺のマラリアの発生も、地域の住民と労働者の健康を威嚇していた。 フィリピン保健部の伝染病センターが集計した統計によれば、韓進の建設現場 があるカワグ村は、マラリアの発病率が一番高い地域だ。現在までこの地域の 住民と労働者に321件のマラリアが発病した。

そのためフィリピン議会は現場訪問と二回の公聴会を開き、韓進重工業側に、 △工場内に24時間稼動する病院設立、△毎日現場を監督する安全人材の配置、 △19000人の労働者に個人保護装備支給、△韓国人管理者を対象に虐待の慣行を 追放するセミナーの開催を勧告した。

だが会社はこうした議会の勧告も履行していないという。労組は「会社が人材 管理部2階を7つのベッドと1人の医師をおく医療センターに改造したが、これは 労働法が要求する190床を持つ医療施設とはほど遠い」とし「あとはさらに悪化 し、さらに多くの死亡事故が発生し、韓国人管理者は以前のような虐待どころか 鉄の箱に閉じ込めるような追加の虐待を加えた」と批判した。

韓国でもフィリピンでも『韓進重工業』は労働者弾圧

今年2月、韓進重工業は172人の労働者の大量解雇方針を確定した。使用者側の 一方的な整理解雇方針に対し、労働者たちは3か月以上の座り込みと上京闘争、 高空籠城などを行い、キム・ジンスク指導委員も100日以上高空籠城を続けている。

[出処:蔚山労働ニュース]

労働者への使用者側の一方的な弾圧は、フィリピンのスービック造船所も同じ だ。2008年7月6日、スービック造船所の現場約300人の労働者が韓進重工業建設 フィリピン労働組合(HHICPWU)創立総会を開き、労組を設立した。だが、労組を 設立した直後に、韓進重工業フィリピン法人は労組幹部と組合員をミンダナオ にあるフィリピン法人の新事業場に転出させたり左遷、減給の措置を取り、 幹部と組合員14人の解雇を敢行した。

下請労働者工場に変わった造船所の現場と、これによる不法派遣問題も韓国と フィリピン両国では慢性的な問題としてい指摘されている。

金属労組は4月7日に記者会見をして、造船所の間接雇用の実態を明らかにした。 これによれば、韓進重工業は正規職労働者1850人と比べ、間接雇用の労働者は 正規職の2倍を越える3351人を雇用していた。また韓進重工業は2009年金融危機 の時、20〜30%もの請負単価削減を進め、下請労働者の賃金差別の先頭に立った。

フィリピンのスービック造船所も、労働者のほとんどが下請労働者だ。現在、 スービック造船所には約19000人の造船労働者が働いており、1000人ほどの建設 労働者が維持補修業務を行っている。彼らは入社前に1〜3か月間、約3ドルの手 当てを受け、技術訓練を受ける。この過程を通過すれば6か月の修習過程を経て、 このうち相当数が155ドルの手当てと正規職直接雇用を約束されて3か月間、韓 国で訓練を受ける。

だが正規職の約束は守られない。韓進重工業フィリピン労働者のほとんどが 101の下請業者での期間制契約職で、業者の変更を続けて雇用される形式だから だ。特に101の下請業者のうち21業者だけが正式に登録された業者といわれる。 労組は「労働者は5年契約で宿泊と交通費を提供され、稼動初期を除き契約終了 通知書を受けたことがない」とし「韓進使用者側は周期的に多くの下請業者を 回り、新しい契約書に署名する」と説明した。

人権蹂躙と劣悪な雇用環境も問題だ。フィリピン労働者の平均賃金は日給5〜7 ドルだが、賃金の3%が『訓練費』として控除され、実際の手取りの4分の1が交 通費として支払われる。2交代制を施行する現場労働者は、08時〜17時、19時〜 04時まで働くが、一般的に30分早く業務を始め、時には連続勤務をしなければ ならない。

また労組は、「構内食堂の食事は悪くなっていたり、ウジがわいていたり、水っ ぽい粥や、食べ残しを混ぜたものである時もある」という。韓国人管理者から の人権蹂躙も深刻だ。アフリナル・ドン・トレンティノ代表は、「フィリピン 労働者が労組に加入したという事実がわかると、管理者はいつも暴力をふるう」 とし「また管理者は韓国の歌を歌えと強要し、歌えないと炎天に立っていろと いう罰を受けたりもする」と明らかにした。

韓国-フィリピン労働者、共同闘争を宣言

韓国とフィリピンで共通に行なわれる韓進重工業の労働者弾圧に両国の労働者 が連帯闘争を宣言した。

フィリピン全国建設木工労働組合連盟(NUBCW)は4月18日、連帯声明書を発表し 「金属労組の韓進重工業労働者による整理解雇に対する正当な闘争に明確な 支持を宣言する」と明らかにした。

また彼らは「5月1日のデモ行進とフィリピンの進歩的労働組合が主催する共同 集会で、韓国の韓進労働者の闘争に連帯を訴え、韓進資本と韓国政府に整理解 雇の撤回を要求する」と述べた。また連盟は、金属労組側に、キム・ジンスク 指導委員の自由な活動保障を要請する共同声明書の署名を提案する計画だ。

金属労組韓進重工業支会も連帯声明書を発表し、フィリピン韓進重工業労働者 の闘争を積極的に支持した。彼らは「われわれは今からでも韓進重工業資本が 本来の役割を悟り、フィリピン労働者の安全な労働条件と正当な労働権を認め るよう要求する」とし「今後、韓進重工業影島造船所の労働者をはじめ、金属 労組はフィリピン韓進重工業労働組合の闘争を積極的に支持する」と明らかにした。

[出処:金属労組釜山梁山支部]

また両国の労組は記者会見で、△大規模整理解雇撤回、△現事態を誘発した経 営責任者の交替、△民事刑事上告訴告発、懲戒撤回、△フィリピン韓進重工業 労働組合認定、△フィリピン労組幹部と組合員弾圧中断、解雇労組幹部と組合 員復職、△不法社内下請け中断の共同要求を発表した。

一方、両国の韓進重工業労組は、今後の共同闘争のために多様な計画を続ける 方針だ。韓進重工業支会のチェ・ウヨン事務長は、「今日の懇談会で、こうし た両国の労働環境をとにかく外部に知らせようという考えを共有し、OECD提訴 を検討中」とし「また9月にはフィリピン木工労連の組合員が韓国遠征闘争を計 画しており、私たちもフィリピン遠征闘争を検討している」と明らかにした。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2011-04-20 06:37:22 / Last modified on 2011-04-20 08:23:19 Copyright: Default

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