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バス労働者、「私は世の中を変えるストライキをしている」

[インタビュー] 18時間の長時間労働、休み時間が不足

カン・ムンシク記者 2011.01.12 17:11

零下10度の寒さの中で、市庁前の座込場を守る組合員は、火鉢の周辺に集まっ ている。かじかんだ手を暖めるために火の近くに行き、それとなくその場に入っ たところ現在ハンナラ党の国会議員をしている前韓国労総バス労組幹部につい ての話がやりとりされていた。しばらく熱弁を吐いていた組合員の1人が「これ が労総か」と一喝した。「他の事業場なら解決する頃なのに、今交渉ができな いのは韓国労総が挟まっているから」といった。これほど多くの事業場が一度 に民主労総に移った事例もなく、そのために全国のバス労働者が全北の状況に 注目しているのだ。「韓国労総と事業主としては、自分たちの既得権を守るた めに頑張る」という説明だった。

不足した休み時間と18時間労働

話の糸口が解けると、バスを運転しながら体験した話があふれ出てきた。この 組合員はチョニル旅客で20年間働いたキム・ソンヨンと自己紹介した。その20 年間で一番苦しかったことを尋ねると、時間の不足をあげた。運行路線ごとに 与えられた時間があるという。運転手には別に休み時間、昼食時間がないので、 与えられた時間で適当に生理現象を解決しなければならない。ところがこの時 間がとても短く、弁当を食べる時間もないのが苦しいと訴えた。「食事の時間 がないから弁当を持ってきます。ところが時によってはその弁当を食べる時間 もない」。

▲チョニル旅客組合員キム・ソンヨン氏

ほとんど5分で食事を解決して、またバスを運行しなければならない。そんなに 急いで食べるので、胃腸薬を飲まなければならない。終点にバス運転手が利用 できる食堂がない場合もある。一食の食費として3000ウォンを受け取るが運転 手の食堂がなければ私費で食事をしなければならない。150万ウォンほどの薄給 で、そんな食事ができる運転手はいない。時間も足りないので、弁当を持って くる運転手が多いのだ。

トイレに行く時間をのがす時も多い。
「2時間以上のコースは一度も休まず 回れば4時間乗り続けなければならないってことだね」
このような状況では トイレの問題を解決するために、ビニール袋を持っている運転手もいるという。 長く小便を我慢するので膀胱炎や尿失禁を病む人も多い。

前は1か月18日、終日働いたという。一日16時間労働が基本なので8時間労働に すれば1か月で36日働いたわけだ。ところがその時より、最近は12日の満勤する ほうがつらいという。

「昔より車が増えたでしょう。信号も増えたし。それなら運行時間をもっと長 くしなければいけないのに、時間をくれません」。
昼の時間には運行して 少し時間が残るが、朝夕の出退勤時間には終点につくと、すぐ出発しなければ ならないという。5分、10分遅く到着すればさらにそうだ。少しでも休んで出発 したくても、会社に睨まれるのが恐くて、誰もそうしない。キム・ソンヨン組 合員は「実感がわかなければ一日だけ運行に付いて回れば分かります」と苦々 しく付け加えた。

一日の労働時間が16時間と定められているが、みんな17〜18時間働いている。 車を運行するためには朝4時に出てこなければならず、車を車庫に入れてガスを 充填すれば12時になる。ガス充填が遅れれば午前1時まで待たなければならない。

社長の顔色をうかがう職場

同じ方向に運行する車両でも、終点が違えば運行時間を変えるべきだが、そう でもないという。それで同じコースでも終点により、休める時間がとても違う。 こういうことを利用して、会社は気に入った人は少し楽な路線に配車し、嫌わ れればつらい路線に配車するという。

車両内のCCTVを判読して信号違反を摘発し、脅迫したりもする。
「可愛い 奴は何度ひっかかっても見逃され、嫌な奴は一回ひっかかっただけでも呼んで 解雇するといいます。抗議すれば信号違反をしなければ良いではないかと言う」。

だが時間に合わせて運行するには信号違反は避けられない。特に運行距離が長 い田舎の路線では、すべての信号を守ると運行時間が長くなる。現実に合わな い運行路線を組んで、労働者を組に分けて飼い慣らすのに利用しているわけだ。

「それでも私たちの事情はましだと思います。残った人(ストライキに参加しな い非組合員)は組合長の顔色も見て、社長の顔色も見て... 内心、これはないと 思いながら、何もできないのです。」

バス労働者の現実に問題があることは誰もが知っているが、立ち上がる勇気が あるかどうかの違いだという。だがストライキが長くなり、ストライキ参加者 と非参加者の間に感情の溝ができることもあり、キム・ソンヨン組合員もこれ が心配だ。
会社の幹部がバスを運行する人を励ますために夜明けに車庫に 出て行ったりもする。20年間ほど働いて初めての事だという。
「今テント で眠っている人たちは、20年間無事故で働いた人なんです。彼らは見られもせ ず運行に出て行くのに.. 会社が互いに対立を助長しているのです。妥結すれば 一緒に働かなければならないのではないですか。」

世の中を変えるストライキ

ストライキでわかったことも多い。
「以前は全州でもたくさん催涙弾が飛 びました。それで車が渋滞すると、あいつらはなぜあんなことをするのかとよ く悪口を言いました」。
キム・ソンヨン組合員は、その時は自分のことだ けを考えていて、そうして出てきた人々の苦しみを知らなかったと述懐した。 だが今、ストライキをすると彼らが理解できるという。
「こうした団体、 人々がいるから、世の中が少しずつ変わってきたんだなあ... あの時に不平を 言っていたのが今は申し訳なくて..」とぎこちなく笑ってみせながら、言葉を 付け加える。「今は世の中がどう変わってきたのか、よく分かります」。それ でキム・ソンヨン組合員は今、バス労働者のストライキが世の中を変えている ということを全身で感じている。

ストライキ集会や文化祭があれば喜んで家族と共に出てくる。家族にも簡単に は自分のストライキを理解してもらえなかったという。では家族が理解できな ければ、どうして市民らが理解できるのかという気がしたという。
「私が 稼いでご飯を食べさせる子供も理解できないのに、市民が理解してくれないか ら残念とは言えません..」

キム・ソンヨン組合員の希望は素朴だった。家族がバス労働者の現実を直接見 て感じた後、誰かがバスが動かず不便だと言えば、一言でも何か言って欲しい と思う。単に家族だけでなく、こう言ってくれる支持者が増えれば、バス労働 者が人間らしい条件で働けるんだと。(記事提携=チャムソリ)

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2011-01-13 16:46:43 / Last modified on 2011-01-13 16:46:44 Copyright: Default

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