本文の先頭へ
LNJ Logo 韓国:外国人が驚く韓国非正規職の状況
Home 検索
 




User Guest
ログイン
情報提供
News Item 1293652000344St...
Status: published
View


「雇用不安、高血圧と精神疾患誘発」

[寄稿]外国人には驚くべきで猟奇的な韓国非正規職の状況

キム・スンソプ(韓労保連) 2010.12.29 14:09

先日、学校のセミナーで韓国の非正規職労働者について発表した時でした。 非正規職労働が憂鬱症とどんな関連があるかという話をしていると、しばらく 前から首をかしげていた米国人の同僚が手をあげて質問しました。「韓国では 非正規職労働者の割合が50%が越えるというが、私が聞き間違えているのでは ないかと思って尋ねる。本当か?」という質問でした。

頭に残った米国同僚の質問

発表が終っても、しばらくその質問が頭に残っていました。彼らには、OECDに 加入し、サムスン電子と現代自動車の国である『先進国』韓国でそんなに多く の労働者が非正規職として働いていることが信じられなかったのでしょう。

非正規職をどう定義するかによって違いはありますが、韓国と違って労働市場 の硬直性で、非正規職が30%ほどのスペインを除き、米国とヨーロッパのほとん どの先進国での非正規職労働者割合は10%内外だからです。

私は2010年韓国で労働者の健康を脅かす最大の危険因子は、まさに非正規職と いう雇用形態だと考えます。さらに危険な作業場で低賃金で働きながら、怪我 をしても労災補償を受けるのはさらに難しく、解雇されても失業給付は考える こともできない非正規職労働者が全労働者の半分を越えてすでに10年経ったか らです。韓国の人々には『非正規職労働者は健康を害する』ということは、あ まり新しいことではない悲しい『常識』のようなものだと考えられます。

しかし、世界的にも非正規職労働者の健康についての研究は多くありません。 頻繁に職場を移動する非正規職労働者の特性上、安定したデータの収集が難し いためでもありますが、労働組合を含み、政府をはじめ研究を財政的に支援す る機関が非正規職労働者の健康に相対的に関心がないためです。

非正規職労働者の健康に関する研究が、それでも一番活発に行われているのは、 北欧の福祉国家ですが。フィンランドのような社会民主主義国家で出版される 研究は、失業給付をはじめとする社会安全網の水準や資本-労働関係があまりに も韓国の状況と違い、その研究結果を韓国的な状況に適用するのは困難です。

驚くべきで猟奇的なこと

また何よりも韓国の非正規職労働者が直面する状況は、世界でも例がないから です。50代以上の女性労働者の75%が非正規職だという事実も、現代自動車のよ うな世界的な大企業の工場で、正規職労働者と違って全く労働組合の保護を受 けられず、同じ工場で低賃金で働く数万人の社内下請非正規職労働者の話も、 韓国で暮す人には陳腐な話かもしれませんが、外国から見ると驚くべきことで 猟奇的なことです。

だが、韓国よりはるかに安定した社会保障制度を備えたさまざまな国で行われ た研究でも、非正規職雇用がいかに労働者の健康を損なうかについては十分に 学ぶ点があります。代表的なものはホワイトホールII(Whitehall II)研究です。 英国の公務員の健康を周期的に観察したこの研究は、毒舌で『鉄の女性』と呼 ばれたマーガレット・サッチャー(Margaret Thatcher)が英国の首相になって、 新しい局面を迎えます。

「社会は存在しない、単に個人とその家族がいるだけ」と自分の信念を宣言し、 公企業と労働組合の『独占』を批判して、1979年に執権に成功したサッチャー 首相は、1982年に国営貨物会社を始め、通信、ガス、航空、石油などの順で 公企業を次々と民間企業に渡し始めました。

民営化により、安定した職場で働いていた正規職公務員が一瞬でいつ解雇され るかわからない非正規職になってしまったのです。公務員の健康を着実に追跡、 観察してきたホワイトホールII研究は、意図せず学歴、人種、性別そしてその 他の社会経済的な要素を統制した状態で、雇用不安が健康に及ぼす影響を研究 するという一種の残忍な実験をすることになったのです。

▲現代車非正規職座り込み組合員がビニールをかぶって寝ている。

その結果は驚くべきでした。論文は雇用不安の中で働くことが労働者の健康に 与える影響がいかに大きいかを見せました。ただ民営化の噂が飛んだだけで、 労働者の健康状態は有意に悪化したというのです。慢性的な雇用不安は自家測 定健康を悪化させて高血圧と精神疾患を誘発することが明らかになりました。

雇用不安が高血圧と精神疾患を誘発

この結果が世界的に注目をあびた理由は、同じ個人を追跡観察したので遺伝的 な面を含むさまざまな要素を統制しても、雇用不安そのものが病気にかからせ ることを効果的に見せたためです。

すべての非正規職労働者が十字架を背負って生きていく雇用不安一つだけでも これほど健康が悪化することが明らかなら、賃金、労働時間、労災保険、失業 給付等等で莫大な差別を受けて働く韓国の非正規職労働者の健康はどうしょうか。

世界保健機構が言うように、大韓民国憲法35条にあるように、すべての国民が 健康に生きていくことを保障するのが国家の義務なら、2年以上社内下請業者で 働いた労働者を正規職化しろという法院の判決は実は遅すぎるのではないでしょ うか。

そして故盧武鉉大統領が言っていたように、いくら資本が国家を支配する時代 でも、大法院判決を知らんふりをして当事者である非正規職労組と交渉もしよ うとせず、大型ショベルカーで答える現代自動車は本当にやり過ぎではないで しょうか。(提供=月刊職場)

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2010-12-30 04:46:40 / Last modified on 2010-12-30 04:46:43 Copyright: Default

関連記事キーワード



世界のニュース | 韓国のニュース | 上の階層へ
このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について