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19年無罷業の真実

[金属労働者]組合員全員4時間ストライキ断行した大宇造船労組を行く

カン・ソナ(金属労組編集部長) 2010.06.25 11:19

大宇造船労働組合は3月31日から賃上げ、団体協約更新、職級体系、新入組合員 初任給原状回復、社内下請労働者処遇改善の五大要求を掲げて交渉をしている。 6月末の妥結を目標として10回余りの交渉を続けてきたが、労組専従条項などの 合意は容易ではない。これに伴い労組は6月7日から9日まで組合員総会を開いて 争議行為賛否投票を行い、組合員7446人中5294人(86%)が賛成を投じた。14日か ら始まった争議行為は、6月22日現在、常執徹籠9日目、労組幹部出退勤闘争12 日目、労組幹部部分スト闘争7日目をむかえている。だが、まだ合意できず、労 組は22日に組合員全員の全面ストライキを決断した。『19年無罷業』と言われ る大宇造船の労働組合が総力闘争を宣布したのだ。そして23日と24日まで、続 いて4時間の組合員全員ストを続けた。その現場を訪ねて『19年無罷業』の真実 と、大宇造船労働者の現実を調べた。〈編集者〉

大人気の『闘争速報』

12時、昼休み。作業服を着た大宇造船海洋労働者が食堂にぎっしりと座って食 事をする。2万余の労働者が働く造船所らしく、食事の人数も大規模だ。食堂の 入口の外まで昼食のための労働者の列は長い。今日のメニューは夏には欠かせ ないメニュー、冷麺だ。

12時20分、冷麺一杯をさっと片づけた労働者たちが食堂の扉を出る。だが労働 者たちが食堂の扉を出て、また列をつくる。食堂出口に置かれた大宇造船労働 組合『闘争速報』を取るためだ。社内下請労働者が全労働者の70%を占めるほど 非組合員が多いが『闘争速報』は飛ぶように売れる。

▲6月22日大宇造船民主広場で開かれた'2010年闘争勝利のための大宇造船組合員全員全面ストライキ闘争決意大会'に参加した大宇造船労組組合員が'あなたのための行進曲'を歌い、民衆儀礼行っている[出処:金属労組シン・ドンジュン]

6月22日、この日は大宇造船労働組合(委員長チェ・チャンシク)が昼食後の12時 30分から『2010年闘争勝利のための組合員全員ストライキ闘争決意大会』を宣 布した日だ。労働者が手に持つ『闘争速報』には『今どこに行こうとしていま すか? 組合員が行く所は民主広場です』という題名が大きく書かれている。

民主広場に鳴り響いた闘争の叫び

12時30分、『こちらが決意大会場所です』と知らせでもするように、68人の代 議員が旗を掲げて『民主広場』を囲んだ。定規で測ったように前後左右、列の 間隔を合わせた大宇造船労組組合員が2010賃団闘勝利のための拳を突き上げ始 めた。

決意大会演壇に立ったチェ・チャンシク委員長は、「今年の交渉序盤から会社 はハンナラ党がかっ払った改正労働法を理由に改悪案を突きつけて横車を押し、 結局、時間稼ぎとごり押し、そして開き直り戦法を続けている」とし、残され た方法は正面突破だけだと強い語調で訴えた。

▲6月22日大宇造船労組全面ストライキ闘争決意大会に参加した組合員が文化公演を見て笑いをうかべている。[出処:金属労組シン・ドンジュン]

特に崔委員長は「8万ウォン賃上げ、削減された新入社員初任原状回復、不合理 な職級体系改善、福祉向上、社内下請労働者処遇改善など、どれ一つ、同業社 より良くない現実を変えるという要求がほとんどだ」とし「内容が多かったり 無茶な要求ではなく、会社が聞き入れられない内容ではない」と強調する。6月 末の妥結を目標に最善を尽くすという崔委員長の決心に組合員は『闘争』で答 えた。

決意大会に参加したある組合員は、「労働組合を守らなければ何もできないと いうことを知っている。だからさし迫った気持で出てきた」とし「私たちが戦 えば勝てる」という自信も伝えた。大宇造船組合員全員ストライキの力を組合 員は感じているのだ。

この日の決意大会に参加した組合員たちは30分ほどヤード(構内)でデモ行進を した後、西門前ソンガク三叉路で決意集会をした後に解散した。

▲6月22日全面ストライキ闘争決意大会を終えて造船所ヤード デモ行進をした大宇造船労組組合員がクレーンの前を通る。[出処:金属労組シン・ドンジュン]

400人参加が失敗だろうか?

2万の労働者のうち、組合員は7千4百人、組合員中この日の決意大会に参加した 人員は400人余り。食堂で飛ぶように出た闘争速報の面目を失わせる数字だ。な ぜ400人しか参加しなかったのだろうか。

集会を進める間、労働組合は絶えず管理者に警告した。「警告します。ストラ イキ参加者が明日業務に復帰した時、管理者から何かの統制を受けた時は生産 を止めます」。

実際、集会に参加したほとんどの人々はすでに会社のブラックリストに上がっ ていて烙印を押された人々だという。決意大会に参加したある組合員は「現場 で働く労働者はほとんどがストライキに同調しています。でも、ここに来られ ません。こにに集まった人々は決意大会に参加しただけで不利益があることを 皆知っていて来たのです」と労組活動への現場統制が一日二日の問題ではない ことを伝える。実際86%という圧倒的ストライキ賛成率がこれを立証している。

▲6月22日全面ストライキ闘争決意大会を終えた大宇造船労組組合員が造船所を行進する。[出処:金属労組シン・ドンジュン]

入社15年目という参加者は、労組活動をしていない同期と自分は月給20万ウォ ンほど違うという。進級と号俸で差別するのが常で、新入社員は、職班長が 1:1で密着管理するという。労組活動を一緒にした同志がある日、反対に立った 姿を見るのは残念なだけだ。

崔委員長は87年に労組を建設した時から現場統制が深刻だったと伝える。労組 建設に賛同した組合員の両親に直接電話して困らせ、『愛社心欠如』の条項を 作り昇進を防いだという。崔委員長は「労働組合を作るのは一緒に暮らすため に作るのであって、つぶそうとして作る人がいるか」と現場統制を非難した。

150万坪に散った労働者と共にする

さらに造船所の特性はストライキ賛同に困難を加えた。他の製造業のように、 ラインを止めればすべてがストライキに賛同できる構造ではない。

150万坪で2万人が働く大宇造船で、昼に工場を歩き回っても労働者を見るのは 容易ではない。世の中で最大の生産物を作るので、仕事をする時も集まって働 くことは多くない。こうした事情なので、22日に決意大会をするにも民主広場 までシャトルバスに乗らなければならないほどだ。

▲6月22日全面スト闘争決意大会を終えた大宇造船労組組合員は造船所をデモ行進し、ソンガク三叉路に到着した。[出処:金属労組シン・ドンジュン]

これまで労組はこれを克服するために縁ストライキ、地域ストライキなどを進 めてきた。別名、縁ストライキは、一つの食堂を占拠して、食堂で食事した組 合員とストライキをすることで、地域ストライキは工場内の拠点で小規模拠点 ストライキをすることをいう。このような理由で組合員全員集結は事実上数年 ぶりだという。このような条件で400人がバスに乗り、上司の目を避けて、自発 的に参加した決意大会を誰があえて失敗したと言えるだろうか。

19年無罷業、報道機関と会社の合同作品

今回の大宇造船労組ストにマスコミは注目した。『大宇造船19年無罷業こわれ るか』等の扇情的な題で連日新聞を塗りたくった。しかし大宇造船労組は毎年 賃団闘のたびに争議行為をしてきた。さらに1997年に本格的な売却問題が爆発 した時は、1週間作業を止めたりもした。ところが言論は無罷業だという。崔委 員長は、「報道機関と会社の合同作品」と説明する。「会社が労組のストを認 めると、君も私もストに賛同するので、やっと統制してきた現場の秩序が崩れ るのでマスコミまで集めて防ごうとしている」そうだ。

▲6月22日チェ・チャンシク大宇造船労組委員長が摂氏30度を越える暑さの中、デモ行進しながらストライキに参加した組合員を励ましている。[出処:金属労組シン・ドンジュン]

22日のストライキ方式は、ソンガク三叉路(西門三叉路)で物流を統制すること だった。造船業受注が減ったとはいうが、夜間作業に残業、特別勤務をするほ ど仕事が多い会社の立場では、長時間の物流統制は大きな打撃になる。23日ま で続いた組合員全員ストライキは、明らかに労組が合法的な手順をとって進め ている争議行為だ。さらに「6月闘争が終わればどうするか」という質問には 「7月闘争はない(?)」と宣言する労組が行う今後の闘争をマスコミはどう記事 にするのだろうか。

「いつ産別に転換するのですか?」

大宇造船労組マークと金属労組マークは同じだ。だが大宇造船労組は金属労組 に組合費を払わない単一労組だ。産別転換を3回試みたがそのたびに失敗した。

崔委員長は3回失敗をした今、また産別への転換を語るのは簡単ではないと伝え る。「初めて産別転換を議論した時は、少なくとも15万金属労組の前なので 『山を越えれば虹がある』と期待していた。しかし今15万金属労組の現実を見 た組合員は、ますます決心が難しくなっている」と告白する。

しかし崔委員長はあきらめないと言う。崔委員長は「ソウルで100人が最低賃金 に毎日戦っているのに、7400人の私たちが後に隠れているのは卑怯ではないか」 と連帯を強調し、組合員を説得しているという。「説得を続け、可能になれば 必ず投票します」という言葉から崔委員長の決意が感じられる。

▲6月22日全面ストライキ決意大会を終えて行進、ソンガク三叉路に到着した組合員がペク・スンファン副委員長の闘争発言を聞いている。[出処:金属労組シン・ドンジュン]

形式は単一労組だが、マークも一緒に使い、金属労組造船分科で分科長と先頭 に立って、金属労組の組合員の気持で活動する大宇造船労組。現在の努力が実 を結び、大宇造船労組の旗が金属労組とともにはためくその日を期待したい。

世の中に同じ船はないという。作った商品を買っていくのではなく、注文を受 けてそれに合わせるからだ。それで船にはそれぞれ名前がつく。00号、***号... 世の中に一つだけの船を作る7千4百人の大宇造船労組組合員たち。組合員に、 一隻の船を注文したい。『金属』の旗を立てて航海する『大宇造船産別号』を。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2010-06-26 21:58:51 / Last modified on 2010-06-26 21:58:54 Copyright: Default

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