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『私たちの人生はお前たちの利益より大切だ』

下請け労働者、彼らが奪われるもの

合同取材チーム 2010.12.03 10:31

「ワイフがバスに乗ったら、バスの運転手さんと乗客と私たちの話(現代車非正 規労働者ストライキ)をしていたって。それと共にバス運転手さんが『そこにい る人はとても大変でしょうに、奥さんたちが電話でもしなければ』と言ってたって」。
「ワイフに電話したら、もしかして出てくることになれば工場の前にゴザを 敷いて野宿座り込みでもすると。自分が食事の仕度をして配るって」。
「子にはただお父さんは会社に行ったといいました。子が幼稚園に行って 『うちのお父さんは自動車会社に行った』と話したら、後で非正規職だとわかったら 傷つくかと思って……。」

すべて現代車占拠座り込みに参加した非正規労働者たちの話だ。

家族対策委副代表のキム・ギョンジャ氏の言論とのインタビューによれば、 「蔚山では非正規職なら女の子たちにも嫌われ、銀行で貸し出しもしてくれな い」。男性労働者の場合、彼らの「夫人たちも直営(正規職)と非正規職が互いに うまく付き合えない。」

こうした風景の頂上には、賃金と労働者の権利、労働条件を越え、結果として 人間の自尊心と暮しまでを中間搾取する間接雇用がある。基本的に企業が下請 業者と請負契約を結ぶ時、労働者の賃金を低く策定し、差額を元請と下請が分 け合う。

「シートで働いていた友人の紹介で入社した。初めは中小企業より工場も清潔 で作業環境が良いと思った。それで初めはその気になってちょっと金を貯めよ うと思い、残業、特別勤務、反対組支援まで本当に頑張って働いた。正規職が したがらないことも下請け労働者がした。2年をそうして働いたのに、後で見る と貯めた金はいくらにもならなかった。その上、蔚山が物価が高い方だ。私は 熱心に働けばいいと思っていたが、それも限界があることを知った。働きすぎで 体を壊しただけだった。」(8年目社内下請労働者B氏)

よく調べれば、派遣企業は実際の権限は持つが、責任からは自由になろうとす る元請企業の代りに労務管理をすることが主になったものとといえる。もちろ ん、その管理費は本来は労働者が賃金として受け取る金から出る。表面では、 まるで元請企業がその費用を支払っているかのように。しかし、労働者が労働 組合を作って団体協約を要求すれば、下請け業者には何の力もなく、元請には 無関係の事になって、業者廃業、解約で解雇されるだろう。多くの非正規職 労働者の闘争がそうだったし、今回の現代車社内下請ドンソン企業がそうだった。

実例として『非正規職ない世の中作りネットワーク』等の団体が非正規労働者 を対象に5月〜6月に調べた『2010間接雇用実態調査』の結果を見ると、『労働 組合がとても必要』と答えた割合が66.1%、『苦情がある時に助けてもらうこと を希望する所』を労働者組織(労組など)だと答えた割合が43.9%、『労組に加入 していない理由』として会社側の反対と不利益と答えた割合が34.0%で、質問項目 の中でこれらの回答がすべて一番高い割合だった。

劣悪な労働条件に苦しむ労働者の権利が間接雇用の過程で消えたのだ。

勤労基準法が語る『中間搾取排除』を押し倒した派遣法をはじめとする間接雇 用は、こうして企業が労働者との間に下請け業者を挟み、本来労働者に行くべ き賃金を中間で分け合い、権限は持っても責任には目をとじ、目に見える差別 で自尊心を奪っていった。だがその連結の輪になる下請業者には実体がない。

「下請業者の職員なら…社長、所長、経理そしてAB組の班長がいます。下請 業者はみんなそうです。労働の時に使うマスク、手袋、安全靴等等の補給品も 元請のものを使う形で、賃金も事実は元請で決め、確実に会社が運営することは ありません。」(8年目社内下請労働者B氏)

言い換えれば彼らが通っていた会社は実体なく紙の書類だけで存在し、特別な 資本や技術力は必要なく、商品ではなく人を供給する会社だった。現代車の社内 下請に『スグン・ヘムルタン』『レッツゴー粉食』という名義で事業者登録を する業者がいたほどだ。

自分たちが通っていた会社が現代自動車でなく、『スグン・ヘムルタン』、 『レッツゴー粉食』だとは、彼らが感じた剥奪感はどうだろうか。だが彼らが 中間で奪われた自尊心の事例はもっとあった。

「以前、社内下請でも正規職を一定比率で選んだ時期がありました。それも、 割合は4:6で、外から新規採用する割合のほうが高かったです。その当時、私た ちの会社は80人程度でしたが、やっと2〜3人が正規職に転換されました。後で ちょっと時間がたってチャムバプが増えたのですが、その2〜3人も業者所長が 推薦すれば可能性が高くなることを知りました。ですから所長によく思われて、 正規職になれるかどうかということです。いくら資格証明をたくさん保有して 努力しても効果はありません。あの人がどうして正規職になったのかと思う人 も多いです。本当に。ベルトコンベアに乗るから働きに大きく違いが出ます。 そして下請業者の管理者が知っている人を正規職に入れるため、あらかじめ業者 で働かせることもあります。」(6年目社内下請労働者A氏)

「当時、下請が正規職を選ぶ時には基準がありました。例えば『74年生まれな ら勤続2年以上』という形で。ところがある日、直営の先輩が『君お金があるの か?』と聞くので『どうして』と言うと、自分が元請に知っている人がいるが、 紹介をするといいました。それで『なぜお金が必要なのか』と聞くと、『正規 職になるにはロビーもしなければならないから金がかかる』と言います。その 時、先輩が言っていた金額は2千万ウォンでした。事実2千万ウォン払っても、 下請で働き続けるより良いのです。金を借りても3千万ウォン払って正規職にな る人が多いのです。私にあの時2千万ウォンあれば……。」(8年目社内下請労働者B氏)

このように、企業が直接労働者を雇わず、他人に雇用された労働者を利用する 間接労働が単に該当労働者の賃金と権利、労働条件だけを中間で奪うのではなく、 その結果、労働者自身と家族の総体的な生活も奪っていった。

「自動車で働いていると言うと、どこかと聞かれます。正規職なのか非正規職 なのか。社会的にひどい劣等感でした。そのうち結婚して、子どもを産むと、 生活に悩みます。正規職と較べ、全く同じ仕事をしても、なぜ私の妻と自分が こんなに苦労しなければならないのか…妻が友人の集りに行くと、友人の夫は 正規職なのに私は非正規職だからしょげて悲しむ姿を見ました。そして子ども には、ただお父さんは会社に通っているというのですが、初めはどう言うか、 ずいぶん迷いました。あるいは子どもが幼稚園に行って『うちの父さん自動車 会社に通う』と話して、後で非正規職だと知ったら傷つくかと思って……。正 規職は子供たちに英語だ、課外だとたくさん教えますが、われわれは普通の塾 一つ二つ送るのもギリギリで、あまり教育を受けさせられないので腹が立ちま す。『なぜこんな差別を受けなければならないのか』と思いますが、また実際 に年を取って外に出て行けば当然な雇用がなく、ですから嘆きの中に陥るんで す。」(6年目社内下請労働者A氏)

最近、現代起亜車グループが現代建設を買収する入札で明らかにした現金性の 資産は12兆ウォン台だ。現代自動車は一年に2兆ウォン台の利益を上げる。現代車 の社内下請業者は100を越える。そして非正規労働者は嘆きに陥ったと言う。

では、その利益と嘆きはどこから始まったのか。

「『PD手帳』で使用者側のインタビューを見ると、『私たちだけに請負がいる のではない。造船、鉄鋼、電子等等、産業全般にわたる』と話したが、結局、 それは『なぜ私だけなのか』ということだ。泥棒を捕まえると『なぜ私だけ捕 まえるのか。こいつも泥棒で、あいつも泥棒なのに』と問い詰めるようなもの だ。いや、現代車はあれほど法が好きだったのに、今になって法を無視して 『私だけなのか』はひどい。」(6年目社内下請労働者A氏)

座込場の片隅に、ある労働者が書いて貼った文句には彼らの声が盛り込まれている。

『私たちの人生は、お前らの利益より大切だ。』

(蔚山=メディア忠清、蔚山労働ニュース、チャムセサン合同取材チーム)

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2010-12-04 08:39:34 / Last modified on 2010-12-04 08:39:41 Copyright: Default

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