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現代車、舞龍山の上に日が昇る

[ルポ]占拠工場と工場のあかりが共存する蔚山工場

合同取材チーム 2010.11.29 00:03

舞龍山の上にまた日が昇る。現代車蔚山工場の裏門を含み、40ほどの門に朝7時 から構内バス、バイク、自転車の出勤の行列が続く。近い工場で働く労働者は 乗用車をとめてゆっくり歩いていく。非正規職がストライキに突入すると、会社 がコンテナボックス、『夢九山城』を積んだことで塞がれた正門は、出勤の行列 の例外だ。労働者たちはミョンチョン正門-中門-駐車場裏門を結ぶ三叉路が 朝夕で一番混雑し、時々交通事故が起きるという。

忙しく動く人々の間にミョンチョン駐車場の裏門で三歩一拜をする人々が目に つく。『私たち労働者は一つです』『子女には非正規職を譲れません』という ゼッケンをつけて出勤する労働者に向かってひざまずき、お辞儀をする。中門 の外には非正規職が列になって出勤宣伝戦をしながら『非正規職正規職化』を 訴える。交通整理の笛が『ピーッ』と鳴ると、工場内に押し寄せてくる正規職 のスキ間に非正規職姿は消え、声だけが聞こえる。『現代車は不法を行わず、 大法院判決を履行しなければなりません』

そうして出勤する人と退勤する人が出会い、自転車とバイクが交差し、出勤す る労働者と三歩一拜の労働者がすれ違い、コンベアラインが止まった占拠座込 場とラインが稼動する工場が共存しながらも、工場内のミョンチョン川は大和江 と出会い東海へとゆうゆうと流れる所。そこは3万5千人が働く都市、現代車 蔚山工場だ。

あの時、私たちの若い日、そして非正規職ストライキ

暗くても工場内の灯は光る。非正規労働者が占拠座り込みをしている第1工場に 近いスターレックス、ジェネシススポーツカーを作る第4工場の労働者は、コン ベアラインに乗る。アバンテ、サンタフェを作る第2工場、アバンテを作る 第3工場、ジェネシス、トゥーサン、エクウスを作る第5工場の灯も明るい。

そのあかりの間で会社側の宣撫放送が工場内に鳴り響く。「不法占拠者...政治 的目的に活用...刑事処罰...」会社は非正規職の正規職化の要求には答えず、 占拠座り込みを解除しなければ刑事処罰すると宣撫放送している。第4工場労組 (現代車支部)の幹部が集まる第4工場の代議員室までは、宣撫放送は聞こえない。

「自分のお父さんは正規職なのに息子は非正規職で、その中に占拠座り込みを すると言って上がった息子もいて、そんな人は多い。現職(正規職)代議員にも 息子が占拠座り込みに行った人もいる。ここは学縁、地縁、同好会、郷土会で からまっている。今回、早期サッカー同好会が集まったが、子供たちはあまり 来なかった。占拠座り込みに行った。(笑い)」

暗い夜も第4工場のラインは動く。

▲暗い夜も第4工場ラインは動く。

まさに98年を回想して、現在の非正規職ストライキと較べた。整理解雇に対抗 した36日間の占拠ストライキは、10年以上、強い記憶に残っていたようだった。 14年勤めた正規職労働者が『末っ子』だというのだから、正規職労働者は98年 のストライキを深い浅いはあっても、ほとんどが経験していた。

「われわれはあの時、若かった。今、非正規職はあの時の私たちのように若い。 若い人々が暴力で殴られ、引きずり出されてきて目が回る。血が沸く青春だ。 押されて引いて、占拠座り込みに入ったのだろう。あの時と違うこともあるが、 似ていることもある」

正規職のストライキ経験、2010年の非正規職ストライキの共存は、正規職労働 者に現代車支部への自負心につながった。代議員は闘争の歴史が深い近くのA事 業場は今、『御用労組』になったと馬鹿にした。そこの非正規職は相対的に 『さらに人間以下の生』を暮しているが、現代車非正規職は工場も止めたと 褒め称えた。

愉快ではないストライキの記憶もある。98年のストライキの後、解雇者-非解雇 者、ストライキ参加者-非参加者、無給休職者などと労働者が分かれ、『寂しい 工場』に変わったという。非正規職ストライキをその時と較べながら「今から そんな心配をするのは先走りかもしれないが、98年の経験があるので...支部が 組合員総会をするというが、それでは労働者が対立するかもしれない」と話した。

対話をしながら代議員たちは中間中間にTVを見た。サッカー競技の真っ最中だ。 きれいにゴールが入るような今回の闘争の解決法は何だろうか? ある代議員は 現場の雰囲気が「しっかりしていて良い」とし、現代車支部が組合員に連帯闘 争の指針をはやく出せと主張した。その一方で闘争指針が出た時、どれだけの 組合員が行動できるのかわからないが、「組合員は皆知っているが内心をいわ ない」と言う。他の代議員は解決法について「それが分かれば... 支部長もわ からず、金属委員長もわからないだろう」と言うと、笑いが爆発した。

▲舞龍山の上に日が昇る朝、労働者が出退勤する。非正規職のストライキを見る彼らの思いはどこに向かって行くのか。

B55コードの現実、それでも

遅い時間、第3工場の1階を通り、狭い階段に上がれば2階に代議員室がある。そ こにいた代議員は、現代車正規職労働者の姿を『率直』に話そうといった。彼 は非正規職正規職化闘争を支持するが、金属労組がゼネストをしたとき、どれ 程の現代車支部組合員が行動するのか疑問を示した。第3工場から第1工場まで 歩いていくのに25分ほどかかるが、『それも大変だ』と豪快に笑った。

「自動車産業の労働者は高齢化した。どうしても若い人より子供の私教育費、 生活費に敏感にならざるをえない。一日でもさらに特別勤務をして金を稼ごう とする。同僚のひとりは子供が『もう一本(特別勤務)して肉を買ってよ、お父 さん』といったという。率直に金銭的不利益を受けるのを嫌う。各工場でさら に働くために、(車両)物量を互いに譲らないことがあったりもする。ある工場 は仕事が多く、ある工場は仕事が少ない。IMF以後、工場の情緒が干からび、昔 のように一生懸命労組活動をする人は少ない。私たちの誤りでなく、IMF以後の 現代車資本が『たくさん金をやるから車だけ作れ』と私たちを飼い慣らした」

一例として『B55コード』を上げた。一日ゼネストをすれば会社は個人勤怠管理 記録にB55を入力し、無断離脱処理をする。年次、月次、各種の手当てなどを抜 くと何十万ウォン。一部の組合員の不満が爆発する。また来年、退職金が年金 制度になり、中間精算を計画した一部の組合員もため息をつく。年末に特別勤 務、残業などできるだけ働かなければ退職金をたくさん受け取れない。

これ以上聞くまでもなく、彼は自然に金属労組ゼネストの決定に不満を表わし た。現代車支部のことでもない非正規職支会のことでゼネストをしろというの は『個人的にはとんでもないこと』といった。その一方で現代車非正規職スト ライキは正当で、残念な社会的な問題だとし、その原因と解決方法を提示した。

「一番の問題は、労働界が資本に98年派遣法を認め、民主労総の合法化とバーター したことでしょう。労働界が派遣法を認めて無数の非正規職が生まれたのでしょう。 今、進歩政党に行った人たち、有名な人たちは、あの時合意した人々でしょう。 これは政界が解決しなければなりません。合意した人が解けと言うことです」

▲非正規労働者が占拠している蔚山第1工場

▲工場内にミョンチョン川がゆうゆうと流れる。

立場変えて考えてみれば

太陽が明るくなっても、第4工場ラインは回っていた。第4工場、第1工場周辺で 昼休み、夕方の時間に組合員はよくサッカーをする。時々は勤務時間に工場の外 で集まっている人々がいたが、第1工場のほか他の工場でも部分ストをするので 管理者が緊張する。

労働者たちは午前10時になると、ラインの横でしばらく休む。第4工場ラインの そばの休憩室で会った50代の組合員は、非正規職は正規職になるべきだと言う。 だが非正規職の第1工場占拠は性急だったとし、非正規職支会が正規職組合員も 共感できる闘争をするべきだといった。一足遅れて休みに来た40代の第4工場の 組合員も内心を表わした。

「子供たちのことなので、知らんふりもできず、労組でこうしようと言えば、 ある程度反応もある。今回のことで労労分裂をしてはいけない。他のことは よくわからないが、原因を提供したのは会社なのだから、まず会社が非正規職に 手を差し出さなければならない」

第4工場の階段を上がると50代の班長と40代の助長に会うことができた。現場の 中間管理者である班長、助長も、現代車支部の組合員だ。今回のストライキで 立場が苦しい時があると言いながらも非正規職は正規職にならなければならな いと話した。

「私たちも87年、90年代の初期まで同じ立場だった。その時は賃金、福祉など で戦った。正規職も立場が変われば今非正規職が戦うように、同じようにする かもしれない。人間と一緒に仕事をして、私たちが非正規職のようになればもっ とするかもしれない。非正規職支会は相対的に少数なので... 正規職は利己的 だと思われるかも知れないが、互いに立場を変えて考えれば、みなすまないと 思う。実践に移すのが難しい」

「互いに顔をあわせて生活しているのに、あんなことになって残念だ。正規職 の要求は間違ってはいない。正規職にも考えがある。一度に正規職化するのは 難しいが、自然減少人員を順次正規職化すればどうかと思うこともある」

輸出の野積場で船に積まれて出て行く日を待つ車のように、労働者の数万種類 の考えは、現代車工場内に待機している。反面教師にすること、他山の石にす ることは何だろうか。(合同取材チーム=蔚山労働ニュース、メディア忠清、チャムセサン)

▲船に積まれ海外に出て行く日を待つ車

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2010-11-29 02:56:24 / Last modified on 2010-11-29 02:56:27 Copyright: Default

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