本文の先頭へ
LNJ Logo 韓国:ストライキ3主体意見接近案の意味と展望
Home 検索
 




User Guest
ログイン
情報提供
News Item 1290954316450St...
Status: published
View


現代車ストライキ、今、ボールは社側に

ストライキ3主体意見接近案の意味と展望

合同取材チーム 2010.11.28 14:32

蔚山現代自動車第1工場非正規職占拠座込場。ここを占拠している非正規労働者 たちは、11月26日と27日、終日各組別に激論を繰り広げた。蔚山非正規職支会 争議対策委員会も48時間ずっと激論が続いた。そして27日夜11時40分頃組合員 は歓呼で拍手をした。会社側と交渉をするために金属労組と現代車正規職支部、 蔚山、牙山、全州非正規職3支会の3主体が作った意見案に対する立場を決めた ためだ。工場の中で占拠をしていた非正規職労働者たちはこの案をめぐり廃棄、 賛成、無条件に指導部の決定に従うなどの立場に分かれたが、結論は常にどう すれば正規職化を実現できるかだった。

3主体の意見接近案は、交渉議題を何にするかが議論になった。一言で、現代車 正規職支部と参加する特別交渉要求案を作ったのだ。しかしこうした意見接近 案は、座込場の非正規職に議論が渡ると難航した。このように会社と正式交渉 でもない労組3主体の意見接近も難航に陥り、今後の交渉も方向がよく見えない のは、非正規職組合員の情緒と現在の不安定な雇用状態と関係が深い。

非正規職組合員は、何年も現代車社側の労務管理と労組弾圧を見てきたし、直接 体験もした。これまで非正規職支会を引っ張ってきた労組の執行部は、現代車に 声を出すたびに色々な弾圧で解雇され、弾圧を受けてきた。7月22日、不法派遣 という大法院判決で、組合員の数が増え、社側の弾圧はさらに激しくなった。

このように現代車を通じた直間接的な労務管理と現場統制を十分知っている組 合員たちは、自分たちが持つ唯一のカードを手放せないという切迫感がある。 非正規職が持つ唯一のカードは占拠座り込みだ。これにより交渉局面で組合員 の現代車の元請に対する信頼問題は、一つ一つ確答を受けて行かなければいつ でも逆攻勢を受けるという本能がある。

正規職労組は、組合員4万5千の強い組織力と安定した団体協約を基礎とした力 で、会社側と交渉が解決しなくてもこれを切り開いて行くのに大きな困難はな いが、非正規職は小さな突破口でもできれば復旧が難しくなる。こうした非正 規職への現場弾圧と強い労務管理で、非正規職は社側を全く信頼していない状 況だ。15日の奇襲占拠事態の発端になったドンソン企業問題も、会社側が強力 な物理力を動員したことで怒りが爆発し、事態がさらに大きくなった。

それで非正規職争議対策委は、3主体会議に参加する前の27日の午前1時30分ま で争議対策委員会の会議で『正規職化に対する成果ある合意なく座り込みを中 断しないという前提』を合意案に文句に要求した。こうした決定事項に基づい て、イ・サンス非正規職支会長はこの日の明け方、正規職支部常務執行委員の 護衛を受けて、3主体会議場に向かった。

支会争対委は、正規職との連帯が今回の闘争過程で非常に重要な議題だという ことを確認して、3主体の合意に最善を尽くすという方針を決めた。これは前提 さえ保障されれば正規職との連帯のため、交渉に最善を尽くすということだ。

争対委が前提とした「成果ある合意」の部分は、争対委が組合員を説得できる 唯一の案だという判断により、争対委の全員一致で決めた。だがこのような 非正規職支会の案をめぐり、3主体はかなりの激論を展開したといわれ、最終 意見案では前提とする『成果ある合意』の部分は消えた。

支会が『成果ある合意』と『座り込み解除』の問題の連動を文言に要求したの は、非正規職支会座り込みの切実さを社会的に公論化しなければならない状況 を反映していた。こうした防御的な文句がなければ、交渉がすまく行かず合意 点を見出せない時、会社の悪宣伝を非正規職労組がきちんと防御するのが難し くなるかもしれない。

これは非正規職労組が、座り込みという唯一の対応方式しか駆使できない状況 で発動した自己防御体系だ。非正規職労組に防御的な文句がない状況で、予想 される会社の悪宣伝は『非正規職のわがままで交渉を破壊した』という責任論 となって返ってくるかもしれないからだ。この責任論が休業措置と並行すると 現在までは友好的な正規職組合員の態度も変わるかもしれないのだ。したがっ て、交渉がこわれても座り込みを続ける名分になる文句が消えたことで、 組合員は大きな憂慮を示した。

しかし現代車正規職支部は、こうした前提が交渉要求案に入ると交渉そのもの ができないかもしれないと判断し、文章化に反対したという。結局、争対委は 文章化の代わりに金属労組、現代車支部に『成果ある合意』への支持、援護、 連帯の意思を要請して、これを記者会見と声明書で示すことで整理した。

正規職化か、不法派遣交渉対策か

今回の3主体案のもうひとつの重要な議論は、社側との交渉が『不法派遣正規職化』 なのか『不法派遣交渉対策用意』なのかだ。非正規職支会は長時間にわたり、 金属労組、正規職支部と議論をしたが、文章では『不法派遣交渉対策用意』に なった。この文句がこれほど敏感な理由は、3者合意の内容が会社に発送する 交渉要求になるからだ。つまり交渉の要求が、不法派遣交渉対策だということだ。

しかし不法派遣交渉対策は、厳密に言えば文言上は正規職化交渉要求ではない。 不法派遣に関する交渉をするための色々な対策に合意しようという意味に読め る。文言通りに合意案が出ても、組合員の主な要求とは掛け離れたものになる。 こうした文言の微妙さを感じた組合員は、1次3主体合意案が今回の事態を触発 した『ドンソン企業廃業事態解決』だけに限られる交渉なのでないかという 疑問を示した。交渉が開かれても正規職化問題では何も得られず、座り込みを 解除しろという圧迫を受けかねないという不安感が作用した。

非正規職支会が9月29日に決めた8つの交渉要求は、正規職化の要求だった。 今回のストライキもこの8項目の交渉要求を貫徹するストライキであることを 支会はこれまで何度も強調してきた。また、2次3主体会議でも「正規職化に ついての成果ある合意なく座り込みを中断しない」という原則を決め、文言に することを要求したが、結局貫徹できなかった。

だが、非正規職労働者の正規職化の要求は切迫している。下請け業者の廃業が 発端になった座り込みだが、いずれにしてもこの程度のストライキを準備して きた。今回のストライキと座り込みで正規職化の交渉ができなければ、もう 機会はないという判断がある。こうした組合員の判断は分科討議などで出てきた。

座込場のある組合員は、分科討議の中で「この程度の交渉議題なら、私たちが 座り込みを始めて3-4日目ぐらいに出てくるような議題だ。今13日間、靴下一足、 パンツ一枚で粘ってきたのは、この程度の交渉を要求するためではない」と指摘した。

他の組合員は「今回の局面で正規職化交渉ができなければもう正規職化交渉は できない。損害賠償や被害最小化などに合意しても、刑事訴訟はそのまま行く。 こんな低い水準の交渉をするのなら、いっそ警察が入ってくるまで粘ろう」と 強調した。彼は「警察が入ってきて、一日だけ頑張れば、世論は私たちの側に 立つ」とし「交渉に入るのは要求を持って行くことだが、今回の要求は正規職化 の要求ではなく免責、損害賠償交渉の要求だ。もう2006年に元請と交渉をした ので、元請と初の交渉をするという意味もない」とし、今回の2次3主体意見 接近案の問題を細かく反論した。

こうした組合員の憂慮と反発を読んだ争対委は、ひとまず内部の論争を払拭し、 争対委案を確定した。イ・サンス非正規職支会長は「今回の3主体合意は、 正規職化交渉の過程であることを明確にする成果ある合意がなければ座り込み を中断しないという争対委の立場を確認する」とし、記者会見などで、争対委の 立場を社会的に世論化すると結論を出した。

ボールは現代車社側へ、交渉の拒否は負担に

このように、蔚山工場の座り込み団が正規職支部の仲裁で立場をまとめ、現代 車社側と金属労組、現代自動車支部、非正規職支会の交渉は急流に乗りそうだ。 しかし相変らず暗礁はある。まず社側はずっと下請業者の労組とは協議できな いと言い続けてきたためだ。しかし現代車正規職支部が62時間にわたり非正規 職を説得して交渉要求案を作ったので、正規職支部の努力は無視できないとい う観測が支配的だ。

また会社が交渉要請を拒否すれば、むしろ非正規職に有利な状況になる可能性 が高い。非正規職支会も交渉要求の文句に100%満足していないが正規職支部の 案を受け入れたのは、物理的衝突ではなく対話と交渉による解決をしようとい う意志を示した。これは正規職組合員との連帯を諦めないという原則から出て きた。これにより社側が交渉を拒否すると、正規職組合員の世論は社側に不利 になる。

今回の座り込み闘争は、98年の現代車正規職整理解雇粉砕闘争の後、初めての 非正規職工場占拠だ。すでに新型アクセントの生産ラインは14日間止まってい る。それでも正規職組合員が不満ではなく継続的な関心と連帯を送っているの も社側には負担として作用している。正規職労組も対話による事態解決を強調 してきたので、会社がこれを拒否するとさらに強い連帯闘争の名分になる。 (蔚山=メディア忠清、蔚山労働ニュース、チャムセサン合同取材チーム)

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2010-11-28 23:25:16 / Last modified on 2010-11-28 23:25:17 Copyright: Default

関連記事キーワード



世界のニュース | 韓国のニュース | 上の階層へ
このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について