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現代車非正規職に新しい労働世代を見る

2010労働世代の登場と現代車非正規職闘争

合同取材チーム キム・ヨンウク記者 2010.11.22 01:32

現代車不法派遣問題の終わりが見えない。非正規職労組(支会)や会社が互いに すぐ和解できる部分が見えないからだ。特に今回の現代車非正規職のストライ キには、これまで慣例になっていた労使間の交渉もみつからず、これまでの労 働者の闘争とも違う様子を見せている。ここには血縁と地縁が絡む地域の特性 と、非正規職組合員の世代的な特性がからみ、これまで見られなかった新しい 様相が現れ、対立が激しくなっている。

現代車が今回談判すべき非正規職労働者たちは、いわゆる87年世代である既存 の正規職労働者とは明らか異なる新しく進化した世代的な特質を持っている。

産業化と経済的発展の後遺症が、労組民主化闘争として噴出したのが87年労働 世代の特質だったとすれば、ほとんどが20代後半から30代初中盤の組織化され た労働者でありながらも、インターネットとデジタルに馴染み、民主化された 時代に5〜8年間非正規職の差別と悲しみの中にいた世代的な特質は、占拠座り 込み闘争の過程でそのまま表れた。何よりも彼らは社会に出てすぐに新自由主 義の狂風を受け、グローバル資本主義の構造的な危機の中で、労働者に危機の 責任が転嫁され、その被害に耐えてきた。だから彼らにはそれだけの切迫性と 躍動性が存在している。

▲朝をむかえた蔚山現代車非正規職占拠中の第1工場内部 貼り紙には「法律が好きなチョン・モングは法律の通りにしろ」と書かれている。

まず初戦は非正規職労組(支会)が一本勝ちで勝った。11月15日朝のシート事業 部下請け業者、ドンソン企業の廃業に反発してシート事業部ライン占拠に突入 した非正規職を、会社が動員した用役と管理者が暴力的に引き出して事態は一 段落するかに見えた。しかし暴力弾圧に怒った非正規職は第1工場3階のCTS工程 を全面占拠した。そして1週間が流れた。

非正規職支会は、元請の現代自動車が直接労使交渉に出ろと要求しているが、 現代車は退去通知と操業時間短縮などの措置で対抗し、交渉に応じずにいる。 社側は23日から正規職昼夜間10時間勤務から8時間勤務にして残業をさせないと 明らかにしたという。第1工場の正規職は会社側の帰責事由で工場が止まったの だから、ひとまず工場に出勤し、仕事はしないが10時間分の賃金全額を受け取っ ている。この状況で、社側が第1工場に残業を出さなければ、正規職労働者の賃 金は月約15万ウォン程度減る。会社は非正規職の工場占拠で正規職の賃金が減 る効果を狙い、労労対立戦術を駆使しようとしたのだ。

こうして社側が全く交渉に応じる気配を見せていないが、第1工場座込場組合員 の雰囲気は意外に物静かだ。こうした雰囲気により、非正規職闘争を支持して いる正規職代議員は今回の闘争がどんな方向でどう展開し、終わるのか見当が つかないと言うほどだ。

交渉の心理的マジノ線の見当がつかない非正規職世代

既存の正規職労組は、労組上層の指導部が妥協可能かどうかを占いつつ、要求 を出す。要求は交渉で駆け引きして調整するという方式だ。この過程で合意で きるマジノ線の水準が見え、時期も見えてくるが、今回の非正規職座り込み闘 争はまったくそうした観測ができないという分析が多い。不法派遣問題そのも のが、正規職化以外の適当な妥協点を見つけるのが難しいこともあるが、さら に複雑な要因もある。

まず、ストライキに突入した非正規職組合員のほとんどが20代後半から30代初 中盤の年齢で、民主化以後の個人的欲望に忠実な非正規職世代だ。彼らはスマー トフォンとDMBフォン等でインターネットとデジタルが生活化され、工場の中で も外の状況に接しつつ、自ら進化しながら意見を出し、立場をまとめつつある。 典型的な88万ウォン世代の特質を見せながらも、指導部への強い信頼と指針の 死守など、組織化した労働者の姿を同時に見せている。

また組合員たちには、交渉で合意可能な心理的マジノ線そのものが『今回終わ らせなければ正規職化は遠のくかもしれない』という、かなり高い水準にある。 正規職化以外の案を考えていないということだ。工場で鳴り響くスローガンは、 「われわれは正規職だ。鄭夢九が出てこい」が一番多い。最高裁の判決以後、 心理的にすでに正規職と規定している状況だ。

第1工場正規職代議員のA氏は、「05年の不法派遣闘争の時も交渉が開かれたが、 1、2回交渉して止まった」とし「交渉で実質的な何かを出さなければならない が、会社は簡単にはできないことばかりだ。今回の闘争はパンドラの箱を開い た。適当な妥協案は全くない」と見た。彼は「今回の座り込みを中断させるに は、KECのように元請が直接交渉に出るだけでは答にならない。すでに非正規職 の士気は天を突いていて、元請との直接交渉で具体的な成果が出なければ非正 規職労組も名分が立たない。だが元請は直接交渉に出れば、自分が本当の使用 者であることを認める形になるので、正規職労組を混じえた交渉を提案する可 能性もある」と展望した。

「やくざども来るなら来い。やっつけてやる」、「現代手動車(非正規職)から現代自動車(正規職)にいこう!」、「くそっ、寒くて死にそうだ、ヒーターを入れろ」

非正規職組合員300人のお父さんは正規職班長

労使が平行線をたどれば、会社か非正規職支会のどちらかが譲歩するか負ける しかない。現在、非正規職が勝機を捉えている状況で、会社は2週間目に入る 22日から反転の機会をうかがうものと見られる。しかしこれも容易ではない。

A代議員は、「使用者側の戦術は、休業で正規職に休暇を出し、非正規職を孤立 させて公権力を投入することかもしれないが、これも難しいだろう」とし、 「公権力や用役が投入されると正規職支部が大騷ぎになるだろう。労組がじっ としていられないほど問題が大きくなる」と説明した。非正規職支会が占拠し ている第1工場は最初にできた工場なので、87年以後の闘争経験が蓄積されてい るという。そのためさまざまな対応戦術があり、闘争に突入すれば一筋縄では いかない工場だという。第1工場は現代車の多くの現場組織の議長を一番多く輩 出するほど正規職活動家の層が厚い。正規職と非正規職の連帯がうまくいって いる理由もここにある。

また正規職休暇問題も、休暇期間の賃金などを代議員と協議しなければならな い。社側が協議せず休暇を進めると、正規職の反発が大きくなるかもしれない。 各工場の労働者は自分が働いている工場を自分の職場と思い、工場内のすべて の事案を協議せず進めると強く反発する。私の工場でおまえたちの勝手にはさ せないということだ。

さらに蔚山現代車という複雑な地域内の家計の構図と韓国社会の賃金労働者雇 用現況も、現代車がこの問題を強引に処理できない要因に作用しそうだ。支会 と正規職代議員など、多様な消息筋によれば、先週の組班長協議会で座り込み を解除しろという会社側立場の公式声明を準備したが不発に終わったと言う。

その理由は、正規職班長を父に持つ非正規支会の組合員たちだけも300人で、そ の他にも正規職の課長、業者社長の息子もかなりの人数が非正規職としてスト ライキ闘争に参加しているためだ。

非正規職は公募の採用がなく、各下請け業者の社長が縁故採用するので、血縁 地縁で入ってくるケースが多い。そのため組班長全体が直接救社隊になって、 血縁と地縁がからむ非正規職を暴力的に引き出すのは限界がある。

現代車は最高裁判決を持ち個人的欲望を隠さない世代と戦わなければならない

何よりも非正規職組合員の雰囲気が最大の変数だ。彼らは最高裁判決という武 器を持ち、名分と自信にあふれている。また88万ウォン世代が味わった現実の 挫折が今回の闘争に溶け込んでいる。現在まで工場内外でストライキに参加す る組合員は「終わらせよう」と異口同音に答えた。

非正規職8年目のA組合員は、労組に加入して3か月しかたたない。彼は、06年の 不法派遣闘争については「06年にはとにかく組合員が少なかった。本当にスト ライキができるのかよくわからず、率直に不法派遣かどうかにも自信がなかっ た。基本的に、非正規職労組の数があまりにも少なかった。その時は、だから 雰囲気だけ見た。だが今は数が違う」とし「いずれにせよ両方とも刀を抜いて、 最後までやらなければならないのではないか」と淡々と話した。

彼は「業者でも元請でも、私たちが出て行けば懲戒すると脅迫するだろう。勝 利は最後にならなければわからないが、一つの道だけを見て行くしかない」と 強調した。また「親しい正規職の先輩から、適当にうまくやれという携帯メー ルがきたが『死ぬ心情でやっている』と返事を送った」とも話した。

8年間社内下請として働いたB組合員は、団結よりも個人の正規職化の熱望を強 調した。彼は「今は連帯よりも個人の意志のほうが重要だと思う。すでにここ に来たこと自体が大きな意味」とし「私たちすべての内心は、もう非正規職か ら抜け出したいということだ。8年間非正規職だった。もう抜け出したいという 意志を確かにすれば、団結も必要ない」と自信を見せた。彼は「無気力な非正 規職だった自分を変えたいという熱望で、何とか粘らなければならない。座り 込みが長期化してもいい。苦しいが、結局は自分の問題だ。あたって砕けろと いうことだ。私のほうが強いのか、現代車のほうが強いのか」と、彼らの世代 が持つ特有の気質を示した。

彼は現在の雰囲気について「今度は組合員たちの方がとても積極的だ。以前は 執行部が指示しなければ動かなかった。今は組合員が先に意見を出して、執行 部に会いに行く。雰囲気が完全に違う。正規職化の熱望が私たちを変えた」と 説明した。

結局現代自動車は、87年の産業化と民主化の過程で作られた日常的な賃金団体 協議-交渉-ストライキ宣言-駆け引き式妥結のマンネリズムに飼い慣らされず、 新しい特質を持ち、組織化され、どこに跳ねるかわからない世代と談判をしな ければならない。両方が抜いた真剣をぶつけるまでは、どんな結論が出るのか わからない。ただ、現代車非正規職の悲しみが作ったその熱望を満たさなけれ ば、彼らは適当なところで退く気はないということが大きな変数になりそうだ。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2010-11-22 22:26:32 / Last modified on 2010-11-22 22:36:04 Copyright: Default

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