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現代車不法派遣と労組弾圧がストライキを呼んだ

最高裁判決を反故にする使用者側に対抗して団体行動に突入

合同取材チーム 2010.11.21 16:18

▲生産が全面中断した現代車蔚山第1工場

11月15日からの現代自動車蔚山工場非正規職社内下請労働者による第1工場占拠 座り込みが7日目をむかえている。現代自動車第1工場は、ペルナと新型アクセ ントを作る工場での生産が全面的に中断した。現代自動車は非正規職労働者は 自分たちが直接雇用した勤労者ではないと主張する。座り込みをしている非正 規職はすべて現代自動車協力業者(社内下請業者)の職員だという。したがって 自分たちは使用主ではないので、非正規職と交渉をする理由がないと強調する。

だが非正規職は『われわれの会長は鄭夢九会長』と主張する。これ以上協力業 者の職員ではないので、今回の闘争で出入証を社員証に変えると言って彼らが こうした主張をする理由は、7月22日に大法院が現代車社内下請勤労者のチェ・ ビョンスン氏の不当解雇と不当労働行為救済訴訟で不法派遣と判決したためだ。 つまり現代自動車が実質的な使用主だという判決だ。この判決は、今回の座り 込みに参加する非正規職労働者には大きな力になっている。実際、判決の後、 現代車非正規職労組(支会)の組合員は1600人ほどに増えた。

不法派遣、数年間合法請負で偽装

派遣業とは、労働者を雇用した企業と働かせる企業が異なる時、勤労者を供給 する事業だ。当初、労働者を物のように売り買いするのは勤労基準法で認めら れなかったが、98年の派遣法で一部の業種に労働者を供給する派遣業が認めら れた。したがって現代自動車のような製造業への人材派遣は不法だ。現行の派 遣法は32業種だけで派遣業を認めている。

だが派遣可能業種でなくても、業務契約で事実上、派遣のように人材契約をす る方式が請負契約方式だ。請負はA(元請)企業に必要な仕事の一部をB(下請け) 企業に請負契約で任せれば、B企業は契約で引き受けた仕事を完成させてA企業 に渡す。問題は、B企業で働く労働者の職場がA企業の中にある時、協力業者と いう名で請負と派遣の境界があい昧になる。こうした場合、ほとんど元請企業 の管理者が下請け企業労働者に業務を指示して労務管理する。明白な不法派遣 だが、請負契約で偽装しているので偽装請負と呼ぶ。

結局、大法院はこうした方式の勤労者人材管理を不法派遣と判決した。このよ うに、現代自動車が社内下請業者と請負契約による、人材派遣をした理由は、 費用が安いからだ。社内下請業者の非正規職職員は正規職の賃金の半分で、い つでも解雇でき、労働柔軟性の確保が容易だからだ。こうした身分上の差別は 二極化も呼び起こし、今は社会問題になっているほどだ。

▲非正規職座り込み7日目をむかえた現代車蔚山第1工場座込場

非正規職、最高裁の判決が紙切れなる危機を感じる

大法院が現代自動車社内下請を偽装請負不法派遣とした根拠は、△現代自動車 の組立生産方式はほとんどベルトコンベア方式で、チェ組合員がベルトコンベ ア工程に従事し、△ベルトコンベアの左右に正規職勤労者と混在配置し、△現 代自動車所有の生産関連施設と部品、消耗品などを使用-現代自動車があらかじ め作成した作業指示書を交付し、△社内協力業者の現場管理人の指揮命令権が あっても現代自動車の決定事項を伝えただけで、△現代自動車が直接社内協力 業者の勤労者勤怠状況、人員現況を把握管理していることを上げた。最高裁は これらの事実から見て、現代車社内下請労働者は現代車社内協力業者に雇用さ れた後に派遣され、現代車から直接労務指揮を受ける勤労者派遣関係にあった と見た。

しかし最高裁判決では現代自動車の不法はすぐ是正されなかった。現代車社側 は、破棄差し戻しになった高裁の判決がないとして、むしろ判決後に非正規職 労組に加入する労働者を弾圧し始めた。実際、20日に焼身した第4工場のファン・ イナ組合員は最高裁判決以後、不法派遣証拠写真を撮って管理者から脅迫を受 けていた。

現代自動車蔚山、牙山、全州工場非正規職労働者が爆発的に労組に加入、社内 下請企業で露骨な不当労働行為と暴力が乱舞した。9月29日には現代車全州工場 の社内下請業者管理者が非正規職労組代議員の頭をビール瓶で殴り、包丁を振 り回す事態も起きた。この業者は労働組合の大法院判決の説明会を無にするた めに業者の休憩室の出入りを止め、朝会時間に所長が労組加入をするなと強要 する発言をした。

蔚山工場では、下請け業者の所長が組合員の両親に電話をかけて息子を労組か ら脱退させろと脅迫し、勤務時間中に事務室に呼び出して労組脱退の脅迫があ ちこちで行われた。その上、下請け業者に入社した時の推薦者だった元請会社 の管理者が脱退を強要することもあった。

牙山工場のある業者は、管理者が労働者を呼び出して「労働組合に加入すれば 会社に報告して懲戒する」、「労働組合に加入すれば解雇させる」と脅迫した。

そして社側は11月15日、協力業者のうち非正規職労組が比較的強いドンソン企 業を廃業した。ドンソン企業の廃業は、単に社内下請業者の廃業や既存の勤労 者の解雇という問題ではなく、新しい勤労契約書を書かせ、正規職化の障害に なるという危機感を呼び起こした。また強硬な非正規職労組員を雇用不安状態 にして、労組の無力化を試みたという分析もある。しかし社側のこうした手法 がむしろ非正規職闘争に油を注いだ。

現代車に最高裁判決を履行するための直接交渉を要求した状態

11月4日、現代車社内下請非正規職1940人は(株)現代自動車を相手に集団勤労者 地位確認、賃金差額請求訴訟に突入した。金属労組は4日午前、ソウル中央地法 前で不法派遣労働者集団訴訟記者会見を行い、「現代車が大法院の不法派遣と いう判決にも、非正規労組との交渉に応じず非正規職組合員に多様な方式で労 組からの脱退を勧めるなどの不当労働行為を行い、対話も拒否しているため、 史上最大の集団訴訟を行わざるをえない」と訴訟の背景を説明した。

同時に非正規職労組は現代自動車に直接交渉を要求してストライキの準備に入っ た。非正規職たちは直感的にただ法を信じているだけでは、最高裁判決が紙切 れになるという危機感を感じた。しかしこの訴訟が最高裁まで行くと、また時 間がかかる。すでに不法という大法院判決があった状況で、会社は各個撃破で 労組脱退の圧力とドンソン企業閉鎖により、下請け勤労者の地位をさらに不安 にさせた。

現代車社内下請3支会は9月29日に現代車が大法院判決を履行しろとし、△社内 下請労働者全員正規職化、△不法派遣正規職化闘争過程で不当解雇された組合 員の正規職で原職復帰、△社内下請労働者入社日を基準に正規職と差別支給さ れた未払い賃金の支給、△現在行なわれている非正規職労働者の構造調整中断 などをかけて交渉要請の文書と賃金団体協議要求案を渡した。つまり直接交渉 をしようということだ。しかしストライキと占拠座り込み7日目になっても交渉 は開かれていない。現代車非正規職労働者たちは現代車との直接交渉で要求が 貫徹できなければ、座り込みを続けるしかないと明らかにした。(蔚山=蔚山労 働ニュース、チャムセサン合同取材チーム)

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2010-11-22 02:34:38 / Last modified on 2010-11-22 02:34:40 Copyright: Default

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