韓国:投機資本でない視聴者・労働者のためのCNMを | |
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CNM労働者から利用者へ [寄稿]投機資本でない視聴者・労働者のためのCNMをチョン・クァンジュン(CNM労組) 2010.10.09 22:01
![]() ▲5日の全面スト決意大会[出処:CNM支部] 血気旺盛な20代半ばにケーブル放送会社CNMに入社して、気が付くともう13年も の時間が過ぎてしまいました。名節の時に会う親戚は「CNMと言えば大企業だ、 いい会社に通うね」とうらやましそうな視線を送ります。職場が人を現わす この時代に『名節休暇の費用を一銭も払わない会社』という言葉は恥ずかしく て言い出せずに過ごしてきました。 「年俸を口外すれば懲戒する」という年俸契約書の短い一行をみんなが信じて、 年俸をいくらにしようと言いたくても言えませんでした。労働組合を作ってか ら知りました。処罰を前提にする誓約を強要するのは法も禁じており、人権と いう意味でも正しくないのに、バカのようにCNM労働者だけはそのひどい条項に ぶるぶる震えていたことをです。 CNMはソウル、京畿16の地域でケーブル放送を放送する総合有線放送会社(MSO) です。ですから首都圏に住む多くの人たちがCNMでTVを見ているでしょう。多く の加入者が今この時も障害復旧地縁などの不便を受けていることを知りながら も、CNM労働者たちは10月5日からストライキに突入しました。 視聴者は不便でしょう。しかしこうでもしなければCNMが変わらないのなら、労 働者の労働条件改善はもちろん、視聴者の権利も弱まり続けるだろうと思い、 私はストライキに賛同しました。 「今までずっと何も言わず、お前たちのせいでストライキをして、今度は視聴 者の権利を言うのか?」と悪口を言われるかも知れません。はい、視聴者の立場 では、当然そう思うでしょう。 しかしこれまでCNMで働いてきた私さえ、CNMがどれ程深刻な問題があるのかよ く知りませんでした。2008年、マッコーリー、MBKパートナースなどの私募ファ ンドが国民有線放送投資(KCI)という実体のないペーパーカンパニーを急造し、 CNMを買収した時も、外注化や地域別の業務統廃合で人員が減ったも、暮らしが 味気ないと思いながら「最近、世の中はみんなそうなんだから」と、そのまま やりすごしていました。 伝送網に障害が発生して、寝ているところを夜明けに飛び出し、電信柱に上が らなければならない時、障害通知の携帯メールを夜明けに数百通も続けて受け 取って、良く眠らなければならない時も、仕事がつらいと文句を言うだけでし た。なぜいつもこんなことがあるのか考えられませんでした。言われれば言わ れた通りにただ働いていたんです。CNMが加入者にどんなサービスを提供してい るのか、加入者が払った放送受信料(視聴料)がどう使われるのかなどを考える 余裕もありませんでした。 労働組合を作って、会社のいろんな資料を集め、多くの同僚と共に話してみる と、CNMがどんな会社かについて驚くべき事実を知りました。それで遅くはあり ますが、今からでもCNMの現実を告発して加入者の権利をさらに大切にする会社 に変えたくなりました。 CNMは一番初めは、一地域のケーブル放送会社(SO)として始まり、各地域のSOを 買収合併して大きくなりました。そして2004年には米国系資本のゴールドマン サックスの投資を誘致しました。そのうち2007年と2008年にわたり、CNMのイ・ ミンジュ前会長とゴールドマンサックスは、CNMの株式をマッコーリー、MBKパー トナースなどが主導して設立した国民有線放送投資(KCI)という投資会社に売却 し、各々1兆4千億と6千5百億というとんでもない利益を得て逃げていきました。 ![]() [出処:CNM支部] ところがKCIがCNMを買収した過程はあきれます。CNMを買収する資金を新韓銀行 などからの貸し出しで用意したのですが、この時に担保として提供されたのが まさにCNMの株式でした。これをレバレッジド・バイアウト(LBO)というそうで す。買収資金の70%以上をCNMを担保に金を借りて用意したのです。だから買収 の時からCNMに途方もない借金を負わせて出発したのです。 だからCNMは労働者と加入者に投資する金はなくても、借金を返す金と株主が持っ ていく金は作らなければなりませんでした。一例として、2009年に295億の純利 益の84%程度の247億を株主に配当金として払いました。労働者は年平均1人当 り10億近く売り上げをあげても、その50分の1程度の賃金を受け取っているの にね。そして設備投資予算が減るだけでなく、なんとか確保した予算さえ、他 の用途に転用されることが多かったのです。 財務諸表の上では、2008年の給与総額は前年より68%ほど上がったとなっていま す。1人当りの平均給与は56.8%増えました。しかし実際には労働者の賃金はほ とんど凍結水準か5%以下に引き上げられただけです。ではその膨大な金は誰の 給与に使われたのでしょうか? 2008年はKCIが大株主になり、マッコーリーとMBKパートナースなどの高位幹部 が大挙してCNM役員になった年です。労働者の賃金はほとんどそのままにして、 役員の持分だけを膨らませて持っていったのでないかと疑わざるをえません。 資料を探して同僚と話をしてみるほど、CNMの大株主は長期的な視点でCNMの発 展に投資する意志はないということしか確認できません。労働組合ができて、 活動しながら、ローンスターの外換銀行買収売却過程を見てきた人と会う機会 がありました。彼らもCNMの話を聞いて「典型的な渡り鳥資本、投機資本の動き」 とし「外換銀行の時ととてもよく似ている」といいます。 視聴者が払った放送受信料が、投機資本の腹を肥やすのに使われたという事実、 われわれはそれも知らずに視聴者のポケットをはたくことに追われていたとい う事実に、あまりにも驚き、当惑せざるをえませんでした。 こうした資本と彼らの利益のために忙しい経営陣が、働く人々を大切に思うこ とは全くありません。 労働者は時間外手当もきちんと受け取れず、法が保障する休暇も自由に使えま せんでした。いや、法にそんな権利が保障されているのかさえ知りませんでし た。勤労基準法と就業規則を労働者が見えるように作業場に掲示しなければな らないという法条項にもかかわらず、大部分の労働者は自分の工場や事務室で そんなものを見たことはないでしょう。 低賃金、ますます減る人員、深刻になる労働強度、言語的・物理的暴力が横行 する強圧的文化、ある日突然、外注業者に飛ばされる同僚、…。単に労働者の 労働条件の悪化だけが問題ではありません。家庭を訪問して設置とASをする労 働者のほとんどが非正規職になりました。基本給もなく、設置やASの件数で手 当てを受け取るケースが多く、一日に10世帯ほどを回らなければ生計が立てら れません。十分に時間をかけて設置して、使用要領とAS事項を説明するなど、 良いサービスをしなければならない労働者には、良いサービスのために時間を 使えばそれだけ暮らしにくくなる環境を強要しています。だからサービスの質 が下がり、視聴者の不満は高まるしかありません。 ![]() [出処:CNM支部] こうした姿を見て体験し、もうだめだと思って労働組合を作りました。ところ が会社側は労働組合の行使に参加する組合員を暴力で妨害し、組合加入を妨害 して、1か月たってやっと『労働組合を認める』という立場を発表しました。 労働組合が交渉要請の文書を送った時、これに応じるのに1か月近くかかりまし た。「労働組合を認める」と全職員にメールを発送した代表理事は、一度も交 渉に出てきませんでした。どうしても交渉は事業場の外ですると言い張ったの で、交渉のたびに場所使用料を支払わなければなりませんでした。 労働組合が団体協約案を提出すると、「内部で検討中」と言って具体的な議論 を先送りして1か月、会社側の立場を提出するのにまた2か月、修正案を提出す るのに再び2か月。この6か月間、交渉の間、会社は徹底的に『無視』戦略を続 け、たった一つの条項にも合意できませんでした。 9月2日に争議調整を申請して中央労働委員会の調整を受け始めましたが、この 時も会社の修正案はたった一行もありませんでした。その上、調整官まで「こ ううるのなら、何でこの席に出てきたか」と面と向かって責めるほどでした。 交渉と争議調整期間をあわせて労働組合を無力化するために、会社は組合員を 懐柔、脅迫し続け、納得できない辞令を出しました。この釈明を望む組合員が 代表理事と会おうと本社を訪問しただけで、停職3か月などの不当な重懲戒をし ました。集会など労働組合の行使に参加できないように、ほとんど全支店で午 後6時に会議・会食などのスケジュールを入れるなどの労働弾圧が続きました。 どうしても円満な対話ができず、使用者の労使観そのものがあまりにも権威的 だと判断し、宣伝戦、集会等で、私たちの主張を展開するしかありませんでし た。ところが使用者は「場外で会社を非難せず、交渉で解決しよう」と話しま す。その交渉ではきちんと対話をする意志も示さないのに、です。 このまま会社の交渉引き延ばし、労働組合無力化に押さえられるとやっていら れないと思い、労働者の合法的な権利である団体行動権を使ってストライキに 突入することになったのです。 自分の仕事が社会的にもっと意味があって、人々にも価値を認められる仕事に なることを望む気持は皆が同じでしょう。私をはじめとするCNM労働者も同じで す。マンホールの下に降りて行き、ドブのにおいをかぎながら働いても、その 仕事の成果がせいぜい投機資本の腹を膨らませるだけにならないよう望みます。 加入者により良い放送を送りだすための助けになるよう願います。 CNMの加入者をはじめ、ケーブル放送を視聴する市民の皆さん! 労働者が内部で CNMという企業と投機資本を監視する役割を果たします。私たちの闘争が正しく ないと思えばむちを打ち、本当に必要な闘争だ思われれば積極的に支持して下 さい。ごちゃごちゃと話が長くなりました。長文を読んで下さってありがとう。 翻訳/文責:安田(ゆ)
Created byStaff. Created on 2010-10-11 22:43:30 / Last modified on 2010-10-11 22:43:38 Copyright: Default 世界のニュース | 韓国のニュース | 上の階層へ |