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ヴァレオ労働者の正月の話

[現場]超国籍資本に対抗する権利のための闘い

オ・ドヨプ(作家)/ 2010年02月12日11時28分

天気が悪い。正月を控えて天気はめちゃくちゃだ。朝から雨がしとしと降る。 春雨と言うには早い冬の雨だ。雨を見ると、わけもなく佗びしい。多くの顔を 思い出す。鉄塔の上で冷雨を受けた人もいた。古いテントの中でも冷雨を受け た人もいた。機械が静まった工場で、催涙弾の煙が立ちこめる屋上でも、佗び しい雨に降られた人もいた。暖かい雨ではなく、冷たく佗びしい雨、今日は冷 たい冬の雨に降られながら、めったに人も通らないソウル都心のビルの森の中 で、ひとりプラカードを持って佗びしさとくやしさを話す人に会いに行く。何 故、今日は雨なのかと苦情を言う。いや雨が降って良かったのかも知れない。 雨で今日は佗びしい涙を見られずにすむかもしれないから。

ヴァレオの話

2010年、2月10日午前10時。旧正月連休の三日前の日。忠正路のフランス大使館 前に行った。ビザの発給を受けようとする十五人がいるだけで静かだ。今日こ こで会う人々は天安で暮す。ヴァレオ空調コリア(ヴァレオ)というフランスの 多国籍企業が買収した会社だ。ヴァレオは韓日合弁で大韓空調として発足、日 本、フランス資本に売られた。2005年にヴァレオが持分100%を所有するように なる。

2008年の資料によれば、ヴァレオは世界27か国に121の工場、61の研究開発セン ター、9つの流通センター、5万4千人の職員を持つ世界最高を誇る会社だ。天安 のヴァレオは187人の職員が働き、生産職は146人だ。天安工場では主にコンプ レッサーを生産し、サムスンルノー、双竜車、GM、日産、マツダなど国内外の 自動車会社に納品する。

ヨン・ジェムンの話

ヴァレオに通うヨン・ジェムン氏がいる。1991年、清州機械工高3年の学生だっ た時にヴァレオに入社した。ここで働きながら国防義務も終え、結婚もし、二 人の男の子も産んだ。ヨン・ジェムン氏が分別がついてからのすべてのことは、 ヴァレオという会社の名前と一緒だった。2008年に労災にあったヨン・ジェム ン氏が1年の療養と治療を終えて工場にまた出勤した時に待っていたのは、作業 服でも機械でもない。とんでもないことに解雇通知書だった。

会社は職員と一言の相談もなく、10月26日清算を決める。四日後の10月30日、 全職員にバイク便で解雇通知書を送る。構造調整さえせずに清算をする会社が、 なぜ一言の相談もなく職員の生計がかかった職場を空中分解させられるのか、 職員はただ戸惑うほかはない。

清算の理由は簡単だ。ヴァレオは世界中に多くの工場があるので、工場一つ飛 ばすぐらいは何でもない。今まで天安工場で稼いだ金より安い人件費で、もっ と多く金を稼げるのなら工場一つくらい飛ばすことぐらい、何でもない。この 傲慢さが、人を人と見られない資本のあくどさが、187人の生計を一日で終わら せたのだ。社会福祉がめちゃくちゃの大韓民国で労働者の職場を奪うのは、嘘 が通る高速道路で、清算された労働者が生きる道は幾重にも重なった山中だ。 大韓民国大統領様と道知事様が高い飛行機に乗って海外に行き、規制を解除し、 多国籍資本の天国にして達成した偉大な外資誘致セールスの現住所だ。

正月の話

ヴァレオでの生が清算された労働者たちは、人の命よりまず命を断った工場の 機械の横で、時限付きの息をついて正月を迎える。冷たい地面に発泡スチロー ルを敷き、その上に置いた寝袋の中にさなぎのように全身を入れて元旦の朝を 迎える。子供からの新年挨拶ではなく同僚とのシュプレヒコールを聞きながら、 両親への新年の挨拶ではなく闘争の歌を歌い、元旦の朝を迎える。電気コンロ で暖めた水で猫のように顔を洗った後、闘争チョッキを着て元旦の朝を迎える。 韓国の実定法に合わせて工場をなくしたのだからそれだけだと傲慢を言うフラ ンス資本への怒りを飲み込んで元旦の朝を迎える。人気さえ上がればそれだけ でしかない韓国の政治家による中身が空っぽの菓子のような外資誘致をプレゼ ントされた労働者は、雑煮の代わりにその菓子をかんで元旦の朝を迎える。

韓国の正月の話

ヴァレオ労働者と会った後、雨はみぞれに変わった。旧正月連休の故郷への道 は楽ではない。事実、庶民は天気よりも、空になっていく、いや滅びていく暮 らしの方が心配だ。今回の正月をゆったり迎えられる国民はどれほどいるのだ ろうか? 雪が降らなくても。取り壊された工場の前で正月を迎えるキリュン電 子の非正規職労働者を除いても、テントもなく道端に座り込んで正月を迎える 才能教育学習誌の先生を除いても、双竜自動車の解雇者でなくても、構造調整 を前にして韓進重工業労働者でなくても、誰が今年の正月を豊かな気持ちで迎 えられるのだろうか?

だが今回の正月、新年の挨拶をし終えた人たちを探してみよう。非正規職だと いう理由で、労働組合をしたという理由で、経済が苦しいという理由で、外国 資本の横暴により道路で冷たい風に吹かれる人々に会いに行こう。大韓民国の すみずみ、1、2時間以内の距離で必ず会える多くの隣人に、そしてあさっては 私の顔になるとは思わない自分のからだの外の、もうひとつの自分のからだを 探しに出よう。

会って話そう。もうこれ以上ヴァレオのような破廉恥な超国籍資本に権利を奪 われないようにしよう、人はなく、金だけを知る資本の獣の爪に、もう自分の 権利を食い尽くさないようにしようと念を押そう。2010年、白虎の年に迎える 正月は、悲しみではなく決心で、権利のための闘いをする決心で迎えよう。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2010-02-15 12:56:16 / Last modified on 2010-02-15 12:56:20 Copyright: Default

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