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「さらに多くの連帯が必要です」

[現場]江南聖母病院非正規職労働者テント座り込み8日目

パク・ビョンハク/ 2008年09月25日17時14分

江南聖母病院のテント座込み場につくと、夜九時半になっていた。今は顔なじ みの組合員たちが、テントの前に大小丸くなって座り、話をしていた。その周 辺には、この戦いに力を補いにきた人たちが立って、あるいは座って、何かの 対話をしていた。いつのまにかテント座り込み8日目になっていた。

私はイ・ヨンミ代表に近付いて挨拶をした。これまで何か状況が変わったこと はないのか聞きたかった。

「今日医院長と面談があるのではなかったでしょうか?」

「面談があるにはあったのですが、きちんとできなかったんですよ。それが本 来は9月初めに、今日の日程が決まっていた面談でした。その時、正規職労組と 病院側が交渉がうまく進まず、それを今まで引っ張り続けているうちに、この 戦いが始まったのです。」

「では今日の面談には正規職組合員と非正規職組合員が共に入ったのですか?」

「いいえ。9月初めに日程を決めた時も、初めから正規職労組側と病院側の二者 でする面談にしていました。ところが今、聖母病院正規職労組の立場が私たち と一緒に行くというので、今日面談して、病院側に私たちの話をしました。 非正規職組合員をどう解決するのかと。実際に面談は保健医療労組ソウル本部 長と病院側のイ神父が参加しました。」

「うまくいかなかったようですね?」

「神父がこう言ったそうです。『この問題(非正規職テント座り込み)が整理さ れなければ、保健医療労組中央ともソウル支部とも一切対話しない。6年前に私 たちも217日我慢したが、365日が我慢できないか。テントを張ろうが病院を混 ぜこぜにしようが、好きなようにしろ』。その神父は2002年に217日のストライキ をした時もこの病院にいた神父です」。

「神父が自分の口でそう言ったのですか? 217日も我慢したのだから1年我慢 できないかと?」

「はい」。

[出処:江南聖母病院非正規支部]

とんでもない。刀の柄を握って金の袋を振り回す人間らしいごり押しだ。偉大 な神様につかえる高潔な宗教人として、単なる労働者には死んでも頭を下げな いというのだろうか? いや、非正規職組合員が望むのは神父様、修道女様が頭 を下げることではない。病院がうまくいくように、患者が暖かい介護を受けら れるように、皆一緒に力をあわせて、病院を運営していこうというのが非正規 職組合員が望む唯一のことだった。そしてそのためには病院労働者に非正規職 から解放してやらなければならなかった。

長い間きちんと、よく働いてきた人々を一日で追い出して、その場にわけのわ からない他の人を座らせる。他でもなく、病気の人がきちんと健康を回復する ように心を込めて助けなければならないのに、いつ解雇されるのか分からず、 不安に震えて、いつも正規職より何倍もストレスに苦しむ非正規職労働者を、 それも派遣職として雇用するのは、結局病院側が患者の健康より病院の財産を 増やすことだけに気を遣っているという意味だった。

「とにかく...... それで今日の面談は決裂しました。」

「......」

「それで今は組合員の契約が満了になる9月末まで何をすべきか、どう戦うべき かを悩んでいるところです。さっき、保健医療労組ソウル支部と非正規職支部 は会議をしたんですって。ソウル支部は多分今、正規職支部と会議をしている はずです。」

「今日は保健医療労組ソウル支部が主管する集中キャンドル文化祭の日でした ね? 人々はたくさんきましたか?」

「はい。たくさん来られました。後援支援金も集めて、私たちに渡してくれま した。」

「夜寝るときは寒くありませんか?」

「まだ野宿は耐えられます。寝袋もあるし......」

『まだ』と何げない表情で話す姿に胸がじんとする。孤独の季節だから、思索 の季節だから、あらゆる修辞で飾られる秋が、聖母病院非正規職労働者にとっ ては徹夜でテントの中で寒さと戦う大変な季節になってきているのだ。10月が くる前に戦いが終わるだろうか? 冬がくる前に労働者はまた職場に帰れるだろ うか?

イ・ヨンミ代表はテント側の組合員たちが座っている所に行った。私はしばら くタバコを吸いながら、人々周辺をうろうろして、今日は聖母病院組合員では ない他の人に話かけてみることにした。

若い青年たちが座っている側へ行った。混じって座り、自己紹介をして、どこ からきたのかを尋ねた。

「私たちはソウル大の学生です。」

「ソウル大の中では江南聖母病院非正規職問題がどの程度知られていますか?」

「そうですね。壁新聞を貼り出しましたが、まだそれほどよく知られていませ ん。」

「この戦いには、どこど知って来たのですか?」

「私たちはソウル大の学生が集まって作った『非正規長期闘争事業場共同闘争 団』に身を置いています。この3月にできて、この前になくなったのですが、残っ た人がまだ会議を続け、色々な闘争にも参加はしています。今までイーランド、 キリュン、KTX、コスコム、コオロン...... そんな所と連帯してきました。」

「学内に非正規職問題について、会議して集会にも参加する学生はどれぐらい いるんですか?」

「ウーン...... およそ20人ぐらいかな?」

多い数なのだろうか、少ない数字なのだろうか? 大学街を離れてとても長くなっ た私はすぐ判断できなかった。20数人でもいるのが幸い、私はそう考えること にした。

「ひょっとして各連帯単位の代表者と聖母病院非正規職組合員が集まって組織 した、例えば支援対策委員会のような会が今動いているのですか?」

「そうですね。今でもあそこのテントのそばで江南と瑞草付近の単位が会議を しています。さっきも連帯単位が集まって、別に会議をしたそうです。今まで は、どうしても近くの連帯単位がこの戦いに参加したが、これからは地域中心 対策委ではなく、もっと開放的な対策委を作ろうと、皆そう考えています。今 まさに始める段階でしょう。」

それと共に私に1つの文書を見せてくれた。さっきの会議で配られたレジュメだっ た。民主労働党と進歩新党をはじめとして、瑞草江南露天商連合、タハムケ、 社会進歩連帯、江南キャンドル、法院労組、ソウル教育大総学生会、全国非正 規労組連帯会議(全非連)、西部非正規職センター、不安定労働撤廃連帯等等、 思ったより多くの連帯単位の名前が記されていた。参加提案をする過程が残っ てはいるが。

[出処:江南聖母病院非正規職支部]

私は学生たちに挨拶をして、小さな女の子を抱いている男の方に行った。 民主労働党瑞草区委員会からきたという。支援対策委員会について尋ねた。

「個人でも団体でも、望む単位ならみんな来ることができる対策委員会を作ろ うとしています。今日のキャンドル文化祭には、不安定労働撤廃連帯と全非連 もきたそうです。地域中心から脱して、今後連帯をさらに拡大しなければなら ないでしょう。これが患者の生命と直接関係があることですから、どこか特定 の地域だけで争点になる問題ではないと思います。その上、派遣法が悪法だと いうことを知らせるためにも、さらに多くの社会団体の連帯が必要な時でしょ う。」

「今あそこのテントの近くで支援対策委会議をしていると聞きました。あの人 たちは......?」

「ああ、あの会議は露天商撤去問題のために江南、瑞草地域単位の会議です。 聖母病院非正規職問題と直接の関連はありませんが、ここに集まったついでに しているのでしょう。ソウル市長が江南を名品都市にデザインすると言って、 露天商をみんななくす計画を出しました。今でもあちこちで撤去中ですが、そ の計画が実施されるとおそらく大規模な撤去事態が起きるでしょう。支援対策 委の会議はさっきやりました。」

「進歩新党も民主労働党も、党中央ではどんな視線でこの戦いを見ているんで すか?」

「もちろん地方区委員会だけでなく、党でもこの闘争に積極的に連帯していま す。このあいだの記者会見にはホン・ヒドク議員もきたし...... ソウル市党の 代議員大会の時も、江南聖母病院に積極的に連帯しようという話が出ましたね。 派遣法の問題は、国会で問題提起をすれば聖母病院も圧力を受けるから...... みんな考え続けています。」

他の見方をすれば、とても愚かかもしれない問いを一つ(面白がって?)投げて みた。

「この町には金持ちがたくさん住んでいるでしょう。連帯単位を除く一般江南 市民がこの戦いにどれぐらい参加できるでしょうか? 江南の市民に連帯を訴え るのは少し難しくありませんか?」

「江南には富裕層だけではありません。賃貸アパートもあり、全国でビニール ハウス村が一番多いところがまさに江南なんです。むしろ、相対的な剥奪感や 不平等は、最も大きいかもしれません。その上、一般の会社員も多く、非正規 職問題への世論はそれほど悪くありません。ちょうど非正規職問題に対して社 会的な関心が高まっているところで...... また病院利用者が江南や瑞草の人だ けではないですし。とても大きくて有名な病院だから。実際にキャンドル文化 祭をすると、患者の人たちが出てきて支持発言もしてくれます。」

私は挨拶をしてテントのそばで会議している人をのぞき込んだ。知っている顔 が1人だけいた。進歩新党瑞草区党員だった。いくつか聞きたいことがあったが 会議が終るまで待たなければならなかった。私はタバコをくわえ、壁に貼られ ている五枚の壁新聞の内容を手帳にゴマ粒のような字で書き写し始めた。

半分ほど書き写したとき、会議が終わった。私はすぐそちらに近付いて話しか けた。支援対策委に対する進歩新党党員の話が聞きたかった。

「聖母病院支援対策委にソウル市進歩新党のどこどこの地域委員会が参加する かという問題では、公式な立場はまだ出ていません。明日それを決めることに しました。江南、瑞草で暮す私達で決められる問題ではなく公開質問書を回し て意見を聞かなければいけないからです。」

「これまで対策委をさらに拡大しなければならないという議論はあったのでしょ うか?」

「そうです。はじめ、江南、瑞草地域の単位を中心に流れましたが、どうして も地域中心では限界があるからです。他の地域の単位とも連帯したいという悩 みは持ち続けていたのですが、今日会議の時、まさにその『連帯単位拡大』の 問題が公式に言及されました。不安定労働撤廃連帯の人たちなどは、単位全体 で連帯すると宣言して行きました。」

「それではイーランドワールドカップ分会支援対策委員会と似た形で行くので しょうか? テント座込み場も単位ごとに回り、組合員たちと徹夜して......」

「支援対策委ができれば、9月30日までは徹夜座り込みも交代ですることになる でしょう。病院一帯でも宣伝戦をするでしょう。9月30日が非正規職組合員の契 約が満了になる日なので、とにかくそれまでは連帯単位が最大限集中して、集 会と宣伝戦をする計画です。率直に言えば、交渉がうまくいかないと思ってい ます。あまりにも病院側が頑強だから...... とにかく9月30日以後の闘争計画 はその時にまた議論することにしました。」

一行と思われる人がはやく行こうと彼に催促するので、私は挨拶をしてまた壁 新聞の前に行き、さっき書き写せなかった内容を書き取った。

非正規職長期闘争事業場労働者たちはそれぞれ異なる現場、異なる環境で戦っ ているけれど、何が一番つらいのかという問いに一様に口をそろえて話すこと が一つある。孤独だということだった。この世でただ自分たちだけが孤立して いるようで、とてもつらいという。誰も自分たちの声に耳を傾けてくれないと いう気がするたびに、座り込んで涙を流すということだった。それで連帯単位 とまとめて話せる多くの人々が現場を訪問してくるたびに長期闘争事業場の労 働者たちの顔はまるで太陽を飲み込んだように明るくなる。

だが私の中には何度も陰がさす。キリュン電子やイーランドのように、この時 代の非正規職闘争の象徴のように見なされて、報道機関とネチズンが先を争っ て訪問する事業場は、イーランド一般労組の幹部と酒を飲めばよく聞く言葉だ が、本当にある意味では祝福された事業場ともいえる。もちろん千日を越え、 五百日が近づくほど戦ってきた労働者たちが、その闘争した日のおかげで過分 な接待を受けていると話すつもりでは決してない。その長い時間戦ってきたキ リュン電子やイーランド非正規職労働者も、今、あまり注目されない他の非正 規職闘争事業場を残念に思っている。自分たちは、あるいは祝福された闘争を しているのかもしれないと苦々しく話す。

私が知らない、行ったこともない長期闘争事業場で寂しい夜を送る多くの労働 者がいる。寝て起きればストライキの日数に一日増えるだけの疲れて苦しい労 働者がいる。どこかにいる。見えない所に、いや、人々が見ようとしない所に いる。私も彼らがみんなどこで寂しい思いをしているのかを知らない。江南聖 母病院で戦う非正規職組合員は、その巨大なモザイクの一切れだ。多くの労働 者の孤独な顔が一つ一つ集まって形成される悲しい肖像の一つ。

われわれは少なくとも、彼らと共に痛みを感じられる感受性で武装しなければ ならないのではないだろうか。そしてこの痛みがどこから来るのかをはっきり 見るべきでないだろうか。

江南聖母病院の非正規職組合員が公式に病院から追い出される日はもう一週間 も残らない。徐々に連帯単位が力を合わせ、本格的な活動を始めようとしてい るが、もっと多くの連帯が必要だ。

少し長いが、テント座込み場横の壁に貼り出されていた壁新聞の内容を全て転 載しよう。私が書く二三の文より労働者たちの声のほうがはるかに大切で熱い。

[大字報]私どもは看護補助労働者です。私どもは正規職化を要求します。

患者の治療のための処置物品と、機構消毒・交換・整理、ベッドのシーツ交換、 検体の移送、患者を検査室に移送、大便が出ない患者のために浣腸、剃毛、重 症患者の体位の変更をする労働者です。

ソウル大と牙山病院などの他の病院では、患者の診療・治療に関連がある分野 なので、派遣業者を使わず病院が直接採用した職員を使っています。

患者の診療・治療と直接関連するこの業務は、病院が責任を持つべきで、看護 補助労働者には安定した雇用を提供しなければなりません。しかし病院は2006年 10月、直接採用していた非正規職労働者を派遣業者に渡しました。その後、 派遣労働者は増え続け、現在は65人にもなります。

病院はそれでも足りず、2008年9月30日で2年になる派遣職看護補助労働者28人 を路上に追い出す計画を持っています。みんな2〜5年の間働いてきた職員です。 非正規職保護法によれば、『2年になる派遣職労働者は直接雇用しなければなら ない』と書かれています。病院は直接採用する義務を避けるために、頑張って 働いてきた職員を切っています。

2009年5月、大きな病院を開院する予定で、患者に安定して専門的な治療を提供 すべき病院で、私たち派遣職労働者を2年になったから出て行けというのは患者 の健康もまた眼中にない行動です。

〈このように戦ってきました〉

  1. 8.18 全国保健医療産業労働組合ソウル本部に加入
    8.22 職員昼休みにチラシ配布/ピケッティングして問題を知らせる
    9.9 医院長・行政府委員長・人事チームと非正規職代表3人が面談
    『派遣職社員に対する計画はない』と確認
    9.11 ロビーで患者・保護者への宣伝戦
    9.17 テント座り込み開始
    午後11時、用役チンピラ20数人がテント撤去
    9.18 キャンドル文化祭開始
    9.19 午前1時20分、用役チンピラ20数人がプラカードとピケを強奪
    午前11時30分、非正規職正規職化のための記者会見開催後に2次座り込みテント設置
    9.22 午前5時20分、用役チンピラ30数人がテント強奪
    3次座り込みテントを設置

毎晩、用役チンピラが自分の庭のように病院に出入りします。派遣業者は 5人の組合員を労組活動を理由に不当に本社への辞令を出しました。病院が 弾圧すればするほど私どもはさらに力強く、粘り強く戦い、非正規職正規職化 を勝ち取ります!

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳)に従います。


Created byStaff. Created on 2008-09-27 04:56:10 / Last modified on 2008-09-27 04:56:12 Copyright: Default

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