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二日間の交渉、なぜ中断したか

会社側と政府の一方的な態度が事態の長期化を呼ぶ

イ・コンマム記者 iliberty@jinbo.net / 2007年07月18日15時57分

イーランド労使の二日間の交渉は、分離交渉という方法まで使って、細部的争点 まで議論しようとしたが結局成果なく中断した。

交渉中断をめぐり会社側は「今日(18日)正午までに座り込み解除」を再び前提 条件にしたが、労使とも午後7時に予定されている交渉を進める予定だ。労組 は二日間行われた交渉に成果がないため、座り込みを解く理由がないという立 場だ。しかし政府は労使も使っていない『交渉決裂』という表現まで公式に使 い、公権力投入の意志を示すなど、むしろ事態を破局に追い込もうとしており、 政府の態度が今後の状況に影響を与える展望だ。

▲ホームエバー上岩店占拠座り込みは19日目に入り、ニューコア江南店占拠座り込みは10日目に入っている。

会社側、占拠を解く名分も与えず「まず座り込み解除」だけに固執

二日間の交渉、なぜ合意点を見出すせなかったのだろうか?

ひとまず会社側が交渉の初めから『まず座り込み解除』の立場を曲げないとい う問題だ。これは、労組が会社のさまざまな意味で不確かな約束を信じて『白 旗投降』しろという要求と違わず、労組としてはこれを受け入れない立場だ。 会社側は昨日(17日)も交渉を再開する前提条件として『座り込み解除』をあげ、 「座り込みを解かなければ不法占拠解除のための格別の措置を検討する」とい う立場も明らかにしている。

こうした会社側の態度に対して労組は「会社側が交渉の意志があるのか」とし、 「もし解決の意志があるなら事案で話せば良い。なぜ座り込み解除を条件に付 けるのか」と反発している。

イーランド会社側は10日に開かれた交渉でも『まず座り込み解除』の立場を曲 げず、結局交渉は決裂した。そのため労組は追加交渉を要求したが「座り込み を解除しなければ追加交渉はない」として、一週間交渉テーブルに座ることも なかった。

もちろん、占拠座り込みを続けるのは労組としても負担になることだ。占拠座 り込みを続けるために、労組も現実的に食事問題の解決など多くの費用がかか るだけでなく、政府と会社側の公権力投入圧迫、そしてほとんど監禁水準に達 している座込み場封鎖などで、組合員も毎日を不安のなかで送っている状況だ からだ。だが解雇などで生存の崖っぷちに追い出された組合員の選択は、占拠 座り込みを続けていくしかない。

また労組は、座り込みの継続で組合員たちに対する損賠仮差押さえ、懲戒、告 訴告発などの取り下げを絶えず要求しているが、会社側は「法の通りにする」 という立場を固守しており、座り込みを解きたくても解けない状況を会社側が 作った。これに対してイーランド一般労組のキム・ギョンウク委員長は「委員 長として組合員を説得できる案を提示しなければならない」とし「座り込みを 解除すれば数十億の損賠仮差押さえと懲戒、そして解雇が目前に迫っているの に、私がどういう方法で組合員に座り込みをやめようと言えるか」とも話した。

結局、会社側は労組が占拠座り込みを解く最小限の名分も与えず、頑として座 り込みを解けという言葉を繰り返すばかりだ。

▲二日間交渉したが会社側の一方的な態度で交渉は中断を繰り返している。

会社側の交渉案、現行通りでもむしろ後退

また会社側が提示した交渉案も、これまで守られなかったことを守るというこ とか、あるいは過度な条件をつけ、労組はこれを受け入れない状況だ。

ニューコア会社側は労組に「外注化を中断する」という前向きな案を提示した と主張している。これは、労働部の李相洙長官まで「レジ係業務に対する外注 化は合わない」と話すなど、大規模な外注化に対する反対世論の圧迫が会社側 に一歩退かせたものと見られる。

しかしこの案は前向きな案ではない。会社側は『1年延期』という前提条件と、 そのために正規職の賃金削減などの苦痛分担を労組に要求したためだ。会社側 はひとまず現在進行中の外注化は中断すると明らかにした。しかし、すでに行 われた外注化は、4月に1年を単位として契約を結んだため、この期間が終わら なければ中断できないという立場だ。

労使間の信頼がこわれるだけこわれた状況で、『1年後の約束』を信じろとい われて、労組がこれをそのまま受けられるだろうか。一方では新しく開店する ホームエバー光州で、数人の管理職員を除きほとんど全職員を外注から選ぶと し、外注化推進を続けている状況で、労組はさらに『1年後の約束』を信じる ことができないのだ。これに対して労組は「外注化中断でなく、むしろ外注化 が一年延びるだけ」と指摘した。

ホームエバーの場合、労組は3か月以上の労働者に対する雇用保障と24か月以上 の労働者の正規職化を要求している。会社側は『18ヶ月以上労働者の雇用保障』 を固守している状況だ。しかしこれはすでに労使が団体協約で約束したことで、 労組の立場としてはこれを進展した案とは見られない。

これに対して会社側は、「団体協約に対する解釈が違うが、ひとまず受け入れ ることにした」とし、一定譲歩した案だと主張している。だが団体協約に対す る解釈は、昨年10月、ホームエバーが21か月働いた労働者を解雇したことに対 してソウル地方労働委員会が不当解雇と判決したことにより、すでに法的に保 障されたことでもあり、説得力がない。

また、2003年から規定される人事規定には、四番目の契約者として15か月また は21か月以上働いた労働者は雇用を保障するとなっている。一時、会社側はこ の規定を知らないとまで言ったが、結局認めるという一幕もあった。結局ホー ムエバー会社側はこれまで守られなかったことを守るということを除いては、 たった一歩も退いていない。

総合すれば、イーランド会社側は前向きだという案も、多くの前提条件により 前向きの意味が『退色』した案を提示しているか、すでに守るべき約束を今に なって守ると言って、これを労組に受け入れろと要求している。そのうえ、 議論の前提条件に『占拠座り込み解除』という不可能な案を提示して交渉を 難しくしている状況だ。

事態悪化の一役を果たした政府

こうした状況で、政府の仲裁は仲裁ではなく、むしろ葛藤をさらにあおる雰囲 気だ。

昨日の交渉中断直後に行われた政府のブリーフィングでも「労組が座り込みを 維持して雇用保障を要求するので交渉が『決裂』した」とし、労使双方も使わ ない『決裂』という表現まで使って、すべての問題の原因を労組側に返した。 今日(18日)午前、労働部の李相洙長官はブリーフィングで、公権力の投入が切 迫していると示唆した。

こうした政府の態度を、労組は『言訳用』と批判している。労働部の李相洙長 官は何回かにわたり、イーランド労使の交渉前にマスコミとのインタビューで、 先に会社側の交渉案を公表しした。これに対して労組は、あらかじめ労働部の 李相洙長官が会社側と交渉案を作り、これをマスコミに伝えて、それで交渉が 中断すれば「会社側は譲歩をせず、交渉が決裂した」という発表をし、これを 口実として公権力投入の名分を作るものと解釈している。

労働部の李相洙長官は午前のブリーフィングで「会社側が譲歩をしたのでもう 労組側が譲歩すべきだと思う」とし「不幸な事態(交渉失敗)が起きれば、公権 力を投入できる」と明らかにした。

結局、今回の事態は会社側の譲歩のない交渉態度と、これに全面的な支持を送 り、公権力投入などで労組に圧力をかけている政府の態度のために占拠座り込 みはさらに長期化し、さらに多くの非正規職の闘争を呼び起こすものと見られる。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンス:営利利用不可・改変許容仮訳)に従います。


Created byStaff. Created on 2007-07-21 03:05:03 / Last modified on 2007-07-21 03:05:03 Copyright: Default

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