本文の先頭へ
LNJ Logo 韓国:[論説]「保護法案」の覆いを一気にはがしたイーランド労働者
Home 検索
 




User Guest
ログイン
情報提供
News Item 1184427017027St...
Status: published
View


[論説]「保護法案」の覆いを一気にはがしたイーランド労働者

ニューコア-イーランド闘争と民主労組運動の課題

ノ・チュンギ(論説委員)/ 2007年07月12日17時05分

今、イーランド労働者の売り場占拠座り込み闘争が、熱く燃え上がっている。 6月30日に始まった闘争は、非正規関連法が施行された7月から全社会的な争点 に浮上し始めた。賎民資本、前近代的宗教資本の性格を帯びたイーランド資本 のむちゃくちゃな労働弾圧は今、労働者たちの巨大な怒りと反撃に直面してい る。その怒りは、単にイーランド労働者たちだけのものではないだろう。それ は歯ぎしりしながらも黙って過ごしてきた全国の875万非正規労働者たちが同 時にあげた叫びだった。また、雇用不安と国家資本の労働弾圧に苦しむ1500万 労働者の痛みを代弁する叫びだった。

『非正規労働者保護法案』という覆いで労働者を欺いた盧武鉉政府は、すぐに 暴露された真実の前に何の対策もなくあわてているようだ。労働部長官はイー ランド資本が『性急だった』と恩を売るようなそぶりを見せたと思うと、いつ のまにか『法と原則』、『公権力投入』という古いレパートリーを繰り返して いる。『性急だった』ということは、もっと余裕を持ってゆっくりと用心深く 整理解雇して外注にすれば良かったという意味だ。また公権力投入、拘束と手 配で非正規労働者を保護するという笑えない発想も相変わらずだ。

現在のイーランド労働者の座り込み闘争が、どんな結末になるのかは分からな い。また、その闘争の意味と歴史的意義が明らかになるのは、恐らく相当な時 間が必要だろう。しかし、構造的な危機の前で萎縮した民主労組運動の立場か ら見れば、イーランド闘争はすでに多くのことを見せた。その中に民主労組の 未来が含まれているかもしれないという予感は過度だろうか? 今後、さらに本 格的な分析が必要だという点を前提に、いくつかの断想を整理してみたい。

まず、この程のイーランド闘争は、これまで最も組織化が難しい部門と言われ てきたサービス流通産業部門で爆発した闘争だ。その上、ほとんどの組合員が 育児や家事労働の負担を負う主婦女性労働者によって構成されていた。組織化 が難しい事業場で巨大な組織化が起き、社会全体に大きな衝撃を与えたストラ イキが起きたのだ。常に市民と接触する販売サービス職という性格により、市 民の呼応が高いことも注目する必要がある。これは孤立して、弾圧される製造 業労組のストライキの限界を補完する契機になりえるからだ。就職した労働者 の過半数をはるかに越える労働者がサービス産業に雇用されている現実を嘆き、 組織率5%の民主労組の未来が暗いと言ってただ嘆くばかりではないだろう。

二つ目に、周知のようにこの程のストライキの最も重要な性格は、正規職労働 者と連帯した非正規労働者のストライキであったという点にある。ストライキ を主導したイーランド一般労組とニューコア労組では、正規職と非正規職が一 つの労働組合に組織されていた。正規職労働者は、会社が推進する構造調整が 他人事ではないという点を明確に認識し、共に非正規職の組織化に立ち上がっ た。資本の分割支配を越え、正規・非正規の連帯を闘争により実現し抜くこと が不可能でないという端的に見せたのだ。企業別労組の壁をやっと越えようと している産別労組の質的発展は、それが正規・非正規労働者をつなぐ連帯の大 量生産工場になった時に達成されるだろう。

三つ目に、いわゆる『非正規労働者保護法案』により正規・非正規労働者の分 割支配の構図を制度的に完成させ、差別を固着化しようとする国家資本の戦略 に大きな突破口を作った闘争だった。非正規に関する法が施行される一日前に 始まったイーランドのストライキは、非正規法案の欺瞞性と反労働者性を最も 簡単にそして広範囲に宣伝、教育する威力を発揮している。その他の職種での 非正規労働者にも、それは『他人事』ではないためだ。さらに非正規法案の全 面的な再改正のための今後の労働法改正闘争の必要性と根拠を大衆的に用意し たことは、イーランドのストライキの重要な成果になるだろう。

四つ目に、民主労働党地域組織と市民社会の進歩的な社会運動団体が組織的に 連帯したストライキ闘争だという点も重要だ。座り込み闘争の中心であるホー ムエバーサンアム店の組織化は、民主労働党の西大門、麻浦、恩坪、龍山の四 つの地域委員会の事業に力づけられたことが大きかったという。また北部地域 の蘆原店と中渓店にも、労組とともに政党組織と社会運動団体の支援があった。 仁川ホームエバーの場合は、仁川地域の社会運動団体の寄与が重要だったとい う。この他にも、7月8日の全国的占拠闘争の過程には、地域の社会運動組織が 多数参加したと把握されている。このような組織化と闘争の様相は、狭くは非 正規職労働者の組織化事業の方向を、そして広くは新しい民主労組運動の戦略 的な方案を予告するようだ。連帯の拡張は労働階級内部の非正規労働者たちを 越え、市民社会に進まなければならなず、両者は一つに結びつくことをイーラ ンド闘争は明確に見せた。

非正規職組織化と闘争は、難題中の難題だ。しかし方法がないわけではない。 新自由主義世界化の構図で、韓国の資本は非正規職労働者に対する超過搾取に 頼るほかはない。また、国家が非正規労働者の怒りを差別の法制化で歪曲して 欺瞞せざるをえない構造的な限界をずっと表わし続けるのは火を見るより明ら かだ。その結果は、さまざまな方式で正規職の非正規職化傾向が拡大すること、 そして非正規職労働者への搾取の強化に進むだろう。したがってこれから相当 の期間、非正規労働者の自然発生的な闘争が爆発するのは必然に属する。

また、危機に直面している民主労組運動、組織労働に、非正規労働者とともに する産別労組建設の他に別の答はありえない。さらに代替労働投入、必須共益 事業場の拡大でスト権を完全に封じ込めようとするのが、国家と資本の戦略的 目標だという事実が今明らかになった。これは、次期政府でさらに強化される だろう。したがって非正規関連労働法を含む全面的な労働法改正という全階級 的な戦線で対応する以外の方法はない。結局、正規と非正規労働者がともに行 う数多くのイーランド闘争が野火のように広がるかどうかは、全て民主労組運 動が正しく対応できるかどうかにかかっていている。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンス:営利利用不可・改変許容仮訳)に従います。


Created byStaff. Created on 2007-07-15 00:30:17 / Last modified on 2007-07-15 00:30:18 Copyright: Default

関連記事キーワード



世界のニュース | 韓国のニュース | 上の階層へ
このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について