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韓国:浦項座り込み、政府与党の声は「見苦しい」
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浦項製鉄座り込み8日目、政府与党の声は「見苦しい」

保守政界、「基幹産業マヒ、競争力と信任度下落..」

チョンヨンジン記者 jeremi20@jinbo.net / 2006年07月20日15時44分

20日、浦項製鉄労働者の闘争が8日目を迎えた。約2000人の高齢の労働者が閉 じ込められているビルの中で何と8日を過ごし、生のラーメンをかじりながら 捕虜収容所を思わせる状況に置かれている。しかも一人の労働者は脳死状態で 生死の境をさまよっている。

このように状況が急変しているのに、主務部処の長官は国会議員との面談で、 もっともらしい話をするだけで相変らず傍観している状態だ。

政界もまた、社会問題になりつつある事案に対して特に言及せず沈黙を続け、 今になってようやく口を開きつつある。しかし民主労働党はこれに対して一言 で「見苦しい」と舌打ちした。

キムハンギル、「基幹産業マヒ、国家信任度、競争力低下、公権力の無力化」を憂慮

20日午前、国会でのヨルリンウリ党院内代表団会議で、事案に関して若干のや りとりがあった。

キムハンギル院内代表は「労使問題に始まった不法占拠、労働争議が深刻になっ ている」と述べ、「基幹産業マヒ、国家信任度と競争力の低下、公権力の無力 化など、多くの問題点が露呈している」とし、事態の本質を見ずに現象的な問 題を羅列して憂慮した。その上「政府の積極的な介入が必要だ」と指摘、現在 も政府と使用側の一方主義で染まっている状況をあおりたてた。

チョイリョン首席副代表は「国が水害騒動に包まれて、あちこちで火災が発生 し、経済が難しいという不機嫌な声が聞こえているのに、正常な争議ではない 不法な争議行為が続いている」と暗示した。

それと共に「韓国の辛い歴史が正しい判断をできなくする要因として作用する」 とし、公権力についての話をならべた。彼の話によれば、過去の独裁時代に、 公権力に抵抗することは「一つの表象であり誇らしい表現」だったが、民主化 以後21世紀の今、「大韓民国は民主国家であり世界的にも民主政治の秩序の手 本」になった。それなのに公権力に抵抗するのは「以前は抵抗が美徳だったが、 今日のこの時点にも国民の一部には正当と思われている」という。

これを言い換えれば、公権力の性格が変わったのに、現実認識が不足している 「国民の一部」が過去の経験に支えられて「正しい判断ができずに」公権力に 抵抗しているということだ。

チョイリョン、労使関係均衡形成された(?)
ムンヒサン、「労使問題でなく治安問題」

これに続く発言でも、彼は自分の現実認識を反映している言葉を明確に吐き出 した。チョイリョン首席副代表は「労使問題においても一時、大韓民国の開発 時代に、使用側に有利な企業文化が労働側に不利な立場だったのは事実だ。今 は、ある程度均衡に近い立場と位置を持ったと思われるが、今日この瞬間、ど ちらか一方のの要求により、国民経済の困難を加重させ、心配させている」と 話した。

警察と使用側の一方主義的形態が強行されている場で「どちらか一方の要求」 を口にする彼の認識では、すでに労使関係の均衡が形成されているのだ。

また彼は「労使が共に大韓民国経済の実が大きくなり、多くするために努力し ている相手の立場で考える立場」を持つことを勧めた。しかし、以前の彼の発 言の中に、労働者の立場を考慮した「相手の立場で考えること」はどこにあっ たのか探すのは難い。

一方、これに先立ちヨルリンウリ党のムンヒサン常任委員も、現事態は「労使 問題でなく治安問題」とし、政府に厳正対処を要求する発言をした。彼の話は 今までの政府与党の認識と文脈を同じくするもので、「浦項製鉄が直接使用者 ではないのに占拠したのは不法で、したがって治安問題だ」という簡単な図式 から始まった。

民主労働党、「政府・与党の哲学不在、自らの役割を自覚しろ」

これに対して民主労働党は論評で「保守政界から漏れ出てくる声は見苦しい」 とし、これは「社会的問題になっている現事態への政府与党の哲学不在を余す ことなく見せる」と批判した。

民主労働党のパクヨンジン・スポークスマンは、これは「建設労働者がたくさ んいる建物の中に、『なぜ』入って座り込みをしているのか、全くまじめに聞 いていないという証拠」とし「労働者の正当な交渉と闘争を妨害するために代 替人材を投入した当初の不法を見ず、労働者、特に非正規職労働者の問題は、 ただ無策傍観するか鎮圧の対象としか見ない高圧的な態度こそ、韓国社会の労 使問題を激化させる最大の理由」と政府と与党の態度を指摘した。

パクヨンジン・スポークスマンは「言い換えれば、今回の事態は治安問題でな く、すでに大規模な事態で発展している非正規職の問題であり、政府当局の解 決能力の不足と哲学不在の問題」と断言、「まったく手を離したり、言わずも がなのことを言っている時ではない。政界が立ち上がって今回の事態に対して 平和的な仲裁者の役割を果たすべきだ」と一喝した。

また「保守政治権と政府当局こそ、自らの役割を自覚しべき時」と指摘した。

そして一時は運動もしたという大統領の「今は誰もが労働運動は根本的に変わっ たことを認めなければならない」というピント外れの宣言にあえて言及するま でもなく、やはり運動もしていた人が集まって作った与党に対して「自らの役 割に対する自覚」を期待することは容易ではないと見られる。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンス:営利利用不可・改変許容仮訳)に従います。


Created byStaff. Created on 2006-07-21 02:54:26 / Last modified on 2006-07-21 02:54:27 Copyright: Default

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