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韓国:[記者の目]建設労働者たちが浦項製鉄に行った理由
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[記者の目]建設労働者たちが浦項製鉄に行った理由

元請使用者に責任ある解決の意志なければ 労働者たちは戦い続けるしかない

イコンマム記者 iliberty@jinbo.net / 2006年07月19日0時16分

浦項の建設労働者はなぜ浦項製鉄本社を占拠したのだろうか。

核心は元請使用者性に対する問題だ。

下請け業者は元請に、元請は知らんぷり

浦項建設労組組合員は、浦項製鉄が発注した建設現場で働いている労働者だ。彼 らは浦項製鉄で、浦項製鉄のために全てのものを捧げ、数十年間働いてきた労働者 だ。彼らは長時間・高強度の労働をしているが、非正規職だという理由で、下 請け業者の職員だという理由で、浦項製鉄正規職労働者の36%しか賃金が支払わ れない。週5日制は絵に書いた餅だ。

そんな建設労働者たちが労働条件を改善するために、建設専門業者に団体交渉 を要求した。だが事業主たちは請負契約(施工参加契約)を理由に、自分たちは 交渉当事者ではないと主張して団体交渉を拒否してきた。元請の浦項製鉄に責任 を押しつけたのだ。

では元請の浦項製鉄はどうだったか。浦項製鉄は、現場で自分たちの支配下にある 労働者の労働条件を真剣に考えるどころか、専門建設業者と労働者の間に結ば れた団体協約も無力化させている状況だ。一例として、浦項製鉄は労組と下請け 専門建設業者が締結した産業安全教育の場所の提供を拒否し、光陽は浦項製鉄の 正門を挟んで労組は外で教育し、組合員数千名は浦項製鉄の中で炎天下に座って 教育を受ける状況まで行われた。

建設労働者の低賃金、労働条件悪化の問題は不法下請けに原因

発注業者の顔色を伺うわなければならない建設専門業者、責任を回避するポス コ。その中に挟まれた建設労働者の選択は、問題の根源である浦項製鉄を訪ねて 行くことしかなかったのだ。

浦項製鉄は11日の浦項建設労働者との面談で「浦項地域の土建業者を含む専門建 設業者が労組と誠実に交渉に臨めるように最善を尽くす」と約束もした。しか し約束から二日後、ストライキ中の浦項製鉄建設現場に代替人材を投入した。こ のように、二つの顔を持った浦項製鉄は、労働者の災いを呼んできたのだ。

元請使用者性の問題は、6月、一ヶ月間の命がけのストライキをした大邱建設 労働者が戦った理由でもある。当時、キムビョンユン建設産業連盟幹部は「決 まった日当も、食べていけない請負単価で強制請負を与えている専門建設業者 の横暴。そして明け方から夕方まで一日12、13 時間働いても一日の日当が7〜 8万ウォンにしかならない現実。そんな状況で元請会社は自分たちが責任を負 すべき労災事故さえチーム長に責任転嫁する...」と元請の積極的な解決の意 志を要求していた。

専門建設業者は元請に、元請はまた専門建設業者へと責任を転嫁している現実 は、建設労働者の絶え間ない戦いを予告しているのだ。

労働社会団体、口を揃えて「元請の浦項製鉄が出て来い」

浦項建設労組組合員が浦項製鉄を占拠すると、労働社会団体は口を揃えて元請の 浦項製鉄の責任ある解決意志を促した。民主労総は「不法多段階下請けと施工参 加者制度の問題点は何度も指摘されたが、制度は改善されず勤労基準法さえき ちんと守られていない」とし「浦項製鉄は実質的な元請使用者としての責任を全 うしろ」と明らかにした。

また建設産業連盟は「現場への出入など、労働組合の基本活動および現場での 産業安全問題に関する総括的な責任を負って、低価格落札で建設労働者の賃金 決定に実質的な影響力を及ぼしている発注者と元請の決断なしに今回の事態は 決して円満に解決されない」として浦項製鉄の解決意志を要求した。

民主労働党も「多段階下請けの一番底辺にいる最も低い労働者である建設日雇 い労働者たちが、搾取の食物連鎖の一番上にいる浦項製鉄などの発注者を相手に すさまじい闘争を展開する理由は、建設日雇い労働者の実質的な使用者が元請 建設会社と専門建設業者だからだ」と指摘した。

建設労働者への元請会社の団体交渉義務を認めた判決もある。2004年9月大田 地方法院は「現場を中心とする建設勤労の特性上、元請会社が上の建設日雇い 勤労者との間に直接的な勤労関係を結んでいないといっても... 現実的で具 体的な支配をする地位にいる場合があり、そうした限度の中では団体交渉の義 務を負担する使用者に該当すると見る余地がある」という判決を出した。

長期闘争労働者... ほとんど元請使用者性に関する問題

こうした元請使用者性の問題は、単に建設労働者だけの問題でない。ハイニッ クスマグナチップなどの社内下請労組、KTX乗務員、キリュン電子労働者をは じめとする不法派遣労働者... 彼らすべての問題は、まさに元請が使用者性を 認めないことにある。

さらに安い賃金で労働者を雇用するための資本の不法下請け、請負、派遣など の問題が解決されない限り、労働者の戦いは止められない。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンス:営利利用不可・改変許容仮訳)に従います。


Created byStaff. Created on 2006-07-20 05:34:37 / Last modified on 2006-07-20 05:34:37 Copyright: Default

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