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警察、テロ防止用「テイザー・ガン」使用、過剰鎮圧で論議

私服特攻隊投入、 ひとりに3発を撃ち被害労働者が失神

チョン・ヨンジン記者 jeremi20@jinbo.net / 2006年11月23日20時48分

警察、4月ハイスコ時に問題になったテイザー・ガンをまた持ち出す

集会に対する警察の過剰鎮圧が再び問題になるものと見られる。22日、農民、 労働者、学生など約2万人が参加した光州全南地域民衆総決起大会で、光州市 庁に進入しようとしていた集会参加者たちに向けて警察は、最近支給された対 テロ鎮圧装備、別名「テイザー・ガン(TASER Gun)」を使ったことが確認され たのだ。

この日の警察のテイザー・ガン使用で起亜自動車組合員というある労働者が実 際に肩と心臓部、さらに首の後にそれぞれ1発ずつ、計3発を受けて失神する事 態が起きた。

これは、テイザー・ガンの威力とは別に、被害者が受けたダーツ型のテイザー・ ガンは1度に1発しか発射できない1回用であることを考えると、3人の警察が1 人を制圧するために使ったと見られ、警察の過剰鎮圧論難が再び強まるものと 見られる。

集会参加者に発射した'テイザー・ガン'ダーツ(直径7.5mm/の長さ4.5cm程度)。ダーツの先端には皮膚に食い込むように1cm程度のとがった矢じりがある。

テイザー・ガンのダーツが被害労働者の服にぶらさがっている。

被害労働者は首の後にテイザー・ガンを受け、意識を失って目覚めた後、直接ダーツを抜いたと証言した。

テイザー・ガンは4月のハイスコ労働者のデモ鎮圧に初めて使われたことで知 られるようになった。当時、警察がデモ鎮圧に対テロ防止用のテイザー・ガン を使い、労働界から強力に抗議されるなど激しい議論になった。

当時、警察側はこれに対し、テイザー・ガンは警察官も実際に体験した後、一 線警察署に配分され、とても危険な武器ではないと釈明したが、民主労総の関 係者は「全国で初めて労働者の座り込み現場に対テロ武器が使われた衝撃的な 行動」と述べ、しばらく問題になっていた。デモ鎮圧用として、対テロ装備の 使用そのものが過剰鎮圧だということだ。

光州地方警察庁、「知らない」と言い張り.. 「実は...」

警察側は今回の集会鎮圧にテイザー・ガンを使ったことに対して初めは「知ら ない」という答弁を続けたが、結局特攻隊が使ったと語った。この日の集会の 鎮圧に、戦闘警察兵力だけでなく特攻隊が投入されたということだ。

光州地方警察庁の金ギョンホ警備交通課主任は、最初は「使っていないと思う」 と事実について知らないと回答を回避したが、後で「10人内外の私服要員が 投入された」という事実を明らかにした。

これについて、この日のデモ鎮圧を総括した光州西部警察署側にテイザー・ガ ンの使用を確認したが、身元がわからない光州西部警察署警備係関係者も「テ イザー・ガンという装備も知らない。使用の有無も知らない」とし、「その話 は今日の新聞で見たが知らない」と一蹴した。しかし続けて質問され、彼は 「この日の集会で特攻隊が使ったようだ」と述べた。

また光州地方警察庁特攻隊側に問い合わせた結果、結局この日私服姿の特攻隊 10数人が集会現場に投入され、テイザー・ガンを使ったことが最終的に確認さ れた。

警察、デモ隊相の互識別を難しくするため私服特攻隊を投入して近距離から発射

光州地方警察庁特攻隊所属のパク・ジョンス行政チーム長は、特攻隊投入の事 実についての質問に「大きなデモなどで暴力デモが憂慮される場合、管轄署の 要請があれば、(暴力デモ)対応に(特攻隊が)行く」と話した。

しかし、デモ現場で特攻隊を見たという人はなく、別途の特攻隊の服装を着用 して投入したのかを尋ねられると、彼は「(特攻隊は)たいてい私服を着ている」 とし、「10人程度投入された」と述べた。

テイザー・ガンの使用に対してはやや過剰鎮圧と見られることを憂慮しながら 「ハイスコでも検証された。職員も体験したが、格別問題はなかった。当時、 イ・ヨンスン民主労働党議員にも釈明した」とし「警察に支給されたすべての 装備について、デモ鎮圧用、テロ防止用などと厳格な定規を突きつけるのは危 険だ」と話した。

パク・ジョンス行政チーム長の説明によればこの日特攻隊が使ったテイザー・ ガンは2つの方式で使用可能だ。直接接触させ、電気衝撃を加える方式と、あ る程度の距離をおいて発射する方式だ。

彼によれば、テイザー・ガンは最大射程距離が6メートル程度で、この程度の 距離では効果が落ちて使用できない。2-3メートル程度の近距離で使うと、効果 がある。

結局、警察はテイザー・ガンの効果的使用のために集会現場にわざわざ私服を 着用した少数の特攻隊を投入し、デモ隊が相互識別が難しい状況を利用して、 できるだけ近距離でテイザー・ガンを使ったと見られる。

「総決起デモ隊は公務執行妨害現行犯」、テイザー・ガンの使用は問題ない?

これについて今回はテイザー・ガン使用規則遵守などの要件を質問されると、 パク・ジョンス行政チーム長は警察官「職務執行法第10条2 装具使用」をあげ て「昨日のような場合はデモ隊を特殊公務執行妨害および強力犯と見なし」て 鎮圧に出たため「法律上、問題はない。要件は確立される」と話した。彼はた だし「細部の規定で14才未満、妊娠した女性、顔などには撃たないことになっ ている」と付け加えた。

装備の使用にあっては別途の命令が必要かと尋ねると「隊員各自が使う瞬間は、 本人の判断により使うことになる」と話した。

しかし「警察官執務執行法第10条の2 警察装具の使用」には、1項の使用対象 規定に「現行犯人の場合と死刑・無期または長期3年以上の懲役や禁固に該当 する罪を犯した犯人の逮捕・逃走の防止、自分または他人の生命・身体に対す る防護、公務執行に対する抵抗の抑制のために必要と認められる相当な理由が ある場合には、その事態を合理的に判断して必要な限度で警察装具を使える」 と明示されている。

しかしパク・ジョンス行政チーム長の説明のように、この日の光州市庁前での 農民デモ隊が「公務執行に対する抵抗」をした「現行犯」としても、特攻隊要 員各自の判断によりテイザー・ガンを使っただけに、「合理的に判断して必要 な限度内」で使ったのかどうかは相変らず問題になる。

また第2項の「警察装具」の規定にも「警察官が携帯し、犯人検挙と犯罪鎮圧 などの職務遂行に使う手錠・捕縄・警棒・盾などをいう」と、テイザー・ガン は直接明示されておらず、対テロ防止用として最近導入したテイザー・ガンが' 「警察装具」に含まれるのかどうかについても解釈が必要な状況だ。

テイザー・ガン1発で7人まで制圧する程威力的なのに、1人に3発を発射

また今回はテイザー・ガンの性能に対して尋ねた。テイザー・ガンを使う場合、 何発程度の発砲で相手を制圧できるのかという質問に、パク・ソンス行政チー ム長は「1発あれば十分に可能だ」と答えた。彼は装備使用のためにすでに職 員が使用してみたと述べ、6、7人程度が手を握っている状態で、一番端の人に 使い、6、7人すべてが制圧されたと独自の実験結果を伝え、テイザー・ガンの 威力を説明した。だから「一発で充分だ」というわけだ。

しかし前日のデモに参加してテイザー・ガンを一度に3発も受けた被害者のケー スの釈明を求めると、「3発は絶対ではなく1発だったし、絶対に1時間意識失っ たということはない」と話した。

被害者が首の後にも受けたという事実を伝えて、これは顔部位を狙ってはなら ないという装備使用細部規定を考えあわせると、過剰鎮圧ではないかと尋ねる と、パク・ジョンス行政チーム長は「事実なら問題かもしれない」と話した。

パク・ジョンス行政チーム長はしかし「(テイザー・ガンは)絶対そのような装 備ではない。受けた人が1時間も意識不明状態になることはない」と繰り返し 強調した。それと共に彼は「(当時)現場に5、6人がいた。その人々のために (テイザー・ガンを受けた参加者を)逮捕できなかった」とし、「単純に制圧用 だ」と詳しい状況説明を添えることもした。

またデモを鎮圧する警察の立場と国民を相手に危険な装備を使わないという真 正性を理解してくれと要請した。

被害者、首の後にテイザー・ガンを受けた以上、警察の過剰鎮圧は問題に

しかし現在、大型ポータルサイトを中心に流通している外国の警察が実施した テイザー・ガンの実験動画を見ると、実際に強力なテイザー・ガンの威力を確 認できる。これを見れば、さまざまな実験のうち、何人もが手をつないだ状態 で、ひとりにテイザー・ガンを発砲すると、一度に彼らが制圧される場面が登 場する。テイザー・ガンの威力を確認できる場面だ。これを見ると、ひとりが テイザー・ガンを一度に3発受ければ、瞬間的に意識を失う可能性はそれほど 難しくないと見られる。

したがって対テロ防止極大化のために殺傷武器の代替として作られたテイザー・ ガンを集会デモ鎮圧用に使うこと自体が警察の「真正性」の釈明にもかかわら ず、「過剰鎮圧」という議論につながるのは避けられないものと見られる。

特にテイザー・ガンを受けた被害者は首の後に打ち込まれた「弾皮(?)」を 「直接抜いた」と証言しており、警察過剰鎮圧に対する非難世論はさらに強ま るものと予想される。

テイザー・ガンは対テロ防止用、殺傷武器の代替のために開発

拳銃型電気衝撃器、別名"TASER Gun"

2005年頃からテイザー・ガンを国内独占供給しているC&Sディフェンスによれ ば、「拳銃型スタンガン(別名TASER Gun)は人体に無害な電気衝撃を発生させ、 対象を一時的に無力化し、制圧する非殺傷武器」だ。

これは人命殺傷用でなくテロ防止用で、引き金を引くと炭酸ガス(CO2)や亜窒 酸ガス(NO2)により、銃にワイヤーでつながれた2個の矢じり(ダーツ) が発射 され、その矢じりが皮膚や服を突き抜けて入り、最高5万ボルトの電気的衝撃 を数秒間加えて無力化するように作られれた。

したがってテイザー・ガンは瞬間的に大きな衝撃が加わり、これまでテロ鎮圧 に使われた殺傷用銃器の代わりに、新しく代替導入された非殺傷用の道具で、 武器に近い「先進対テロ装備」と評価されている。

これを立証するように、テイザー・ガンは2005年のロンドン爆弾テロ事件関連 で英国警察の外国人誤認射殺が国際問題になった後、有力な容疑者の検挙の過 程でテイザー・ガンにより逮捕に成功したことでその効用性が立証され、世界 的に対テロ防止用として普及した。

「国内ではすでに警察庁、民間航空社、消防防災庁など、国家重要施設の保安 要員、ザイトゥーン部隊、軍・警対テロ部隊がテロ安全対策の一環として導入、 運用中」とある報道機関とのインタビューで会社の関係者が語っている。また 2004年末からは大韓航空が米連邦交通安全庁(TSA)の許可を受けて、米国就航 航空機内にテロ防止用として装備しているという。結局、テイザー・ガンは導 入の目的から現在の使用に至るまで、対テロ防止用として国内に導入、使用さ れているのだ。

しかし装備の導入目的と社会的論難にもかかわらず、警察がデモ鎮圧のために 光州でまたテイザー・ガンを使ったのだ。

警察、執拗な集会鎮圧とウサギ狩り式でやみくもに検挙

一方、この日の光州全南地域に対する警察の全体的な集会鎮圧は、一言で「執 拗」と要約できる。この日報道された資料と参加者の証言によれば、この日、 警察は対峙中に発生した連行者に対してまず「釈放」の意志を見せるなど集会 参加者を安心させた後、集会整理を誘導、最後の段階に入った集会参加者を急 襲した。

これは集会参加者のほとんどが地方から来た農民で構成されていて、彼らが集 会を終えて家に帰り、残った人員が少なくなった瞬間を鎮圧時点にしていたと 考えられる。これについて警察は、集会人員が800人程度に減り、自主解散の ために整理発言をしていた集会参加を急襲、解散の警告放送が始まる前に道路 の100メートルほど向うから突然強制鎮圧があったことが明らかになった。

またこの日、警察は集会参加者を強制解散させ、近所の参加者を確認の過程な く連行し、逃げる参加者を何と4km以上執拗に追撃するなど、典型的なウサギ 狩り式の武力鎮圧を試みた。また夜遅くまで鎮圧を続け、通行する市民と車両 の運転手を不安にさせた。

整理中の集会隊伍を警察が急襲して、ウサギ狩りをしている。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンス:営利利用不可・改変許容仮訳)に従います。


Created byStaff. Created on 2006-11-25 03:33:07 / Last modified on 2006-11-25 03:33:09 Copyright: Default

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